NHK朝ドラ『らんまん』感想 第125回 (第25週 金曜日)

「賭けに勝った」と相島さまは言う。

災害や戦争による好景気というものがどんな相場にもあって、儲かる人は儲かるようにできている。

けれども、お寿恵さんの「勝ち」はそこではない。

震災からおよそ1か月。万太郎(神木隆之介)は、ムラサキカタバミの植物画を描いていた。こんな時だからこそ、たくましく咲いている植物を見て嬉しかった。その気持ちを誰かに渡したいのだと、万太郎は寿恵子(浜辺美波)に話す。寿恵子は百喜(松岡広大)と大喜(木村風太)に広い土地を探してほしいとお願いする。そして、相島(森岡龍)にもある決意を伝える…

あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
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連続テレビ小説「らんまん」第25週「ムラサキカタバミ」第125話

2023年上半期朝ドラ『らんまん』感想

感想

万太郎の活動は今や お寿恵ちゃんの収入で成り立っている……。と思っていたけれど、お寿恵ちゃんの方も自分のせいで万太郎が無理していると思っていたとは。

意外だったな。

どこまでも想い合う夫婦。

風よあらしよ

地震からおよそ1か月がたちました。
渋谷の景色は一変しました。
住む場所を失った130万人もの東京市民が市外へと移ってきたのです。

ということで、これを予期していたわけではあるまいが、郊外であった渋谷はあっという間に人だかり。元々あった店は大繁盛。

相場の価値が人の不幸の上に成り立つ。よくあることで。

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しかし、お寿恵さんは「山桃」を再開しなかった。

万太郎がやっとこ持ち出した標本の一部も場所を取っていたし、避難した家族が全員住んでいたから。

……というだけではなく、情勢にほとほと疲れた寿恵子の姿があった。

大喜は、また取材に出ようとしていた。

昨日も書いた『福田村事件』のような騒動の他にも、アナキストを排除しようという動きが高まっていた。

新聞記事を見せながら、怒りを吐き出す大喜。

NHK朝ドラ『らんまん』感想 第125回 (第25週 金曜日)

そこの渋谷憲兵隊の大尉がやったらしい。大杉栄と妻の伊藤野枝……何の関係もないまだ6歳の甥っ子がやられたって話だ。


みんな命からがら逃げてきてやっと生き延びたって…。
そんな時に…。

ここで、関東大震災のドサクサ紛れの「甘粕事件」も ぶっこんで来るとは。

2022年にNHKで放送された『風よあらしよ』は、この甘粕事件を題材にしていた。

お母ちゃんこそ店を開けるなら変な客に気を付けて。


渋谷はもう東京市外の片田舎じゃない。
あらゆる人間が押し寄せる。
日本中の目が今、ここに向いてるんだ。

大喜にそう言われて、お寿恵さんは全く違うことを考えていた。

あなたは変わらない

部屋に戻ると万太郎は原稿を書いていた。

「ムラサキカタバミ。南アメリカ原産で世界に広く帰化し日本では徳川時代に渡来した多年草」。

うん。
原稿はおおかた燃えてしもうた。
けんど、まあひとまず一から始めてみよう思うて。


どうしてですか?
どうしてできるんですか?


図鑑、私が必ず完成させてくださいとお願いしました。あなたも約束してくださった。


でも、こんなことになって……。
あなたがまた書くのは、もしかして私のせいで無理をしているのなら……。

自分が園ちゃんの所に持って行こうと言ったから。

だから無理しているのだろうかとお寿恵さんは考えたらしい。

世界はこんなに絶望しているのに。

馬琴先生が目が見えなくなっても「八犬伝」を完成させたこと、これまでずっと自分とは違うものすごく偉い方だからだと思ってました。


でもね、万ちゃんにはそう思いたくないんです。


あなたは特別だから書けて当たり前って、そう思いたくないんです。


そう思うてくれてありがとう。
わしは偉くも何ともない。


こんな時でも……いや、こんな時こそ生きちゅう植物を見てたらホンマに……ホンマにうれしくなったがじゃ。


そのうれしさを、ただ誰かに渡していきたい。

つまり。

夫は無理しているわけではなく、全く変わっていなかった。

絶望に陥れられても、植物オタクの心は死なない。

ただ大好きで、ただ伝えたい。

それを継続しているだけ。

好きです。あなたが。心から。
あなたは変わらない。
出会った頃から。


世の中はみんな変わり続けてしまうけれど、うんとひどいことも起こるけれど、あなたの心はずっと明るい方を向き続けてる。


そんなあなたが涙が出るほどにいとおしいんです。


わしも寿恵ちゃんがおってくれたきこそ。
わしの心を照らすがはいつでも寿恵ちゃんだけじゃ。

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お互いを敬い、ここに居る。

年を取っても「好き」と言い続けられる。

このシーンに『らんまん』世界が始まってからここまで、変わらない愛を見る。

お寿恵さんの決心

百喜、大喜、お願いがあるの。
お父ちゃんの原稿も標本も、次また同じようなことがあったら守れない。


渋谷から離れたもっと広い土地を探してほしいの。


穏やかでのどかなところ。
お父ちゃんが落ち着いて仕事ができる場所がいいわ。

その資金元は『山桃』の売却。

災害景気で向いた運で渋谷を盛り立てようと考えていた相島さんは、女将の目指すものが自分とは違うことに気づく。

寿恵子女将、俺は勝手にあなたをず~っと…町づくりの盟友のように思っていた。この相島、あなたの店を5万で買い取らせていただく!

困っている時にいつも助けてくれて。

いい友達を得たね。

こうして、全ては万太郎のために。

史実に向けて、一家は大泉村へ転居する。

この地は、第22回のレビューでご紹介した『牧野記念庭園』として一般公開されている。

季節も変わったし、また足を運んでみたいな。

牧野記念庭園

次週はいよいよ最終週。

さびしい……。

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らんまん キャストとスタッフ

キャスト

槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
槙野寿恵子(西村) – 浜辺美波

槙野園子 – 斎藤羽結
槙野千歳 – 遠藤さくら(子役期:入江美月←秋山加奈)
槙野百喜 – 松岡広大(子役期:石川誉←森本一之新)
槙野大喜 – 服部仁信
槙野千鶴 – 本田望結

井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子

槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸

広瀬佑一郎 – 中村蒼


西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
笠崎大輔 – 遠山俊也
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純

天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
永守徹 – 中川大志
山元虎鉄 – 寺田心 → 濱田龍臣

大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由


野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
伊藤孝光 – 落合モトキ


田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ

語り – 宮崎あおい

らんまん スタッフ


◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志

◆脚本 : 長田育恵

◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」


『らんまん』各回リンク

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