寅子がそうであるように、星長官も法律が大好きで法律に接する時間が楽しかったのだろう。
法律の本を出したかった優三さんの気持ちも引き継いで、しっとりした温かい回。
休日返上で航一(岡田将生)と改稿作業をする寅子(伊藤沙莉)。航一はおだやかだが考えていることが全く読めない。戸惑いながらも改稿作業を楽しむ寅子。一方、家庭局では、家事部と少年部の親睦を深めようと寅子が昼食会を企画するが、まったくうまくいかない…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第14週「女房百日 馬二十日?」第67話
感想
星航一さんは戦後 奥さんを亡くし、その遺児がいる。……らしい。
立場的には寅子と一緒である。
もしかしたら長官がちっとも姿を現さなかったのも、そういうことなのかな……「なるほど」。
多忙極める
「こちら休日返上で星長官の手伝いに向かう寅子。
長官の著書「日常生活と民法」の改稿作業で、戦後法改正された部分の調整を行っています。
ちなみに今日で3回目の作業となりますが、長官は一度も顔を見せていません。」
星航一と2人きりで向かい合って作業する寅子。
そこへ初めて長官がやって来る。
佐田くん、なかなか来れずにすまなかったね。
平田さん、穏やかなご老人役がとても合っていて、安心する。
寅子が長官を褒めちぎっているという話を聞いて、自分の話を語り始める長官。
私なんて偉そうに言うだけの口だけジジイだよ。
私が長官になる前、裁判官の職を離れていたのはね、弁護士の方が断然稼げたからなんだ。
それは母さんが病気になったからで……。
あいつが死んでからも裁判官に戻らなかった。
結局、信念より金を取ったわけで…。
いえいえ。きっと合う合わないがあるし。
以前、寅子が桂場さんに言われたように、星長官にも何かしら裁判官の素養があったのだろう。
百合さんたちを待たせているんでしょ?
百合は今の女房でね。
航一の子供たちの世話もよくしてくれて……。
そうだ、佐田君の知り合いで息子に合いそうなご婦人はいらっしゃらないかね?
航一の妻も戦時中に病気で亡くなってね。そんなところまで親に似なくてもいいのに…。
その「息子に合ったご婦人」のために寅子と2人きりにしているのではないのかな。
「なるほど」……
と思う、私。
寅子と航一がお互いの原稿を読み合い、調整したものを長官が更に書き直す。
仕事抜きで法律と向き合えるこの時間が…。
寅子は 楽しくて楽しくてたまりませんでした。
そして、ここに差し挟まれる優未ちゃん。
優未ちゃんとしてはね……そりゃ、「いい子」にしているのはお父さんが亡くなってしまって、お母さんが働かなきゃならないから仕方なく……という部分があるわけで。
寅子が再婚ということになったら揉めないかね……。
「日常生活と民法」
『日常生活と民法』の改稿作業が終わる日。
寅子は航一と竹もとで長官を待っていた。
すいません、せっかく来ていただいたのに。序文は自分で書きたいと。もう少しで出来上がるそうなのでお待ちを。
確認を、と言われて航一が出した原稿を見て、
えっ。これは…。
と驚く寅子。
表紙の装丁ですね。
ではなくて。なぜここに私の名前が?
佐田さんもこの本を書かれているでしょ?
いえ、私はただお手伝いを頼まれただけで。
お手伝いの度はとうに超えていますよ。
表紙を手に取り、寅子はしばし言葉を失った。
佐田さん?
あっ……ごめんなさい。
夫が言ってたんです。
法律の本を出したかった。
そうね、それは優三さんの夢だった。
なんと優しい回想シーン。
寅子の中に、きちんと優三さんが生きていることにホッとする。
うん…。
代わりに夢をかなえたってことにしちゃおうかしら。
なるほど。
と……航一さんはいつものように少し微笑みながら言う。
そんなふうに喜んでもらえるならば、父さんも出涸らし冥利に尽きます。
やがてニコニコと遅れて入ってきた長官は、
出来たてほやほやの序文、聞いてくれるかい?
と嬉しそうに言う。
「今次の戦争で日本は敗れ 国の立て直しを迫られ 民法も改定されました。
私たちの現実の生活より進んだところのものを取り入れて規定していますから これが国民になじむまで相当の工夫や努力と日時を要するでしょう。
人が作ったものです。古くなるでしょう。間違いもあるでしょう。
私はこの民法が早く国民になじみ 新しく正しいものに変わっていくことを望みます。
民法は世間万人知らねばならぬ法律であります。決して法律家にのみ託しておいて差し支えない法律ではありません。
私のこの拙著が いささかにても諸君の民法に対する注意と興味とを喚起する よすがとなることをえましたならば まことに望外の幸せであります。
昭和25年6月 星 朋彦」
本の目的と内容について、優しく丁寧にまとめられた序文。誰もが「法律を知りたくなる」序文。
店の中のお客さんたちから拍手が沸き起こる。
たぶん……ずっとずっと長い間、法律はただ押し付けられ守らなくてはならないもので、「自分たちのもの」という感覚は庶民にはなかった。
法律が変わった。国が変わった実感を誰もが持てた瞬間だったと思う。
この本の出版前に星長官は病で亡くなったという。
多くを残して去る人は幸せ。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
佐田(猪爪)寅子 – 伊藤沙莉
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
猪爪直人 – 琉人
猪爪直治 – 楠楓
佐田優三 – 仲野太賀
猪爪直道 – 上川周作
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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