NHK大河ドラマ【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】第28回「走れ大地を」感想


ロス五輪が迫る中、関東大震災からの復興に手ごたえを持つ東京市長・永田秀次郎(イッセー尾形)は東京にオリンピックを招致する構想をぶち上げる。田畑政治(阿部サダヲ)がロスの前哨戦と位置づける日米対抗水上競技大会が開幕すると、日本水泳陣はアメリカチームに圧勝。本大会に向けて勢いに乗る田畑たちだったが、その矢先に満州事変が発生する。混迷する政局。田畑はスクープを狙って高橋是清(萩原健一)を訪ねるがー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)

  2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」感想

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いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第28回 「走れ大地を」

本日の演出、桑野智宏さんによると、高橋是清、犬養毅 対面シーンが、この28回の撮り始めシーンだったらしい。



大物政治家の空気が大物俳優の空気になり代わって、そのまま画面の中に座していたよね。

とにかく、塩見三省さん、ご回復されたようで、良かった。

東京オリンピック構想

ロサンゼルスオリンピック直前に、世界の覇者・アメリカのベストチームを招いて前哨戦をやるんです。

この日本でアメリカを徹底的にたたきのめし、自信喪失に陥れてやるんですよ!

 

昭和6年8月7日。まーちゃん念願の日米対抗水上競技大会が神宮プールで実現した。

「必勝」を掲げて、今日も選手にプレッシャーを与えまくるまーちゃん。

結果は40対23の大差で圧勝したにも関わらず、選手を誉めないまーちゃん。

 

遠征には2割のハンディキャップがある。ロスのオリンピックでは反対に日本が2割不利となるわけです。

まず100m自由形。
大接戦を制したのは米国のハウランド。2着は14歳の新鋭・宮崎康二。3着の高石は100mでは初めて日本人に負けを喫しました。

練習不足でしょうな。
高石は春から商事会社に就職して忙しいんです。
いずれにしろ、ピークはとうに過ぎとります。

ラジオでもベラベラ1人で喋りまくる。
(だから、まーちゃんをラジオに出すな(笑))

 

そんなまーちゃんに、体協は理事の座をと言ってきた。

ちょっと考えさせて下さい。

無論、返事は今でなくともいいんだよ。

あ~、はいはい…うん、嫌です。考えました。嫌です。絶対イヤ。お断りします。

いや、返事は今でなくともいいんだよ。

水泳総監督としてロスに行くんです。
それだって会社の上司に睨まれてんだ。
体協理事なんて余計な看板、真っ平です。

余計とは何だ余計とは!

はあ~田畑君、私は君のことが……。

嫌いでしょ?

うん。

俺も嫌いだね~。理事。偉そうにヒゲ生やして、シルクハットかぶって開会式と閉会式だけ出て、あと理事って何すんの?ヒゲ生やして、お金ちょっとだけ出して、要するに、あれだ……ご隠居だ。嫌だね~、ヒゲ生やして……。

 

何回ヒゲヒゲ言うねん……。治五郎先生、よく投げ飛ばさなかったよね(笑)しかし、言われてみれば本当にヒゲだらけだ(笑)

ここで、まーちゃんは初めて「東京オリンピック構想」について聞かされる。

そうと聞けば目が輝くまーちゃんである。

 

岸会長は東京招致計画に渋い顔。

呼ぶのは結構だが、数々の困難が横たわっておる。
金、通訳、宿泊施設、交通機関。
どれもこれも足りない!

えっ、それって……この令和の東京オリンピックのことかな(笑)昭和の初めの東京オリンピック構想から約90年。ちっとも変わっていない日本がここにある。

しかし、

戯言から始まるんだよ、こういったものは!

初めて参加したストックホルムはどうだった?
私の戯言から始まったんだよ。

たった2人の選手を連れて、右も左も分からず参加してから20年。これは体協創設以来の私の悲願でもあり、日本国民に希望を与える大仕事なんだよ!

いつもの治五郎先生の大演説になんとなく感動し、みんなが前を向いて行くのだった。

そんな矢先……。

満州事変

1931年9月18日、それどころではない事件が起こる。南満州鉄道の線路が爆破されたのだ。

まーちゃんの頭はオリンピックの応援歌募集でいっぱいだが、社内は騒然とし始めた。

そんな中、陸連水連でまーちゃんとライバル視し合っていた河野くんが新聞記者を辞めると言い始める。

 

新聞なんて無力だ。
いくら得意になって政府を批判したところで庶民の暮らしはちっとも楽にならない。

だったら、代議士になって村の用水路一つ直した方がよっぽど世のためになる。

政治やんのか? 
お前が?

ああ。 田畑…。

選挙に勝てるかどうか、占ってあげようかね。

ちょ…ちょっとおばさん黙ってて。

大河ドラマ『いだてん』第28回感想 記者を辞める河野

おばさんとか、ばばあと言われる薬師丸さん……。

田畑、新聞はもう駄目だ。
言論の自由はいずれ軍に奪われる。
俺は政治で日本を変える。

 

記者を続けるなら特ダネでも取ってこいと言われたまーちゃんは、例によって高橋是清の家に行き、犬養毅が次期総理に指名されたというニュースにぶち当たるのだった。やっぱり、持ってる。

見合い相手に気づかない

スクープを取ったまーちゃんは、緒方さんから祝儀として見合い写真を貰う。

酒井菊枝嬢だ。
日本橋にある酒井商店という工業用品を扱ってる会社の社長令嬢だぞ。

しかし、まーちゃんは、強化合宿があるからと写真を突き返すのだった。

こんなに美人なのに……真後ろに居るのに……
大河ドラマ『いだてん』第28回感想 見合い相手

 

ってか、麻生久美子さん、この回、結構出番あるのにセリフがひと言も無いって凄い

スポーツが盛んなうちは国は大丈夫だ。
俺は政治をやる。
お前はこの国のスポーツを頼む。

そう言って去って行く河野。

 

政治部に居るにも関わらず、まーちゃんにとって、犬飼総理の就任はただのスクープであり、満州事変は遠い出来事で、オリンピック応援歌と水泳で頭がいっぱいだったらしい。(史実の人がそうであったとは言っていません。これはドラマ。)

 

ロサンゼルス大会の応援歌を一般から募集しておりまして、是非、式典に参加して頂けないかと。

5月15日なんですが。

まーちゃんは、犬飼総理に会って5月15日の約束を取り付けた。

とにかく満州問題を一日も早く平和的に解決しなくては。
そもそも私は満州国建国を認めるつもりはないのだ。

いかなる場合も武力に訴えてはならん。
人間同士、向き合って話せば分かり合えるんだよ。

 

その話は、記事にはしなかった。

こんな暗いニュースばかり読みたくないじゃんね~~。

特ダネなんぞ要らん!

 

しかし、新聞社にもまーちゃんにも、否応なく時代の波は押し寄せて来る。

結構ひどいのに愛されるまーちゃん

実際、今回はまーちゃんの酷さ総決算のような話だった。

選手をディスるまーちゃん。
ベテラン選手への気遣いの無いまーちゃん。
選手に「必勝」プレッシャーかけまくるまーちゃん。
水泳で頭がいっぱいすぎるまーちゃん。
高橋是清に手土産の木靴で叩かれるまーちゃん。
大河ドラマ『いだてん』第28回感想 色々とひどいまーちゃん

 

キャプテンとしてロスには連れていくが、競技には出さない。もう終わった存在だから。と、気遣いのない言葉で戦力外通達をされた高石は、事務所を飛び出していく。

ここの斎藤工の演技が、すごく好き。感情の暴発。

松澤さんいわく、「関西の顔」になってる高石(笑)
 大河ドラマ『いだてん』第28回感想 関西人の顔

 

ここの松澤さんの話もすごく好き。

そもそも何やねん!
田畑さんって何なの!?
指導者でっか?
ストップウォッチ片手にうろうろしくさって、泳いどるとこいっぺんも見たことない!

ホント、何なんやろ(笑)
それは視聴者も思うわ(笑)

でも、松澤の溢れるまーちゃん愛がいいよね。

たとえ泳げなくとも、それを補って余りある魅力がある!

だからまーちゃんのためなら一肌脱いでやろうと思うんだよ。

政治家だって嘉納治五郎だって、まーちゃんのこと放っとけない!そう思わせる何かが……田畑政治にはある!
大河ドラマ『いだてん』第28回感想 田畑政治とは何なのか

 

ここ、猿時さんがサダヲのこと、語っているみたいで(笑)なぜか、ウルッとなってしまったのだった。

実際、「嫌い」と言っている嘉納治五郎だって、木靴で頭叩くほど親しんでいる高橋是清だって、何だかんだみんなまーちゃんを好きなんだよね。

こんなに支えられているのに、なのに本人は自分こそがみんなを支えていると思っている。

そういう部分もなぜか無邪気すぎて憎めないの。

そんなキャラを完璧にサダヲで描けるクドカンも……サダヲのことが大好きだよね(笑)

語ってる最中にまーちゃんが出てきてビックリの図も好きなシーン(笑)
大河ドラマ『いだてん』第28回感想 まーちゃんを熱く語る
 

五・一五事件

オリンピック応援歌お披露目で、まーちゃんが張り切っていた昭和7年5月15日。

犬飼総理は会場に来ることは無かった。

官邸でクーデターに遭い、命を落としたのである。俗に言う「5.15事件」の勃発。

犬養毅は将校に「話せばわかる」と言い、応接室で囲まれた際も「話を聞こう」と言ったという。
 大河ドラマ『いだてん』第28回感想 犬養毅

銃弾は9発発せられたが、当たったのは3発。

即死ではなく、亡くなったのは深夜だった。
現代の医学ならば救われていたのかも知れない。

 

応援歌お披露目会の中止を言い渡されて、まーちゃん節はさすがに出なかった。

 

「話せばわかる」

あの時の総理の話をもしも記事にしていたら……。

そんなことで変わるような話ではだろうけれども。

 

こんな時だからこそ、諸君はスポーツ大国へと成長した日本の姿を世界に見せなければいけない!

国際社会で孤立しつつある日本を背負って懸命に戦ってくれ!
大河ドラマ『いだてん』第28回感想 水泳チーム壮行会

 

治五郎先生の口からも「日本を背負え」という言葉が出る。

新聞社の方針は、軍部に逆らわない方向へと変わった。

「今、アメリカでは反日運動が盛んだ」と犬飼総理は言っていた。

 

治五郎先生の挨拶を受けて、まーちゃんの軽口も出なくなった。
 大河ドラマ『いだてん』第28回感想 壮行会

 

一国の総理が殺害され、暴力が国を制する時。
スポーツの国際大会はどういう意味を持つのか。

娯楽や楽しみや喜びとはほど遠い、敵討ちのような壮行会の風景に震え、まーちゃんがうるさいくらいが平和なのだと思い知る回。

ロスオリンピック後、まーちゃんは、どんな思い出を噛みしめることになるのか……。

このドラマについてひと言ふた事書きたい方はぜひどうぞ。

https://dramarevue.cinemarev.net/revue/idaten/

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※キャスト

田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎

高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌

マリー … 薬師丸ひろ子

松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦

平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊

古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介

知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生

大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣

嘉納治五郎 … 役所広司

永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス

野口源三郎 … 永山絢斗
黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
岸清一 … 岩松了
武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ

春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋

三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月

橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸

村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春

犬養毅 … 塩見三省

高橋是清 … 萩原健一

噺 … ビートたけし

※スタッフ

脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞

【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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コメント

  1. くう より:

    千早太夫さん
    レスが遅くてすいません!

    Twitterでたまに話題になっているので、私もつい赤津探しをしてしまいます(笑)

    >大河で部分的にせよヒロインとなってしまい、朝ドラへの道のりはどうなるのでしょう?

    萌歌さんに朝ドラの話が出ているのですか?

    私は最近、あまり朝ドラヒロインはやらない方がいい気がしています^^;

    >安藤サクラさんは、今回のひいおじいちゃんの姿を見たでしょうか?

    ご主人が出ている大河なので見ておられると思いますよーー。

  2. 千早太夫 より:

    水泳選手のなかに赤津がいたと評判ですね。録画を見直したら確かにいました!(笑)

    今回、すごい場面が多すぎて、書きたいことは沢山ありすぎるんですが、一々書いても切りがないので、ひとつだけ。

    前畑さんの地元では、「前畑秀子を朝ドラに!」という運動をしているそうで、私は寡聞にして知りませんでした。
    私も「真田幸村を大河ドラマに!」という地元の熱気を知る者として他人事とは思えません。
    大河で部分的にせよヒロインとなってしまい、朝ドラへの道のりはどうなるのでしょう?

    両親が枕元に…という話はクドカンのギャグかもしれませんが、近頃朝ドラは幽霊や夢枕が流行りですので、前畑さんが朝ドラになっても、毎日ご両親が枕元に立ちそうな気がします。
    (少なくとも、ロス五輪の後、悩む彼女の枕元にお母様が立ったのは史実らしいです。)
    アムス五輪で男子の同競技で優勝した鶴田さんの大ファンで、本人を前にしてボーッとしてしまい、スランプも吹っ飛んでしまうのも、何となく朝ドラ的ですよね。

    あ、最後にもうひとつ。
    塩見さんの演技、凄味がありました。(いずれ2・26事件ではショーケンも…)
    安藤サクラさんは、今回のひいおじいちゃんの姿を見たでしょうか?

  3. くう より:

    真田さん
    >実際あんなに言われたらきっとぶっ飛ばしてると思うんですけど…

    治五郎先生は投げ飛ばし、是清先生は木靴で叩いていましたが(アドリブだそうでビックリ~)、愛が感じられますよね(笑)

    まーちゃん、つくづくお得な性格だ!

  4. 真田 より:

    冷静になってよくよく考えたら
    実際あんなに言われたらきっとぶっ飛ばしてると思うんですけど…
    んだけど何故だか憎めない。まーちゃんの人間力には脱帽せざるを得ませんのでございます。
    脱帽して、木靴でオデコを2~3発…

  5. 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第28回

    「走れ大地を」内容3年後のロサンゼルスオリンピックでメダルを取るため、田畑(阿部サダヲ)は、日米対抗水上競技会を開催。水泳世界一のアメリカチームに圧勝。だが田畑は満足していなかった。そんななか、嘉納治五郎(役所広司)に呼ばれた田畑。向かったのは、永田(イッセー尾形)東京市長のもと。話というのは“東京オリンピック”の開催を考えているということだった。その後、嘉納は、岸(岩松了)たちとともに、開…

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