少年の犯罪の根本は家庭にあるから。大人が理解してあげなければ彼らは救われずに、その繊細な命を終えてしまう。
ミサンガ美佐江がそんな繊細な子として終わってしまうのは残念だ。
寅子(伊藤沙莉)の名前を知る少女は同級生の少年を突き落とした疑いで調査を受けていた。寅子は調査官の音羽(円井わん)とともに、少女の審判を行う。星家に顔を出した朋一(井上祐貴)は、航一(岡田将生)と寅子に本心を打ち明ける。一方、なかなか進まない美位子(石橋菜津美)の裁判に、轟(戸塚純貴)は時間がかかっているのは良い兆候だと美位子を励ます…(124話)
あらすじ は 公式サイトより引用
桂場(松山ケンイチ)に真っ向から意見した航一(岡田将生)だが、心ならずも寅子(伊藤沙莉)にまで心配をかける事態を引き起こしてしまう。航一と寅子が帰宅すると、星家には子供たちが集まっていた。審判のあと、訪ねてきた佐江子(辻沢杏子)は、寅子に対して驚がくの事実を突きつける…(125話)
連続テレビ小説「虎に翼」第25週「女の知恵は後へまわる?」第124・125話
感想
先週も簡単感想で終わってしまい、週末はいつも2日一緒……みたいになりつつある、そんな虎つばもついに最終週。
たくさん盛り込んだなぁという印象なのだけど、最終的には、とっても令和的だったので、この人たちが敷いた歴史の上に私たちが居るのだという気持ちには正直なれないかなぁ。
泣きじゃくる美佐江のそっくりさん
男子を階段から突き落とした美佐江にそっくりな少女の審判の日。
その子が私が大切にしてる手帳を返してくれなくて。返してもらおうと思って……。
ごめんなさい。
泣きじゃくる美佐江のそっくりさん並木美雪。
泣き方が「いかにも」で、このシーンだけで小者感が出てしまっていた。
あんたのお母さんはね……そんな簡単に泣いたりしないんだよ!
しかし、少年が美幸をからかって、意地悪で手帳を取り上げていて事故が起きたことは事実だったらしく、寅子は美雪を不処分とした。
彼女の審判はこれで終わり。
思わせぶりにニヤニヤしながら寅子の前へ出てきたのに。
いつも心によねさんを
木曜日の124回で私が一番気になったのは、よねさんを心に住まわせている=股間を蹴り上げる だったことだ。
司法試験に合格した涼子さまは弁護士にはならないという。
はあ?じゃあ何で試験を受けたんだ?
強いて言うなら、世の中への私なりの「股間の蹴り上げ方」かしら。
私をすぐに可哀想で不幸な存在に落とし込もうとする世の中に。
弁護士になれなかったんじゃない。ならなかった。
この先弁護士になるもならないも私の手の中にある。
せめて、そうしたかったの。
涼子さまは新潟で司法試験を目指す若者に教えたいのだそうだ。
新潟にお店を構えてからいつも心によねさんを住まわせて生きておりましたのよ。
はあ?何だそれ。
私が弱音を吐きそうになると、いつも心のよねさんが叱咤してくださるの。
よねさんは叱咤するというよりも吐き捨てたり怒鳴ったりする方だし、弁護士大丈夫?と思うほど口が上手くなかったので、手足が出てしまったりしていた。
それは個人的には「男も女に暴力をふるうから、女も男にやっちゃっていいよね?」という風に見えたし、蹴り上げたり怒鳴ったりするのは「弁」を目指す人たちのやり方とは違うよね……とスッキリしない思いでいた。
よねさんも今は成長して、まぁ、もう手は出さないし、怒鳴りそうになったら飲み込むようになっていると思う。
なのに「昔の乱暴なあなたを心に住まわせてます」と言われるのって……よねさんが気の毒に思えるのだった。
このドラマでは「男にやられて嫌なこと」を女性が男性にやっていたりする。
令和では女性のDVから逃げている男性も現実に居るのでね……あまり好きな描き方ではなかった。
航一さんの鼻血
あらゆるDVを実父から受け続けて、ついに殺してしまった美位子の裁判は、一向に進展せず。
少年法改正に反対する若手裁判官の左遷など、司法の場は混乱しているようだった。
朋一が裁判官を辞めると言い出したこともあり、航一さんは桂場長官の元へ行く。
桂場さんは、若手が集って政府に立ち向かおうとしている姿に学生運動を連想し、クーデターのような形になることを危惧して押さえているのだと私は思っていたのだけれど、え、そうではなくて本当に老害化していたのですか?
こちらに目を通していただけないでしょうか?昭和25年のあの判例を変更する時です。尊属殺の重罰規定が違憲かどうか大法廷でいま一度判断を迫る時ではないでしょうか?
と書類を出す航一さんを
これは駄目だ。受理はできない。
尊属殺を扱うのは時期尚早だ。分かるだろう?
と一蹴する桂場さん。
少年犯罪が急増し、道徳心の欠如や家族崩壊が問題になっている今、君は冷静な議論がされると思うのか?
航一さんは頭に血が上り、
法は法、道徳は道徳だと思いますが!
人は間違える。だから法がある。
だから法について考える際に万全な時を選ぶ。
尊属殺の規定が違憲であるかどうかを問う裁判をするならばなおさらだ。
反発は来るかもしれない。
でも、たとえどんな結果になろうとも判決文は残る!
ただ何もせず人権蹂躙から目をそらすことの何が司法の独立ですか!
と怒鳴ると、鼻血を出して桂場さんに手当てしてもらうはめに……。
まぁ……普段、怒らない人が頭に血が上るとこんなことになるよね……。
とは思うけれど、航一さんが「鼻血を流して気絶し、桂場さんの膝を借りて寝ている図」を見せたくて作ったシーンなのかなと思って、少しがっかりしてしまった。
この日は、ずっと緊迫感持ったままで良かったのでは。
ラストの衝撃に繋げるためにも、
美佐江の娘だった
視聴者「知ってた」という話だけれど、並木美雪は、やはり森口美佐江の娘だった。
美幸に付き添っていたのは祖母であり、美佐江の母である人だった。
新潟編ではオヤジばかりが出てきて、お母さんはいなかったものね。
美佐江の母は寅子に謝罪するのだった。
ずっと謝りたいと思っておりました。
あの時は娘を助けてくださろうとしたのに。
いえ私は…。
あの、今、美佐江さんは…。
美佐江は死にました。美雪が3歳になってすぐ車にひかれて…。
ここに美佐江が最期に残した言葉が書かれているんです。
差し出されたノートには赤いミサンガが挟まっていた。
「私はたしかに特別だった。私が望めば全てが手に入った。全てが思い通りになった。盗みも体を売らせることもできた」
「けど、この東京で私はただの女にすぎず、掌で転がすはずが知らぬ間に転がされていた。次々に沸く予期せぬことに翻弄された。」
「身籠れば特別な何かになれるかと期待したが無駄だった」
「私の中に辛うじて残る『特別な私』が消えぬうちに消えるしかない」
「あの人を拒まなければ何か変わったの?あの人は私を特別にしてくれたのだろうか?」
「車に轢かれた」とお母さんは言っていたけれど、「消えるしかない」と言うのだから、きっと自死。
そして寅子は
あの日、あと一歩だったのだ。
それなのに私は…。
私のせいで…。
と嘆いていたけれど、「あの人は私を特別にしてくれたのだろうか?」と言うのだから、寅子を思い通りにし損なったことを悔いているようにしか思えなかったな……。
これが「愛が少年を救う」を実行できなかったことの末路だと言われたら、私は少し納得いかない。
法は「少年」という特別な枠に向けるよりも、美位子さんのように鬼畜のおかげで苦しんだ人。
言うなら、美佐江の指示のせいで罪を犯してしまったような子たちこそ救うべきだと思うのだ。
さあ。最終週です。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
佐田(猪爪)寅子 – 伊藤沙莉
星航一 – 岡田将生
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
猪爪直人 – 琉人
猪爪直治 – 楠楓
佐田優未 – 毎田暖乃 ← 竹澤咲子(子役期 : 山中天喜→三上ひめな→斎藤羽結→金井晶)
佐田優三 – 仲野太賀
猪爪直道 – 上川周作
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑(汐見香子) – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
稲垣雄二 – 松川尚瑠輝
玉 – 羽瀬川なぎ
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
汐見圭 – 平埜生成
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
杉田太郎 – 高橋克実
杉田次郎 – 田口浩正
高瀬雄三郎 – 望月歩
深田仁助 – 遠山俊也
小野知子 – 堺小春
入倉 – 岡部ひろき
森口美佐江 – 片岡凜
穂高重親 – 小林薫
星朋彦 – 平田満
星百合 – 余貴美子
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
稲 – 田中真弓
壇 – ドンペイ
浦野 – 野添義弘
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
『虎に翼』各回リンク
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