寅子が法学者の先生に投げかけた言葉は、とても考えさせられるように見えるけれど、判事としては、あまりにも原告寄りなのではないだろうかと思ってしまった。
思考がどちらかに寄ってしまったら、きれいな水が正しく流れていくような判断はできないのでは……。
原爆投下は国際法に違反しているかどうか、原告・被告双方が国際法学者による鑑定を求めた。竹中(高橋努)の記事によって「原爆裁判」に世間の注目が集まりはじめる。一方、星家では百合(余貴美子)の認知症が進行。寅子(伊藤沙莉)は航一(岡田将生)・優未(毎田暖乃)と共に懸命に百合を支えるが、寅子自身の体調もすぐれない日々が続く…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第23週「始めは処女の如く、後は脱兎の如し?」第113話
感想
簡単感想で(今日も……)。
結構なものを背負わされてる
前回、法学者の嘉納教授が述べた
原爆投下が国際法違反だとは必ずしも断定できません。
原子爆弾は新しい兵器であるために原子爆弾そのものを禁止する規定は、投下当時も現在も、国際法上には存在しません。
日本国は米国に対する損害賠償請求権を平和条約第19条において放棄したとの解釈ですので、(賠償は)法的には不可能だと考えます。
に対し、寅子は最後に
鑑定人は米国にも国にも賠償責任を求められない場合、「今」苦しんでいる被爆者はどこに助けを求めればよいとお考えですか?
と問う。
法学者は法学上の話を裏付けとして述べたに過ぎず、これは法学者に向かって言っても仕方ないことだろう。
善意ある人間として、日本人として、そう言いたい気持ちは分かるけれど、ここは鑑定人を責める場ではないし、教授が気の毒になってしまった。
裁判後、被告代理人・反町に向かって、
被爆者の方々には同情するが賠償権が存在するとは到底言い難い。政府による別の救済方法を考えるべきだと思うがね。
と、思わず言ってしまう教授である。教授だって、賠償されなければいいなんて思ってはいないし……
この法廷で争われている点はそこではありません。
被爆者個人への同情から国際法を拡大解釈するわけにはいかない。
法は法。それだけです。
と答える反町だって、被爆した方々に何もしたくないと思っているわけではない。
お互い結構なものを背負わされてるね。
と、つぶやく教授に反町は何も答えなかった。
こんな裁判で国側に回るなんて、嫌に決まっているだろう。
被告側の証人
第一回の裁判では傍聴席がガラガラだった。
(笹山のおじさんが来てくれていないのは寂しいけれど、道男の様子だとたぶん、介護されている状態なんだろうなぁ……)
そんな中、この裁判を記事にしてくれたあの竹中さんのおかげで、一気に注目が集まった。
現代の感覚では、んな馬鹿な。という感じだけれど、昭和36年。それでも戦後16年も経つのに、被災者に対する世間の関心は本当に薄かった。
いや、薄かった、というよりも、蓋をしてきたと言った方が早いかも知れない。
被爆した、あるいは被爆者2号、3号と、原爆を受けた人たちは戦後、差別に遭い始めた。
被爆者であるために就職も結婚も決まらず、近寄ると移るというバカらしい噂まで流れたのである。
これは世界中で起きていた現象だけれど、第二次世界大戦に関する自国の行いを、どの国も大っぴらにしなくなった。
国の中には被害者もいれば独裁者関係の遺族もいる。
ドイツのアウシュビッツ裁判も1964年。自分の親がナチスの関係者だったと知らずに育った子どもたちもいた時代である。
自分にユダヤ人の血が少しでも流れていたと知らずに育った人たちもいる。
みんながあの時代に起きたこと、起こしたことに蓋をして、沈黙してきた。
世界中でその蓋が少しずつ開かれ始めたのがこの時期だったのかもしれない。
法廷に立ってくれるそうだ。原告の吉田ミキさんが!
連絡を受けて岩居先生は大喜びだったが、轟は顔を曇らせた。
ほかの原告4人には断られたじゃないですか。
この裁判は徐々に世間の関心を集めてきています。
彼女だけが矢面に立てばどうなってしまうのか。
損害賠償で得られる金は彼女が一生苦労しないで済むものですか?
この先、彼女が味わうことを思うと…。
それは轟自身がマイノリティだからこその不安であり、そんな轟に
それを決めるのはお前じゃない。
どの地獄で何と戦いたいのか決めるのは彼女だ。
とビシッと言った よねさんは流石に強いと思うのだった。
財布がない
これと百合さんの痴ほうを被せてくる構成がよく分からないけれど、星家の人たちも戦っているということなのかしら?
ところで、百合さんが「財布がない」と騒いでいたけれど、老人性のアルツハイマーになると、本当に財布やお金のことを心配して泣いたり怒ったりするらしい。(知りあいのご家庭で何件か本当にあった事象)
電子マネーの時代になり、私たちがこうなった時は何を探すのだろう……やっぱりスマホかな、などと思ってしまった。(どうでもいいですね、すいません)
のどかさんは百合さんに進路を反対されたらしいけれど、おとなしく家族の言いなりになっていた百合さんにそんな権限があったのかしら。謎だわ。
これは以前も書いたけれど、このドラマは女性を強くしたいのか蹴ったり突飛ばしたりしすぎ。
優未ちゃんには人を蹴るようなことはしてほしくなかった。
ところで「みるはち」では、あなたのベスト朝ドラ投票所 をリニューアル。よろしければぜひ。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
佐田(猪爪)寅子 – 伊藤沙莉
星航一 – 岡田将生
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
猪爪直人 – 琉人
猪爪直治 – 楠楓
佐田優未 – 毎田暖乃 ← 竹澤咲子(子役期 : 山中天喜→三上ひめな→斎藤羽結→金井晶)
佐田優三 – 仲野太賀
猪爪直道 – 上川周作
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑(汐見香子) – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
稲垣雄二 – 松川尚瑠輝
玉 – 羽瀬川なぎ
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
汐見圭 – 平埜生成
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
杉田太郎 – 高橋克実
杉田次郎 – 田口浩正
高瀬雄三郎 – 望月歩
深田仁助 – 遠山俊也
小野知子 – 堺小春
入倉 – 岡部ひろき
森口美佐江 – 片岡凜
穂高重親 – 小林薫
星朋彦 – 平田満
星百合 – 余貴美子
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
稲 – 田中真弓
壇 – ドンペイ
浦野 – 野添義弘
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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