雪衣さんの言い方はともかくとしてだね。
安子のやっていることも私には納得できない。
そこまでして、おはぎを売り歩くのは、もはや るいのためではなく、何かの執念に見える。
英語が通じず困っている米軍将校(村雨辰剛)を見かけた安子(上白石萌音)。とっさに「May I help you?」と声をかけ、手助けします。それは英語を学び始めてから生まれて初めて交わした、生の英会話でした。その頃、定一(世良公則)の営む喫茶店には、将校たちの集まるクラブで演奏するミュージシャンが集まっていました。戦争に勝った国・アメリカのけんらん豪華な文化をまえに、安子や定一は複雑な思いを重ね……
(『カムカムエヴリバディ』上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第5週「1948」第28話
感想
安子の味方!……になりきれず、モンモンと物語を見ている。現在。
ここは空襲でほぼ焼けてしまった地域。
世の中は貧しく。
雉真の家はお金持ち。
「メンツ」どうこうより、お金持ちの家の若奥さんがおはぎを売り歩いているのは、「ダンナの婚家にいびられてるのかしらね?」、当然疑われることだろうし。
貧しい人たちにとっては、お金持ちの道楽のようにすら見えるかも知れない。
それより何より。
安子。
それ、全然「るいのため」じゃない。
初めてのリアル英会話
アメリカさん、に話しかけられただけで怯えるおばあちゃん。
当然の反応だと思う。日本は負けたのだから。
May I help you?
困っていそうなおばあちゃんと軍人さんに初めて声を掛けた安子。
実践!英会話!である。
I want to buy them.
それを買いたかっただけだよ。
何で謝りょうったん?
野山で摘んだ花、勝手に売ったらいけん言うておとがめなんか思うて…。
(野山で摘んだ花がこんなに綺麗だなんて………まるでハウスで作っている生花用の……ぇ?ゴホゴホ……)
とにかく。
安子のおかげで誤解が解け、初めての通訳成功に笑顔になる。
自分の英語が通じたことに安子は高揚していました。
それはとても喜ばしいことなんだけれど、置いて来たるいちゃんのことを考えると「安子、早く帰ろう」で頭がいっぱいの視聴者、私(笑)
めっちゃイケメン将校さん。本業は和の庭師!
【12/10号 明日発売】連続テレビ小説〈#カムカムエヴリバディ〉特集では、ロバート・ローズウッド役 #村雨辰剛 さんのインタビューを掲載!
— NHKウイークリーステラ (@nhk_stera) November 30, 2021
〈#みんなで筋肉体操〉でおなじみの村雨さんが、お芝居に初挑戦!
最初は手探りで迷いながら演じていたけれど…?#NHKステラhttps://t.co/UhW4Ha3oZ5 pic.twitter.com/vkh5XU6zwG
安子さんは諦めた
初めてお二人を見た時に分かったような気がしました。
安子さんは諦めたんじゃ思います。
女手一つでるいちゃんを育てることを諦めて雉真の家にお返ししようと決めたんじゃ思います。
週予告でこのセリフを聞いた時にはさ、「え、安子、出て行ってしまうの?」
と、思ったけれど。
そういう事ではなかったんだ。
こんな風に使われるセリフだとはね。
小さな子供に埋め込む偽記憶。恐いわ~~……。
しかし、実際に今日の安子を見ていると、本当に「え、安子、るいちゃんを置いて独立する準備でもしてるんか?」と言いたくなってしまうのは確か。
だって、「るいちゃんの傷のために」というのが理由だったはずだけれど、そもそもお金はあるのだから るいちゃんを置いてまで、こんなに必死にやることだとは思えないし。
「たちばな」の再興のためにやるのだ、ということだったら、ちょっとは納得できるけれど、るいちゃんもまだ雉真に馴染めずにいるのに今??と思うし。
令和じゃないんだ。「輝く私」のためのお仕事は「今」じゃない。
カムカム英会話の時間すら るいちゃんと一緒に居なくて、るいちゃんの現状もしらなくて、マスターとの再会は嬉しいけれど、そのシーンにすら集中できなかった。コーラ飲んでないで早く帰ろう?(笑)
でも、マスターが生きていたことは心から良かった。
健一さん……。
再会した定一さんは、「ディッパーマウスブルース」を再建していました。
— 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」#カムカム (@asadora_bk_nhk) December 7, 2021
「出っ歯口の憂鬱」から元に戻りましたね?
外国の音楽も、堂々とかけることができますが…
「稔を殺した。健一を殺したかもしれん国の音楽を、わしゃあ今日もかけとる」#前野朋哉 #カムカム美術図鑑 #カムカム pic.twitter.com/adoEILdbYZ
むしろ、安子は病気なのではないだろうかと思えてきた。
稔さんを失い、生活のために必死にるいと働くことで心の隙間を埋めてきた。
雉真に戻って「何もしなくていいですよ」と言われ、空の巣症候群状態なのでは……。
自分自身の心で作り出したブラック企業症候群になっちゃっているように見える。
稔を殺した国の歌
ごめんね。るい。
おばあちゃん、聴きとうねんじゃ。
稔を殺した国の歌は聴きとうねんじゃ。
意地悪ではなくて、本当にそう思っているんじゃないかな。
この時代、そう思っている人は多かったんじゃないかな。
まだ戦後すぐだもの。
帰ってこない家族を待っている人すらいる時代だもの。
美都里さんは稔さんのグローバルな夢を知らない。
「るい」の名前の由来も知らない。
現代から考えれば、むしろ憎むべきは自国の政治と軍の上層部なわけだが、敵国を憎む方が手っ取り早い。
マスターも言っていた。
何の因果じゃろうのう。
稔、殺した……健一を殺したかもしれん国の音楽……わしゃあ、今日もかけとる。
アメリカ人、喜ばせるためにバンドの世話しょおる。
安子ちゃん。進駐軍のクラブん中あ別世界じゃ。
酒も食いもんも娯楽もあふれとる。
あれが戦勝国じゃ。
アメリカじゃ。
安子の心はあくまでも稔の意思通り。
稔が愛した「世界」も「英語」も「アメリカ」も憎むことはない。
名前は「るい」いいます。
稔さんが付けてくれました。
男の子でもおなごの子でも、どこの国でも通用するようにって。
それからどこの国とも自由に行き来できる。
どこの国の音楽でも自由に聴ける。自由に演奏できる。
私たちの子供にゃあそねえな世界を生きてほしい。
ひなたの道を歩いてほしいって。
でもね、安子。
今現在、もう るいちゃんの心は日なたに無いで。
コーラを置いて、早く帰ってくれないかなぁ……。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャストとスタッフ
キャスト
橘安子 – 上白石萌音
雉真るい – 深津絵里
ひなた – 川栄李奈
橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子
雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎
村野タミ – 西川かの子
雪衣 – 岡田結実
水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
水田力 – 小林よしひさ
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
赤螺清子 – 宮嶋麻衣
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉
平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮
大月錠一郎 – オダギリジョー
女子大生 – 市川実日子
トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二
桃山剣之介 – 尾上菊之助
語り – 城田優
スタッフ
◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」
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