四葉のクローバーすら知らない国・日本。
西洋の知識は留学生から得たもののみ。条約改正のためにも追いつこうと必死で真似をする。
本質を忘れてしまっているんだね……。
万太郎(神木隆之介)は、寿恵子(浜辺美波)と話す中で、「日本中の植物を載せた植物図鑑を作る」という壮大な目標を見つける。万太郎は、波多野(前原滉)、藤丸(前原瑞樹)、丈之助(山脇辰哉)と夢を語らい、まずは植物学の雑誌を作ろう、と盛り上がる。一方、寿恵子は、みえ(宮澤エマ)に頼まれ、元薩摩藩士の実業家・高藤(伊礼彼方)の元へ菓子を届けに行く。そこには田邊(要潤)の姿もあり…何かが動き出す予感!?…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「らんまん」第8週「シロツメクサ」第40話
![2023年上半期朝ドラ『らんまん』感想](https://i0.wp.com/dramablog.cinemarev.net/entry/wp-content/uploads/2023/03/ranman-L.jpg?resize=1256%2C707&ssl=1)
感想
まだ津田梅子や山川捨松ら官費女子留学生が帰国する前の日本。
西洋に追いつくことで頭がいっぱい。
自国の文明を馬鹿にする留学経験者と、国に関係なく目の前の世界を広げたい学生たち。
まるで明治舞台の大河のようじゃき……。燃えるのぉ。
見つけた!
見つけた!と言って手を取るからさ。
生涯の伴侶でも見つけた瞬間かと思うさね。
![NHK朝ドラ【らんまん】感想 第40回 (第8週 金曜日)](https://i0.wp.com/dramablog.cinemarev.net/entry/wp-content/uploads/2023/05/ranman40.jpg?resize=573%2C384&ssl=1)
寿恵子さん。
わしはまだ名前が付けられちゃあせん草花の本当の素性を明かして名付け親になりたい。そう思うちょりました。
けんど、それじゃあ足らん!
わしは日本国中の草花を全部明らかにして名付け親になって絵と文にするがじゃ。
日本国中の草花を絵と文で伝える!
うん…そうじゃ。図鑑にするがじゃ!
わしの一生を全部懸けたら成し遂げられるがじゃろうか?
ありがとうございます!
わしの一生を懸ける仕事、わしの植物学をたった今見つけましたき!
寿恵子さん……寿恵子さんのおかげじゃ!
お寿恵さんの手を取って、ありがとうと叫んで去っていく万太郎である。
残されたお寿恵さんは……。
怒るでもあきれるでもなく。
「一生を懸ける」
に反応(笑)
あぁっ。
どうしよう……。
馬琴先生だ!
と、萌え苦しむのだった。
一生をかける男の仕事にオタク心が反応したらしい。
見つけた!
のは、万太郎よりもお寿恵ちゃんの方だったのかも。
そして、彼女の一生は、馬琴の嫁よろしく夫の仕事を支え続けることなのよね……。
日本植物志図篇
史実のモデルの人・牧野博士が自費出版した『日本植物志図篇』への道が早くも描かれる。
しかも、向学に燃える若き学生たちの会話の中でね。
つくづく本当に上手い脚本。
一緒に飲みに行くほど仲良くなった藤丸くんと波多野くん。加えて長屋の丈之助さんまで。
俺たちこそが(日本の)最初の一人なんだよね。
と語る丈之助さん。
丈之助さんはシェークスピアの論文で落第したらしい。
「王妃・ガーツルードのキャラクターを論ぜよ」。
だが問題は話の筋ではなく「王妃の心の動きについて論ぜよ」という趣旨だった。
日本式の勧善懲悪で読むんじゃない。
西洋の文学はもっと先に行ってる。
西洋の文学はこの生身の人間を書こうとしていたんだ。
だが今の日本はこれだ。どう思う?
「候」「候」「御座候」。
こんなんで心の動きが書けるか!
うちの教授も似たようなこと言ってます。新体詩だのローマ字だの。
そんなことより、俺はもっと植物学キノコについて研究がしたくて。
と藤丸くん。
藤丸くんは菌類の研究がしたくて東大へ入って来たらしい。
僕は更にもっと見えないものをやりたくて。
例えば変わり種の朝顔がはやったことがあったでしょ?
あれは掛け合わせで作るんですが、その仕組みが分かれば望みどおりの品種も作れるようになるんじゃないかと!
と波多野くん。
素晴らしいなぁ……。みんな心から学びたくて努力してきている。
そして、こういう人たちの存在の末に現在に生きる私たちの便利で健康な生活が存在しているのだよね。
どうやったらえいがでしょうね?
皆さんの研究を知らせるだけでもこの植物学ゆう学問が世間に知ってもらえると思います。けんど、どうやって…。
じゃあ、作っちゃえば?
軽ぅく、作っちゃえと言われる……。
![NHK朝ドラ【らんまん】感想 第40回 (第8週 金曜日)](https://i0.wp.com/dramablog.cinemarev.net/entry/wp-content/uploads/2023/05/ranman40-2.jpg?resize=568%2C384&ssl=1)
植物学の雑誌。
これぞ『日本植物志図篇』の始まり。
現在展示中の「牧野式植物図への道Ⅱ」では印刷の事が取り上げられています。本編の植物図だけではなく、「日本植物志図篇」の表紙は、活版と木版を組み合わせていたり、表紙の飾り罫も細かい模様に仕上げているのが解説されています。今の印刷技術とくらべ、先人のこだわりがわかります。 pic.twitter.com/sbMSCU1kDU
— 練馬区立牧野記念庭園 (@makinoteienJP) September 22, 2017
国の悲願
学生たちが学問に対して熱く語っている時。
欧化政策のために集められた面々は鹿鳴館のための会議を開いていた。
涙ぐましい努力ですな。文明国を装うとは。
ですが条約改正は国の悲願ですからね。
そのために鹿鳴館が必要とあらばやるしかありません。
まぁ、中の人たちはこれが猿芝居であることはよく分かっているようだった。
むしろ、この中で田邊教授だけが濃く西洋かぶれしているように見える。
そう悲壮になることはありませんよ。
これでようやく古い音楽を消し去ることができるじゃありませんか。
せっかく文明の時代になったのに、大衆は民権踊りだの よしや節だの下品な歌に縛られてきましたからね。
やはり文明の新しい時代には新しい音楽が必要なのですよ。
いわゆる、俗物、だよなぁ……。教授。
そこへ、お菓子をお届けに来た娘が1人。
そう、白梅堂である。
![NHK朝ドラ【らんまん】感想 第40回 (第8週 金曜日)](https://i0.wp.com/dramablog.cinemarev.net/entry/wp-content/uploads/2023/05/ranman40-1.jpg?resize=562%2C391&ssl=1)
美しすぎる刺客に、思わず二度見する高藤雅修さん(笑)
女将が姪がいると言っていたな。
はい。西村寿恵子と申します。
女将から舞踏練習会のことは聞いていますか?
伺いました。
そして西洋の音楽が大層美しいものだと…。
お寿恵ちゃん、これじゃダンス要員じゃなくて、妾要員としてスカウトされちゃう……。
四葉のクローバー
シロツメクサの中にひとつだけ四葉があったと興奮して万太郎に報告する藤丸くんと波多野くん。
これだけが四つ葉なんですよ!ほかのは全部三つ葉なのに!
えっ!?
変わり種の朝顔みたいなものでしょうか!?
いや~植物は まだまだ分からん!
いや~ワクワクしゆう!
ワクワクしゆう!ワクワクしゆう!
はしゃいでいる所にタイミング悪く入って来る田邊教授。
そして、万太郎が標本にしていた未発達な草を「完全ではないから捨てるように」と言い放つ。
美しいですき!
花や果実は植物の盛りです。
けんど、それだけが美しいわけじゃない。
硬うて小さい種から芽吹いて伸びてどんどん変わっていく。
どういてそうなるがか……はあ…植物はいつでも不思議で……美しいですき。
そして教授は万太郎のスケッチに目を止める。
いつだって、人の心をつかむのは真摯に向き合った成果に対してだよね。
未検定の箱に発芽の頃の標本もありましたき、おかげで植物の一生見渡せました。
一枚の絵に植物の一生を描いたのか?
そうなのよ……
昨日も書いたけれど、牧野博士のスケッチはバランス美しく1枚画の中に配分されているのよね。
教授は万太郎にスケッチを貸してくれと言うのだった。
四葉のクローバーを「大して珍しくない」と言う教授。
…だが外国では幸運のシンボルとされていた。
幸運のシンボル?
四つ葉はクロス。十字架に通ずる。
教授もまた「見つけた」のである。
しかし、ラストの劇伴は喜びよりも、不穏。
学問のための志がくだらない権威や陰謀で折られることは、あってはならない……と心から思う。思うのだけれど。
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らんまん キャストとスタッフ
キャスト
槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子
槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸
広瀬佑一郎 – 中村蒼
西村寿恵子 – 浜辺美波
西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純
天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由
野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ
語り – 宮崎あおい
らんまん スタッフ
◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志
◆脚本 : 長田育恵
◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」
『らんまん』各回リンク
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