「安子と稔が一緒に暮らせたのはほんのひとつき足らずでした。」
え、待って……。
どうして過去形なん?
帰って来るよね。
稔さん、帰って来るよね。
安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)は、結婚することになりました。「たちばな」を訪れて安子の姿を見た千吉(段田安則)は、安子こそ稔を支えてくれる相手だと確信し、進めていた銀行の頭取の娘との縁談を断って2人の結婚を許したのです。杵太郎(大和田伸也)の忌中のため、ごく簡素ではありましたが、祝言をあげることに。稔の出征まで2人が一緒に過ごせる時間は限られるなか、この上なく幸せな時間を過ごしていました……
(『カムカムエヴリバディ』上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第3週「1942−1943」第15話
感想
昨日からの今日。
で、唐突感もなく、きっとこうなるだろうなと思える鮮やかな流れ。
雉真のお父さんが頭取に頭を下げる姿も、見ていなくても目に浮かぶ。
そして、全ては「稔さんがイケメンだったから」ではなく、「ヒロイン自身がその人柄で得た幸せである」という、朝ドラにしてヒロインのおかげさま力を納得する形ですんなり見せてくれた。
これが素晴らしい。
そして、朝ドラのキモである、人と人との繋がり。
雉真のお父さんという慈悲に溢れた賢い人格の助け。
ヒロインに恋しつつ、兄と思い人のために尽くした勇ちゃんという清々しい男子も。
カップル当人たちだけの力ではなく、人の繋がりが彼らを助けた。
だから感動を呼ぶのよね。
そして、この恋が叶う「時代の後押し」という大きな要因。
全てが繋がって運命が回る。
神社でプロポーズ
雉真のお父さんの行動は迅速だった。
駅でもう息子を捕まえる。
待ち切れなんで迎えに来たぞ。さあ行こう。
父さん、せめて一度家に帰らせてもらえませんか?
そうはいかん。
先方がお待ちじゃ。
連れて行ったのは安子がいつもお参りしている神社。
安子もビックリしている。
つまり花嫁側にも承諾なし(笑)
大東亜銀行の頭取と進みょおった話は取りやめにした。
頭下げて謝って分かってもろうた。
父さんはそれでえんですか?
こねえだ、たちばなを訪ねて安子さんに会うた。
なるほど。おめえや勇の言うとおり心の優しいええお嬢さんじゃ。
たちばないう店も小せえけど堅実なええ商いをしてきたことがよう分かった。
まだまだ未熟なおめえを支えてくれるんは、こういう家に育ったお嬢さんじゃと心からそねえに思えた。
その場でプロポーズ。
雉真の父は即決型で行動力があり、会社もそれで大きくしてきた。
嫁も会ってすぐ直感で決める。
成功のための慧眼がある。
でも……
この時代じゃなければ成せない結婚だったよね。
この恋の成就に関してだけは時代に感謝。……するという複雑な状況。
息子ファンのお義母さん
いつまでそねえにすねとるんじゃ。
おめえは安子さんが気に入らんのんじゃねえ。
相手が誰であっても稔をとられとうねえだけじゃ。
千吉さんの言う通り。
美都里さんは、ただ愛する長男を取られたくないだけである。
ただ、頭取の娘が相手だったら、実家のご機嫌を取るために下出にでなくてはならなかったわけで、美都里さんにとっても実は嫁は安子の方がありがたかっただろう。
嫌よ。
じゃけど、稔が心残りのまま戦地に行ってしまうのはもっと嫌。
雉真の母から渡されたという髪飾りを安子にくれた。
嫁として認められた。
一生、息子のファンでいればいいのよ。
それもまた平和の象徴。
橘では、もちろん父も祖母も祝福してくれた。
安子。
えかったなあ。
口をつぐんでただ娘を見ていた母の涙。
この時点で「たちばな」には跡取りがいなくなった。
でも、家はいつか帰って来た算太が継ぐだろう。
そうなった時は、今度は金太は意地を張らずに家に息子を迎え入れるだろう。
今は、それが希望。
稔さんと安子ちゃんはたくさんの人に助けられ、困難を乗り越えて夫婦になりました。
おめでとうおふたりさん、ご両家のみなさん?#上白石萌音 #松村北斗 #村上虹郎 #鷲尾真知子 #YOU #西田尚美 #甲本雅裕 #段田安則 #朝ドラ #カムカムエヴリバディ #カムカム pic.twitter.com/g9omCpZuXh
— 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」#カムカム (@asadora_bk_nhk) November 18, 2021
子供は作ってから行けよ
出征まで間がねえんじゃ。
安子さん。稔と出かけなさい。
出征までのわずかな期間。
稔さんと安子は多くの時間を2人で過ごさせてもらった。
「Dippermouth Blues」のマスターは、とっておきのコーヒーを出して祝ってくれた。
子供は作ってから行けよ。
昭和だな。
と思う向きもあるかも知れないけれど、出征前に結婚して行った人というのは多くて、国も推奨していたのよね。つまり……次の兵隊を作るために産めよと……。
もっとも、マスターはそういうことではない。
いや。健一は独り身のまま行ったからのお。せめて孫でもおったらわしもなあ……気が紛れたのに。
ここもね……とてもいい父子なんだよね。
健一さんには帰ってきてほしい。
どうも……
そうならないような予感がしてしまっているんだけれど……。
みんな、みんな、帰ってきてほしいし。
みんな生き残って欲しい。
早う戦争が終わってほしい。
どこの国とも自由に行き来できる。
どこの国の音楽でも自由に聴ける。
自由に演奏できる。
僕らの子供にゃあ……そんな世界を生きてほしい。
ひなたの道を歩いてほしい。
安子と稔の出会い。
ホッとする笑顔を人の与える和菓子職人の家と、履き心地の良い足袋を作る衣装の家の出会い。
戦時中だから悲劇に遭い、戦時中だから結婚できた。
ここから先の時代を紡ぐための出だしとして、甘やかで幸せで切ないエピソードになった。
来週からは、どうなるのか……。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャストとスタッフ
キャスト
橘安子 – 上白石萌音
雉真るい – 深津絵里
ひなた – 川栄李奈
橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子
雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎
村野タミ – 西川かの子
雪衣 – 岡田結実
水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
赤螺清子 – 宮嶋麻衣
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉
平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮
大月錠一郎 – オダギリジョー
女子大生 – 市川実日子
トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二
桃山剣之介 – 尾上菊之助
語り – 城田優
スタッフ
◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」
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