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NHK朝ドラ『虎に翼』感想 第130回最終回 (第26週:金曜日)

戦後、昭和の時代に、女性初の判事となり、家庭裁判所長となった人をモデルに描いた朝ドラが終わった。

そう。あくまでも「モデルにしたドラマ」であって伝記ではない。

それを踏まえて……。

さまざまな仕事を掛け持ちし、多忙な毎日を送る優未(川床明日香)。花江(森田望智)もひ孫に囲まれ平穏に暮らす。航一(岡田将生)のことはのどか(尾碕真花)、朋一(井上祐貴)、優未が三人で気にかけていた。寅子(伊藤沙莉)は皆の暮らしぶりを見守りながら、桂場(松山ケンイチ)と「法律とは何か」について語り合ってきたことを振り返る…

あらすじ は 公式サイトより引用
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連続テレビ小説「虎に翼」第26週「虎に翼」第127・128・129・130話

NHK朝ドラ『虎に翼』感想

感想

少し変わった最終回だったけれど、すでに居ないヒロインのナレーションで構成されていた朝ドラもかつてあったしね……。

前回(129回)の終わりから繋がるラストのアンサー。ラストシーンからの主題歌『さよーならまたいつか!』への流れなど、とても印象的な終わり方だったのではないでしょうか。

では、前回(126回)の終わりにちょっと書きましたが、身内の葬儀がありまして、水曜以降はドラマ自体を見ることすら出来ない状態だったので、遅ればせながら各回も簡単に振り返らせていただきます。

127回 どこにでもいる普通のミサンガ美佐江

美佐江の娘・美雪が面接の前に「話したい」と寅子の部屋を訪問し、突然刃物を出してくるという、家裁ノーセキュリティ状態の回。

と言い出す美雪に、「あなたのお母さんも同じこと言ってたよ」と返す寅子。

と刃物を出す美雪に寅子は言うのだった。

結論は、対話をし、寄り添うこと

昭和47・8年ってこんなもんだったのかしら。そうかもね。

まだ「子どもは純粋」で「人間の根本は善」だと信じられていた時代だったかもね。

この時代は恐らく「大きな事件は大義のため」「誘拐は金のため」「理由なき事件にはまだ早い」という時期だっただろうと思う。

ここから10年近く経過すると「青酸コーラ事件」など無差別で理由なき犯罪が増え、平成になると「少年の根本は善」などと言っていられないほど少年犯罪の様相は変わり始める。

いわゆる「普通の家庭」から犯罪者が現れ、情報が錯綜して親は子育てというものに危機感を持ち始める。これは少子化の一因になっていると個人的には思っている。

何にせよ……ミサンガ美佐江の出現はちょっと早かったね。

けれども、このドラマのコンセプトは

「どんな時代にも彼らは居るのだ!」

らしいので、そこは、まぁ……そういうことで。

寅子は美雪を試験観察とし、民間の施設に預けることにして事件は終了。

美雪はその後、更生への道を辿っているらしい。

128回 尊属殺の結論と少年法改正の行方は「愛」!?

昭和48年4月、美位子の尊属殺に関する判決が出る。

ドラマ上も史実の尊属殺重罰規定違憲判決になぞらえた話になっている。

この判決を切っ掛けに、「尊属殺」で加重罪にされていた人たちにも後々恩赦が与えられて減刑された。やがて「尊属殺」自体が刑法から削除され今に至る。

ちなみに、この美位子さん事件のモデルの事件では、大貫大八・正一親子が二代で弁護にあたっている。

(ちなみに、轟のモデルである大貫大八さんはゲイセクシャリティの方ではありません。「そこ、重要?」と思われる向きもあるかもしれませんが、つまり、弁護人はどんなセクシャリティであろうがマイノリティを救った、ということであり、私は今でも轟の設定に必要性を感じない)

桂場長官の判決文は当時の裁判で石田裁判長が述べたと同じ。

美位子さんは、自分の手の中にまだ父を殺した紐の感触が残っているのに、解放されて良いのかと嘆き、彼女の人生に光を与えるのはヒロインのお仕事なのだった。

父との間に出来た子供は母が育ててくれるそうである。

しかし、散々ニュースになったりしてしまっただろうし……。この子たちの将来が心配だ。こういう点ではSNS時代じゃなくて良かったよね。

少年法改正については、

「愛」で完結??!

という部分もあるけれど、ここに「法改正の切っ掛け」について語るセリフがあったことは、とても良かったな。

これは、あらゆる「法改正」(その他云々)に現在でもなお繋がる話だよね。

いつの時代でも、法が変わる時は政治の思惑がある。

朝ドラの中で、それをシレっと持ち出してくるのは、なかなか。

129回 総まとめに入る

大きな裁判や問題が完結したので、このドラマが、ヒロインに関して主軸にしてきた「女性と家庭と子どもと法律」の総まとめに入る最終回1つ前。

と、優未から言われる寅子。

でも、そうやって「好き」が出来るのは経済的にめぐまれておられるからですよね……。

と思うけれど、偉人ベース朝ドラではこういうファンタジーが度々起きるので、そこはもうツッコんでも仕方がない。

偉人ベース朝ドラのお家は、大抵、視聴者など想像もつかないほど大金持ちだからである。

(だが映像ではそう思わせないし、たくさんいるだろうお女中さんも出てこない……。そのギャップがしばしば設定だけ浮かせてしまう。それはこの朝ドラに限らない。)

そんなことよりも、私は寅子が新潟時点から優未の行動に対して「そうね」「いいわね」ばかりで干渉を1ミリもしない、その変化に戸惑いを感じている(笑)

それが寅子流の「愛」なの?

横浜家裁の所長にまで上り詰めた寅子。

129回はそのお祝い同窓会が馴染みの笹竹で行われる。

そして、団子を食べに来た桂場さんから言われるのだった。

130回 お祓いしたいレベルにうるさい(笑)

以前、「おはようございます、死にました」で始まる、朝ドラ最高峰の名作があったわけだが、ネタバレになるので今は多くは語らないし、もちろん、同列に語りたいわけじゃない(絶対、ない!)。

優未にまとわりつく寅子の霊はウルさ過ぎて怖いよ……。安倍晴明呼んで祓ってもらいたい。

しかも、姿かたちがやけに若い(笑)ホラーだ。

寅子が居ない世界で、優未は結婚はせず、星邸で寄生虫や雀荘雑誌の編集(家で編集って……同人誌?)をし、猪爪家へ通って花江の面倒を見ているらしい。

うん……寄生虫研究を続けるのならば、出世や就職はともかく、大学に残って博士号は取ればよかったのでは?

万太郎がどれだけ苦労して研究を続けたと思ってるんだよ……。大学に在籍しているだけで多くの資料や情報や教材を手にして楽に研究できるというのに(それが出来るだけの太い財力があるのに)。

しかし、花江ちゃんの世話は良かったわ。

そもそも優未を小学校まで育てたのは花江ちゃんだし、育児の大変(そして可愛い)な所を花江ちゃんにやらせて、楽になった子どもを新潟に連れて行った寅子である。

優未が今、老いた花江ちゃんに娘のように寄り添ってくれるのは嬉しいよね。

法改正の話は最終回でも少しだけ出て来る。

道でデッカい携帯電話で話している女性…美雪。

過去の行いがTwitterで拡散されたからじゃない?(ぃぇ、たぶん違う……)

そこへ、声をかける優未である。

神は貴女の味方です……のように見える(笑)

リモート職で生きているとしても、ちゃんと「佐田優未の知り合いって言いな!」と自信を持って言えるだけの繋がりがあるって強いよね。

(まぁ、でも、これが美雪である必要はあるの?(笑))

家に帰ってから、航一さん(ホームに入っているらしい)へ報告する優未である。

いるよ。優未の真横に寅子はいるよ。いつもガーガー喋っているよ……。

かつて「家族」に執着していなかった航一さんは寅子の(もんげぇ若い)写真に語り掛ける。

ここから時間は129回の桂場さんのシーンへ遡る。

ここからエンディングまでの流れは、とても好き。

「女性は無能」だから法を学ばなくてもよい。かつてはそんな風に言われていた時期もあった。

今、彼の口から出るのは、女性の有能さを認めない世間への嘆き。

よねさんが横から「いや」と入ってくる。

奥にいるお客さんまで一斉に頷く未来への希望。

寅子は、桂場の額にずっと張り付いていた桜の花びらを取りながら得意げに言うのだった。

ラストのこのセリフ。

本当にこのドラマ、このヒロインを全部表しているようだったなぁ。

個人的には、桂場さんの

ここからのエンディングで十分だったのだけど。

このドラマは、いつだって

ここまでセリフで言ってしまう。

私は、このドラマのそういう部分があまり好きではなかった。

よくTwitter(X)の朝ドラ実況界隈では「行間を読め」というつぶやきが出て来る。

けれども、このドラマには読む行間はほとんど無かったと思う。

その分、いつも登場人物が激しく言いたいことを主張し、それはそのまま脚本家、あるいはスタッフの、このドラマの主張だった。

「この昭和の時代に」だってマイノリティは居るのだ、というのは分かる。けれど、集まりすぎて主張が激しすぎて疲れてしまうのよね。

あとは、今までも書いて来たけれど、いつも慈悲深く子どもたちのために愛を語ってきた寅子だけれど、寅子自身はちっとも子どもを大事にしているように見えなかったところが残念で。

花江ちゃんを始めとする猪爪家の人たちに優未の養育を全振りしていた挙句、みんなから総すかんされた後は、まだ小学生の優未を伴って家族も友もいない赴任地へ。

そこからは優未の成人後までずっと「そうね」「わかったわ」「あなたの言う通りね」、えっ……愛ってそういうこと?

再婚に関しても、この時代には世間から「お妾」認定されちゃう「のようなもん婚」を貫く……。

一応、優未は納得したような落ちにしていたけれど、中学生の子どもに親の人生は反対できないよ。

優未が学校で人から何を言われていたかと考えると悲しくなるわ(優未、お友達いないしね)。

それは星家の子どもたちも同じことで。

いくら成人に近い年齢だといっても星家の子どもたちは学生。のどかに至っては高校生だった。

元々、つながりが希薄だった父親から「星の姓を捨ててもいい」などと言われたら、自分たちは父親から捨てられるのだと思ってしまうよね。

「時代」を考えたら、法に携わる両親の「のようなもん婚」設定には無理があり過ぎたと思う。

もちろん、令和の視聴者は十分に心掴まれただろうけれど。そういう「令和の心を掴む」エピソードが溢れすぎていて、個人的には度々スンっとなってしまったのだ。

盛り込み過ぎたマイノリティを毎日見させられて、マジョリティを否定されているような気持ちになっていく……全くそんな内容ではないのだけれど、Twitter(X)感想を見ながらドラマを見ているのも悪いのかもしれない(笑)

オープニングが本当に好きだった

私は米津玄師の楽曲が元々大好きで、『さよーならまたいつか』は初めて聞いた瞬間から心掴まれてしまった。

シシヤマザキ氏が織りなす和色の踊るアニメーション。美しくていつまでも見ていたかった。

歴代朝ドラOPの中でもトップに近いくらい好き。

アニメーションから実写人物へ変わるタイミングも振り付けも可愛かった。

最終回、ラストはOPがEDへ。物語の流れから曲へ入っていくタイミングも良かった。少し泣けた。

個人的には、桂場さんのセリフからエンディングで良かったけれど(笑)

役者さんはヒロインの伊藤沙莉ちゃんを始め元々好きな方ばかり。

役者さんたちのそれぞれの演技を半年間楽しんだ。ありがとうございました。

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虎に翼 キャストとスタッフ

キャスト

佐田(猪爪)寅子 – 伊藤沙莉

星航一 – 岡田将生

猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智

猪爪直人 – 琉人
猪爪直治 – 楠楓
佐田優未 – 毎田暖乃 ← 竹澤咲子(子役期 : 山中天喜→三上ひめな→斎藤羽結→金井晶)

佐田優三 – 仲野太賀
猪爪直道 – 上川周作

猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし

山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑(汐見香子) – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
稲垣雄二 – 松川尚瑠輝
玉 – 羽瀬川なぎ


桂場等一郎 – 松山ケンイチ
汐見圭 – 平埜生成
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一

杉田太郎 – 高橋克実
杉田次郎 – 田口浩正
高瀬雄三郎 – 望月歩
深田仁助 – 遠山俊也
小野知子 – 堺小春
入倉 – 岡部ひろき
森口美佐江 – 片岡凜

穂高重親 – 小林薫
星朋彦 – 平田満
星百合 – 余貴美子

桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
稲 – 田中真弓

壇 – ドンペイ
浦野 – 野添義弘

語り – 尾野真千子

虎に翼 スタッフ

◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)

◆平均視聴率 :  %


◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉

◆脚本 : 吉田恵里香

◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」


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126 127・128・129・130(最終回)


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