戦争を挟んで年越ししたので、年が明けてもまだ戦時中のブギウギである……。もっともこの戦時中が笠置シヅ子さんの一番幸せな時期だったのだろうから、仕方ない。
今年もよろしくお願い致します。
上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽をやりたいと考える。スズ子(趣里)は慰問で富山に訪れる。泊まった旅館で、スズ子はある女中と知り合う。りつ子(菊地凛子)は、鹿児島の海軍基地を訪れる。そこで、特攻隊員のために歌ってほしいと要請を受ける。戦時下で、それぞれの活動をする3人。上海で、李香蘭(昆夏美)の歌声が響き渡る…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「ブギウギ」第14週「戦争とうた」第65話
感想
国民は空襲に苦しみ、特攻隊も出てきて、太平洋戦争も終盤。
なのに、こんなスタイルを「普段着」として貫いているらしい茨田さん。
さすがに燃えるけど……。
ぜいたくは敵
富山県高岡市へ慰問に行ったスズ子とその楽団。
旅館は空襲の被災者を受け入れていて、相部屋……というより看護部屋。
従業員は看護駆り出しされ、バタバタした状態。
これまでもぉ大きな工場とかにぃ爆弾落とされることはあったがいけど、今回はぁ街も人も見境なしで……大勢死んだがですっちゃ。
女将の話を聞いて、スズ子も思わず顔が曇る。
ワテの歌、聴いてもらえるやろか……。
忙しそうな仲居の幼い娘を預かることになったスズ子たちは、食事の場にも子供を同席させて一緒に食べていた。
母親が血相変えて娘を叱る。
幸!お客さんのものにぃ手ぇ出されんちゃ!
ええから。ワテおなかいっぱいやねん。
ぜいたくさせたらぁ癖になりますから!
ぜいたくはぁ敵です。
一杯やりたい、などと言っていた楽団のメンバーもみんな反省するのだった……。
ぜいたくか……。まあ、そうですよね。
ご時世を思えば十分ぜいたくだ。
スズ子は、後で、この仲居の夫は戦死したのだと知る。
六郎の顔が浮かぶ。
出征前はぁ、高岡で教師をしておりました。
とても真面目な人でぇ…。
ごめんなさい。
どうして謝るがですか?
そやかて……おつらいでっしゃろ?
夫は私の誇りながです。
お国のためにぃその命をささげました。
つらくはぁないがです。悲しくもないわ。
夫からのぉ手紙に書いてあったがです。
「幸を頼む。勝って帰る」って。
日本は…勝てるやろか。
勝ちます。
そうでなきゃ夫は犬死にです。
戦死を悲しむ。それ自体が「不謹慎」で「非国民」なのだろう。
上層部はとっくに日本は負けることを分かっていながら「国民総攻撃」を沁み込ませるために「喜んで国に捧げる」ことを強要した。
国民が全員死んでしまう国なんて勝てるわけもないのに。暴力を伴う洗脳とはこんなにも恐ろしい。
「ぜいたく」という幸せを、拒否して生きないと耐えられない。
そんな時代だ。
特攻隊
その頃、茨田りつ子も鹿児島の海軍基地に慰問に行っていた。
りつ子の服装を見て、少佐の顔はきつくなった。
明日もその格好で歌うおつもりですか?
まさか。これはふだん着です。本番はもっと華やかにいきますよ。
明日はあくまでも我々の士気を高揚させるための余興です。浮ついた格好で歌われては士気が下がる。
茨田りつ子だって、どこかで空襲には遭っているだろうに……いつもそのヒラヒラの格好で避難していたの……?
それと、曲目に関してですが「海ゆかば」は歌えますか?
歌えません。
では「同期の桜」は?
歌えません。
では何が歌えるんですか?
軍歌は性に合いません。
茨田さん、ここは海軍基地ですよ。
私でお役に立てないようなら帰ります。
その時、りつ子はまだ若い兵士たちが廊下から自分を嬉しそうに覗いているのを見た。
茨田りつ子だ…。
ブルースの女王?
本物だぞ…。
本物だ。すげえ。
少年のような部下を少佐は叱って持ち場へ帰らせた。
あの子たちは。
特攻隊員です。
祖国のため命令が出ればただちに出撃しなければなりません。
もしかしたら歌の途中で中座しなければならないかもしれない。そしてその時は恐らく彼らは二度と 戻ってくることはない。
死にゆく彼らには何も持たせてやれません…。茨田さん、せめていい歌を聴かせてやってください。
しかし軍歌は…。
では…隊員たちが望むものではどうでしょうか。
分かりました。
頼みます。
少佐の親心である。
本当は、こんな面倒くさいプライドの高いアーティスト、帰ってもらいたいくらいだろう。
けれど、明日死ぬかもしれない少年兵たちは、ブルースの女王と会えたことを心から楽しんでいる。
茨田りつ子はここに来て、初めて「人のために歌う」気になるのかな……。
送り出す歌を。
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ブギウギ キャストとスタッフ
キャスト
花田鈴子 – 趣里(子役時代:澤井梨丘)
花田梅吉 – 柳葉敏郎
花田ツヤ – 水川あさみ
花田六郎 – 黒崎煌代
橘アオイ – 翼和希
大和礼子 – 蒼井優
白川幸子/ リリー白川 – 清水くるみ
桜庭辰美 / 桜庭和希 – 片山友希
秋山美月 – 伊原六花
股野義夫 – 森永悠希
林 – 橋本じゅん
大熊 – 升毅
易者 – なだぎ武
アホのおっちゃん – 岡部たかし
アサ – 楠見薫
熱々先生 – 妹尾和夫
ゴンベエ – 宇野祥平
三沢光子 – 本上まなみ
タイ子 – 藤間爽子
ハット – 福徳秀介
コック – 後藤淳平
茨田りつ子 – 菊地凛子
羽鳥善一 – 草彅剛
羽鳥麻里 – 市川実和子
小村チズ – ふせえり
小村吾郎 – 隈本晃俊
伝蔵 – 坂田聡
松永大星 – 新納慎也
辛島一平 – 安井順平
中山史郎 – 小栗基裕
一井 – 陰山泰
二村 – えなりかずき
三谷 – 国木田かっぱ
四条 – 伊藤えん魔
五木ひろき – 村上新悟
小林小夜 – 富田望生
大林林太郎 – 利重剛
藤村薫 – 宮本亞門
山下達夫 – 近藤芳正
佐原 – 夙川アトム
田中鷹雄 – 高阪勝之
棚橋健二 – 生瀬勝久
東 – 友近
鮫島鳥夫 – みのすけ
村山愛助 – 水上恒司
村山トミ – 小雪
坂口 – 黒田有
大西トシ – 三林京子
大西タカ – 西村亜矢子
大西ヒデオ – 湯浅崇
治郎丸和一 – 石倉三郎
治郎丸ミネ – 湖条千秋
西野キヌ – 中越典子
語り – 高瀬耕造
ブギウギ スタッフ
◆制作 : NHK(BK)
◆制作統括 : 福岡利武,櫻井壮一
◆プロデューサー : 橋爪國臣
◆演出 : 福井充広,二見大輔,泉並敬眞,鈴木航,盆子原誠
◆脚本 : 足立紳,櫻井剛
◆音楽 : 服部隆之
◆主題歌 : 中納良恵・さかいゆう・趣里「ハッピー☆ブギ」
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