あれから、千代の口から「ヨシヲ」が出なくなったこと。
戦時中もヨシヲの「よ」も出てこなくて、年齢的に徴兵の事など心配しないのかな、と何度も思ったこと。
でも、それは全て、寛治をヨシヲの代わりに見立てているからだと思っていた。
そこには全く触れずに終わったな。(行間……)
万歳と千兵衛は初日以来、稽古場に顔を出さない。一方、千之助(星田英利)も稽古で台詞が出なかった日を境に、姿を見せない波乱の船出。そんな中、新しい劇団員の灯子から、終戦後の道頓堀で公演したマットン婆さんの話を聞く千代(杉咲花)と一平(成田凌)。鶴亀新喜劇は自分の居場所だという灯子の言葉に力が湧く。その夜、寬治が帰還した。千代にガラス玉を差し出し、ヨシヲ(倉悠貴)との満州の酒場での出来事を話し始める…
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「おちょやん」第19週「その名も、鶴亀新喜劇や」第94話
感想
寛治とヨシヲが満州で出会うことは予告や昨日までの流れで分かっていたので、あとはヨシヲの無事を祈る事だけだったのだけど。何ということ。
彼の人生に幸せな時が少しでもあっっただろうか。
可哀想な子供。
そう思うと、ただ泣けてくる。
ヨシヲのビー玉
寛治は現地で女にハマり、賭け事にハマり、身ぐるみはがされそうになっている所をヨシヲに助けられたらしい。
どないもこないも、僕、満州来る前はその千代さんと一緒に住んでました。
座長の一平さん、天海天海さんと夫婦で、僕の面倒見ててくれはったんです。
ほうか…。
ヨシヲが道頓堀に来たときは、まだ夫婦じゃなかったものね。ちょっと意外そうにも嬉しそうにも見えた。
けど……もう戻られへん。
僕が裏切ってしもたさかい。
と、嘆く寛治に、ヨシヲは笑った。
そないなこと気にせえへんて、あの女優さんは。
寛治が彼をヨシヲだと知ったのは、終戦前夜のことである。
日本は負けるという情報を仕入れたヨシヲは寛治に早く日本へ帰れと知らせに来てくれた。
店長さんは?
世話になった人たちがまだぎょうさんいてる。
その人たちにも知らせなあかん。
……これを竹井千代さんに渡してくれ。
取り出したのは、あの母の形見のビー玉。
きれいやろ……。
ほんまにお月さんみたいや。
月が親子を、姉弟を繋いできた物語。
自分を救ってくれた人たちのために、という思いで満洲へ残ったヨシヲ。
間違いなく、それは母の血であり、お節介な千代の血であり、テルヲの血ではないわね。良かった。
ヨシヲ逝く
ヨシヲさんですか?
千代さんからよう話聞かされてました。
と寛治は言った。
ヨシヲが去ってからヨシヲの「よ」も出てこなかったからな。
そうか。話していたのか。
千代にとってヨシヲは、語りたくないトラウマにでもなってしまったかと思っていた。
引き揚げを待つ間、収容所に入りました。
やっと日本に帰れる……そない思た時、ヨシヲさんの店に出入りしてた人に出会て。
ヨシヲさん、逃げ遅れた女の人助けようとして撃たれて亡くなりはったて。
それ聞いた時、僕の気は変わりました。
僕はヨシヲさんみたいに誰かの役に立つために満州行ったのに、一平さんと千代さんとそない約束したのに…。
その収容所で、できるだけ引き揚げ待つ人たちのお世話して自分より先、送り出そて決めたんです。
母のビー玉は千代の元へ帰って来た。
ヨシヲの魂も一緒に帰って来た。
戦地に行ったもの同士
寛治のおかげで、万太郎一座から来て、反抗心むき出しだった万歳と千兵衛が変わった。
戦地はどちらへ?
満州の新京です。
僕は慰問やったさかい、皆さんのご苦労とは比べもんになりませんけど。
それでも引き揚げを待つ間は苦労したやろ。
お二人は?
俺は仏印のサイゴンや。半年前にようやっと。
僕はジャワです。
お二人ともほんまにようお戻りになりました。
手を取り合う3人。
これだよね。
家庭劇にも百久利という戦争の傷があったものの、残ったメンバーは戦地帰りが誰も居なかった。
国のために出て行き、国のために犠牲になった人たちを山ほど見た苦労と恐怖と虚無の共感。
寛治の存在でそれがやっと実現された。
(だから、ここに千代が「一緒に頑張りましょう」みたいに割って入ってくるのは、ちょっと違う気がする……)
寛治が人の役に立つ。
これがヨシヲのおかげだから、ヨシヲ、よくやった。
とは、なかなか受け入れられない。
親に捨てられ、人の道から外れた道に拾われ、最期は他国の地で殺される。
千代と再会できたことだけがヨシヲの幸せだったのかも知れない。
そう思わないと、彼の人生が気の毒すぎて。
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【おちょやん】
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※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャスト
竹井千代 – 杉咲花(子役期:毎田暖乃)
竹井テルヲ – トータス松本
竹井栗子 – 宮澤エマ
竹井ヨシヲ – 倉悠貴(子役期 : 荒田陽向)
岡田シズ – 篠原涼子
岡田宗助 – 名倉潤
岡田みつえ – 東野絢香(子役期:岸田結光)
岡田ハナ – 宮田圭子
富川菊 – いしのようこ
富川福松 – 岡嶋秀昭
富川福助 – 井上拓哉(子役期:松本和真)
かめ – 楠見薫
富士子 – 土居志央梨
節子 – 仁村紗和
玉 – 古谷ちさ
椿 – 丹下真寿美
ぼたん – 沢暉蓮
あやめ – 藤本くるみ
天海一平 – 成田凌(子役期:中須翔真)
初代 天海天海 – 茂山宗彦
須賀廼家千之助 – 星田英利
須賀廼家万太郎 – 板尾創路
熊田 – 西川忠志
大山鶴蔵 – 中村鴈治郎
高城百合子 – 井川遥
山村千鳥 – 若村麻由美
高峰ルリ子 – 明日海りお
小山田正憲 – 曽我廼家寛太郎
須賀廼家天晴 – 渋谷天笑
須賀廼家徳利 – 大塚宣幸
漆原要二郎 – 大川良太郎
石田香里 – 松本妃代
須賀廼家百久利 – 坂口涼太郎
宮元潔 – 西村和彦
宇野真理 – 吉川愛
若崎洋子 – 阿部純子
薮内清子 – 映美くらら
小暮真治 – 若葉竜也
片金平八 – 六角精児
守屋 – 渋谷天外
語り(黒衣)… 桂吉弥
スタッフ
◆制作統括 : 櫻井壮一、熊野律時
◆プロデューサー : 村山峻平
◆演出 : 梛川善郎、盆子原誠
◆脚本 : 八津弘幸
◆音楽 : サキタハヂメ
◆主題歌 : 秦基博「泣き笑いのエピソード」