ついに、おちょやん最終週。
最終週のタイトルは「今日もええ天気や」。
ラストに見上げるのは、お月さまなのか。お天とうさまなのか。
栗子なき家で、養子にむかえた春子(毎田暖乃)と一緒に暮らす千代(杉咲花)。大人気となったラジオドラマ「お父さんはお人好し」の仕事も順調だった。一平と離縁してから、2年の月日が流れていた。そんなある日、熊田(西川忠志)が訪ねてくる。鶴亀を退社する熊田の願いは、千代に一日だけ鶴亀新喜劇の舞台に立ってほしいというものだった。そして帰り際、千代に差し出したのは、一平(成田凌)が書き上げた新作の台本だった……
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「おちょやん」第23週「今日もええ天気や」第111話
感想
熊田さんを見ているだけでウルっと来るようになったのは、戦後、白髪が生え出したころからかなぁ。社長と共に「ビジネス」に徹して来た印象だった前半。
家庭劇の後押しをし続けた後半。
家庭劇を見守り続けた熊田さんの仕事人生最終章でもあるクライマックス……。
熊田さん最後の願い
荻野堂の栗もなかやろ。
栗もなか?
長浜屋の粟おこし。
粟おこし?
手土産のお菓子に目を輝かせる、春子、可愛い。
それに、「お行儀が悪い。向こうで宿題しなさい。」と諭す千代は、すっかりホンマのお母ちゃん。
本当の親だったら、躾けもしなきゃならない。教育もしなきゃならない。可愛がっているばかりじゃならない。うざったがられるのも仕方ない。
千代は、ちゃんと「親」をやっている。
それを感心するように見る熊田さん。
すっかり白髪頭になり、雰囲気はもう御爺ちゃん。
劇団をずっと育ててきた。
躾けるし、叱るし、教育もするし……劇団のためなら頭も下げる。
千代に正座して頭を下げる熊田さんである。
千代…。
出てくれへんやろか。
鶴亀新喜劇の舞台に。
二度と道頓堀の舞台には出えへんつもりやろ。
僕は戻ってきてほしい。
もっぺん道頓堀の舞台に立った千代が見たい。
竹井千代は道頓堀の舞台女優なんやてみんなに知ってもらいたいんや。
鶴亀に入って40年…。
これが僕の最後の仕事やと思てる。
やってくれへんやろか。
千代は黙って頭を下げた。
「桂春団治」の台本を置いて帰っていく熊田の後ろ姿に、長く長く頭を下げる。
それを見つめる春子。
桂春団治
本当に、最後まで舞台風景をガッツリ見せてくれる朝ドラである。
寛治を見ていたら泣けてきちゃった。俳優としても成長している寛治。
あんたが大事にしたいこと。
目ぇそらしたいこと。
灯子のこと、新平のこと、千代さんのこと……
みんな書かんかい!
という寛治の言葉通り。
一平は愛人に子どもが出来た芸人が、シレっと妻と別れ、破天荒な人生を送り続け、この世を去っていく喜劇を書き上げた。
本日のおちょやんでは
— いちえ (@ichigoichie810) May 10, 2021
劇中劇”桂春団治”でおとき役を
させて頂きました✨
泣きじゃくっているのは私です!笑
なんと7月出演舞台も桂春団治。
舞台ではおあき(幼少期)と
春子を演じさせて頂きます。
桂春団治にご縁を感じる2021年です❣️ pic.twitter.com/IwUPVv3tjl
あれですね。
芸のーーためなーらーー女房も泣かすーー……
一平の場合は、芸のためならという感じではなかったけれど。一平の人生をそのまんま書いたら喜劇にはならないわけで。
上手く組み込んだ脚本だと思う。
女房役は、千代の気持ちをガッツリ理解していた香里さん。
みんな、どんな気持ちで演じているんだろ。
もしも千代がこの台本で舞台に立つとしたら、一体どんな気持ちで演じればいいんだろ。
……でも……
恐らく、本当は役者ならば、自分の感情なんて殺して舞台に立つのだろう。
宿題をしない春子
子どもは大人をよく見ている。
栗子さんの死によって春子の生活も一変している。
学校帰りには近所に預けられているらしい。
お母ちゃんのしつけは厳しい。
たぶん、栗子さんはお祖母ちゃんなので、もっと甘かったのだと思う。
宿題は?
持った。
全部やれへんかったけど。
あかんやないの。
どうせ分かれへんし。
最後の舞台。
あの時、千代は何を思い残して舞台を去ったのだろう。
実は、あの「お家はんと直どん」の時、個人的には私生活で何があろうが、千代はあんなに感情むき出しの演技はしないのではないかと思っていた。
千代はやり残したまま舞台を去ったのではないの?
「役者として完璧な演技」をやり残して。
春子は、それを察しているのでは。
すれ違いコメディ
「桂春団治」のヒットを受け、NHKのインタビュー番組に呼ばれた一平。
局内では「お父さんはお人好し」読み合わせもあり、千代と一平の鉢合わせを心配してオタオタする酒井さんたちが落語的に面白い(笑)
「そない大層なもんやありません。ありのままの私自身です。
愚かで哀れな人間です。
けどそういう目ぇ覆いたなるようなことの先にこそ、本当の喜劇がある。
えらい遠回りしてようやっとそのことに気ぃ付けました。」
捨てた方に悲劇的にそう語られると何だかイラっとするわ……。
……ということではなく。
他人のどんな悲劇も、傍から見たら喜劇だと。
人生の悲劇をどう面白おかしく振り返ることができるか。
喜劇の真髄はそういうところにあるのかも。
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【おちょやん】
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※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。

キャスト
竹井千代 – 杉咲花(子役期:毎田暖乃)
竹井テルヲ – トータス松本
竹井栗子 – 宮澤エマ
竹井ヨシヲ – 倉悠貴(子役期 : 荒田陽向)
岡田シズ – 篠原涼子
岡田宗助 – 名倉潤
岡田みつえ – 東野絢香(子役期:岸田結光)
岡田ハナ – 宮田圭子
富川菊 – いしのようこ
富川福松 – 岡嶋秀昭
富川福助 – 井上拓哉(子役期:松本和真)
かめ – 楠見薫
富士子 – 土居志央梨
節子 – 仁村紗和
玉 – 古谷ちさ
椿 – 丹下真寿美
ぼたん – 沢暉蓮
あやめ – 藤本くるみ
天海一平 – 成田凌(子役期:中須翔真)
初代 天海天海 – 茂山宗彦
須賀廼家千之助 – 星田英利
須賀廼家万太郎 – 板尾創路
熊田 – 西川忠志
大山鶴蔵 – 中村鴈治郎
高城百合子 – 井川遥
山村千鳥 – 若村麻由美
高峰ルリ子 – 明日海りお
小山田正憲 – 曽我廼家寛太郎
須賀廼家天晴 – 渋谷天笑
須賀廼家徳利 – 大塚宣幸
漆原要二郎 – 大川良太郎
石田香里 – 松本妃代
須賀廼家百久利 – 坂口涼太郎
宮元潔 – 西村和彦
宇野真理 – 吉川愛
若崎洋子 – 阿部純子
薮内清子 – 映美くらら
小暮真治 – 若葉竜也
片金平八 – 六角精児
守屋 – 渋谷天外
語り(黒衣)… 桂吉弥
スタッフ
◆制作統括 : 櫻井壮一、熊野律時
◆プロデューサー : 村山峻平
◆演出 : 梛川善郎、盆子原誠
◆脚本 : 八津弘幸
◆音楽 : サキタハヂメ
◆主題歌 : 秦基博「泣き笑いのエピソード」