何という切なさ。
何という情緒豊かな世界。
泣きっぱなしの15分。
橘家では、肺を患い苦しむ杵太郎(大和田伸也)の枕元で、安子(上白石萌音)が懸命に声をかけていました。その頃、雉真家では稔(松村北斗)が出征することが決まり、千吉(段田安則)は頻繁に大東亜銀行の頭取と面会をしています。出征までに、頭取の娘との縁談を取りまとめるためでした。稔と安子の互いの気持ちを知る勇(村上虹郎)は、2人の結婚を許すよう千吉に頼み込みますが、まともに取り合ってはもらえず……
(『カムカムエヴリバディ』上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第3週「1942−1943」第14話
感想
ドラマや映画の中で空襲前に亡くなる人を見ていると、
それは、たぶん、むしろ幸せな事かもよ。
と、思ってしまうことがよくある。
岡山市は1945年6月に市内の70%以上を焼く大規模な空襲を受ける。
主人公一家がどうなるのかは……。
(個人的にはチラっとネタバレ読んでしまったので……)
おじいちゃんの最期
あんこの……夢を見とった。
あんこの?
おいしゅうなれ。
おいしゅうなれ。
おいしゅうなれ……。
甘え香りがすると思うたら…ハハ…安子がおった。
杵太郎じいちゃんは、腰だけではなく肺までも患い、長く寝ている様子。
弱りながらも安子に笑顔をくれる。
安子。
幸せになれ。
幸せになれ。
幸せになれ。
職人気質でとことん餡子に拘りつつ、家や子育ての押し付けはせず、家族に甘くて優しい優しいおじいちゃんだったなぁ……。
「恋愛結婚」だったという恋女房、おばあちゃんが枕元で泣き崩れるシーンが印象的。
父の気持ち
稔さんの召集を受け、戦死者の葬列に頭を下げる千吉さんの胸中も複雑である。
この頃は、次第にこういう風景も多かったことだろう。
日本は必ず勝つのだから出征なんて大したことはない……と庶民が楽観していた時期はもう終わった。
しかも。
戦死した若者が身に着けて行くのは、自分の会社が作った軍服である。
次男の勇に言われた
父さんは、どねん思ようるん。
父さんの工場で作る軍服を着て兄さんが戦争に行くことをどねえ感じとるん。
は、言われなくてもすでに心が痛んでいることである。
自分には罰が当たるかも知れない……そうも思っただろう。
おんなじことじゃ。
稔が雉真の学生服着て大学へ行くんも、雉真の軍服着て戦地に赴くんも、わしにとっては誇らしいせがれの……晴れ姿じゃ。
仕事は走り出したらもう止めることはできない。
ましてや軍部の意向で動いているとなれば……。
安子という娘
せめて、あんこに会うたげてよ。
会やあ分かるから!
次男にそう言われて、千吉は初めて自ら店へ赴く。
店へ出てきたのは問題のその娘だった。
いらっしゃいませ。お買い物ですか?
ええ…はい。
何か……おはぎが食べとうなって。
わざわざおいでくださったのに申し訳ありません。
もう、ずっとおはぎは作れずにおるんです。
小豆も砂糖もないことは千吉だって分かっている。
しかし、娘は
「ちょっと待ちよってもらえますか?」
と言って裏へ行き、お汁粉を持って出てきた。
祖母の作ったお汁粉です。
よろしかったら召し上がってください。
娘の父だという店主は自分の事を「雉真繊維の社長」だと知っており、それは父の初七日のために作ったお汁粉だと教えてくれた。
そねえな大事なものを、お嬢さんはなぜ見ず知らずの私に?
何か気落ちしてらっしゃると感じたんでしょう。
甘えお汁粉を飲んで少しでも元気になってほしいと思うたんじゃ思います。
甘い物を食べると人は笑顔になる。
それが「たちばな」の、祖父の教え。
うちのせがれは昨年出征しました。
どうしようもねえ悪たれで勘当した息子です。
わしゃあ意地ゅう張って、最後までうちに入れてやらず見送りにも…。
どうぞ悔いのないように息子さんを送り出されてください。
温かい、優しい店の父娘に見送られて……。
千吉が出征する息子のために出来ること。
考えるのは当然の流れ。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャストとスタッフ
キャスト
橘安子 – 上白石萌音
雉真るい – 深津絵里
ひなた – 川栄李奈
橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子
雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎
村野タミ – 西川かの子
雪衣 – 岡田結実
水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
赤螺清子 – 宮嶋麻衣
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉
平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮
大月錠一郎 – オダギリジョー
女子大生 – 市川実日子
トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二
桃山剣之介 – 尾上菊之助
語り – 城田優
スタッフ
◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」
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