きれいだね。ラストのカット。だんだんドラマ自体がセピア色になっていくみたい。
今日も、しみじみ静かな回。
栗子(宮澤エマ)の家に突然押し掛けてきた花車当郎(塚地武雅)に完全にペースをくるわされた千代(杉咲花)だったが、春子の嬉しそうな様子や当郎との会話で図らずも元気をもらっていることに気がつくのだった。一方、脚本家の長澤(生瀬勝久)も当郎と千代の掛け合いを聞きながら大きな手応えと期待を感じつつ、千代本人に役者に戻る確固たる決心がなければ良い作品はできないとも覚悟していた。それでも諦めきれない長澤は……
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「おちょやん」第21週「竹井千代と申します」第104話
感想
「子はかすがい」やな。夫婦間だけではなく。
栗子に呼ばれることがあったとしても、春子が居なければ千代は当然ここに居ない。
春子のために……。
「もう来えへんで」
言うときますけど、何べん来てもろてもうちの返事は同んなじだす。
と言う千代に返す当郎の
もう来えへんで。
僕もやらなあかんことようけありますね。
表情は、ニコリともしない。
千代もちょっと真顔になる。
こういう時、「何べんも」来ると思っていた自分の方が恥ずかしい。
このラジオドラマ、絶対に成功さしたいんですわ。
相手の時間は進んでいる。みんな仕事に忙しい。暇や酔狂で来てくれたわけではない。
「来ないで」と言っていた時は冷たくできても、「もう来ないよ」と言われると未練が出てくる。
当郎さん、計算もあるのかな……。
無理強いの歴史
どないにええ役者でも、本人にやる気があれへんのやったらそれまでや。
誰かに無理強いされて迷いながらやったところでええ芝居できるはずない。
戦争中の私らがそやったようにな。
そうか……。
日本人はそうやって国ごと「無理強い」の無意味さを学んだのだな。と理解できるセリフだった。
負けて学ぶことは大きいな。
崩れることなく真面目な脚本家を演じる生瀬さん。
渋いなぁ……。
コメディも好きだけれど、人情味のある役も素晴らしい。
ノクターンを聞きながら
千代は過去を振り返る。
芝居は本当につらい思いでしかなかったか。
もちろん、そんなはずはない。
おちゃこの時に、無理やり舞台に引っ張り出されて。
初めて受けた喝采。
舞台に立つ者はこれとお客さんの笑顔を忘れることが出来ずに、麻薬を盛られたようにそこに立ち続けるのではないの?
出来るつもりで大根のような芝居を何度も怒鳴りつけられて。
自分勝手な芝居で現場に迷惑をかけて。
それでも、褒めてくれる人がいれば嬉しかったし、たくさんの人に助けられた。
もし失敗してもな、中には笑う子もいてるかも分かれへんけど、そのお友達らはきっと春ちゃんのこと応援してくれてるはずだす。
うちもそやった。
みんなが助けてくれた。
みんなが助けてくれた。
そうやって、血縁の無い人生を救われてきた。
千代の中で家庭への思慕のつらさと、芝居の思い出がゴッチャになってしまっている。
本当は、何がつらかったか。
思い出して。
お芝居はつらい思い出でしかあれへんのですか
ほんまのこと言うと、僕はずっとこのラジオドラマは別の女優がやった方がええと思てました。
せやけど昨日、当郎とあなたのやり取りを表で聞いてしもて。
あなたたちの笑い声がまるでラジオドラマのように聞こえてきて、しばらくその場を離れることがでけへんかった。
あれこそ私たちが目指すものなんやてそう確信しました。
戦争で失われてしもた家族の団らんをもういっぺんこの国に取り戻したいんです。
家族を亡くしてしもたたくさんの子供たちに、生きてさえいれば人生おもろいことが起きるんやて、諦めたらあかんのやて、教えてやりたい。
人生どん底になってから、図らずも千代はかつて自分を追い出した女の手によって「血縁」を得た。
見たかったなあ。
千代おばちゃんのお芝居。
この子も戦争で親を亡くした子。
笑いを失った人たちの心を癒すのは笑いだと、そういう思いで戦後を生きて来たことを思い出して。
ここで、あのセリフが生きるのである。
「私はただ、しようと思うことは、ぜひしなくちゃならないと思ってるばかりです」
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【おちょやん】
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※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャスト
竹井千代 – 杉咲花(子役期:毎田暖乃)
竹井テルヲ – トータス松本
竹井栗子 – 宮澤エマ
竹井ヨシヲ – 倉悠貴(子役期 : 荒田陽向)
岡田シズ – 篠原涼子
岡田宗助 – 名倉潤
岡田みつえ – 東野絢香(子役期:岸田結光)
岡田ハナ – 宮田圭子
富川菊 – いしのようこ
富川福松 – 岡嶋秀昭
富川福助 – 井上拓哉(子役期:松本和真)
かめ – 楠見薫
富士子 – 土居志央梨
節子 – 仁村紗和
玉 – 古谷ちさ
椿 – 丹下真寿美
ぼたん – 沢暉蓮
あやめ – 藤本くるみ
天海一平 – 成田凌(子役期:中須翔真)
初代 天海天海 – 茂山宗彦
須賀廼家千之助 – 星田英利
須賀廼家万太郎 – 板尾創路
熊田 – 西川忠志
大山鶴蔵 – 中村鴈治郎
高城百合子 – 井川遥
山村千鳥 – 若村麻由美
高峰ルリ子 – 明日海りお
小山田正憲 – 曽我廼家寛太郎
須賀廼家天晴 – 渋谷天笑
須賀廼家徳利 – 大塚宣幸
漆原要二郎 – 大川良太郎
石田香里 – 松本妃代
須賀廼家百久利 – 坂口涼太郎
宮元潔 – 西村和彦
宇野真理 – 吉川愛
若崎洋子 – 阿部純子
薮内清子 – 映美くらら
小暮真治 – 若葉竜也
片金平八 – 六角精児
守屋 – 渋谷天外
語り(黒衣)… 桂吉弥
スタッフ
◆制作統括 : 櫻井壮一、熊野律時
◆プロデューサー : 村山峻平
◆演出 : 梛川善郎、盆子原誠
◆脚本 : 八津弘幸
◆音楽 : サキタハヂメ
◆主題歌 : 秦基博「泣き笑いのエピソード」