権威権威権威……。
権威やプライドや見せかけのステイタスが何だというのだろう。
そういうものが、進展や進歩を妨げるのよ。
万太郎(神木隆之介)は、東京大学植物学教室の教授・田邊(要潤)に大学へ出入りさせてもらえないかと懇願する。万太郎が小学校中退だと知った助教授・徳永(田中哲司)と講師・大窪(今野浩喜)は猛反対。教室は不穏な空気に包まれる。そんな中、万太郎の「土佐植物目録」を見た田邊は万太郎に興味を示し……
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「らんまん」第7週「ボタン」第33話
感想
田邊教授は物の道理を分かっている人のようでホッとするけれど。
実は徳永助教授の不満も分からなくはないのよ。
万太郎は「言い方」を知らない子だしね……。
そして、敵を作る。史実の人も、きっと。
小学校中退
10時になってやっと現れた田邊教授に、まっすぐ「標本を見て欲しい」と頼む万太郎。
土佐から植物標本を持ってまいりました。
今日お持ちしたもんは、私がこれまで集めてきた中で特に珍しいと思うもんです。
こちらをご覧いただけたら、私のことをお分かりいただけるかと。
標本=自己紹介。
しかし、教授は当然忙しい。
そして、なんせ「助教授」を馬鹿にされた(と勝手に感じている)徳永が邪魔に入る。
なぜ君のものを教授が見なくてはならない?
それは……珍しいもんですき。
ハッ!
珍しいとは誰が判断した?
私が判断いたしました。
悪いが君の名は聞いたこともない。君の師は誰だ?
インテリ志向というか。
ステイタス第一主義というか。
「教授」ではないコンプレックスや、東大への誇り、そういうものでこの人が凝り固まっていることがよく分かる。
だから、万太郎のこの言葉は彼を最大級に喜ばせてしまうのである。
わしは小学校も中退しちょりますき。
失笑!というやつである。
あのなあ。小学校中退の君が珍しいと持ってきたものをなぜ教授が見なくちゃならない?
いいか?教授と話したければ順序というものがある。
まず中学を出て東京大学予備門を受験。予備門を卒業してから改めて東京大学に入学してきなさい。
学歴蔑視でこれを言う人たちにはゲンナりするけれど。
しかし、
そんな遠回りはできませんき。
と言う万太郎に対する藤丸・波多野の言い分は、ちょっと理解できるんだよ。
でも俺たちはその遠回りをしてここにいますよ。
無論、進学できなかったやつもいます。
そう。この方向の言葉だったら納得できるのよ。
「権威」などではなく。
うんと努力した人たちが、頑張った結果、ここに居る。
お金が無くて学問をあきらめた人だってきっといる。
そういう人たちが、万太郎のようにポンっと家に顕微鏡を置けるようなボンボンに嫉妬する。それは当然だと思うから……。
土佐の標本
田邊教授の頭はもっと柔らかかった。
「土佐から来た」と言ったね?
よろしい。中身を見よう。
私は土佐の人にはちょっとした恩義があってね。
そうですね。その昔、龍馬と一緒に海援隊におったき……。
確かにわしは小学校も出ちゃあせん。
けんど、子供の頃から植物が好きゆう気持ちは誰にも……あなた方にも引けはとらん!
土佐の野山がわしの血肉じゃ!
わしはこの国の植物学のことはいつまでも外国のお人らに任せちゃあおれん。
日本人の手でこの国の植物を全て明らかにしたいと思うちょります。
そして、万太郎が持って来た標本がいかに凄い価値があるものか、万太郎の本気が標本を見ることで皆に伝わるのだった。
教授。私は今日お持ちしたこちらの標本とは別に今まで土佐で集めてきたおよそ500種類の標本を東京に持ってまいりました。
500!?
この教室には植物標本が3000種類以上あると伺いました。
その標本を見せてもらえるがやったら、わしの持ってきた標本も何もんか検定できるはずです。
それでも分からんかったらその時こそ……。
新種ですね!
そちらの標本と私の標本、突き合わせたらきっと分かることもあるはずです。どうか私に標本を見せてもらえんでしょうか?
学生たちも、この標本の価値はよく分かっている。
標本を無償で提供し、大学の標本と照らし合わせる作業もしてくれる。
猫の手も借りたい研究作業の中、「手伝い」を申し出てくれる。
たぶん、ただ「知りたい」ためだけに。
しかし、そういう向学心をぶち壊す権威の鬼もいる。
あさましい!
諸君に問う。ここはどこだ?
東京大学!
ここへ通う者は日
本各地から将来を期待され、送り出された者ばかり!
ここは我が国最高の学府であると同時に国家の機関である!
交換条件なぞはなから成り立たん。
まぁ、これも正しい解釈ではあるのだよ。
だって、みんながそういうルールに則ってここにいるのだから。
ただ、権威権威と振りかざすから、悪役側に立ってしまう。
「自分も長い努力の結果ここに居る」「イレギュラーは許せん」
そう言うだけで、まだ哀れさで交換も抱いてもらえるのにね。
田邊教授は「東京大学の権威」よりも広く、「日本の植物学」を憂いていた。
そうだな!成り立たん。
交換条件なぞ確かに成り立たん。
そんなものはなくても、こちらは折れざるをえまい。
君がこの教室に持ち込む標本は私たちにとっても大いに値打ちがある。
確かに彼は本学の学生ではない。
だが今、植物学教室における核心は一つだ。
東京大学開学から5年。
理学部の15名の教授のうち日本人は私も含めたったの3名しかいない。
これが今の日本だ。
権威をかざして門を閉ざすよりもっと重要なことがある。
一刻も早く充実した研究の場を作り出すこと。
今この時、この場において、更に言えば植物学教室初代教授である私という人間において…。
You see,at the heart of the matter,only one thing is important.
「核心はただ一つ」
I Want You.
Mr.MAKINO.
君を歓迎する。
握手以上のアクションで迎え入れられちゃった。
しかし……
権威の敵とみなされながら、ここへ通うのも大変よ。
いかに、我関せずな万太郎でも、つらい、かも?
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らんまん キャストとスタッフ
キャスト
槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子
槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸
西村寿恵子 – 浜辺美波
西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
宇佐見ゆう – 山谷花純
広瀬佑一郎 – 中村蒼
大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由
野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
語り – 宮崎あおい
らんまん スタッフ
◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志
◆脚本 : 長田育恵
◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」
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