羽鳥先生はスズ子が羨ましいのだろうな、と思った。
裏切りのショックと自由への羨望で絶望したまま言葉を発する草なぎ剛の演技が秀逸。
オールスター男女歌合戦を全力で歌いきったスズ子(趣里)の評判は最高のものとなった。水城アユミ(吉柳咲良)はスズ子の楽屋を訪れ、スズ子の歌に感激し、自身ももっと勉強しなければと思ったと伝える。年が明け、雑誌の紙面には「ブギの女王復活」の見出しが踊る。しかし、スズ子自身は、ある大きな決断をしようとしていた。スズ子は、その決断を胸に抱き、羽鳥善一(草彅剛)のもとを訪ねる…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「ブギウギ」第26週「世紀のうた 心のうた」第122話
感想
子どもの頃から、スズ子と家族を繋いできた「歌」。
回想にほのぼの泣ける。そうだね、そんな小さなころからあんたは歌ってた。私はずっと見て来たよ……。
最終週でこういう気持ちになれる朝ドラは大体名作。
「完全復活」と書かれる
年末の歌合戦が終わり、脱力するスズ子の楽屋に水城アユミがやって来る。
「ラッパと娘」を歌いたいなんて言ったこと、本当にすみませんでした。
まだまだ私には力が足りません。
今日の福来先生の舞台を見てよく分かりました。
もっともっともっと勉強し直してきます。
神妙な面持ちだったけれど……。あの表情を見て、
え?あんた、本気で「勝てる」と思って、上から挑んできていたの?
……と、思ってしまった。
「尊敬しているから歌わせてほしい」という話だったと思うけれど、本気の「合戦」だったのかしら。何だか少し、嫌な子に見えた(笑)まあ、何でも勝ちたいと思ってしまうのは若気の至り。
新聞や雑誌では「福来スズ子 完全復活」などと書かれ、そうか……鮫島じゃなくても「復活」と書いてしまうほど、スズ子は落ちていたのかな。と納得する。
そんな中、スズ子は決意を宣言するために羽鳥先生の元へ向かうのだった。
決意と絶縁
ワテ……歌手を引退しようと思います。
麻里さんは驚き、狼狽した模様で、スズ子を褒めたたえる雑誌記事などを見せてくる。
こんな麻里さん、初めてかも。
羽鳥先生の表情は、ほとんど動かない。
理由はいろいろある気がするんですけど、一つ確かなのはワテは年末の「歌合戦」で燃え尽きたと思いますねん。
ワテは、あの子から……水城さんからとてつもないエネルギーをもろてあれだけのステージがでけたんやと思うてます。
あれ以来、何や体にも力が入らんいうか……。
ほとんど表情を変えなかった羽鳥先生が口を開く。
僕はね、もしかしたら福来くんは今までとは違った気持ち、何か、決意といってもいいのかな……そんな思いであの「歌合戦」の舞台に立つんじゃないかって、君を見ていてそう思っていたんだ。
でもまさか……引退とは思わなかったねえ。
それは全くの予想外でした。
表情は硬く、口調は重い。
「予想外」だと先生が言うことについては。見ている方も予想外だったわ。
予想していたからこその厳しい表情なのだと思っていた。
しかし、この人も変わってしまったな。
それは「老い」なのだろう。
以前だったら、スズ子の意志などお構いなく、「新しい曲が出来たんだよぉ!まぁ聞いてくれ。ほら、これが楽譜だよ!ワン トゥ スリー……」と、自分のやりたい方向に引っ張って行っていただろう。
福来スズ子が燃え尽きたように、本当は羽鳥善一も燃え尽きたかったのかもしれない。
しかし一度高名になってしまった作曲家には仕事が来る。
もちろん、モデルの服部良一氏は笠置シズ子さんと組まなくなって以降も名曲をたくさん出している。羽鳥先生もこの先もご活躍されるのだろう。
けれども、先生にとっての音楽の「青春期」はスズ子と共にあった。
人間は、振り返り始めたら、下っていくんだよね。
でも回想しながら下ることは決して不幸ではないのだけれど。「決断」する時は、きっと誰でも、つらい。
確かに水城アユミはすごかったねえ。
僕も聴き入ってしまったよ。
でもね…僕は君を引退させないよ。
君が引退するということは、今まで作ってきた歌を全て葬り去ることになる。
歌を殺すことになる。
そんなことは絶対に僕は許さないよ。
君が舞台で喜劇をやろうが映画女優をやろうが僕は一向に構わない。
でもね、君は死ぬまで歌手なんだ。
歌を葬り去ることだけは絶対に許さないよ。
もしも君が本当に歌手をやめると言うなら、
僕は君と絶縁します。
歌は永遠だ。
羽鳥先生だって、そんなことは分かっている。
「スズ子が葬ろうとしている」と、羽鳥先生に感じさせてしまうのは、「歌」ではなく、「2人で作り上げて来た青春の思い出」なのだろう。
本当は、それだって、歌と同じくらい永遠なのだけれどね。
タケシの反応が意外だったな。
僕は認めない!
大野さんがタケシを庇う、その気持ちが優しい。
ああ見えで一番間近で歌手の福来スズ子さんを見できた人ですがらね。
「認めない」
お母ちゃんはお父ちゃんは、みんなは何と言うだろう。
スズ子と家族を繋いできた「歌」。
最期までスズ子推しを続けた愛助さんは何というだろう……。
その忘れ形見はスズ子を優しく抱きしめている。
マミーが嫌やったらやめてもええって思うけど、マミーの歌が聴かれへんようになるのは寂しいわ。 せやけどホンマにマミーが嫌やったらやめてもええねんで。
それがきっと、愛助さんの声でもあるのだろう。
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ブギウギ キャストとスタッフ
キャスト
花田鈴子 – 趣里(子役時代:澤井梨丘)
花田梅吉 – 柳葉敏郎
花田ツヤ – 水川あさみ
花田六郎 – 黒崎煌代
橘アオイ – 翼和希
大和礼子 – 蒼井優
白川幸子/ リリー白川 – 清水くるみ
桜庭辰美 / 桜庭和希 – 片山友希
秋山美月 – 伊原六花
股野義夫 – 森永悠希
林 – 橋本じゅん
大熊 – 升毅
易者 – なだぎ武
アホのおっちゃん – 岡部たかし
アサ – 楠見薫
熱々先生 – 妹尾和夫
ゴンベエ – 宇野祥平
三沢光子 – 本上まなみ
タイ子 – 藤間爽子
ハット – 福徳秀介
コック – 後藤淳平
茨田りつ子 – 菊地凛子
羽鳥善一 – 草彅剛
羽鳥麻里 – 市川実和子
羽鳥カツオ- 中谷悠希(子役時代 : 髙田幸季)
小村チズ – ふせえり
小村吾郎 – 隈本晃俊
伝蔵 – 坂田聡
松永大星 – 新納慎也
辛島一平 – 安井順平
中山史郎 – 小栗基裕
一井 – 陰山泰
二村 – えなりかずき
三谷 – 国木田かっぱ
四条 – 伊藤えん魔
五木ひろき – 村上新悟
小林小夜 – 富田望生
大林林太郎 – 利重剛
藤村薫 – 宮本亞門
山下達夫 – 近藤芳正
佐原 – 夙川アトム
田中鷹雄 – 高阪勝之
棚橋健二 – 生瀬勝久
東 – 友近
鮫島鳥夫 – みのすけ
おミネ – 田中麗奈
小島 – 田村裕
大野晶子 – 木野花
水城アユミ – 吉柳咲良
柴本タケシ – 三浦獠太
高橋 – 内藤剛志
村山愛助 – 水上恒司
村山トミ – 小雪
坂口 – 黒田有
矢崎 – 三浦誠己
大西トシ – 三林京子
大西タカ – 西村亜矢子
大西ヒデオ – 湯浅崇
治郎丸和一 – 石倉三郎
治郎丸ミネ – 湖条千秋
西野キヌ – 中越典子
語り – 高瀬耕造
ブギウギ スタッフ
◆制作 : NHK(BK)
◆制作統括 : 福岡利武,櫻井壮一
◆プロデューサー : 橋爪國臣
◆演出 : 福井充広,二見大輔,泉並敬眞,鈴木航,盆子原誠
◆脚本 : 足立紳,櫻井剛
◆音楽 : 服部隆之
◆主題歌 : 中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
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