NHK朝ドラ【おかえりモネ】第120回 感想 最終回の時系列が謎

最終回。泣けたのは新次さんの本当に嬉しそうな表情と、送り出す船。

亮が向かう海に向かって高く突きだす拳。

父は陸で土を育てる。息子は海で漁をする。2人とも今でも島が好き。島には母がいる。

昔の光は戻ってこないけれど、新しく前へ進む。

及川家の物語だった。

永浦家では、未知(蒔田彩珠)の大学合格をお祝いするため、幼なじみたちが集まっていた。そこで百音(清原果耶)は、あの日以来開けられずにいたサックスケースを開こうと決意する。そして2月。百音、未知、新次(浅野忠信)たちに見送られ、亮(永瀬廉)は海へ。そして、耕治(内野聖陽)と龍己(藤竜也)も海へ、それぞれの道を歩み始める。そして数年後……

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
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連続テレビ小説「おかえりモネ」第24週「あなたが思う未来へ」第120話

NHK朝ドラ『おかえりモネ』感想

感想

コロナ禍の中、半年続いた2021年の朝ドラ『おかえりモネ』は最終回を迎えた。

コロナ禍中、役者さんたちとスタッフには心からお疲れさまでしたと御礼申し上げたいです。ありがとうございました。

ドラマの中には……

コロナは描かれなかったけれど。

ラストの

いいんですか?

いいと思いますよ 、もう。

は、そういう事でしょう?

そういう事じゃなかったら、恐いんですけど……。

いや、とにかく感想を。
ゆっくりですいません。

卒業コンサート


これ見るのが怖くてずっと開けられなかった?

サックスのケースから出てきたのは、ピカピカに磨かれた楽器と3月12日に開催予定だった「卒業コンサート」のチラシだった。

震災がなければ、あの翌日に行われていたはずのコンサート。
NHK朝ドラ【おかえりモネ】第120回 感想 最終回

うん。 
最初はそうだったと思う。
向き合うのが怖くて。


あの日、島にいなかった後ろめたさとか。

痛みを分かち合えない苦しさとか。

でも……今は、あの、ちょっと違ってて…。

何か…。
これを開けたら、また、私は無力だって思っていた頃の自分に戻ってしまうんじゃないかって。


それが怖かった。

どうだった?

うん……。
戻ってたまるかって思ったよ。



ここで、「あの時居なかった」「キレイごとだよ」と過去をぶつけ続けた「被災の中の人」から初めて声が掛かるのだった。

「おかえり モネ」


ピカピカなサックスには、過去に戻りたかった耕治の思いが反映されているのだと思った。

耕治は何度もこのケースを開けていたと思うし、モネが開けられなかったのならば、磨いていたのは耕治だろう。

「あの時ここに居なかった後ろめたさ」を長女の身に負わせたという「親としての後ろめたさ」が耕治と亜哉子にはあっただろうし。

しかし姉妹の事には口出しせず見守ってきた。


みーちゃんにとっては、「あの時いなかった」と両親を責めることはできなかった。

年の近い、しかもちょっと気が弱めな姉には言いやすく、しかも姉はそれを真っ正面から受け止めて傷つき、出て行ってしまった。


みーちゃんこそが、モネが戻って来てくれて「うしろめたさ」から救われた人だったのだろうね。

俺の船


2月。りょーちんの進水式。


どうよ!おやじ!俺の船だ!

誇らしげな りょーちんさんの輝く笑顔。


長い間、島の仲間たちの中で唯一、親族を失くした父子として描かれてきた。

今は、親父は海ではなく土で作物を育てることで気仙沼に根付く。

息子は親父のためではなく、自分のために海に出る。

島では母が今でも待っている。
無理やり前に進まなくても良い立ち直り方。



そして、亮にとっては母である「待ち人」は、今は年下の女の子。

行ってくる。



の先に、まずヒロインよりも みーちゃんのアップがあるのが良い。

(ヒロインのアップを直後に映す必要はないと思う。これじゃ姉妹ニコイチじゃん……)


及川家の過去と未来の物語だった。

ドラマにとっては、ここが「復興」の要だっただろう。

現在もまだ復興どころではない人たちが多くいる中、難しい描写だったと思う。

ドラマとしては、これが精いっぱい。

個人的には、りょーちんと みーちゃんが幸せになれそうな結末に泣いた。

コロナ禍は割愛します


みーちゃんは大学へ入った。

AO入試とは、大抵は夏休み明けから11月くらいが願書と選考で、1月に募集とはどういうこと?

と思っていたけれど、こういうものがあった。

NHK朝ドラ【おかえりモネ】第120回 感想 最終回
https://passnavi.evidus.com/search_univ/0245/suisen.html 参照


元々、みーちゃんの大学入学は教授からのお声掛かりでスカウトのようなものだし。

たぶん、出せば通るのだろうとは思っていた。


が……

合格祝いは2月。

そして、ここからリアル世界は3月13日の緊急事態宣言を迎える。


だから、この先は想像というより妄想に近いけれど、


みーちゃん ⇒ 入学式も体験できず東京へ行くこともなくリモート講義。

りょーちん ⇒ 中央卸売市場での取引減少、流通便の欠航などによる出荷減少で収入は爆下げ。ローンが心配。

三生 ⇒ 葬儀や法事の自粛により苦しい経営。

スーちゃん ⇒ 当然ながら流通業は全体的に苦しい。

悠人 ⇒ 本当の意味で役所関係は過労寸前の忙しさ。

耕治たちのカキ養殖 ⇒ とんでもないタイミングで転職したな……と思うほど苦しいはず。銀行は融資関係で今も超多忙なはずで、地域に貢献するなら銀行に居た方が良かったし、まぁ精神的に苦しいだろうと考えると良い時に退職したとも言える……。


菅波先生 ⇒ 医療関係。……思う所がありすぎるので、後ほど。


そして、モネはというと。

私は、モネが島へ戻ってきたことには「コロナ禍による地域からのリモート業務の先駆け」的な意味があると思っていた。

政府も推奨するリモート業務。

天気予報でリモート?という疑問も、最終回までに何かしらの方法を見つけてそれを描くのだと思っていた。

なのに。

あの……まだ利益が…。


数年経ったらしいのに、利益は ゼロです!!(あっ、ご存知の方は石田ゆり子さんの声で読んでください。知らない方はスルーしてください……。)


確か、1年で結果を出してくれと言われていた気がするんだけど。

まあ、出勤人数を減らせという政府のお達しもあることだし、モネさまに限ってはこの事態でむしろ助かったのかも知れない。

信じて続けることですね。


一応、気仙沼の漁船の8割に気象の観測機器を搭載してもらえることになったらしいので、それが進歩なのだろう。

(というところが、「お仕事ドラマ」としての結論)


しかし、コロナ禍は全く描かれず、マスクも誰もしていない。

つまりラストシーン……2020年の2月から最終回までの「数年」にはコロナ禍は完全収束しているらしい。

時系列が分からない


そして、ラストには、「2年半、会ってない。」菅波とモネの再会が描かれる。


ここで、ん?……となるのである。


その前の仕事リモート報告のシーンで「数年後」というテロップが出ているのに……

NHK朝ドラ【おかえりモネ】第120回 感想 最終回


2年半?
では、ドラマの現在地は2022年7月?

(2年のことは「数年」とは言わないよね……あまり)

すう‐ねん【数年】
〘名〙 三~四年、五~六年ぐらいの年数をばくぜんという語。古くは「すねん」。
引用 : コトバンク



すう‐ねん【数年】
2、3か5、6ぐらいの年数。
引用 : デジタル大辞泉




2年でもいいのかな……なるほど。

何にせよ、脚本的にはリアルな収束が分からないので幅を持たせたのだろう。

ドラマ上で2人が別れたのは2020年1月。

もしかしたら、そこから5年間ほどの間に1、2回会う機会があって、ドラマに映されていないその時点からの「2年半」なのかも知れないと考える。(その辺は視聴者に任せる感じ……)


ただ、個人的には

あなたと僕は違う時空で生きてるのか?

私たち、距離も時間も関係ないですから。


に、ちょっと背筋が寒くなってしまった。

だって、菅波先生は医療従事者なんだよ。呼吸器系の専門医師なんだよ。

モネは、みーちゃんが漁に出るりょーちんを心配するのと同じくらい、菅波先生を心配していて当たり前だと思うのだけど。

収束して「やっと」という安堵感は、この再会シーンから全く受け取れなかった。

そういう時期は、描かれていないけれど行間を読んでね。……ということなのか。

個人的には、もっと行間妄想してしまったわ……。菅波先生……生きてる?これ……。




個人的には、最後まで、モネによる菅波先生の扱いには納得できなかったな。

「私は先生じゃなければ駄目だから。」

そりゃそうよ。便利だもん……。(そう見えて、すいません。)


そう考えながらこの亀島再び編を見て来たので、ラストシーンにも盛り上がれなかったんですね。

あくまでも私感ですので。

(時々「すいません」と書いてしまうけれど、別に誰にも謝っていません。←あっ、言った(笑))

ラストの感想まとめ


以前から書いている事ですが、最後なのでまとめますね。

私は初め、このヒロインにずいぶん肩入れし、応援しながらドラマを見ていた気がする。

「家族や故郷などが何か大きな問題を抱えた時に、そこに居なかった(逃げた)」その後ろめたさを体験したことがある人は、みんな特別な思いで彼女を見守ったと思うのです。

登米に行き、そこで新たな居場所を見つけたことで、生きやすくなる。個人的には別にそういう物語でも良かった。

しかしヒロインが気象予報士になることはドラマ開始前から分かっていたこと。そのための東京行きは、まぁアリだろうと思っていた。(この時点では「おかえり」は登米なのだろうと思っていた)


東京編では菅波先生とヒロインの恋が育っていく様子が楽しめた。

正直、キャスト発表の段階では、発表されているキャストとヒロインに恋が芽生えるとは思っていなかった。

亮は幼馴染みなのでAK特性ではただの幼馴染み枠だと思っていた。

朝岡さんと菅波はどちらも年齢的にヒロインと釣り合わないと思っていた。(菅波先生はもっと年上だと思っていた)


自分的には、初期発表キャストの中にヒロインの相手役は居ない、あるいは安達脚本なのでヒロインの結婚までは描かれず命の問題に特化するのでは、と思っていた。

だから、菅波先生がここまで恋愛枠として描かれたのは意外だった。

私は元々 坂口健太郎くんが好きだ。しかも、このドラマの菅波先生は彼の様々な役史上、一番好きになれる役だった。

恋愛ものでイケメンで、壁ドンやバックハグで好きになるのではなく、人を受け入れず人に壁を作って生きて来た菅波という男が、ヒロインによって人の中に居ることに喜びを見出していく、そんな成長ぷりが本当に微笑ましかった。

坂口健太郎が菅波という役に出会ってくれた運命には、心から感謝している。


だから、余計に「気仙沼最終章」にはガッカリしてしまったのよね。

地元に拘るヒロインが、彼を大切に思っているようには見えなくて。

そして最終的にはリモートカップルのままコロナ禍中どうなっていたのかも分からず、あのラスト。

(あっ、何だか彼のことを考えると心が姑化してくる(爆)なので、ここらで止めておきましょう。しかしまぁ自分の居たい場所に居て自分のやりたいことをするのはいいけれどさ、なにがニコイチ……(まだ言う))


菅波のことはともかく……(それも含めて)。

東京編の終わりの方から気仙沼最終章に掛けて、自分の中でどんどん微妙な気持ちが湧いてきたのは確か。


・東京でやっていた仕事は「気象予報士」として分かりやすかった。気仙沼でやっていたあれこれは結局、会社にとってどんな利が出るものなのか分かりづらい。そんなことに会社が給料を出すのもただのヒロインのおかげ力としか思えない。(ヒロインは防災士にでもなればいいと思う……これはホントに。)

・「海」である気仙沼に対して「山」である登米はただの通り道。そして「空」を教えてくれた東京に関してはどうでもいい扱いになっている(しいて言えばお金と中央情報をくれる場所)ように感じてしまった。

・心を痛めたお風呂屋の宇田川さんも自分にとっては共感の対象にはならなかった


大事な時に「そこ」に居られなかったことで心を痛めていた主人公。彼女は宇田川さんや新次と繋がる存在のはずだった。


結局、彼女は「見守る存在」ということだったらしい。

言い換えれば、外から見る人、である。

それが、みーちゃんの告白によって、島の神のように「受け入れる」存在に。

「外から見る人」は、『透明なゆりかご』のアオちゃんのように未熟な少女だった場合はモノローグの担い手として溶け込むけれど、ある程度成長した大人になって来るとヒロインとしては難しい。

内に入った結果、みーちゃんに「あなたは悪くない」と言う人になってしまうの……。

あの時、私の中のみーちゃんが「何でここに居なかったあんたにそんなこと言われなきゃならないんだよ!」と叫び出し、このドラマの最終回に私が感動する機会は失われたのだった……。


しかし以前から書いているように、朝ドラのヒロインとは別に正義でも何でもなく、右往左往する市井の人間である。

そして朝ドラファミリーは理想の家族などではない。

永浦家も想像以上のバラバラ家族だった。

それに加えて、夫婦も決して同じ場所で共存する必要はないと提案してきたのがこのドラマの新しい描き方だったと思う。


それでも気持ちが繋がっていれば、私たちの心はいつも同じ空の下にある。

……と綺麗にまとめられるドラマだったかどうかは、まぁ、それぞれの感じ方ということで。(逃げ)


ラストの方、グチグチした感想が多く、不快だった方には申しわけありません。

こう書いても、AK朝ドラの中では好きな方だったと思っている。


最後に、こんな状況の中、それぞれのキャラクターを真摯に受け止め考えながら演じてきた下さった役者さんたちに心から尊敬と感謝を。

 

 

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116 117 118 119 120(最終回)

 

※朝ドラレビューは基本的に簡単感想で。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
…テンプレだす…。

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キャスト

永浦百音 – 清原果耶

永浦耕治 – 内野聖陽
永浦亜哉子 – 鈴木京香
永浦未知 – 蒔田彩珠
永浦龍己 – 藤竜也
永浦雅代 – 竹下景子

及川亮 – 永瀬廉
野村明日美 – 恒松祐里
後藤三生 – 前田航基
早坂悠人 – 髙田彪我

及川新次 – 浅野忠信

新田サヤカ – 夏木マリ
菅波光太朗 – 坂口健太郎
佐々木翔洋 – 浜野謙太
川久保博史 – でんでん
田中和久 – 塚本晋也
中村信弘 – 平山祐介

朝岡覚 – 西島秀俊
神野マリアンナ莉子 – 今田美桜
内田衛 – 清水尋也
野坂碧 – 森田望智
安西和将 – 井上順

沢渡公平 – 玉置玲央
高村沙都子 – 高岡早紀
井上菜津 – マイコ
鮫島祐希 – 菅原小春

 

語り… 竹下景子

スタッフ

◆制作統括 : 吉永証、須崎岳
◆プロデューサー : 上田明子
◆演出 : 一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子
◆脚本 : 安達奈緒子
◆音楽 : 高木正勝
◆主題歌 : BUMP OF CHICKEN「なないろ」

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