NHK朝ドラ【らんまん】感想 第52回 (第11週 火曜日)

徳永助教授も良い人だよね。

そう。人は矛盾に満ちているのだよ。

万太郎(神木隆之介)の石版印刷の技術は、ついに万太郎自身も納得のいくレベルになり、刷り上がりを見た竹雄(志尊淳)も驚く。万太郎は、大畑(奥田瑛二)とイチ(鶴田真由)に植物学雑誌の印刷を注文する。一方、田邊教授(要潤)は、万太郎に雑誌を作る許可を与えたものの、出来が悪ければ全て燃やすつもりでいた。それを知った助教授の徳永(田中哲司)は…

あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
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連続テレビ小説「らんまん」第11週「ユウガオ」第52話

2023年上半期朝ドラ『らんまん』感想

感想

田邊教授の鷹揚に見える部分やユーモアは決して芝居ではなく、この人もきっと情に厚い部分はあるのだろうけれど。

それよりも自分自身や植物学のステータスを上げるためならば何でも切り捨てていく。

万太郎と「似ている」というのはそういうところを言っているのだろう……。

時は来た

ここまで来た。
あとちっと。あとちっとで証しができる。
この国の植物学にわしが最初の一歩を刻むがじゃ。

一枚の完璧な植物画を刷り上げて、万太郎はついに……

大畑印刷を辞めるわけではなく。

仕事を……仕事を注文いたします。
植物学会の会報誌。
その図版をこちらで刷らせてもらえませんろうか?

つまり、技術に納得したから注文した。

ということよね。

良かった。印刷工にならなくて(なりません)。

昨日も書いたけれど、この間も万太郎は標本の分類など大学でやるべきことはやっていた(らしい)。

大学内の標本の分類は全て終了。

印刷も万全。

ついに学会誌出版へ走り出す万太郎。

矛盾の塊

しかし、大人の世界は万太郎が想像するよりもずっと汚かったという話。

元々、藤丸くんと波多野くんですら、

いよいよロシアに送るんだな~!


でもさ…。
万さん自分の標本も一緒に送るつもりだろ?


うん…。

教授が許すかな?

どうだろう…?

と心配するほど無理な話である。

学生ではない万太郎が東京大学の植物学者予備生と共に学会誌に加わる。

もちろん、一番に異を唱えるのは徳永助教授。

ず……ずうずうしいにも程があるぞ!
お前は教授の口利きで自分の標本も確かめようというのか?


お前は個人の分際で何の道理があって自分の標本をロシアに送れると思うんだ?

と言い放つ。

しかし万太郎の教授に対する信頼は大きかった。

田邊教授ならわしの標本も一緒に送ってくださいます。

教授!槙野がつけあがります。

と、いきり立つ徳永助教授に万太郎は言う。


土佐のFloraが完成したら田邊教授がこれから西日本で採集を始められる時にきっとお役に立てます。


田邊教授にとって利があることは教授はうなずいてくださいます。


それがたまたまわしにとっても利がある。
たったそれだけのことですき。


君は話が早くて助かる。
私と君とはよく似ている。

万太郎が自分の利のためだけに生きていると?

そんなことあるわけがない……、かと言えば……植物を学びたいあまりに実家を捨てて来たのは事実で。

(しかも実家から仕送りを貰っているのも事実で……縁、切ってないし……)

万太郎のそういう部分はセリフの所々で

「えっ、お金まだ貰ってたの?」「印刷所に払っているお金も竹雄に内緒ということは……」

と分かる仕組みであり、まぁ、だから教授とそういう部分で「似ている」と言われればそういう部分もあるのかも知れない。

人には矛盾があるのだ。

そして、助教授もそういう人だった。

槙野の言いなりではありませんか!?
権威を失墜させるものだったらどうするんです?

と怒り狂っていた助教授は教授のひと言で心境が変わる。

水準に達していれば認める。
が、そうでなければ…学会の名を騙って出されては困るから…一冊残らず燃やさせる。無論金も出さない。

燃やす??

この時の田中哲司さんの表情の変わりようがもう……さすがだわ。

……ですが……大窪からの報告では…槙野は石版印刷の技術まで習得したそうです。授業料まで払って。


原稿集めや構成にも多大な時間を使うんでしょう。

学生と年の変わらぬ者に全てを負わせるのはいささか……。

突然、愛情深い父のようになっちゃってる……。

NHK朝ドラ【らんまん】感想 第52回 (第11週 火曜日)

何だ?
「槙野を甘やかすな」と言ったのは君だろう?
矛盾の塊だな。君は。

教授の方がずっと冷徹で恐い。

もちろん……「燃やす」が本音なのか、そう言えば徳永助教授が黙ると分かっているからなのかは、まだ分からないけれど。

徳永助教授は文学科の出。

学生が自費で作った本だとしても、焚書などという恐ろしいことは考えたくもないだろう。

普段は弾圧めいたことばかり口にしているのに、書物を弾圧することには哀れや嫌悪を隠せない。

本当に。矛盾している。

万太郎と並んでヒルガオ・ユウガオをぼんやり眺めている図は、ちょっと可愛い。

問題。
アサガオ、ヒルガオ、ユウガオ一つだけ異なるのは、ど……ど~れだ?

NHK朝ドラ【らんまん】感想 第52回 (第11週 火曜日)

ど、ど~れだって……(笑)

あ……ユウガオです。
アサガオとヒルガオは旋花科ですけんど、ユウガオは葫蘆科でウリの仲間です。

そうなんだ。

お勉強になります。

正解。


はい。


だが私はユウガオが好きだ。

どうしてです?


「源氏物語」に出てくるからだ。
私は……うう……私は……日本文学が好きなのだ。

そうよね……。日本文学を愛する徳永助教授は勧善懲悪が好きだろう。

だが、自分が悪だと思っている万太郎に、今、憐れみを感じている。

『源氏物語』も、実はちっとも勧善懲悪ではない。

源氏物語の夕顔は、六条御息所の嫉妬の念に殺される。

しかしその六条御息所だって哀れな女で「悪」とは言えない。

男女の織り成す複雑な心情を描く日本文学。

西洋贔屓の田邊教授は、分かっているかな……。

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らんまん キャストとスタッフ

キャスト

槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)

井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子

槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸

広瀬佑一郎 – 中村蒼

西村寿恵子 – 浜辺美波
西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純

天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方

大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由


野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし


田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ

語り – 宮崎あおい

らんまん スタッフ


◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志

◆脚本 : 長田育恵

◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」


『らんまん』各回リンク

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