親子それぞれ、言ってはいけないことを言ってしまっているなぁ……。
個人的にはスズ子寄りになってしまうけれど。
梅吉さん。娘に支えてもらうばかりで、娘の辛い時期を支えてあげることはできない……。
スズ子(趣里)は、弟子にしてほしいと飛び込んできた小林小夜(富田望生)の面倒を見ることになった。梅吉(柳葉敏郎)といつの間にか打ち解けあっていた小夜。スズ子は小夜に梅吉の世話をするようにとお願いするのだが…。楽団では、徴兵で人員はどんどん減ってしまっていた。スズ子も相変わらず三尺四方の枠の中でおとなしく歌うことしかできず、客は退屈し、空席が目立つようになっていた…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「ブギウギ」第9週「カカシみたいなワテ」第43話
感想
見たくないなら見なきゃいい。……ドラマや映画にネガティブな感想を入れると、そういう煽りコメントが必ず付くお約束なわけだが、同意してくれる方もいるわけで。
万人が納得する何か、というのは存在しない。
梅丸のお客はわざわざお金を出して劇場に足を運んでくるわけなんだよね。
だから「らしい」舞台を見たいんじゃないのかなぁ……と、思っていたのだけれど、みんながそういうわけでもないのか……。
誰のために何をすればいいのか
スズ子がかかしになってから、客足はどんどん遠のいているらしい。
もちろん出し物としてはスズ子の歌だけではないだろうから、歌劇もダンスもみんな棒立ちのコーラスのようになっているということかしら。
あの、辛島さん。
お客さんだいぶ減ったみたいやけど、大丈夫…でっか?
ステージ後に頭を抱える辛島さんにおずおずと声をかけるスズ子。
大丈夫じゃないよ。
このままじゃ梅丸楽劇団は解散だ。
ほんならやっぱり、このままやったらあかんいうことやないですか!
警察の言うとおり行儀ようやってたら取り返しのつかへんことに…。
じゃあどうしろって言うんだ?
警官に袖の下でも渡すのかい?
机の下から大きな箱を取り出す辛島さん。
そこにヘソクリでも入っているのかと思っちゃった……。
上からザーーッと引っくり返すと……
本来ならばファンレターが出て来るはずなんでしょうね。
そこから出て来た手紙の束は「非国民」をなじる愛国者たちの声だった。
我々を縛っているのはなにも警察だけじゃない。
以前から大衆の一部にも梅丸の公演は不真面目だ何だと非難する声はあったんだ。
その声も今や……一部では済まなくなってる。
音楽を楽しみたい人たちとただしたい人たちの板挟みだよ。
誰のために何をすればいいのか分からなくなる…。
だって、そもそもダンスもドレスもステージの音楽も西洋から来たものだものね……。
それは前期の『らんまん』の時代に田邊教授たちが一生懸命日本に広めて来たものだった。
取り入れたのに追い出す。
何という馬鹿馬鹿しい損失。
辛島さんの姿を見て、声も出ないスズ子である。
見に来るお客さんが減るのは、自分がカカシになったせいだと思っていた。
けれども、もうとっくに人心は離れていたのである。
「非国民」だから……。
役立たず
モヤモヤしたまま家に帰ると、ブチ切れるようなことが待っていた。
弟子入りしたいと言ってスズ子の元に転がり込んできた小林小夜に梅吉の世話を任せて家を出た結果、下宿の部屋で酒盛りが行われていたのである。
お酒てどないしたん?
買ったに決まってっぺね。
ねえ。
あのお金は食事に使うようにって言うたはずやろ。
ワシが頼んだんね。お父ちゃんに酒買うてきてくれいうて。
お父ちゃん?
そうや。
六郎の嫁にしよう思うてんねん。
こんな楽しい子、嫁に来てくれたら毎日笑て暮らせるわ。あははは!
オレも六郎さんのお嫁さんなるのが夢だったんだあ。
ほら見で。カメも喜んでる!
小夜チャンダイスキ。
小夜ちゃんは酔っぱらっているので仕方ないのかもしれないが……。
出征した、大事な弟の留守に勝手に嫁の座に座ろうとしているこの女を許せないと思うのは当然な気がする。
自分に当てつけるように「新たな娘」を勝手に作る梅吉のことも許せないに違いない。
……で、ブチ切れる。
出てって。
あんた歌手になるのが夢や言うてなかった?
弟子にしてくれ言うてついてきたんやろ?
んだげど、お父ちゃん…。
あんたの父ちゃん、ちゃう!
出てって。
楽しくてちっと調子に乗り過ぎでしまった…。
出でいぎます。お騒がせして申し訳ございませんでした。
小夜は、ちょっと不貞腐れたように出て行った。
鬼やのう。
身寄りがない言う子を放り出して。
恥ずかしい。
今のお父ちゃんはとことん情けない。見てられへんわ。
もっぺん言うてみい。
何べんでも言うたる!
お父ちゃんは情けない!かっこ悪い!ホンマの役立たずや!
ああ、そのとおりや!
わしゃ飲むことと寝ることしかでけへんからのう!
分かってんねやったらしっかりして!
ワテ、お父ちゃんのことばっかり構ってられへんねん!
お母ちゃんとは違うんやから。
冷たいのう。小夜ちゃんの方がよっぽど娘みたいやった。
綱渡り過ぎてドキドキしてしまった。
だって、「お父ちゃんの子」じゃないのは自分も一緒だし、そういう子どもを育てて来たのは梅吉の慈悲である。
「身寄りのない子」がブーメランになって返って来るのではないかと心配した。
さすがにそこまでは言わなかったけれど……。
言ったら仕舞いやん。
「ツヤさんが連れてきた子」は、ツヤさんの喪失と共に消えてしまうような弱い家族関係ではないはずだ。
「役立たず」もスズ子が今の梅丸のカカシである自分自身に対して感じていることだろう。
つい口から出てしまった、なかなか取り消せない悪態。
仲直りはしてほしいわ。
そのうちどうせ……
ここにも爆弾が降って来るのだから……。
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ブギウギ キャストとスタッフ
キャスト
花田鈴子 – 趣里(子役時代:澤井梨丘)
花田梅吉 – 柳葉敏郎
花田ツヤ – 水川あさみ
花田六郎 – 黒崎煌代
橘アオイ – 翼和希
大和礼子 – 蒼井優
白川幸子/ リリー白川 – 清水くるみ
桜庭辰美 / 桜庭和希 – 片山友希
秋山美月 – 伊原六花
股野義夫 – 森永悠希
林 – 橋本じゅん
大熊 – 升毅
易者 – なだぎ武
アホのおっちゃん – 岡部たかし
アサ – 楠見薫
熱々先生 – 妹尾和夫
ゴンベエ – 宇野祥平
三沢光子 – 本上まなみ
タイ子 – 藤間爽子
ハット – 福徳秀介
コック – 後藤淳平
茨田りつ子 – 菊地凛子
羽鳥善一 – 草彅剛
羽鳥麻里 – 市川実和子
小村チズ – ふせえり
小村吾郎 – 隈本晃俊
伝蔵 – 坂田聡
松永大星 – 新納慎也
辛島一平 – 安井順平
中山史郎 – 小栗基裕
一井 – 陰山泰
小林小夜 – 富田望生
大林林太郎 – 利重剛
藤村薫 – 宮本亞門
二村 – えなりかずき
五木ひろき – 村上新悟
山下達夫 – 近藤芳正
佐原 – 夙川アトム
田中鷹雄 – 高阪勝之
棚橋健二 – 生瀬勝久
東 – 友近
鮫島鳥夫 – みのすけ
村山愛助 – 水上恒司
村山トミ – 小雪
坂口 – 黒田有
大西トシ – 三林京子
大西タカ – 西村亜矢子
大西ヒデオ – 湯浅崇
治郎丸和一 – 石倉三郎
治郎丸ミネ – 湖条千秋
西野キヌ – 中越典子
語り – 高瀬耕造
ブギウギ スタッフ
◆制作 : NHK(BK)
◆制作統括 : 福岡利武,櫻井壮一
◆プロデューサー : 橋爪國臣
◆演出 : 福井充広,二見大輔,泉並敬眞,鈴木航,盆子原誠
◆脚本 : 足立紳,櫻井剛
◆音楽 : 服部隆之
◆主題歌 : 中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
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