「この子はうちの おちょやん だす」
御寮さんにそう言われて、道頓堀で認められた日。
幼い頃たった一人で道頓堀に来て、必死に仕事をする中で「家族」を増やしていった千代。
朝ドラの中で、ここまで家族という団体に憧れ、求め、望んできたヒロインが居ただろうか。
「家族」というものの存在について、ここまで考えさせられる朝ドラも無かったかもしれない。(個人比調べ)
終わったことは全て、思い出。
家族を失ったことも。家族を得たことも。
女優・竹井千代(杉咲花)が、再び道頓堀の舞台に立つ日を迎えた。客席には春子(毎田暖乃)や岡福うどんのシズ(篠原涼子)たち家族はもちろんのこと、岡安のかめやお茶子たち。さらには、長澤(生瀬勝久)や当郎(塚地武雅)をはじめとしたラジオドラマの出演者・スタッフまで、千代の晴れ舞台に駆けつけたのだった。舞台「お家はんと直どん」は、始終笑いに包まれながら、千代と一平(成田凌)の二人の場面に突入するのだった……
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「おちょやん」第23週「今日もええ天気や」第115話(最終回)
感想
「おちょやん」最後のアバンは吉弥さんの語りで始まり、OPは いつも通り、秦さんの「泣き笑いのエピソード」を明るく爽やかに流す。今日もいい天気だし、今日も普通の朝だ。
物事の始めやお終いは、大抵こういう普通の一日の中にある。
どんな1日でも、それは今ある人生の中の1日。
愛おしいな。
いいドラマだったな。
ラスト「お家はんと直どん」
竹井千代をゲストに迎えた公演は「お家はんと直どん」。
舞台演出の見事な朝ドラだったな、と改めてしみじみ思う。
コロナ禍で、なかなか観劇できなくなった今、懐かしく楽しく舞台シーンを見る視聴者も多かったはず。
竹井千代の人生を見守って来た人たちの中、「お家はんと直どん」は、あの追加台詞のシーンへ進む。
今ある人生、それが全てですなあ。
もし、あのまま私ら一緒にいてたら、どないな人生があったんやろか。
ここ最近、特に前クールはタイムスリップものの連ドラが多くて。
過去に戻りたい病の心を大いに沸かせる(その1人ですが)。
しかし、実際には時なんて戻せない。
そないなこと考えてもしゃあないがな。
そうですな。
今ある人生、それが全てですなあ。
あんたと別れへんかったら大切な人たちと出会うこともでけへんかった。
あんさんも私も愛する我が子と出会うこともでけへんかった。
あんたと出会うて、つらい思いもぎょうさんしましたけど。
それもまた面白い人生やったやろ。
そう。人生はそういうものよね。
どんなに辛いことも。
人生振り返れば「あの時はさぁ」という思い出話のネタになる。
そして、どんな人生だって、こっちを選ばなかったからこそ、そっちを選ぶことができたという側面がある。
結局、たぶん、人生の終わりに振り返れば、全ては思い出話なのだ。舞台の上で演じ続ける自分が見えるかもしれない。
今ある人生が自分の人生。
嘆くか。
楽しむか。
心持ち次第で善きかな……。
生きるっちゅうのはほんまに、
しんどうて……おもろいなあ!
ヨシヲ
思えば千代が役者を始めたきっかけは、ヨシヲだった。
有名になればヨシヲが見てくれる。
しかし、ヨシヲはテルヲのせいで逃亡人生の果てのヤクザになっていた。
あまりにも辛くて。
千代はきっとヨシヲを思い出すことをやめたのだろう。
そう思ってしまうほど、再会後、千代の回想からヨシヲは消えた。
今、舞台に立つ千代をヨシヲは見ていてくれる。
舞台に立つ千代を見守る霊たちは自由なので、テルヲまで一緒に居るのだった。
ヨシヲの人生、ヤクザの親分に拾われて幸せだったかな。
日本から離れて、最後に千代の息子である寛治と出会えて。幸せだったかな。
ヨシヲの人生を考える時、私はこのドラマの地獄を考える。
それは、時代のせいでも環境のせいでもなく。
間違いなくテルヲのせいなのだった。
けれども、千代はヨシヲの傍にテルヲを置いてやっている。
やさしいね……。
お月さまとビー玉
千代が月を見上げる時、そこには母の姿があった。
今は千代自身が母なのだ。
ヒロインの子役が登場するのは近年の朝ドラのセオリーのようになっている。けれども、ここまで二役に意味ある配役があったろうか。
あまりに自分に似ているがゆえに、我が子のように思える……そういう部分があっても不思議はない。春子の登場には、死んでしまった子どもの頃の千代の幽霊を見ているような幸福感があった。
毎田暖乃ちゃんは本当に良かったなぁ……。
強さと儚さを同時に持ち合わせる魅力。こんな子役はなかなかいない。
2人で歩く
鶴亀家庭劇の舞台を下りても、千代には次の舞台がある。
町を歩けば声を掛けられ、みんなに声を掛ける「おはようさん」。
「今日もええ天気や。」
始めは馴染めなかった岡安で、いつしか道を行き交う人たちに挨拶し、挨拶される存在になっていた おちょやん時代を思い出す。
千代は、ずっと変わっていなかったんだなぁ。
春子と2人で道を行く。
始まりは舞台。
ラストは幕引き。
いい半年だった。
おおきに。おちょやん。
【動画あります?】#おちょやん のヒロイン・竹井千代を演じ終えた #杉咲花 さんから皆さんへのメッセージです? pic.twitter.com/Zr8b34F4PY
— 朝ドラ「おちょやん」放送中 (@asadora_bk_nhk) May 13, 2021
皆様、『おちょやん』最後までご覧頂き本当にありがとうございました。
— 西川忠志(吉本新喜劇) (@nishikawa_tada) May 14, 2021
熊田という役を与えて頂けましたこと
感謝致します。
そして〜
千代ちゃん・・・おおきに。熊田https://t.co/drvJixBskB pic.twitter.com/d1DYxfyh7O
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【おちょやん】
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111 112 113 114 115(最終回)
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャスト
竹井千代 – 杉咲花(子役期:毎田暖乃)
竹井テルヲ – トータス松本
竹井栗子 – 宮澤エマ
竹井ヨシヲ – 倉悠貴(子役期 : 荒田陽向)
岡田シズ – 篠原涼子
岡田宗助 – 名倉潤
岡田みつえ – 東野絢香(子役期:岸田結光)
岡田ハナ – 宮田圭子
富川菊 – いしのようこ
富川福松 – 岡嶋秀昭
富川福助 – 井上拓哉(子役期:松本和真)
かめ – 楠見薫
富士子 – 土居志央梨
節子 – 仁村紗和
玉 – 古谷ちさ
椿 – 丹下真寿美
ぼたん – 沢暉蓮
あやめ – 藤本くるみ
天海一平 – 成田凌(子役期:中須翔真)
初代 天海天海 – 茂山宗彦
須賀廼家千之助 – 星田英利
須賀廼家万太郎 – 板尾創路
熊田 – 西川忠志
大山鶴蔵 – 中村鴈治郎
高城百合子 – 井川遥
山村千鳥 – 若村麻由美
高峰ルリ子 – 明日海りお
小山田正憲 – 曽我廼家寛太郎
須賀廼家天晴 – 渋谷天笑
須賀廼家徳利 – 大塚宣幸
漆原要二郎 – 大川良太郎
石田香里 – 松本妃代
須賀廼家百久利 – 坂口涼太郎
宮元潔 – 西村和彦
宇野真理 – 吉川愛
若崎洋子 – 阿部純子
薮内清子 – 映美くらら
小暮真治 – 若葉竜也
片金平八 – 六角精児
守屋 – 渋谷天外
語り(黒衣)… 桂吉弥
スタッフ
◆制作統括 : 櫻井壮一、熊野律時
◆プロデューサー : 村山峻平
◆演出 : 梛川善郎、盆子原誠
◆脚本 : 八津弘幸
◆音楽 : サキタハヂメ
◆主題歌 : 秦基博「泣き笑いのエピソード」