お母さんが「現状の女性の立ち位置」に満足しちゃってる人じゃなくて良かった。
女学校に行かせてもらえなかった呪い。親の思い通りに結婚させられそうになった呪い。
それを娘にも体験させようとする親じゃなくて良かった。
穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部出願がはる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。娘に普通の結婚を望むはるは弁護士を目指すなど当然大反対で…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第1週「女賢しくて牛売り損なう?」第5話
感想
桂場は背中を押したつもりも、口添えしてやったつもりもないだろうが、結果的には寅子のために動いているという……。
しかしヒロインの相手役になるわけではない。
これからも要所要所で重大な位置づけになるのかと思うと楽しみね。
お母さんみたいになりたくない
あなたが優秀なことぐらい分かってます!
と、母は言う。
だから女学校に行かせた。
母さんは行きたくても行かせてもらえなかった女学校に……。
母さん、5人兄姉の4人目だったからね。
高等小学校までしか行かせてもらえなかった。
実家は大きな旅館。
跡を継がない者は、「実家のためになる結婚」をするのよね。「政略」と言えばそうなのだけれど、大きな家の人間はそういうものだった。
そんな中、はるさんは「旅館から遠く離れたい」その一心で父・直言に嫁いだらしい。
とにかくね、私は決めたの。
私は自分の子供の幸せを一番に考えられる母親になろうって。
でも、今やっていることは、たぶん、はるさんの母親と同じようなことですけれどね。
きっと、あなたはその女子部とやらでも勉学に励んで優秀な成績を収めることでしょう。
法律家にだってもしかしたらなれるかもしれない。でもなれなかった時は?
なれたとしても上手くいかなくてやめなくてはいけなくなった時は?
「なれなければなれないで考えたら?」という時代ではないので、母の心配も分からないではない。
つまり誰かと結婚して、せいぜい家の法律になることが、この段階での女性としては無難なのである。
頭のいい女が確実に幸せになるためには頭の悪い女のふりをするしかないの。
だからあなたは新しい、きれいな振り袖を着て、できるだけあなたに見合ったすてきな殿方とお見合いをするんです。絶対に!
ありがとう。私のこと心から愛してくれて。
でも私にはお母さんが言う幸せも地獄にしか思えない。
やりたいことも言いたいことも言えず、必死に家のことしても家族の前以外ではスンッとして。
スン?
だから私はお母さんみたいな生き方じゃなくて……。
これは、まずいことを言ったね。
お母さんみたいになりたくないっていうこと?
涙ぐむ母。
あなた、私のことそんなふうに見てたの?
違う!そういうことじゃ…。
誰だって娘に嫌われたくはないが、親の立場が絶対なこの時代においてはショック以上のものがあるだろう。
母がこの後、どうしたかというと、
黙って「無かったこと」にした!
次の朝、
おはよう。
女学校近くの、ほら、御茶ノ水に「竹もと」っていう甘いもん屋さんがあるでしょ。そこで待ち合わせにしましょう。
振り袖、買いに行くって言ったでしょ。
説得できずに終わった……。
六法全書
解決策もなく、母と約束した甘み屋「竹もと」へ入った寅子の目に飛び込んできたのは、あの日、大学で「女性は無能力者」の講義を行っていた桂場だった。
正確には、「美味しそうな団子を目の前に、ちょっと笑みを浮かべてかぶりつく寸前の桂場」だったのだが、寅子はおかまいなしに語り始める。
猪爪寅子です。その節はありがとうございました。
私は別に何も。
いえ、あの時背中を押していただいたおかげで明律大学女子部法科への道が開けました!いや……まだ完全には開けてはいないのですが。実は母に女子部進学を反対されておりまして…。
あの、先生ならばどのように母を説得されますか?
全く背中を押してくれたようには見えなかったけれど(笑)寅子にとってはそういう人らしい。
私も女子部進学には反対だ。
えっ…何でですか?
君が女だからだ。
恐らく、法科女子部というのは穂高先生の先走り計画(大学側から見たら)で、成功するとは誰も思っていなかったのだろう。
つまりは、そう思われるくらい女性には何の権利もなかったということ。
穂高先生の言葉にだまされない方がいい。
あの方のお考えは進んでおられて素晴らしい。
だがあまりに非現実的だ。
君は頭がいいんだろう。
女学校で1番だったかもしれないが。
2番です。
とにかく時期尚早だ。
いつかは女が法律の世界に携わる日が来るかもしれない。
だが今じゃない。
母親一人説得できないようじゃ話にならない。
この先戦うのは女だけじゃない。
優秀な男と肩を並べて戦わなければならなくなるんだよ。
口元まで団子を持って行くも食べさせてもらえない状況、数回(笑)
お黙んなさい!
突然怒鳴られて団子を持ったまま固まる桂場さん。
お母さん!
お母さん!?
何を偉そうに。
あなたにうちの娘の何が分かるっていうんですか?
なにが時期尚早ですか。泣いて逃げ出すですか。
そうやって女の可能性の芽を摘んできたのはどこの誰?
男たちでしょ!
そんな、私に感情的になられても…。
自分にその責任はないと?
それならそうやって無責任に娘の口を塞ごうとしないでちょうだい!
さっきまで娘の口をふさごうとしていたのは自分自身なのに、状況の変換で位置が変わったらしい。
結局、団子を持ったまま、全女性の敵のような位置にされた桂場さん。お気の毒です。
もはや母の頭から「娘のお見合い」は消え、プンプン怒りながら向かう先は呉服屋ではなく書店だつた。
「六法全書」下さい。
お振袖は六法全書に変わり、寅子の人生も変わった。
寅子。何度でも言う。
今お見合いした方がいい。
その方が間違いなく幸せになれる。
それでも本気で地獄を見る覚悟はあるの?
ある!
一週目、勢いがあって、行く先が明確で、広店に迷いがなくて、ストーリーがグダグダしていなくて……
何よりもセリフの応酬が気持ちよく、楽しかった!
間違いなく、続きが楽しみだと思える好感触な出だし。
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虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
米谷花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
『虎に翼』各回リンク