NHK朝ドラ【スカーレット】第150回(第25週 土曜日)最終回 感想

喜美子(戸田恵梨香)は武志(伊藤健太郎)と信楽の仲間とびわ湖に出かけ、すがすがしい思いに満たされる。武志は闘病しつつ作陶を続け、側で喜美子も陶芸に励む日々。喜美子は武志との時間を大切に過ごしながら、ふと武志に問いかける。喜美子に強く抱きしめられる武志。2人は幸せを胸に刻む。二年後、喜美子は武志の作品を大崎(稲垣吾郎)と共に見つめていた。作品作りに挑戦する大崎。そして八郎(松下洸平)が訪ねてきて…
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
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連続テレビ小説「スカーレット」第25週「炎は消えない」最終回 第150話

NHK朝ドラ『スカーレット』感想

感想

最後まで、「日常」を描き切ったドラマであった。

最終回、喜美子は一度だって泣きわめいていない。

もちろん、空白の2年間の中にはそういうシーンが何度となくあっただろう。けれども、そこは描かない。

 

ヒロインは、ただ、暮らす。

暮らしの中に食べることがあり、愛することがあり、そして造ることがある……。

 

日本一の湖


アバンは昨日の続きから。

上質な朝ドラでは、しばしば「人の笑顔に泣かされる」シーンが訪れる。

変なセリフや泣かせる演出は必要なく、ただ写真を撮るみんなの笑顔と、あの音楽に泣かされる。

武志の隣には真奈ちゃんがいる。

 

4月。武志は桜と桃と交わしたピアノの発表会を見に行くという約束を果たすことができました。

 

約束は果たせたのだ。

「行く」と言って行けなかったというドラマ的なフラグではなかった。

武志と「カノジョ」と、きっと大野家の人たちと、喜美子と……その時の容態がどうだったかは分からない。ナレーションでしか説明されないことは、想像しなくてもいい。

それはきっと、喜美子の日常にとって重要な事ではないから。

幸せや


みんなの陶芸展の日から、次の章の2年後まで。

喜美子と武志の日常は変わらず続いていたことが描かれる。

 

工房の中に息子と2人で土をこねる。

ロクロを回し、形を作る。

すぐ近くで2人で過ごす日常。
もちろん、ここに息子が居なくなる日が来ることは分かっている。

ギュ~したろか。

えっ。

ギュ~したる。

えっ……。

……ギュ~してええ?

 

照れながら受け入れる息子に言われる。

幸せやで。

幸せか?

幸せや。

幸せやなあ……。

ありがとう。

NHK朝ドラ『スカーレット』第150話(最終回) 感想

 

ねえ。
自分の子どもに「幸せだ」と言ってもらえることが親にとってどんなに幸せなことだか分かる

夫婦にたくさんの苦難が訪れた。

子どもにたくさんの不安を与えた。

れども、彼は愛されて育ったことを自覚している。

きっと、武志は八さんにも「ありがとう」と言っただろう。

八さんも「ありがとう」と返しただろう。

2年後



すでに武志の姿はない。

武志は26歳の誕生日を前にして旅立ちました。

ナレで見せないところは、喜美子にとって日常ではなかったところ。

喜美子の中に残っていることは、武志と過ごした日常であり、その思いが残っている限り武志は存在し続けるのだろう。

 

武志は作品を残しました。
武志の作品は生きています。

 

大崎医師が、約束した「感謝の皿作り」にやって来る。

亡くなる3日前に握手をしたんです。集中治療室で。

目を少~し開けた時があって……。
手が 、こう、動いたんで「大丈夫だよ」って握ってあげたら握り返してくれたんです。


意外にも力強くて……おおっ、すごいなって。

こっちも両手で武志君の手を

そっと握り返して……握手したんです。

 

途切れない、人の輪。

武志の皿は鳴っているか



八さんは名古屋を引き払って長崎へ行くと言う。

また会って、話しよな?

 

元夫はそう言って旅立った。

去っていった、のではなく、息子に言われたように、陶芸家として恥じない生き方が出来るように旅立っていった。

フカ先生がご健在かどうかは分からない。

けれども、あのハガキの風景はきっとそこにある。

 

家庭菜園・照子と百合子がいつものように工房に野菜を置きにやってきて、手を止めた喜美子が迎え、奥から住田さんが出てくる。

誰を失っても何も変わらずに時が流れる日常の中で物語は終わる。

NHK朝ドラ『スカーレット』第150話(最終回)ラストシーン 感想

 

ラストカットは窯の奥の炎を一人見つめる喜美子。

その目は今も燃えている。
決して絶望などしない。

かつてこんなにも力強い最終回があっただろうか。

タラの大地に独り誓うスカーレット・オハラのように、信楽の文化の真ん中に今も立ち続けるヒロインの姿を私は見た。

それは孤独ではなく。
人生の全てを受け入れ、たくさんの人たちの支えと愛を土台に生きていく強さ。

 

このヒロインは全力で自分の世界と立ち向かう。

全力で……をありのまま表現する役者、戸田恵梨香。

この人が川原喜美子で本当に良かった。
この人以外に考えられない。

家族


朝ドラはずっと、「家族」の新しい形態を提案しては、ほとんど失敗してきた気がする。(もちろん何作かの名作は例外として)

「スカーレット」は決して「家族っていいね」という話ではない。

ヒロインは、若くは家族に翻弄され、家族を手に入れては壊し、ラスト、彼女の家に住むのは彼女一人だ。

けれども彼女の日常を通して、繋がりは広がっていく。

そこには血筋を超えたつながりがある。

 

武志はたくさんの人に救われた。その繋がりはきっと切れることはない。

喜美子が望んで切らない限り、家庭菜園・照子と妹の百合子は日々喜美子の元を訪れるし、直子も、八さんも、アンリさんも、みんな帰りたい時にきっと喜美子の元へ帰ってくる。

 

淡々と日常を生きる。
大切に強く。

独り立つことの美しさを見せてくれるドラマだった。

 

出演者さまたちとスタッフの方々に心から感謝を。

 

『エール!』も一応は(一応は)レビュー予定であります……またどうぞ、よろしくお願いいたします。

 



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145 146 147 148 149 150(最終回)
 

※朝ドラレビューは基本的に簡単感想で。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
…テンプレだす…。

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キャスト

川原喜美子 – 戸田恵梨香(子役期:川島夕空)

川原常治 – 北村一輝
川原マツ – 富田靖子
川原直子 – 桜庭ななみ(子役期:やくわなつみ)
川原百合子 – 福田麻由子(子役期:稲垣来泉→住田萌乃)
川原武志 – 伊藤健太郎

川原(十代田)八郎 – 松下洸平

熊谷照子 – 大島優子(子役期:横溝菜帆)
大野信作 – 林遣都(子役期:中村謙心)
大野陽子 – 財前直見
大野忠信 – マギー
熊谷敏春 – 本田大輔
熊谷竜也 – 福崎那由他
熊谷和歌子 – 未知やすえ
熊谷秀男 – 阪田マサノブ
住田秀樹 – 田中美央

小池アンリ – 烏丸せつこ
大崎茂義 – 稲垣吾郎
慶乃川善 – 村上ショージ

十代田いつ子 ‐ しゅはまはるみ
鮫島正幸 ‐ 正門良規
津山秋安 ‐ 遠藤雄弥
藤永一徹 ‐ 久保山知洋
加山 – 田中章
深野心仙 – イッセー尾形
池ノ内富三郎 ‐ 夙川アトム
磯貝忠彦 ‐ 三谷昌登
松永三津 – 黒島結菜

庵堂ちや子 – 水野美紀
酒田圭介 – 溝端淳平
田中雄太郎 – 木本武宏
荒木さだ – 羽野晶紀
大久保のぶ子 – 三林京子
ジョージ富士川 – 西川貴教
泉田あき子 – 佐津川愛美

草間宗一郎 – 佐藤隆太

 

語り… 中條誠子

スタッフ

脚本 – 水橋文美江(第21週 : 三谷昌登)
制作統括 – 内田ゆき
プロデューサー – 長谷知記
演出 – 中島由貴、佐藤譲、鈴木航
音楽 – 冬野ユミ

主題歌 – Superfly「フレア」

コメント

  1. citron(紫花浜匙) より:

    お久しぶりです。
    今日、やっと最終回見ました。
    このコメ、気づいてもらえるかな?

    普通に生きていく普通の毎日。
    ウィルス感染が蔓延してるこの頃、
    武志が目の前にいる事が、我が子が元気に生活してること
    普通に生きていく事が、いかに特別かを感じてしまい、
    このドラマの重みを余計に感じてしまったゎ。

    最終回、良かった。
    あまちゃんの終わり方、スカーレットの終わり方は、
    終わりじゃなくてまだまだ進むヒロインを映していて
    いつまでも心に残るラストです。
    このドラマ、音楽もすごくよかった。
    最後の曲は特に好き。

  2. スカーレット (第150回/最終回・2020/3/28) 感想

    NHK総合・連続テレビ小説『スカーレット』(公式サイト) 第25週/最終週『炎は消えない』の 『第150回/最終回』の感想。 ※ 本作は、2020/2/29 にクランクアップ(撮影終了)しています。 ※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。 ※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。 喜美子(戸田恵梨香)…

  3. 幸せ>『スカーレット』最終話

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  4. 幸せ>『スカーレット』最終話

    ​朝ドラって、大抵 “夢”を追うヒロインの物語であるはずなのに ホームドラマ・パートに重きを置くので 物足りないなあ…と感じることが多い でも、この『スカーレット』は そうした“お約束”とは別に 敢えて“日常”を描いたのかな…という気がする 女性陶芸家の物語を期待していた人は勿論 ホームドラマ派の人にとっても 少しばかり違う描き方だったかもしれない …ひじゅにですが何か? 「幸せ…

  5. 連続テレビ小説『スカーレット』第150回(最終回)

    内容喜美子(戸田恵梨香)武志(伊藤健太郎)たちは、琵琶湖へと出かけた。そして。。。。敬称略それにしても、どういうつもりだったんだろ。。。。。好意的に見ることが出来る部分もあったけど。あくまでも“好意的”であり、自然と入ってくるわけでは無い。ほんと、理解不能な部分が多すぎる。

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