開催まで2年。国民のオリンピック熱は盛り上がりに欠けていた。テレビ寄席の「オリンピック噺」に目を付けた田畑(阿部サダヲ)は五りん(神木隆之介)を呼び、広告塔に任命する。組織委員会では準備が本格化。アジア各都市を回る聖火リレーの最終ランナーの候補に金栗四三(中村勘九郎)が浮上する。田畑はジャカルタで開催されるアジア大会を席巻し、五輪開催にむけ勢いをつけようと目論むが、開幕直前に大問題が発生する。ー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第43回 「ヘルプ!」
OPが少し変わった。
今までスイスイと東京を泳いでいたまーちゃんが、一瞬、ふと立ち止まるカットが差し挟まれた。
ずっと泳いできたんだから休めばいいよ、という生易しい状態ではなく。
そこだけを目指して猛進してきた人生に、立ち止まらざるを得ない障がい。
悔しくて悔しくて……
子どものように泣きたい。
オリンピックは進む
1962年。
東京の景色が劇的に変わり始めました。環状線にぐるりと囲まれ 首都高や新幹線の高架が頭上を通過する。全て突貫工事。2年後のオリンピックに間に合わそうと必死です。しかし国民の盛り上がりはいまひとつ。
今ひとつ盛り上がらないオリンピック宣伝のために、オリンピックの申し子……というかオリンピックオタクの古今亭五りんは宣伝部長として任命された。
国旗のスペシャリスト・吹浦忠正など、各種スペシャリストの募集。聖火ランナー選考。
オリンピック種目に決定された女子バレー。
(今日もシッカリ視聴者に「配慮」された監督役の中の人(笑))
気温や各国の事情など所々配慮された結果決定する日程「10月10日」。
(令和のオリンピックはアメリカさまのテレビ放映に配慮された日程だけれど……)
東京オリンピックは開始に向けて進んでいく。
そんな中……。
陰謀と政治
まーちゃんは久しぶりに河野くんと再会する。
再会する、というよりは、今や農林大臣となった河野一郎に呼び出される。
津島さんを辞めさせようとしているそうじゃないか。
寝耳に水のまーちゃん。
まーちゃんは川島オリンピック担当大臣から、河野こそ津島さんを更迭しろと言う張本人だと聞かされたばかり。
しかし、河野はそんなことは言っていないと言う。
その陰で、東龍さんに、まーちゃんの更迭を囁きかける川島。
やつらこそオリンピックで名を上げることしか考えとらん。
怒りに震えるまーちゃんに河野は言う。
川島はそんな小物じゃない。
オリンピック大臣なんか、あの人にしてみりゃ数あるアクセサリーの一つにすぎんよ。
いるよねぇ……。
あっちにはこっちの悪口を振りまき、こっちにはあっちの悪口を振りまき、いつの間にか上手い具合に誰かを外す策士。
「政界の寝業師」
いつのまにか、津島外しの黒幕は、まーちゃんということにされてしまった。
口の悪さで恨みを買ったと、少しだけ後悔するまーちゃん。
川島はそんな個人的な恨みで動く男じゃない。
政治がやりたいんだよ。
お前がスポーツが好きなのと同じで、川島は政治が好きなんだ。
政治をやっている時が一番高ぶる。そういう男だ。
「政治」って何なの。
政治って他人を陥れることなの。
まぁ……太古から日本だけでなく、王家にすり寄る貴族同士の争いなど、権力に近づくための策合戦が政治家のお仕事だ。
今だって国会中継を見ていれば、与党と野党はお互いの足を引っ張ることばかり。
政治ってなんなのだろう。
国民はいつだって置いて行かれているよね……。
ハハハ……俺だって元政治部だよ。
高橋是清や犬養毅のような大物とも渡り合ってきた。
川島の寝技なんかに屈するかよ。
ああ……おかげで思い出しちゃったよ。
確かに、政治部だったよね。
いつだって政治音痴丸出しの政治部だったよね。
高橋是清や犬養毅には自分の要求を通すために「忖度しない面白い男」として近寄って行っていただけで、渡り合っていたとはとても言えないよね……。
その政治音痴っぷりが、ここで足を引っ張るわけか……。
インドネシア大会
「8月。ジャカルタで行われる第4回アジア競技大会。
19か国が参加するこの大会は、東京オリンピックの前哨戦。
インドネシアは自国の発展ぶりを世界に示そうと国を挙げて準備を進めていました。街では聖火リレーが行われ、歓迎ムード一色。」
「日本スポーツ界は252人の選手団を送り込む力の入れようでしたが……」
「出発前から不穏なムードが漂っていた。この大会がまーちゃんを窮地に追い込むこととなるのです。」
この大会でインドネシアは、台湾とイスラエルの選手団に入国ビザを出さなかった。完全なお国の事情である。
日本のマスコミは当初からボイコットするべきだと報道したが、まーちゃんたちには真実は届かず、ビザが発行されたという情報すら入り、現地へ向かってしまう。
壮行会のシーンの言い知れぬ不気味さよ。
物言わぬ治五郎先生の肖像もずっと怒っているじゃんね……。
開会式直前まで、これに参加するかどうか日本は迷い続けた。
各国の代表は日本の出方をうかがっています。
引き揚げるか。
今、日本が引き揚げたら大会は中止ですよ?
日本が出なかったら大会の体をなさん。
252人の大選手団ですからね。
そんな中、開催中止を危惧した現地人たちは、日本選手団のホテルに武器を持って乱入して来た。
選手たちを逃がして、隠れるまーちゃんたち……。
助けてくれたのは、現地の通訳・アレンだった。
乱入者を取り押さえ、一本背負いするアレンに、治五郎の姿を見るまーちゃん。
「サカラワズ シテ カツ!」
「ここにいる日本人たちは、競技会を開催しようと一生懸命考えてくれている俺たちの味方だ」
「お前の弟たちをオリンピックに出すために一生懸命考えてくれている」
「彼らに何かしたら俺が許さない」
ただただ「選手の事を」考えてくれる人のやる事は国を超えて伝わる。
この純粋さが通じることがオリンピック精神のはずなのに。
IOCはこの大会を支援しないと決定し、日本のマスコミは参加すればオリンピックの出場資格を取り消されると書きたてた。
そりゃ、出してやりたいさ。
選手の気持ちを考えたらボイコットなんか俺はね、いかなる理由があってもやっちゃいかんと思ってんだよ。
見ただろ?さっきのデモ隊。
自分の国の政治が今どうなってるかも分かってない。
そんな連中にさ、政治とスポーツは別だなんて理想論ぶち上げて何になる?
当然、政治とは切り離して純粋に選手のためにこの大会を開催させてあげたい。
しかし、参加した場合、日本選手団はオリンピックの参加資格を取り上げられ、東京オリンピック自体が無くなる可能性がある。
オリンピックだよ! ほかに何があるよ。
オリンピックオリンピックオリンピックオリンピック!
その言葉が二の足を踏ませるんだよ。
日本に電話して、岩ちゃんに「嘉納さん、何か言ってないか?」と聞いてしまうほど、まーちゃんは追いつめられていた。
政治の介入にスポーツ精神が負けていく……。
報道の乱れ、IOCの一声でオリンピックが動かされる状態。なんだ。事態は令和でも全く変わってないじゃんねぇ…。
結局政治不介入はありえないのか
この時のインドネシアの大統領は、かのスカルノ大統領である。
どんなに歴史音痴な人だって知っているデヴィ夫人。デヴィ夫人はスカルノ大統領の第三夫人であった。(お笑い芸人じゃないのよ)
美しいだけではなく大変聡明だったことを買われてインドネシアと日本の懸け橋になっていたわけで、つまり日本とインドネシアの関係は良好だった。
デヴィ夫人だけじゃなくて、仲良しだった川島オリンピック担当大臣……インドネシアに来ていたんじゃんね……。
「政界の寝業師」的には、日本はこの大会に参加し、成功させ、スカルノから感謝されなければならなかった。
その上で、大会開催によって起こるだろう世間からの批難は、大嫌いで扱いにくい2人に負わせて追い払おうと……。
中止、中止。帰りましょう。ねっ?
…と言ったら、さぞかし困るでしょうな。
スカルノ大統領とズブズブの関係にあるオリンピック大臣は。
みーーんな知ってることじゃんね~~!
汚い。
まーちゃんたちが目指していたものは、もっと美しいものだったはずなのに。
クドカンさんは公式のインタビューで、
勝ち進んで上に登りつめていく人よりも、何か大きな目標に向かっていったのに達成できなかった人に親近感が湧いてしまう
と語っている。
前半の主人公だった金栗四三は日本人初のオリンピック選手だが金メダルを取れてはいない。四三の弟子であった小松くんも、オリンピックに出ることなく命を散らせた。
東京オリンピック開催を夢見た嘉納先生も志半ばで命を終えた。
負けた経験を持つ人にしか分からない辛さや悲しさや悔しさや……優しさを。
まーちゃんも体験することになるんだろうな……。
※キャスト
田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎
高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌
酒井菊枝 … 麻生久美子
マリー … 薬師丸ひろ子
松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦
平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊
津島寿一 … 井上順
川島正次郎 … 浅野忠信
大島鎌吉 … 平原テツ
東照子 … 筒井真理子
東博彦 … 荒井敦史
吹浦忠正 … 須藤蓮
大河原やす子 … 川島海荷
丹下健三 … 松田龍平
黒澤明 … 増子直純
亀倉雄策 … 前野健太
村上信夫 … 黒田大輔
市川崑 … 三谷幸喜
三波春夫 … 浜野謙太
松下治英 … 駿河太郎
古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介
知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生
三遊亭圓生 … 中村七之助
大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
小松勝 … 仲野太賀
嘉納治五郎 … 役所広司
岸清一 … 岩松了
野口源三郎 … 永山絢斗
副島道正 … 塚本晋也
杉村陽太郎 … 加藤雅也
牛塚虎太郎 … きたろう
黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス
武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ
春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋
三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月
橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸
村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春
古橋廣之進 … 北島康介
河西昌枝 … 安藤サクラ
大松博文 … 徳井義実
谷田絹子 … 堺小春
宮本恵美子 … 泉川実穂
半田百合子 … 松永渚
松村好子 … 田中シェン
磯辺サタ … 北向珠夕
エミ … 渡辺悠子
河西栄一野 … 添義弘
河西まさ代 … 滝本ゆに
犬養毅 … 塩見三省
高橋是清 … 萩原健一
噺 … ビートたけし
※スタッフ
脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞
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【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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