「小学校も出とらん虫けら」と言われた記憶が何度も蘇る。
つくづく、本当に酷いことを言うよね。
佑一郎(中村蒼)が、万太郎(神木隆之介)を訪ねて十徳長屋へとやってくる。佑一郎から、ミシシッピ川の治水工事の技師としてアメリカに行くと報告を受けた万太郎は、蘭光(寺脇康文)と3人で仁淀川へ行ったあの日に思いを馳(は)せるのだった。万太郎は、佑一郎に田邊(要潤)とのことを相談するが、「教授だけがすべてではない」と励まされる。一方の寿恵子(浜辺美波)は、えい(成海璃子)に内職の相談をする…
あらすじ は Yahoo!テレビ より引用
連続テレビ小説「らんまん」第14週「ホウライシダ」第69話
感想
よき友は、親友が受けた屈辱を一緒に悔しがってくれ、他の道を指し示してくれる。
その方向に「留学」はなさそう。
槙野万太郎に正規のルートは必要ない。岩を崩しながら進めばいいんだよ。
金色の道じゃ
懐かしい親友・広瀬佑一郎くん。
懐かしい……といっても、東京に出てきてからまず面倒見てくれたのは彼だし、この時代だから頻繁に連絡を取ったりはできなかっただろうけれど、東京=佑一郎と考えてもいいのかもしれない。
まぁ、視聴者的には、お久しぶりです。
寿恵子さん、広瀬佑一郎君。
一緒に名教館に通いよった幼なじみじゃ。
と寿恵子さんに紹介すると、
へえ~……ここ?
慌てて否定する佑一郎。
えっ……!じゃないですき!
親戚の屋敷を紹介したがですけんど、万太郎、荷物が多いき自分で探すと。
それにしたち、とんでもない下宿じゃ。
とても新婚の家に見えんのう。
私も結婚したら引っ越すのかと思ってました(笑)でも、朝ドラなのでセット撮りの都合もあるし(こらこら)、と、とにかく荷物が多いしね……。
まあ、竹雄がおらんなっても大丈夫そうじゃのう。これで憂いがのうなった。
何じゃ?その口ぶり。永の別れみたいに。
ホンマに永の別れになるかもしれんきのう。
おまんの顔を見ちょきたかった。
アメリカに行くがじゃ。
学歴、留学……、今、万太郎にグサグサ来る話が目の前に現れる。
家のために官費で行ける札幌の農学校に入り、土木を学んだ佑一郎。
うちは武家で没落しましたきね、後がなかった。
ほんじゃき、金のかからん官費で行ける札幌農学校を選んだがです。
ほんで、アメリカ人の先生にも出会えた。
アメリカ人の先生?
そう。寿恵子さんもね、ダンスを学んだよね。
その先生が手紙をくれたがよ。
アメリカには、あの広大な国土の3分の1を占める流域を持つミシシッピゆうものすごい川がある。国を挙げての治水工事を始めるそうじゃ。
仁淀川からミシシッピ川に行くがか!
金色の道じゃ。佑一郎君はまっすぐ進みゆう!
「岩に穴を開けながら進んでいる」と言われた万太郎にとって、きちんと「学歴」を手にして「留学」に向かっている佑一郎は眩しい……。
アメリカに留学するという佑一郎。#仁淀川 から #ミシシッピ川 へ。
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) July 5, 2023
佑一郎も金色の道を進むべく、前を向いていました。
そんな佑一郎に触発される万太郎。#朝ドラらんまん#神木隆之介 #浜辺美波 #中村蒼 pic.twitter.com/8Mza1PIJpA
繋がりは財産
おえいさんって内職どうしてます?
この辺の口入れ屋ってどこにあるんでしょう?
佑一郎が帰ってから、おえいさんに訊ねる寿恵子さん。
寿恵子さんも思っている。
夫には金色の道を進ませてあげたい。
万太郎自身も、今は自分が捨てて来た「学歴」や「たて前」の必要性について考え始めていた。世間に負けそう、な瞬間。
わしがこれからどんな植物を発見したとしても、自分では発表できんそうじゃ。虫けらじゃと言われたき。
その時、友は、そんな言葉を他人にぶつける非常識さをきちんと説いてくれた。
学校を出ちゃあせん者は、皆虫けらながか?
そんなこと言える方がよっぽど恐ろしいがのう。
鉄道の建設工事じゃ、俺ら一握りの学校出が設計をしゆうけんど、働き手は皆安い前金で故郷を出て家族に金を送ろうとしゆう人ばっかりじゃった。
殊に北海道じゃ、そりゃあ苛烈じゃった。
冷とうて硬い土をモッコで運ぶ。
肩の皮が何べんも裂けてただれちゅう人も、逃げようとして鞭で打たれる人もおった。
そんな人らを前に俺ら若造が「先生」と呼ばれて。
正直、怖うてたまらんかった。
ただこの人らに恥じん仕事をせんといかんと…。
それに学校でなんぼ学んで図面を引いたち、実際は土を掘り起こすこと一つとったち親方に頼らんといかん。
教授が言うところの「虫けら」らあがこの国を変える底力を持っちゅうがじゃ。
はあ……全く……その教授、普請場に放り込んじゃりたいのう。
真に「偉い人」は自分の立場や地位を真摯に謙虚に受け止め、何故に重い地位だと認めてもらえるのか理解している人たちだ。
佑一郎は分かっている。
そして、「大学」だけが狭き道を抜ける方法ではないだろうとヒントをくれるのだった。
博物館があるきのう。
万太郎、最初に上京した時も博物館の先生方を頼ってきたがじゃろう?
聞いてみたらえい。
本当に自分じゃ何も発表できんがかと。
万太郎には教授が全てじゃないじゃろう?
訪ねていく先があるゆうことも自分の財産じゃき。
佑一郎も「進学」が全てだったわけではない。そこで出会った人が財産。
その繋がりが今、自分をアメリカへと呼び寄せてくれている。
その「繋がり」の一つが博物館であり……。
寿恵子さんでもあることは忘れないでほしいなぁ。
壁の穴から後ろ姿に話しかけるしかない新婚生活、寂しいと思うぞ……。
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らんまん キャストとスタッフ
キャスト
槙野万太郎 – 神木隆之介(子役期:森優理斗、9歳 – 12歳:小林優仁)
井上竹雄 – 志尊淳
槙野綾 – 佐久間由衣
幸吉 – 笠松将
たま – 中村里帆
楠野喜江 – 島崎和歌子
池田蘭光 – 寺脇康文
槙野ヒサ – 広末涼子
槙野タキ – 松坂慶子
槙野豊治 – 菅原大吉
槙野伸治 – 坂口涼太郎
槙野紀平 – 清水伸
広瀬佑一郎 – 中村蒼
西村寿恵子 – 浜辺美波
西村まつ – 牧瀬里穂
笠崎みえ – 宮澤エマ
阿部文太 – 池内万作
倉木隼人 – 大東駿介
倉木えい – 成海璃子
及川福治 – 池田鉄洋
江口りん – 安藤玉恵
宇佐見ゆう – 山谷花純
天狗(坂本龍馬) – ディーン・フジオカ
早川逸馬 – 宮野真守
中濱万次郎 – 宇崎竜童
高藤雅修 – 伊礼彼方
大畑義平 – 奥田瑛二
大畑イチ – 鶴田真由
野田基善 – 田辺誠一
里中芳生 – いとうせいこう
浜村義兵衛 – 三山ひろし
田邊彰久 – 要潤
徳永政市 – 田中哲司
波多野泰久 – 前原滉
藤丸次郎 – 前原瑞樹
大窪昭三郎 – 今野浩喜
細田晃助 – 渋谷謙人
野宮朔太郎 – 亀田佳明
脇田伝助 – 小野まじめ
語り – 宮崎あおい
らんまん スタッフ
◆制作統括 : 松川博敬
◆プロデューサー : 板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
◆演出 : 渡邊良雄、津田温子、深川貴志
◆脚本 : 長田育恵
◆音楽 : 阿部海太郎
◆主題歌 : あいみょん「愛の花」
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