そもそも「女性は自由になれず虐げられている」を今まで全く実感せずに生きて来られた寅子はとても恵まれた環境だったと思うのだ。
「女性」と同じく「子供」も普通に親の所有物のようにされていた時代だ。
猪爪家は良いお家。
よね(土居志央梨)を尾行し、初めて法廷で傍聴することになった寅子(伊藤沙莉)。行われていた裁判は、離婚の決着がつかない夫婦の間で、せめて形見の着物を返して欲しいと妻が夫を訴えたものだった。妻には所有権がないことを知って憤る寅子は、帰宅後に優三(仲野太賀)を質問攻めにする。なぜ結婚した女の財産は夫の管理下に置かれるのか。女性が置かれる理不尽な立場を認識した寅子は、「結婚」にますます懐疑的になる…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第2週「女三人寄ればかしましい?」第8話
感想
穂高教授の教えが本当に素晴らしすぎてね。
だって、嘆いたり憤ったりしていても現状は何も変わらない。
だったら「弁護士らしく」自分たちならどう勝つか考えた方が良い。
裁判傍聴
寅子が よねにくっついて傍聴に入った裁判は、離婚裁判であった。
双方の弁護士が シソンヌ(上手いんだけど、どうしても『LIFE!』のイメージが笑)
DVクソ旦那は、朝の再放送中『ちゅらさん』では日本中の涙を誘った(はずの)和也くん@遠藤雄弥さん。
台本を読んだ時に、当時の法律の在り方に、そうだったのかぁ…と思いました。
— 遠藤雄弥 (@endo_yuya) April 9, 2024
これをちゃんと伝えるためにも、DVクソ旦那役を全うしなければっ!と心に決めたわけでございました。#虎に翼 https://t.co/leFe0jdIK7
裁判の概要は
原告である峰子さんは7年前に被告である東田さんと結婚。
ですが、先ほど弁護士が訴えていたように東田さんにひどい暴力を日常的に振るわれ耐えかねた彼女は実家に逃げ帰り離婚裁判を起こしました。
裁判自体は勝訴したのですが、東田さんは嫌がらせのようにすぐさま控訴。
なかなか決着のつかない離婚裁判とは別に、峰子さんは嫁入りの際に持参した品々の物品返還請求の訴えを起こしたのです。
つまり峰子さんは一度勝訴しており、離婚は成立……のはずだったのに、被告側のDV夫が控訴したと。
そして、何より、峰子さんが持参した着物などを返してもらえない。
傍聴席から思わず「頑張れ」と峰子さんに声をかけてしまう寅子。
こちら、あなたがお母様から受け継いだ色留め袖。間違いないですね?少々くたびれてどうしても取り戻したい品物には思えませんが。
と、馬鹿にしたように言う旦那側弁護士。
私にとってはとても大切なものです。
祖母はこの着物を見ると幼い頃の私、そして幼い頃の母の姿がよみがえると申しておりました。この着物は家族の幸せな思い出そのものなのでございます。
峰子さんに
ならば新たな思い出を東田さんと作るというのはいかがですか?
と、ほざく旦那側弁護士。
結婚中、妻の財産を夫が管理するのは民法が定めたとおりです。つまらぬ嫌がらせはやめて、原告は もう一度夫婦生活をやり直すべきではないですか?いかがですか?
この日の裁判はこれで終わり。
慌てて出て行く よねに声をかける寅子。
法改正のことで気を落とされておいでなのかなって。
でも、あれか。裁判所に来たのはそれでも弁護士になるために頑張ろうって自分を鼓舞するためで。
身震いするほどおめでたい女だな。
あの裁判を見てどうやって自分を鼓舞できる?
着物なんて取り返せるわけがないのに。
えっ…峰子さんが裁判に負けるってこと?
うそでしょ?あんなにひどい目に遭わされてるのに?
法がお前の言う規則なのだとしたら、着物は返ってこない。
着物は夫のものだから。
女は常に虐げられてバカにされている。
その怒りを忘れないために私はここに来ている。
よねの言い方はどうかと思うけれど、確かにこの時代の女はこういうものだと知らなかった寅子はとてもおめでたい。
何度も書いてきているけれど、明治政府が作ったイエ制度は太平洋戦争後まで続いていた。
そして、戦後も昭和の男はそれをずっと続けてきたよね。
令和になってようやくアップデートが叫ばれてきたけれど、私の親世代はいまだに「家と墓は長男が継ぐもの」「家の財産は長男のもの」「妻は家の中のことをやるもの」「妻は夫に従うもの」「子供は親のもの」……みたいな頭のままで生きている。
明治政府の罪は重い。
先ほども書いたけれど、「そう思わず」育った猪爪家の子どもたちはとても自由で恵まれているのである。
結婚って罠
たいそうなショックを受けて帰宅した寅子に優三が解説。
民法第801条1項「夫は妻の財産を管理す」。
法律上、結婚した時点で妻は夫の管理下に置かれている。
ほら、トラちゃんが大学で質問した…。
無能力者?
そう。結婚したら妻は社会的無能力者となるため、夫は妻を庇護する義務があることを…。
そんなのすごく変!
なぜ性別で区別するの?
うん……ぼ、僕に怒んないで。
寅子は家の中で理不尽を叫ぶ。
罠だよ。
結婚って罠!
結婚すると女は全部男に権利を奪われて離婚も自由にできないって誰かに教えてもらった?教えてもらってないよね?
今さらそう思える自由な家の空気が羨ましいほどだ。
先ほども書いたように実は「結婚しようがしまいが女は」生まれた時から支配されていたのである。
生まれて父親に従い、結婚しては夫に従い、老いては子に従う。
ひどいね。
翌日、穂高先生は混乱極まる女生徒たちを集めて、説明をした。
法改正の遅れから確かに 婦人弁護士誕生の日は遠のいた。君たちが怒り悲しむのは当然だ。
だが法は必ず変わる。信じてほしい。君たちの進む道は明るい。
胸を張り前を向き、これまでどおり勉学にいそしんでほしい。
そこで発言する よね。
おっしゃるとおり、いつかは法も変わるでしょう。
ですが20年後30年後ということでは話になりません。
そして寅子は昨日の傍聴の話をした。
夫にひどい暴力を振るわれて家から逃げ出して離婚裁判を起こしていまして。裁判には勝訴したのですが、夫が控訴していて離婚は成立していない状況です。
そんな中、お母様の形見のお着物や持参したものを夫から取り返したいと新たな訴えを起こされたようです。
よねさんは絶対着物は返ってこないと言っていまして…。
どうしても納得できないんです。
本当に無理なのでしょうか?
ぽかんとする皆の前で、穂高先生は答える。
さあどうだろう。
法廷に正解というものはないからね。
正解を教えられたらいいんだが、すっきりとしない答えですまないね。
そしてニコニコと皆を見渡し、言うのだった。
そうだ。君たちならどう弁護するかどんな判決が出ると思うか考えてみるというのはどうだろうか?
面白そうだろ。君たちだってじ~っと座って難しい話を聞いているだけじゃ飽きるだろうしな。
そうね。ウトウトしている人たちも多かったしね(笑)
この提案を受けて、よねの顔も少し輝いたよう。寅子は言うまでもない。
梅子さんも何か思うところがあるよう。(もしかしたら弁護士の旦那さんとお別れしたい?……)
しかし、それだな。法に正解は無く、裁判の勝ち負けは「弁」次第。
どんな案件だろうが勝ちに持って行くのが弁護士の手腕。
これは良い課題。
なんだか、とっても盛り上がってしまった。穂高先生が素晴らしくて。
みんな、良い勝ち方を見つけて欲しいな。
明治時代のイエ制度をいつまでも続けているために戦前の女性の地位はとても低い。それをみんな諦めている。現状の裁判では勝てない。「では君たちならどう勝つか」ワクワクするよねーー何て面白いドラマ #虎に翼
— くう🎞️ (@kukucoo) April 10, 2024
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虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
『虎に翼』各回リンク