手紙の往復15分間でそれぞれの生活周りと、恋が育っていく様子と当時の世相が全部描かれているのは凄いな。
映画を見ているようだった。
萌音ちゃんと北斗くんの声がまた初々しくて良き。
藤本有紀脚本はやはり職人芸。
夏休みが終わり、岡山から大阪に帰った稔(松村北斗)と文通を始めた安子(上白石萌音)。何通ものやりとりを通じて2人は心を通わせていくのでした。稔との仲を深める安子を小しず(西田尚美)は心配しています。一方、甲子園出場を目指して野球の練習に励む勇(村上虹郎)は、昔から安子へのある思いを抱き続けていますが、いつも言えずじまいです。そんな中、ヨーロッパでは戦争が始まり、世の中の気配も変化してきて……
(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第2週「1939−1941」第5話
感想
I will write to you in return.
で終わった前回。
僕も返事を書くよ。
「僕から」ということではなく「返事」ならば書く、というところが、ちょっと引っかかっていたのだけど。
やり取りは微笑ましいもので安心した。
安子だけではなく、稔さんの愛情もきちんと感じられる。
往復書簡
「前略。稔さん。お元気ですか?今夜は十五夜です。お店は大忙しでした。稔さんのお部屋からお月様は見えますか?大阪は都会だからビルヂングの隙間から見るのでしょうか。」
「前略。安子ちゃん。今夜も月がきれいです。窓の外には視界を遮るものはありません。僕の通う大阪商科大学予科は田んぼや畑に囲まれています。岡山の方がずっと都会に感じるほどです。」
このやり取りから始まった月曜15分。
2人のやり取りは、お月さまから秋桜、お汁粉、お正月、甲子園……。
季節の移り変わり、周囲の様子、微笑ましい近況。
もちろん、婚約しているわけでもなし。「好き」だの「愛」だのはひと言も語られないけれど、ほのかな愛情を感じる。
そんな中、差し挿まれる2人を阻むもの。
雉真さんいうなあ、あの雉真繊維の?
うん。
心配せんでええよ。おかしなおつきあいじゃねえから。
「安子ちゃん。残念ですが正月は岡山に帰れなくなりました。父と2人で船場の取引先に年始回りに行くことになったのです。」
家の違い……と言ったら現在では笑い事だけれど、当時は結婚は親が決めるもの。(成人を過ぎても親の許可が必要だった)
大きな家ほど「跡取り」は家のための結婚だっただろう。
正月くれえゆっくり休ませてあげりゃあええじゃねえですか。稔だって家でお節やお雑煮を食べてえでしょうに。
と、夫にボヤく稔さんのお母さん。
稔はいずれ後を継ぐんじゃ。
予科生ともなりゃあ、取引先とのつきあいを知っとかにゃあならん。
と言い聞かせるお父さん。
庭では、しがらみのない次男がバットを振る。
このワンシーンだけで、稔の意志は自由ではなく、勇は比較的自由に生きていることが分る。
近づく戦争の足音
ナレーションやテロップではなく、文通の中で時代の変化が語られる。
「少し前から朝、ラジオをつけても『実用英語会話』が流れてきません。大阪では変わらず放送されていますか?」
「先日とうとうヨーロッパで戦争が始まりました。『実用英語会話』は放送を終了してしまったようです。日本は ドイツの同盟国だから敵国イギリスの言葉である英語会話の番組は打ち切られたのでしょう。僕も残念でなりません。」
「『基礎英語講座』という番組は引き続き放送されるようなので、よかったらそちらを聴いてみてください。」
英語は次第に敵性語になり、お祖父ちゃんのタバコ「チェリー」は「さくら」に。
米国発の「野球」は道具も手に入りづらい。
ラストには町を歩く兵隊さんに頭を下げる安子。
On the Sunny Side of the Street
『On the Sunny Side of the Street』(明るい表通りで)
「稔さん。急激に世の中の気配が変わっている気がします。」
「日本は、私たちの暮らしはどうなってしまうのでしょう。」
と、送った安子に横文字で返事を出してきた稔さん。
Grab your coat and get your hat
Leave your worry on the doorstep
Just direct your feet
To the sunny side of the street…
コートをつかんで 帽子を取って
心配事は玄関に置いてひなたの道へと歩きだそう
聞こえる?
あの楽しげな音。あれは幸せな君の足音。
ひなたの道を歩けば
きっと人生は輝くよ
稔さんから送られ、安子が訳して、遠く離れた場所に居る2人が暗唱する『On the Sunny Side of the Street』。
心から願う。2人の幸せ。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャストとスタッフ
キャスト
橘安子 – 上白石萌音
雉真るい – 深津絵里
ひなた – 川栄李奈
橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子
雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎
村野タミ – 西川かの子
雪衣 – 岡田結実
水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
赤螺清子 – 宮嶋麻衣
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉
平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮
大月錠一郎 – オダギリジョー
女子大生 – 市川実日子
トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二
桃山剣之介 – 尾上菊之助
語り – 城田優
スタッフ
◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」