病の桜とタキ、分家の立場と若者の未来。
全てのエピソードに時代の交替を被せた上手い作り。
第一章の終わりかな。
万太郎(神木隆之介)は祝言の席で、今後、槙野家の一切を綾(佐久間由衣)と竹雄(志尊淳)に譲ると伝える。納得のいかない分家の豊治(菅原大吉)たちに、タキ(松坂慶子)はこれまでの態度をわび、これからは互いに手を取り合い、商いに励んでほしいと話す。後日、万太郎は、タキを連れてヤマザクラを見に仙石屋へと向かう…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「らんまん」第13週「ヤマザクラ」第65話
感想
美しい回だった。
映像もキャラクターも美しかったけれど、何よりも歴史や命の流れを感じさせる話の流れが美しかった。
命あるものは必ず死を迎えて次の世代に交代する。
時代の流れには必ず終わりがある。
分家の気持ち
分家もグゥの音も出ない、美しい花嫁を迎え、挨拶する万太郎。
#らんまん観察日記?
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) June 30, 2023
万太郎と寿恵子、参列者のみなさまで?#朝ドラらんまん#神木隆之介 #浜辺美波 #志尊淳 #佐久間由衣#菅原大吉 #小松利昌 #石村みか #嶋尾康史#清水伸 #坂口涼太郎 #中村里帆 #倉嶋かれん#栗田桃花 #赤木悠真 #牧瀬里穂 #池内万作 #鶴田真由 #奥田瑛二 #松坂慶子 pic.twitter.com/ZruY1OJ27f
しかし、その挨拶の内容は「さよなら峰屋」だった。
皆さん。本日はわしと寿恵子の門出を共に祝うてくださり本当にありがとうございました。
わしはこの峰屋に生まれ、祖母と、そして皆様方に見守られてここまで参りました。
本来やったら後継のおのことしてこの峰屋を支えていかんとならんところ、勝手をお許しくださりありがたく思うちょります。
え~……わしと寿恵子はこの峰屋という大樹を離れ、新たな地で二人芽吹いていこうと存じます。
今日までわしと寿恵子を育んでくださいました皆様にお礼申し上げます。
ここからの重大発表に分家の皆さんが牙をむく。
そしてわしは槙野の家の一切を姉である槙野綾、そして、その伴侶となる……。
……
井上竹雄に譲る所存でございます。
いや…いや認めん!
認められんじゃろうが!
よう考えてみい!
元はと言うたら綾は本家の人間でもない!
そうや!それに竹雄に添わせるじゃと!?
こんな腰巾着にご当主様じゃゆう……頭下げろっちゅうがかい!
気味の悪い冗談じゃ…。
なにが本家じゃ!本家の血筋は誰ちゃあ残らんがじゃき。
それでも……ふんぞり返るがか?
これを受けてタキさんは語るのだった。
家ゆうがは何じゃろうのう?
血筋・金・格式……。
何を守ってきたがじゃろう?
それよりも、今ここにおるおまんらあの幸せが肝心ながじゃ。
この先を健やかに幸せに生きていく。
家の願いじゃのうて、己の願いに生きていくことが……。
今更……何じゃあ!
これまでさんざん、本家と分家を区別して……どこのどいつじゃ!わしら分家を…ず~っと…ず~っと…見下してきたがは誰じゃ。
分家トリオは怒って帰ってしまった。
時代の流れをタキさんは悟った。
……という流れで、これは仕方ない事ではあるけれど、分家トリオの気持ちも分からなくはない。
ドラマ上は分家トリオのゲスな陰口ばかり見えていたけれど、たぶん、本当に虐げられてきたんだよね。
土佐藩は武家も身分制度が厳しく、差別的。商家も同じようだったのだろう。
分家は陰口言わなきゃやってられないほど虐げられてきた。
なのに今になって「身分の上下やしきたりなんてくだらないっすよ、これからはみんな平等に個人の幸せを追求しようね」って言われても……。
辛いよね。
まぁ、こんな祝いの場で言う事ではなかったとは思うけれど、そこはドラマなので。この場がチャンスだったなと。
万太郎。
わしの孫に生まれてきてくれてありがとう。
おまんは生まれた時から……そしてこの先もずっとわしの希みじゃ。
おばあちゃん。育ててくれて…本当にありがとうございました。
接ぎ木の時代
式が無事終わり、病の桜を見に行くタキおばあちゃん。
おばあちゃん。すまん。
いろいろ先生方にも聞いてみたがじゃけんど、今はまだどうにもできんき。
田邊教授が協力してくれたのかどうかは分からずじまいだけれど、あの暗い表情は教授も植物の末期を感じ取っていたのだと思う。
それは、今はタキおばあちゃんも同じ。
桜に向かって語り掛ける。
うん。
天寿がありますきのう。
ほんじゃき、お互い精いっぱい生きてきましたき。
万太郎は、言うのだった。
けんどのう、おばあちゃん。
病の出ちゃあせん、若い枝を切って接ぎ木したがじゃ。
こんなに小さな枝が大きな木に育っていくきね。
大きゅう育つとえいのう。
うん。育つ。
楽しみじゃのう。
いつかこの桜が咲き誇るがか……。
らんまんじゃ。
ヒサさんと綾さまと万太郎の出会いの回想シーン。
短命の一族の中、タキさんは精一杯、丈夫に孫を育てた。
立派な接ぎ木たち。
美しい思い出。
タキさんはこの後、世を去った。
江戸から明治へ峰屋の大黒柱であったタキの旅立ちは、一つの時代の終わりを告げるものでした。
素敵なラストシーンだった。
そして、時代は新たな東京編へ……。
モデルの人の史実
これは、ドラマとは無関係な余談。
モデルの人の実話と照らし合わせると、本当に綺麗に上手くまとまっているので「上手くやったな……」と言う意味でも凄い脚本だと思った。
実際には、牧野博士の研究のために莫大な財産を捧げ続けて実家は潰れてしまうので、ここで姉(史実では家妻)と番頭を結ばせるのは牧野博士の仕事のための盤石なお財布を作った形になる。
……でも、ドラマはそういう目で見ないようにしたい(見てるやん)。
とにかく。
もう7月ですよ。
良い前半だった。後半にも期待。
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らんまん キャストとスタッフ
キャスト
槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子
槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸
広瀬佑一郎 – 中村蒼
西村寿恵子 – 浜辺美波
西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純
天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由
野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ
語り – 宮崎あおい
らんまん スタッフ
◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志
◆脚本 : 長田育恵
◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」
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