ああ……。俺たちの轟が行ってしまう。
「どうして私だけ?」と呪い続ける寅子に、「私だけ」を引き受けようとする よねさん。「私だけ」ではないと示す轟……。
猪爪家に召集令状が届き、兄・直道(上川周作)の出征が決まる。はる(石田ゆり子)は直道のためにできる限りのごちそうをふるまい、花江(森田望智)も精一杯の笑顔で送り出そうと努力する。寅子(伊藤沙莉)は弁護の仕事の他に、久保田(小林涼子)が担当していた婦人雑誌の法律相談の連載を引き受けることに。さらに、穂高(小林薫)から明律大学での講演を依頼されるが、講演会当日に倒れてしまう…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第8週「女冥利に尽きる?」第38話
感想
「今の」私に礎になる覚悟をしろとおっしゃるの?という穂高先生への怒りは分かるけれど。
実際には偉人の多くはそういう役割のまま生を終えるし、それは決して無駄ではない。
名が出るのはまさに歴史の中のタイミングで、寅子のモデルの方はそういうタイミングにおられた方なのよね。
直道 兄ぃ出征
俺には分かる…。日本はこの戦争に勝って、子供たちにとってもっともっといい国になっていくって。
直道兄さん、もうそれ以上、喋らないで!!
1943年4月18日。パプアニューギニア・ブーゲンビル島上空で山本五十六が戦死。この辺から帝国軍の戦況はみるみる悪くなっていく。翌月にはアッツ島を放棄、ここへ送り込まれた日本兵は全滅した。
そして翌年には死のインパール作戦へと続く……。
つまり、この時期から届けられる赤紙は希望の無い死の紙。
直道兄さんなんて猪爪家の長男なのだから少し前ならば徴兵を免れたはず。もう兵隊に取れる男子は根こそぎ取っていくのだね。
俺には分かる。お前が元気な男の子を産むと。
と、寅子に言い残す兄さん。
お兄ちゃんがそう言うなら女の子だね。
とりあえずの希望は……直道兄さんが、
俺には分かる。俺は生きて帰って来ると!
と言い残さなかったことだ。逆予言が発動しなかったのは、かすかな希望……。
子を産みよき母になれ
男たちが出征していくので、あらゆる界隈で年寄りと女ばかりが残されることになる。
久保田先輩も中山先輩も法曹界から離れてしまった今、「女性弁護士の広告塔」として寅子は働きづめだったし、雲野先生も同じく働きづめで事務所のメンバーを気遣う余裕などなかった。
そんな中、母校の講演会を依頼された寅子は、公演前に倒れてしまう。
医務室に運んでくれた穂高先生に、胸の内を明かす寅子。
実は、私、子供を授かりまして。
でも、まさか久保田先輩も中山先輩もおやめになるだなんて思いもしなくて…。
本当はつらくてつらくてたまらないんです。
でも私が ここで頑張らないと、やめていった仲間の分もと思ってはいるのですが。
穂高先生の答えは、寅子にとって意外なものだった。
君、それは仕事なんかしている場合じゃないだろ。
結婚した以上、君の第一の務めは何だね?
子を産みよき母になることじゃないのかね?
そんな衝撃的な答えが返って来るとは寅子は思ってもいなかったらしい。
私が今ここで立ち止まれば、婦人たちが法曹界に携わる道が途絶えることになってしまいます。
だから私、せめて出産ギリギリまでは働きたいんです。出産後もなるべく早く復帰して世の中を変えるべく法廷に立ちたいんです。
寅子の焦りはよく分るが、誰もが健康に出産できるわけではない。
ギリギリまでこんな無理をしていたら胎児も自分も死んでしまうかもしれないし、産んだらすぐに働きに出るとして、誰が赤ちゃんを育てる前提?(たぶん、優三さんにも はるさんにも何も相談せずに勝手に決めているよね)
そんな焦りまくりな寅子に穂高先生が火に油を注ぐ様なことを言ってしまうのだ。
いやいや、世の中そう簡単には変わらんよ。
「雨垂れ石を穿つ」だよ、佐田君。
君の犠牲は決して無駄にはならない。
確かにね……偉人の多くは礎となって生を全うするのだよね。名を残す人になるか、礎として繋いでいく人になるか、それは歴史のタイミング。
でも、その時代に生きている人は、礎で終わろうと思って生きているわけではないよね。
なので、寅子は当然、怒り出す。
つまり先生は…私は石を砕けない雨垂れの一粒でしかない。無念のまま消えていくしかない…。そうお考えですか?
こうなることが分かっていて私を女子部に誘ったのですか?
だからだね、また君の次の世代がきっと活躍を…。
私は今、「私の話」をしてるんです!
落ち着かないか。
あまり大きな声を出すとおなかの中の赤ん坊が驚いてしまうよ。
ハッ…。
何じゃそりゃ。
ガラまで悪くなってる……。
穂高教授の言うことは確かに酷いのだろうけど、実際に進化は少しずつ起こるもので、今、寅子が一人で背負って全部やろうとしても妊娠に影響が出るだけなんだよね。子供と自分が死んでしまったら楔にすらなれない #虎に翼
— くう🎞️ (@kukucoo) May 22, 2024
どんなに頑張っても女は男にはなれない。お腹の子供は寅子にしか守れない。今最優先するのは胎児なのだけど、初めての妊娠で周りが安産な人ばかりだと危機感が芽生えないというのは分かる
@kukucoo
「お腹の子に聞こえてしまうよ」「なんじゃそりゃ」も実は聞こえてるんだよね。この時代的には「妊娠は病気じゃない、もっと働け」とか言い出す人も出てくるはずだし、周りがこんなに気遣ってくれるのは優しさなんだけれど
@kukucoo
寅子は倒れたことを誰にも言わず、呪いの言葉でいっぱいになっていく。
何で私だけ……私だけ…。
俺たちの轟 出征
そんな、
何で私だけ……私だけ…。
な寅子に、お前だけじゃないぞとばかりにつらいことがやってくる。
いつもの3人ランチの最中、轟が口を開く。
赤紙が来た。
今、何て?
だから赤紙だ。
法曹の道を究めたいところだが致し方ない。佐賀に帰る。
死ぬなよ、轟。
と声をかける よねさんが本当に寂しそう。
学生時代から、ずいぶんこの男の優しさと勇猛さに助けられて来たものね。
フンッ!俺を誰だと思ってるんだ。
そして、轟は寅子に1つ重責を課していく。
妊娠のことを知らないからね……。
佐田。これから男たちはどんどん兵隊に取られていく。お前の仕事がもっと増えていくぞ。
志半ばで、やりたいことから離れて行かなければならない男たち。
女であるせいで男のように突き進めない寅子。
これは、皆が「私ばかり」と呪いながら生きて行かねばならない状態。
なぁ……
私もやれるだけのことはするから。
よねさんは、きっと口述で「女らしく」を強要されて落とされ続けているんだよね。
自分を決して曲げないと言い張っていた よねさんが……きっと寅子のために自分を曲げて無理狩るんだろうな……。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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