NHK大河ドラマ【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】第30回「黄金狂時代」感想


1932年、田畑(阿部サダヲ)念願のロス五輪が開幕。アナウンサーの河西(トータス松本)はレースの実況中継に気合が入るが、大会運営側の妨害にあう。田畑たちは実況中継の代わりにレースの模様を放送する奥の手を考える。治五郎(役所広司)はIOC総会で五輪招致の立候補を表明する。しかし9か国がエントリー済みという絶望的な状況。東京への招致に、ムッソリーニとヒトラーという二人の独裁者の思惑が影響することにー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)

  2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」感想

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いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第30回 「黄金狂時代」

かなり長めのアバンである。

開会式と大砲演習

腹の具合が悪そうな大横田。
何となく不安な空気を湛えつつ、ついに開会式。

1932年7月30日。
ロサンゼルスオリンピックが開幕。

「参加国は37か国。
日本からは過去最高131人が出場。
アメリカに次いで2番目の大所帯です。」

「競技は2週間にわたって行われ、まーちゃん率いる水泳チームの登場は大会8日目です。」

 

あ~あ!終わっちゃうな……。

昨日始まったばかりですよ。

始まったら終わるだろ?
終わったら帰らなくちゃいけないだろ?

ずっと居たいよ~~!

分かるよぉ。その気持ち。
お盆休みもねぇ、始まったら終わっちゃうよぉ。

 

試合前の賑わい。

治五郎先生が柔道・JIGOROファンの集いを開いている。

そんな選手村の外では軍が大砲の演習中……。

アメリカの組織委員会からは、無線を飛ばす実況放送に待ったが掛かる。

中はスポーツの楽園。
外は戦争を控えた緊張。

そんな時代である。

気落ちした松内・河西アナウンサーに、実況せずにただ記録を伝えるだけでは写真が付く新聞には勝てない。ラジオだからこその工夫をとアドバイス。

大会見たまま放送、というのはどうでしょう?

ただ結果を伝えるのではなく、我々がスタジアムなりプールなりで競技を見て、その見たまま、感じたままを記憶し、それをこのスタジオで実況のように再現するんですよ。

それで「見たまま放送」……いいですね!

面白い! 
ただ名前がよくない。
どうも実感が足りん。

「記憶放送」はどうです?
あるいはえ~っと…「思い出し放送」!

いやいや…もっとこう、実感のこもった……実感!

「あたかも放送」。
「スポーツ漫談」。
「スポーツしゃべくり放送」。

実感が足らんのだ、実感が!実感出そうぜ!

「実感放送」じゃない?

あっ! あっ!

「実感放送」!

 

こうして、「後から実況」は「実感放送」というネーミングで決定された。
(まーちゃん、いつからラジオの監督に……(笑))

 

競技場でアナウンサーが試合を見て目に焼き付ける。後で、記憶を再現しつつ実況のように放送。テレビのように絵がない分、アナウンサーの技術・手腕にかかっているよね~~。

8月1日から始まった陸上競技で日本はなかなかメダルを獲れず。

満を持して

「8月7日」

「いよいよ水泳競技、開幕」

 

こんなに盛り上げて、ここでオープニング。

いつものオープニングよりも、もっとワクワク感が増す。

始まるんだなぁ……
始まるんだねぇ……。

実感放送

実感放送は目の前に見えるものがなく、アナウンサーの実感で喋るので、タイムもずれて来る。

「実感こもり過ぎて約10秒の競技を1分もお送りしちゃったっていう。「実感込め過ぎ!」っつってね。」

これは史実らしい(笑)

アメリカから許可が下りなかったというけれども、まぁ、実況して無線で飛ばすなんて事がご時世的に許可されないのは仕方ない気もする。

しかし、突き落されても腐らないまーちゃんの先導で、とんでもない熱の入りような水泳実感(笑)

河西アナウンサーの目の前で泳ぎの再現付き、終いにはバケツに水まで汲んで来てSEよろしく水しぶき音まで再現しちゃった(笑)
大河ドラマ『いだてん』第30回感想 実感放送

10m…20m…各選手並行。非常な接戦であります。やがて30……トムソン・シュワルツ、やや進んでほかの選手をリードしております。宮崎、河石、やや遅れてターン。

70m、宮崎ぐんぐん出てきた、ぐんぐん出てきた、ぐんぐん出てきた、ぐんぐん出てきた、ぐんぐん出てきた!河石、シュワルツが続いております。80m、宮崎断然トップです!残り10m、宮崎トップ!宮崎トップ!宮崎出た!あと5m!3m!2m!1m!

ゴールイン!!

 

テレビを見ている私たちには、競技の映像も同時進行。

テレビがない時代の日本の人たちはラジオの前で拳を握りしめて聞き入る……。

なんて実感!!

今日はこうして実感放送と共に競技が語られたのだった。

ああ、すごいなぁ。このリアリティと盛り上がり。

思えばこの大河自体が実感放送だよね。

 

こうして、宮崎が一番初めの金メダルを100m自由形で獲得したのだった。

まずは高石キャプテンはじめにティームメートに感謝します!

と語る宮崎。

高石かっちゃんは、宮崎のゴールを心から喜び抱きしめた。

今や、彼なしには考えられない日本チームのリーダー。

かっちゃん再びの切なさ

先週、しっかり選手から下りてコーチに転じたかっちゃんだったが、本日もかっちゃん悲哀物語2になってしまった。

800m自由形リレーの選手を決める際、再び名前が出てしまったのである。

アンカーに決まっていた大横田が腹痛で寝込む事態が発生……。

 

実は4~5日前から熱があったんです。腹も下してて。

練習には参加してたじゃないか。
なぜ黙ってた?

病気で練習休んだらメンバーから外されると思ったんでしょう。

宮崎の祝勝会で牛鍋を食わせたまーちゃんのせいではなかったらしい……(がつがつ食いまくっていたのは元気に見せたかったからなのね)

海外で熱が出て腹を下すって、基本的にはメッチャ危険ですが。

まぁ、この時代はそういう認識はまだ無く。

とにもかくにもリレーである。

リレーは落とせん!
全種目制覇の鍵を握るのはリレーだ。

大横田の代わりに誰を出すか……。

誰ともなく、「かっちゃんが」と言いだし、意外な事にまーちゃんが乗り気になった。

いや、俺はノンプレイングキャプテンやし。

勝っちゃんがアンカーなら若い連中の士気も上がる。

はい! 
今度こそ高石さんに金取らせますよ。

1人目の宮崎で差をつければ……うん、いけるかもしれん!大横田を休ませる意味でもここは勝っちゃんが適任だ。

カクさん!
かっちゃんを出してやりましょう。

そして、意外なことに反対したのはカクさんだった。

いや……勝っちゃんでは勝てん。
横山でいく。

 

カクさん。こういう時、マイナスをプラスに変えるには大胆な発想で弾みをつけることが……。

タイムが全てです!
2分15秒出してる横山の方が手堅い。

かっちゃんが試合に出ることでチームが活気づけば奇跡が起こるかもしれん!なあ?たとえ負けても……。

負けても?
一種目も失わないんでしょ?

全種目制覇して日本を明るくするんじゃないんですか?

奇跡なんて、そんな眠たいこと……総監督が言ってどうする!

 

まーちゃんには、かっちゃんを出してやれなかった後悔があったのか。大横田のハラを壊させたかも知れない負い目があったからか。あんなに「一種目も落とさない」と言っていたのに、突然の緩さ。

カクさんの方が折れなかった。

決めたら突き通す。
これが正しくて、かっちゃんの名前もここでは出しちゃいけなかった。

だって……

このやり取りをその場でずっと聞いている切なさよ……。
大河ドラマ『いだてん』第30回感想 かっちゃん

 

この後も、かっちゃんはこのやり取りを聞かなかったようにノンプレイングキャプテンを立派に勤め上げた。

宮崎の喜びのゴールも、大横田の苦しみも、受け止めたのはかっちゃん。

惨酷な実感放送

体調がすぐれなかった大横田は、400mの自由形を戦い切れなかった。

実感放送はそんな選手の競技もキチッと再現する。

いけ!いけいけ、いけいけ!大横田!

250m、300m、ついに並んだ!大横田2位!大横田2位!

追い上げる大横田、追い上げる!最後の粘りを見せられるか!?しかし体が崩れてきた!残り50m!1コース、タリスと6コース、クラブの激戦!どうした!?どうした大横田!?どうした大横田!?どうした!?どうした大横田!?

すっかり止まってしまった!
大河ドラマ『いだてん』第30回感想 大横田くん腹痛

 

大横田の記録は3位。銅メダル。

すみません……。
試合に出られない者もある中で……自分は恵まれていました。

それなのに……肝心な時に……。

「試合に出られない者」であるキャプテンが大横田の話をさえぎり、その悲しみを受け止める。

 

「銅」は立派だよ。

まーちゃんが書き残してきた記事の「金」の隣に「同(同じ)」と入れて「銅」に書きなおす酒井菊枝さん。

 

そして、今週もセリフが無く終わる麻生さん……。
 大河ドラマ『いだてん』第30回感想 麻生さん

東京オリンピック誘致問題

「IOC総会に出た嘉納さんを待ち受けていたのは想像よりも厳しい現実でした。」

「1940年の候補地には既に世界9都市が名乗りを上げていたのです。

ローマ、ヘルシンキ、バルセロナ、ブダペスト、ダブリン、アレキサンドリア、ブエノスアイレス、リオデジャネイロ、トロント。

我が東京は10番目。
完全に出遅れました。」

個人的には、無理だと思うんだよね。

現代でさえ様々な問題を抱えるのに、衛生的で豊か(に見せる)選手村、整った交通や施設の準備、何か国語もの言葉の壁を克服すること。

世界に大国であることを示したいという野望の象徴にしか思えなくて。

ドイツはオリンピック嫌いのヒトラーが政権を取ればオリンピックを止めるだろう。そうしたら日本の順位が繰り上がる。

という話に目を輝かせるまーちゃんに治五郎先生は言う。

それでも政治部の記者かね。
ユダヤ人を公然と差別するような男だぞ。
そんなやつのお下がりなど絶対に要らん!
スポーツが政治に屈するなど絶対にいかん。

治五郎先生が本当にそこまで民族問題を真剣に考えていたかは疑問だけれども、選手村の外に鳴り響く大砲の音は対日本戦のための演習だと話す時は、ちょっと敵対心抱いた語り方。

分かるか? 
平和なのはフェンスの内側、選手村の中だけ!

それじゃいかんのだよ。

 

この田畑政治は本当に政情音痴すぎ……。

日本が活躍するたびに、現地の日系人は嫌な思いをさせられているという。

フェンスの中の「終わってほしくない」楽しい祭りは、世界にとって一部の人の祭りなんだよね。

なのに、戦争は世界中に影響を及ぼしているんだよね……。

つづく

けれども、日系人のキューカンバー姉ちゃんは、まーちゃんがあげたチケットを持って、女子の競技を見に来てくれた。

プールサイドには女子200m平泳ぎ決勝に挑む前畑の姿。
大河ドラマ『いだてん』第30回感想 前畑

 

さあ……

ってところで「つづく」だって……。

一週間待ちきれない。

このドラマについてひと言ふた事書きたい方はぜひどうぞ。

https://dramarevue.cinemarev.net/revue/idaten/

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※キャスト

田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎

高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌

酒井菊枝 … 麻生久美子
マリー … 薬師丸ひろ子

松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦

平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊

古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介

知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生

大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣

嘉納治五郎 … 役所広司

永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス

野口源三郎 … 永山絢斗
黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
岸清一 … 岩松了
武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ

春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋

三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月

橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸

村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春

犬養毅 … 塩見三省

高橋是清 … 萩原健一

噺 … ビートたけし

※スタッフ

脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞

【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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コメント

  1. くう より:

    千早太夫さん
    >前畑さんの登場で「さぁ!」というところで次回へ。
    盛り上がりますね♪

    えーー!ってテレビの前で言っちゃいましたよ(笑)えーー!ここで終わり――!?って!

    >来年の東京五輪が夏開催なのも、秋開催だとアメフトやバスケが始まっていて、視聴率が共倒れになるからだそうで。

    ソチでフィギュアスケートの競技が夜中だったのもアメリカ放送時間に合せているからってことで(笑)結局はスポンサー問題ですよねーー。

    しかし、このロスオリンピックの時は、やはり実況して無線で飛ばすというのがご時世的に警戒されたのだと思います。敵ですもんねーー。

  2. 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第30回

    「黄金狂時代」内容ついに、ロサンゼルスオリンピックが開幕した。そんななか、人だかりを見つける田畑(阿部サダヲ)中心には、嘉納治五郎(役所広司)の姿があった。いずれ、柔道を正式種目に。。と考えているようで、デモンストレーションを行っていた。東京への招致で正式種目にと。一方で、アナウンサーの河西(トータス松本)からレースの実況中継に、運営から横やりが入ったと知る田畑。中継できなくなったという。そ…

  3. 千早太夫 より:

    前畑さんの登場で「さぁ!」というところで次回へ。
    盛り上がりますね♪

    この時の彼女はまだ、国民的ヒロインでも何でもありません。この後の展開が、彼女を否応なくその方向に追い詰めていくのを、クドカンがどう見せてくれるか楽しみです。

    アメリカは放送関係では常に五輪でゴリ押ししますね。

    来年の東京五輪が夏開催なのも、秋開催だとアメフトやバスケが始まっていて、視聴率が共倒れになるからだそうで。

    でもこの時の、ラジオ生中継をすると会場に人が来なくなるから禁止…というのも無茶苦茶な話です。まーちゃんの言う通り、日本関係ないじゃん!

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