おめえは頑張ってるよ。
もうあん時のおめえでねえ。
一人前だよ。
おめえは自分の船でやりだいようにやれ。
俺がそれ見でるよ。
そう。養育するわけでも介護するわけでもなく。
これで対等になったんだよ。
耕治(内野聖陽)は、新次(浅野忠信)と亮(永瀬廉)に2人で話すよう促し、部屋を出ていく。亮は思い切って「一緒に船に乗ってほしい」と新次に伝える。それに対して新次は、自分の思いを話す。ようやく気持ちを伝えあった新次と亮。新次は、耕治をはじめ百音(清原果耶)、亜哉子(鈴木京香)、未知(蒔田彩珠)、龍己(藤竜也)が見守る中、改めて、亮が船を買う資金のために提出する美波(坂井真紀)の死亡届に向き合って……
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「おかえりモネ」第23週「大人たちの決着」第113話
感想
新次はきっと船に乗らない。乗らないで欲しい。
と、昨日書いた。思った。
亮が新次のために選んだ「新次が好きそうな」船に新次が乗ってしまったら……。
それは、「亮のため」にはならないからだよ。
親心
父と息子、双方の気持ちが伝わる話だった。
視聴者によっては、思い通りの展開では無かった人もいるだろう。
みーちゃんのように、りょーちんは親父のためにここまで頑張って来たんだから、親父の立ち直りはりょーちんの手で成されるべきだと思う人もいるに違いない。
でも、新次という人間は、ここで「息子に助けられたから立ち直る」では駄目なんだよ。
そうしたら、新次の依存は止まらない。
新次はやっと、息子へ依存して、あの日から彼の時間を自分のために奪い続けていたことに気づいた。
俺は全部はなくしてない。
船乗ってるおやじの姿、覚えてるし今も目の前にいる。
おやじを元に戻すごどが俺の生きてきた目的だよ。
それは亮も同じで。
分かんねえのかよ。
それではおめえの人生でねえだろ?
父にそう言われて、やっと自分の時間を「親父を治すこと」だけに使い続けていたことに気づく。
亮にとっては、親父を治すこと。は、母と3人で過ごした日々を取り戻すことと同じ。
「亮を返してくれ」と美波に祈って、やっと美波がここに居ないことに気づいた新次。
「親父を戻す」ことを達成しても、母も母と過ごした時間も戻ってこないことにやっと気づいた亮。
2人は同じ。
おめえは自分の船でやりだいようにやれ。
俺がそれ、見でるよ。
俺はそれだげで十分だがら。
人の心に復興なんてない。
死亡届に判を押しても、何も戻るわけではない。
でも、お金が入り、息子に新しい道が開ける。
今は、それが新次の親心。
依存は終わった。
いつか、自分から、たまには楽しく海に出たいと思える日も来るかもしれない。
その時に、「ちょっと乗せてくれや」「いいよ」。
そんなんでいいんだよ。海への復帰は。
ありがとう#おかえりモネ pic.twitter.com/vBAFAq24iS
— 浅野忠信 ASANO TADANOBU (@asano_tadanobu) October 20, 2021
永瀬廉くんも浅野さんも、ちゃんと海の若者と親父に見えるでしょ。
一生懸命な若者と、不器用な親父に見えるでしょ。
この親子こそが物語の軸だったんだ。
もちろん、この人たちが救われたら復興だ。なんて思わない。思えない。
かの地には未だ死亡届を出せない人たちがいるだろう。
無理やり前は向かなくてもいい。
でも、進める人たちには進んで欲しい。
とってもいい結論だと思った。「立ち直らなくてもいい」という前提の相手と一緒に居たいと思うのは、もう介護だよ。新次は育てる喜びを知ったし、「お前の船でやりたいようにやる息子を俺が見る」のは親の姿として最高でしょう。親子依存が終わった。 #おかえりモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
一部始終を見ていた永浦姉妹
出かけていてレビューが遅くなったので、Twitterで流したメモを貼っておきます。
どうして姉妹はここに居るんだよケッって昨日思っていたけれど、「依存を断ち切る姿を見せる」という意味では居てくれて良かった。みーちゃんは傷ついた人の傍に居たいという自分自身の形を亮の中に見ただろうし #お帰りモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
モネも「人のために人のために」「家のために」「妹のために」という自分を少しは考えてくれればいいのに(そこはあまり響いていないような気がして心配) #おかえりモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
そしてこうなると耕治も一緒に話を聞いていても良かった気がする……。牡蠣、本当にやりたいこと?親父がここで畳むと言っているのに脱サラして今から始めること?それは何か方向性のない責任感みたいなやつに取り込まれているわけではないのかな #おかえりモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
明日の、みーちゃんの反応が見ものだな…。個人的には本当に りょーちんの傍を離れて大学に行ってほしいよ。あっちから望まれて、さかなくんの講義を受けるんだよ。凄いじゃん。まぁ、コロナで当分リモートだけど #おかえりモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
モネはこの件を全く自分自身の事として捉えていないように見えた。みーちゃんの表情を何度も窺う様を映し出す演出がそれを示している気がする。たぶん狙ってそうしているのだから凄いな。 #おかえりモネ
— くう (@kukucoo) October 20, 2021
ここまで来て、みーちゃんが「私がずっと隣に居て、あなたの船に乗るよ」とか言い出したら、もうりょーちんはピシっと逃げるべきだと思っている。(姉にいくら推されても……)
見ていたんだから。
目の前で及川親子が立ち上がるのを見ていたんだから。
この道を押せなければ、それは愛ではないと思う。
モネは何がしたいのか
今でもよく分からないのだけれど。
この脚本が信頼できるのは、登場人物にちゃんと「何しに帰って来たの?」「何するの?」「俺は俺。お前は何?」と言わせている所。
登場人物がそう言っているということは、最終回はその答えに向かって進んでいるということだ。
もちろん、視聴者が(私がっ)納得いく答えが出るかどうかは分からないけれど。
そもそも、朝ドラヒロインは正しいわけではないのよ。
それはどのドラマでも同じで。
正しいとは限らない朝ドラヒロインが、画面の中で人生に試行錯誤する。
それを全国の舅・姑がぶつぶつ言いながら見守る……そんなものである。
もっとも……
モネが時代の先駆者のような存在になることは、2021年に生きる私たちには察しが付く。
リモートで地方から発信する時代。
それは、この後、このドラマの世界にいきなりやって来るんだもんね……。
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【おかえりモネ】
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※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャスト
永浦百音 – 清原果耶
永浦耕治 – 内野聖陽
永浦亜哉子 – 鈴木京香
永浦未知 – 蒔田彩珠
永浦龍己 – 藤竜也
永浦雅代 – 竹下景子
及川亮 – 永瀬廉
野村明日美 – 恒松祐里
後藤三生 – 前田航基
早坂悠人 – 髙田彪我
及川新次 – 浅野忠信
新田サヤカ – 夏木マリ
菅波光太朗 – 坂口健太郎
佐々木翔洋 – 浜野謙太
川久保博史 – でんでん
田中和久 – 塚本晋也
中村信弘 – 平山祐介
朝岡覚 – 西島秀俊
神野マリアンナ莉子 – 今田美桜
内田衛 – 清水尋也
野坂碧 – 森田望智
安西和将 – 井上順
沢渡公平 – 玉置玲央
高村沙都子 – 高岡早紀
井上菜津 – マイコ
鮫島祐希 – 菅原小春
語り… 竹下景子
スタッフ
◆制作統括 : 吉永証、須崎岳
◆プロデューサー : 上田明子
◆演出 : 一木正恵、梶原登城、桑野智宏、津田温子
◆脚本 : 安達奈緒子
◆音楽 : 高木正勝
◆主題歌 : BUMP OF CHICKEN「なないろ」