NHK朝ドラ【カムカムエヴリバディ】第97回 (第20週 金曜日) 感想

Twitterの実況では稔さんの海軍軍服姿で盛り上がっていたけれど……

私は、すごく悲しくなったのである。

今でも軍服を着ているということは、そのまま彷徨っているということじゃないの……。

何という切ない。なのに温かいホラー回。

終戦の日、錠一郎(オダギリジョー)とるい(深津絵里)はとあるジャズ喫茶を訪れます。そこでは、思い出の喫茶店「Dippermouth Blues」のマスター・定一(世良公則)にそっくりな人との出会いが。るいは思いがけず両親の面影に触れることになり、母への思いを募らせます。その頃、雉真家の一室でカムカム英語のテキストを見つけたひなた(川栄李奈)は、窓の外から見知らぬおじいさんに声をかけられ……

(『カムカムエヴリバディ』上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
スポンサーリンク

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第20週「1993−1994」第97話

NHK朝ドラ【カムカムエヴリバディ】感想

感想

本当に回想でも幻でもない幽霊なのよね。

だって、ひなたはこの人を知らないのだから。

8月15日。終戦の日。

正午のサイレンと共に通り過ぎた記憶が岡山を彷徨い出てくる。

8月15日

結局、大月家は8月15日までの岡山逗留を決めたようである。

そして、今日はその日。

母の部屋で古いラジオ講座のテキストを見つけた ひなたは、窓の外に見知らぬ老人の姿を見つける。

英語のお勉強ですか?ご精が出ますねえ。


あ~~いやぁ、全然あきません。

と言いますと?


なんぼ英会話学校行っても英語の本読んでも、聞き流し教材使ても何しても、全然英語がしゃべれるようにならへんのです。


そんなはずありませんよ。
み~んな、英語の赤ちゃんなんですから。

あのサイレンが鳴り響き。

ひなたは、部屋の古いラジオから玉音放送が流れるのを聞く。

朕は帝国政府をして米英支蘇四国に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり。抑々帝国臣民の康寧を図り万邦共栄の……

同時に流れてくる英語のアナウンス……。

After pondering deeply the general trends of the worldand the actual conditions obtainingin Our Empire today.We have decided to effect a settlement of the present situation…

「カムカムエヴリバディ」第20週「1993−1994」第97話 感想

黙祷と共に。

湧き上がる亡霊たちの思い出……。

「カムカムエヴリバディ」第20週「1993−1994」第97話 感想

カムカム平川唯一

8月15日。北米向けの英語放送で終戦の詔書を朗読させていただきました。


程なくしてNHKを退職しました。

平川は ひなたにそう語った。

ある時、国際課の方から依頼されたんです。
ラジオの英語講座の講師をやってみないかと。
私はすぐにお引き受けしました。

あのころの弱り切った日本を元気づけたかった。ラジオを通して英語を通して明るく楽しい暮らしを取り戻してほしかった。そう思いましてね。

そうして、本当に数多くの人たちが。本当に明るいこの放送に救われた様子を私たちは見たよ。

安子が壁越しに聞いていて倒れた時に助けてくれたあの人は、あの後どうなっただろう。幸せな生涯を送られただろうか。

しょしょしょうじょうじ証城寺の庭は……

あのメロディに乗った come come everybody はどれだけ多くの子供たちに歌われたかしら。

「カムカムエヴリバディ」第20週「1993−1994」第97話 感想

皆さんは小さい赤ちゃんがだんだん少しずつ話ができるようになる様子をよく注意して、ご覧になったことがおありでしょうか?


別に無理するわけでもなければ特に 努力勉強するわけでもありません。早く言葉を習ってひとつ商売でもしようか、なんて言う赤ちゃんはありませんから、そこは悠長なものです。


ところが大きくなってから、さあ英語を習おう。ということになると、なかなかそう楽にはいかないんですね。非常に勉強し、努力してみてもなかなかものにはなりません。

ここはひとつ恥をしのんで、赤ちゃんにその秘けつを聞いてみましょう。

それは何にも難しいことではありません。

ただ全てを急がずに、無理をしないで自然に、覚えられるだけ、一日一日と新しいことを覚えていけば……。

ドラマの現在地は1994年。

「カムカムおじさん」と慕われた平川唯一先生はこの前年の1993年8月25日に亡くなっている。

どこの国とも自由に行き来できる

おとうさん……
お父さんですか?

るいは、その人に声をかけた。

どこの国とも自由に行き来できる。
どこの国の音楽でも自由に聴ける。
自由に演奏できる。

るい。
お前はそんな世界を生きとるよ。

追悼のサイレンが止み。

亡霊たちは消えていく。

そして母を探しに

ジョーさん。
私……アメリカに行きたい。
お母さんを捜しに。
アメリカに行きたい。

るいは安子と向き合う決心をし、ひなたは英語と向き合う決心をした。

急がず。無理せず。自然に。覚えられるだけ……。

心を裂かれるほど悔しく悲しい終戦の記憶を経て、でも、彼らは現代の我々が生きる道を指し示してくれる。

ただのドラマの回収ではなく、現実にこの道はずっと繰り返され、今も繰り返されている。

戦争映画やドラマを見て学ばなくてはならないことは、8月15日に黙祷することで悟らなくてはならないことは、過ちは繰り返さず前へ進むこと。

不幸な子どもたちを生み出さないように努力すること。

悲しい回想シーンが、亡くなった人たちの彷徨う切なさが、希望への温かい願いに変わる。

ものすごい回だった。

8月15日ではないけれど。

合掌。

キャストとスタッフ

キャスト

橘安子(雉真安子) – 上白石萌音(子役期 : 網本唯舞葵)
大月るい(雉真るい) – 深津絵里 (子役期: 古川凛)
大月ひなた – 川栄李奈 (子役期 : 新津ちせ)

大月錠一郎 – オダギリジョー
大月桃太郎 – 青木柚(子役期: 野﨑春)

五十嵐文四郎 – 本郷奏多
桃山剣之介 – 尾上菊之助
伴虚無蔵 – 松重豊
榊原誠 – 平埜生成
美咲すみれ – 安達祐実

野田一恵 – 三浦透子(子役期:清水美怜)
野田一子 – 市川実日子

藤井小夜子 – 新川優愛(子役期:竹野谷咲)

赤螺清子 – 宮嶋麻衣 → 松原智恵子
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗(堀部圭亮)
赤螺初美 – 宮嶋麻衣
赤螺吉之丞 – 徳永ゆうき(子役期:石坂大志)

破天荒将軍 – 徳重聡
武者蘭丸 – 青木崇高

橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子

雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎 → 目黒祐樹
雉真雪衣 – 岡田結実 → 多岐川裕美

村野タミ – 西川かの子

水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
水田力 – 小林よしひさ
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉 → 世良公則
柳沢慎一 – 前野朋哉

平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮


トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二

語り – 城田優

スタッフ

◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」


『カムカムエヴリバディ』各回リンク

第1話 2 3 4 5 

6 7 8 9 10

11 12 13 14 15

16 17 18 19 20

21 22 23 24 25

26 27 28 29 30

31 32 33 34 35

36 37 38 39 40

41 42

43 44 45 46 47

48 49 50 51 52

53 54 55 56 57

58 59 60 61 62

63 64 65 66 67

68 69 70 71 72

73 74 75 76 77

78 79 80 81 82

83 84 85 86 87

88 89 90 91 92

93 94 95 96 97


タイトルとURLをコピーしました