NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)

半年間。幕末から昭和まで駆け抜けた『らんまん』が終わる。

「カエルさま」と言われた出会いの日から、最愛の寿恵子を失くし、残像と共に生き続けるこの日まで。

愛情深い夫婦の物語。

春、竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)が新酒を持って槙野家にやってくる。寿恵子(浜辺美波)、虎鉄(濱田龍臣)、千歳(遠藤さくら)、千鶴(本田望結)ら家族みんなで綾と竹雄の酒を味わいながら、楽しい時間を過ごす。そして季節は夏に―。3206種を載せた図鑑がついに完成。最後のページを飾ったのは「スエコザサ」。万太郎が見つけた新種のササに寿恵子の名を刻んだ。寿恵子への感謝と永遠の愛を誓って……

あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
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連続テレビ小説「らんまん」第26週「スエコザサ」第130話

2023年上半期朝ドラ『らんまん』感想

感想

愛する人を失う悲しみよりも、生きる希望に満ちた素晴らしい最終回だった。

私は神木くんも浜辺美波ちゃんも元々大好きで。でも、だから絶賛しているわけではない。

この2人が作り上げてくれた牧野夫妻像。

それがあまりにも素敵だったので、別れ難くて。

つい涙がこぼれる。

私もそこにいます

4月。

姉の綾と竹雄夫妻が沼津から新酒を持って上京してくる。

お2人とも元気そう。

お寿恵さんにもお酒を楽しむ体力がある。

新しい酒の名前は?


輝く峰と書いて「輝峰」としたがじゃ。


輝峰?


えい名前じゃのう。

今日も生きて暮らしていく。
そういう人の営みと共にある名にしたかったがよ。

万太郎夫妻を支え続け、多くの人との関りに感謝し、酒のために身を尽くした夫婦の軌跡に相応しい名前。

こんなに明るいお酒ありがとうございます。
まるで晴れた空みたいな……。

NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)

家族宴会が一通り終わった後、竹雄は万太郎の仕事を称えた。

よう頑張ったのう。
おまんはこんなに…こんなにようけの草花と出会うてきたがか。


しかし万太郎はまだ完成ではない。図鑑には東北で出会った新種を加えるという。

面白いササじゃ。
葉の縁が巻いちゅうき。
葉が波打って、おかげで光によう映える。
葉の表面には白い毛が生えちゅうけんど……その細い毛が光に透けて。
はあ…。きれいじゃった。

この子名前は?何て付けるが?


イネ科のササ属。
学名は……。

らんまんな『槙野日本植物図鑑』

ついに『槙野日本植物図鑑』は完成し、万太郎はお寿恵さんに手渡す。

万ちゃん…。
出来たんですね。


出来たき。わしらの図鑑。


なんて立派な……。

ずっしり重みのある黒の表紙。

自由にならない手で、愛しそうにページをめくるお寿恵さん。

こんなにたくさんの草花。


3206種載っちゅうき。


3206種…。万ちゃん…らんまんですね。 


らんまんじゃ。

図鑑の謝辞には、きちんと田邊教授の名前が載ってるぞ……(良かったね、教授)。

NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)

そして、何より、そこにはこの図鑑に関わった全ての人々の名前が、そして寿恵子の名前が。

そして……

園ちゃんが刻まれていた。

だって、そのために目指して来たのだから。

全部の園を愛する。2人の第一子の元にいつか届けるように。

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終わりに、妻である槙野壽恵子は小生と歩むこと凡五十年、共に図鑑を完成させることを夢見てきた、幾多の困難に立ち向かひて、この図鑑の完成をもたらしてくれた壽恵子に特段の感謝を捧ぐ。空へと還つた我が娘の園子に、本書が届くよう祈る

すゑ子笹

最後に加えた新種じゃ。

と、東北で見つけたあの笹のページを万太郎はお寿恵さんに見せる。

あ…。
スエコザサ。
私の名前?


うん。
学名はSasa suwekoana Makino.
寿恵ちゃんの名前じゃ。


じゃあ、私、万ちゃんと永久に一緒にいれるんですね。

寿恵ちゃん。
わしを信じてくれてありがとう。
寿恵ちゃんは、いつじゃちわしを照らしてくれた。
寿恵ちゃんがわしの命そのものじゃ。


万ちゃんこそ私のお日様でした。

共に生きる2人の物語は、ここで終わる。

NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)

台東区谷中には寿恵子さんのモデルである牧野夫人・壽衛さんの墓碑があり、博士の句が刻まれているという。

「家守りし 妻の恵みや 我が学び 世の中の あらん限りや すゑ子笹」

ご夫婦の終の棲家となった大泉村牧野邸の跡地「牧野記念庭園」の一角にもこの句が刻まれた小さな碑があった。囲むのは牧野博士が壽衛さんを偲んで名付けたスエコザサ。

スエコザサ

練馬区 牧野記念庭園

ドラマはドラマなのだから、実際にモデルの人たちがこういう人たちだったかどうかは分からない。分からないけれど

「こういう人たちだったかも知れない」

と思わせてくれるのが歴史創作物の醍醐味であり、『らんまん』は立派に、そういうドラマだった。

槙野万太郎は植物の事ばかりの植物オタクであり、植物だけを追求するために学歴すら捨てた。金に無頓着で実家をお財布のように使い続けた。

朝ドラ『らんまん』神木隆之介ゲストあさイチ

それでも。人に対する情は存在した。存在した、というよりも「育ってきた」のだと思う。寿恵子という妻を得て、子どもを得て失い「一期一会」の奇跡を痛感し、また子どもを得て家族を作った。その中で育ってきた「人を植物のように大切に愛する」気持ち。

槙野万太郎は寿恵子を愛していた。

そして、お寿恵さんも、まるで生涯の大仕事のように夫を愛し続けた。

自らが愛した『八犬伝』を現世で体現するために。

誰も真似できない、世界最強のオタク夫婦の愛の物語。

私は、本当にこの夫婦が大好きだった。

いつでも、この夫婦の出会いから終末までの全てを思い出せるほど。

NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)

時代を生きているような脚本

昨日も書いたけれど、全て振り返って考えても長田育恵氏の脚本が天才的に上手いと思うのだった。

時代の波の中で当然、暗黒の時もやって来るのだが、明治という時代にはそれ以上に国が開けていく力強さや日が昇る明るさが存在する。

『らんまん』は、その時代をカラっとスマートに駆け抜けた。

家族を失った時もある。仕事を失った時もある。

宝物のような小さな園ちゃん。研究のための居場所。40年をかけた標本。

けれども、主人公にはいつも力強く後押ししてくれる友や仲間や、そして、お寿恵さんがいた。

あきれるほどボンボンでも、無邪気なゆえに愛される万太郎。

劇中の人たちが万太郎を愛しているからこそ、それが見ている私たちに伝わる。

主人公を植物オタクサイコパスにしない脚本。神木隆之介の柔らかい演技。

こんなに可愛らしい一代記朝ドラがかつてあったかしら。

この時代に生まれて、このドラマに出会えたことを私は感謝する。

半年間は夢のように幸せな15分を楽しめた。

この世界の余韻から離れられないまま、3日後にはもう次の朝ドラが始まる。

今期はもう少しインターバルがあっても良かった……つい、そんなことを考えてしまう。

魅力的なキャスト

主演のお2人は、もちろん。

全てのキャラクターが魅力的だったなぁ。

これからも、他のドラマや映画でお見掛けするたびに、まず『らんまん』の役名を思い起こしてしまいそう。

みなさま、お疲れさまでした。

ずっと『らんまん』に出ていたことを忘れないで大切な思い出にしていただきたい。

今後も応援していきます!

永遠に生きる

何年後か。

老いても植物収集を続ける槙野万太郎博士の姿が森にあり、そこにはお寿恵さんがいつも一緒にいる。

万太郎さん。
この子はだあれ?

NHK朝ドラ『らんまん』最終回感想 第130回 (第26週 金曜日)


その子はのう…。


ねえ、日本中の植物本当にこれで全部かしら?

確かめに行かんと。


じゃあ、まだまだ探しに行かないとね。

永遠に終わらない2人の物語を、私たちも貰ったラストシーン。

ありがとうございました。

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らんまん キャストとスタッフ

キャスト

槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
槙野寿恵子(西村) – 浜辺美波

槙野園子 – 斎藤羽結
槙野千歳 – 遠藤さくら(子役期:入江美月←秋山加奈)
槙野百喜 – 松岡広大(子役期:石川誉←森本一之新)
槙野大喜 – 服部仁信
槙野千鶴 – 本田望結

井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子

槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸

広瀬佑一郎 – 中村蒼


西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
笠崎大輔 – 遠山俊也
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純
堀井丈之助 – 山脇辰哉

天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
永守徹 – 中川大志
相島圭一 – 森岡 龍
山元虎鉄 – 寺田心 → 濱田龍臣

大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由


野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
伊藤孝光 – 落合モトキ


田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ

語り – 宮崎あおい

らんまん スタッフ


◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志

◆脚本 : 長田育恵

◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」


『らんまん』各回リンク

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