NHK朝ドラ『らんまん』感想 第112回 (第23週 火曜日)

ひとりひとり、違う思いで見上げる丸い月の美しさ。

ここに居ないあの人も、きっと同じ月を見ている。

竹雄(志尊淳)と綾(佐久間由衣)の屋台では故郷の味が食べられるとあって、万太郎(神木隆之介)と虎鉄(濱田龍臣)は大喜び。箸休めに出された高知のヤマモモの甘露煮に寿恵子(浜辺美波)も感動するのだった。竹雄は、波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)に、いつか新しい酒を造るために醸造の研究をしている先生を探していると話す。話を聞いた藤丸は……

あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
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連続テレビ小説「らんまん」第22週「ヤマモモ」第112話

2023年上半期朝ドラ『らんまん』感想

感想

学歴がないから受け入れられない万太郎と。

画工なのに研究者を名乗るなと排除される野宮さんと。

「学歴」という点では違っても、悔しさは同じ。

そして手を取り合った波多野くんの悔しさも……。

土佐の味

東京で土佐の味が食べられるがは嬉しいきのう。

出汁をしっかり取った、ぶっかけ蕎麦。ゆずの酢飯の田舎寿司、芋の茎の炒め煮。

そして、ヤマモモの砂糖漬け。

綾さまも頑張っているよねぇ……。お女中をいっぱい雇っている大きな家で、それほど料理を覚える必要もなかったろうに。

店を出すほどに頑張っている。しかも、つまみに合わせて酒もお薦めするソムリエ屋台。


酒もキリッとしたのが合うがよ。

料理に合わせて酒を出すんですか?


うん。いろんなところの酒を勉強するうちこんなに違うがは面白いのう思うてねえ。


姉ちゃん姉ちゃん。藤丸の実家、酒問屋じゃき。
仕入れてもろうたら?


お邪魔してもえいですろうか?

もちろん!俺、今、実家で手伝いしてるだけなんでいつでも案内します。

そうなのか。

結局、菌の研究はまだ実践できる場が少ないらしい。

大学で学んだことを仕事に生かせないという現象はいつの時代も存在する。

けれども、この出会いで、ちょっと進展するものがありそう。

醸造の教授

ご相談がありますき。
東京に出てきたがは先生方にお訪ねしとうて。

竹雄と綾さまは、「ひおち」を出してしまった原因を今でも知りたがっていた。


火落ちも腐造も昔っから酒蔵は運が悪かったゆうて諦めてきた。けんど酒を造るがは蔵の神さんじゃなくて人の知恵じゃろう?

そう。そろそろ時代は迷信から現実へ変わってきている。

全部「神さんのおかげ」「神さんの罰」のように言われている時代だから「女が入ると腐る」などという結論になるんだよね。


醸造の教授は日本にはまだいません。
僕は秋から農業の専門分科である農科大学の教授に就任することが決まったんですが……。

と、波多野くん。

これは、イチョウ精子の功績!おめでとうございます。

農科大学にも醸造の教授はまだ一人もいないんです。

やっと「大学」が出来た時代。「学問」自体が遅れていた時代。


俺も変形菌の論文で卒業したから何でもいいから菌類の研究ができないか探したけど、どこもなくて…。でも、この先必ず醸造の研究は必要になると思います。

現代だったら、お腹に役立つ菌とか、研究することがたくさんあるのに……。

菌類学者の田中延次郎さんがモデルでは?といわれているらしい藤丸くん。

ドラマ内では、ぱぁーっと酵母菌の研究でも始めてしまってほしい……。

一旦解散した後、万太郎が波多野くんから聞かされたのは、野宮さんが辞表を出すというショッキングなニュースだった。

僕らの発見は間違いなく大発見だった。
けど……世界からは相当疑われた。
日本は植物学の後進国だし…。


でも本当にひどいのはこの日本国内だったんだ。


第一発見者が元画工。
認めないって。

波多野くんは日本の学界にも、世論や権力にすぐ屈する大学の姿勢にも怒っていた。

けれども、一番怒っていたのは自分自身に、だった。


野宮さんを第一発見者として認めないのは僕が許さない。


僕一人なら大学だろうが学会だろうが、あらゆる賞を辞退するって。


でも僕は農科大学の教授に任命された。
結局…僕は野宮さんを見捨てたんだ。

誰だって、自分が好きな研究を精一杯実現できる環境に居たい。

ましてや家族もいる。

悲しいのは、自分自身の夢を取るために、友人の手を離さなければならないこと。

波多野くんは、ずっとこの悔しさと自己嫌悪を抱えて生きて行かなければならない……。

自分の友人たちをこんな目に遭わせるシステムが万太郎には許せない。

この日は良い月が出ていて、みんながそれぞれの思いで月を見上げた。

竹雄と出会い、自分が竹雄、お寿恵さんに続く三代目助手だという栄光に目を輝かせる虎鉄くん。

今はお腹の子との出会いを待つお寿恵さん。

新しい酒を造るという目標を得た竹雄夫妻と藤丸くん。

そして、苦い思いを独りで抱えるしかない波多野くん。


しずかに夜を照らす白い月。

見ているのは同じ月なのに……。

NHK朝ドラ『らんまん』感想 第112回 (第23週 火曜日)

万太郎は月を睨んでいた。

野宮さん……。
あなたは去るべき人じゃない。

NHK朝ドラ『らんまん』感想 第112回 (第23週 火曜日)

野宮さんも、きっと、同じ月を見ている。

なんて美しいシーンなのだろう。

世の中にはままならぬことがたくさんある。

誰の涙も見せずに、優しさとやるせなさを描く。名シーン。

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らんまん キャストとスタッフ

キャスト

槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
槙野寿恵子(西村) – 浜辺美波

槙野園子 – 斎藤羽結

井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子

槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸

広瀬佑一郎 – 中村蒼


西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
笠崎大輔 – 遠山俊也
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純

天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
山元虎鉄 – 寺田心 → 濱田龍臣

大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由


野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
伊藤孝光 – 落合モトキ


田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ

語り – 宮崎あおい

らんまん スタッフ


◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志

◆脚本 : 長田育恵

◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」


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