NHK大河ドラマ【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】第38回「長いお別れ」感想


日中戦争が激化する中、東京五輪組織委員会では、軍部の意見が強くなっていく。IOC委員の副島道正(塚本晋也)はついに開催返上を提案。田畑政治(阿部サダヲ)は嘉納治五郎が命を懸けた五輪をあきらめきれない。やがて日本はアメリカとも開戦。金栗四三(中村勘九郎)の弟子の小松勝(仲野太賀)は学徒動員の対象となってしまう。一方、戦後の東京。オリンピック噺を語ってきた志ん生(ビートたけし)が脳出血で倒れるー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)

  2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」感想

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いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第38回 「長いお別れ」

中盤、1963年。

老けたまーちゃんが、

旨いな、これ。 
選手村で配ったらどうだい?

と言っていたのは、NHK繋がりのまんぷくヌードル……

ではない(笑)

 

日本で最初のカップラーメンは、実は日清食品が製造したものではないという事は『まんぷく』のレビューでも書いた気がするけれども、これだな。

1961年に試作販売のみで終わった明星のカップ麺。

何でもカップの素材がダメだったそうで、これが成功していたら朝ドラ『まんぷく』も無かったかも~~。

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というこの下りは、本日の『いだてん』の中で最も希望のある明るい状態であって、ドラマ上はここまでの間に東京オリンピックは幻と化していた。

暗い、辛い時代が進行していく。

東京オリンピック返上

ご遺体で戻ってきた治五郎先生のストップウォッチを受け継いでしまった まーちゃん。

やりゃあいいんでしょ!? 
嘉納治五郎がいかに偉大でめんどくさかったか証明してやりますよ!

 

あらゆる筋にヤケクソ気味に宣言するが、時代はすでにスポーツを軍事訓練と一緒に語る方向にしか進まず。

ギリシャから発祥した「聖火」など許せない。宮崎の高千穂から出雲大社伊勢神宮に立ち寄り明治神宮を目指す「神火」にしたらどうか。

12万人収容の競技場に使う1000tの鉄骨で駆逐艦が何隻造れるか。木で造ったらどうだ。

そんな馬鹿げた話が(史実)出て来る中、副島さんはオリンピックを返上しようと決心した。

イギリスもフランスもボイコットした。

見ていると本当に、こんな国でオリンピックをと思うよね。

しかし、「今の日本は世界に見せたい日本なのか」と前回、嘉納先生に問うたまーちゃんは、ストップウォッチを受け取ったことでブレブレ。

動いてるんだよ、ストップウォッチが。

腰の曲がったジジイがよ、手ぶらでエジプト行って年下の西洋人にボロクソ言われてつるし上げられて、それでも守り通したオリンピック!いいのかな、止めちゃって!?

副島さん、総理大臣に頼むんだったら戦争の方じゃないの?

戦争をやめてくれって電話して下さいよ!

オリンピックの間だけでもさ……一時停戦にならないの?
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 副島さん

 

まーちゃん……。
そもそも最後の嘉納先生は無理だった。
ナチスドイツのオリンピックに追いつこうとしてしまっていた。

戦争を止めようと総理に言う事はオリンピック委員会の仕事ではない。

それをやったら、オリンピックは政治と結びついてしまうじゃんね……。

 

焦りを引き継いでも、どうにもならない事を副島さんは分かっている。だから静かに諭すのだ。

それは君が持っていたまえ。
機が熟せば……
いつかやれるさ。東京オリンピック。

 

国民が期待する中、中止を進言した副島さんの勇気を讃えたい。

「親愛なるラトゥール伯。

日本中で最も評判の悪い男になる危険を冒して東京オリンピックの中止を政府に働きかけました。

総会の席上、私の両隣には誰も座ろうとしなかった。

売国奴、非国民と罵られても、私は自分のとった行動を後悔してはいない。」

祝言と出征

「梯子を外される選手の気持ちを考えろ」と言っていた四三も、今はもう何も言わなかった。選手としては悔しい。このオリンピックに向けて育ててきた小松くんの悔しさが手に取るように分かるから余計悔しい。

返上なら……オリンピックはやりますよね?

そぎゃんこつなら、俺はヘルシンキに出るばい。それだけの話たい。

前向きにそう言っていた小松くんだったが、戦争は全世界で進んで行き、ついに世界からオリンピックが消えた。

「1939年。ナチスドイツ軍はポーランドに侵攻。これに対しイギリス・フランスが宣戦布告し、第2次世界大戦が勃発。もはや世界中が戦争当事者でした。」

 

四三は熊本へ帰る事を勧めたが、小松くんは戻らない。

お父ちゃんだって、オリンピックの中止になった時、部屋に籠もって泣きよったとばい。

そぎゃんですか?
いや泣いとらん。

それに勝さんが東京に残りたか訳はなんもオリンピックだけじゃなかとたい。

ねえ、りくちゃん?

スヤさんのひと言で話はまとまり……

小松くんとりくちゃんは祝言へ。
本日、唯一明るい本物の「バンザイ」がある風景。
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 祝言

 

そうして、あの五りんが生まれたわけである……。

…で、次の年、僕が生まれました。

東京にオリンピックが来るはずだった昭和15年秋。

なるほど…それで「五りん」って付けたんだ。

いやいや、「五りん」は師匠が付けてくれたんじゃないですか。もうーーしっかりして下さいよ。

本名は……金治です。
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 五りん

 

戦争中。
産めよ増やせよで国は出征前の結婚は推奨した。

産めよ増やせよ……は、つまり、次の世代の兵隊を作るため。

五りんは「親父は物心つく前に」……と言っていたよね。

シマちゃんは史実の人ではないけれども、シマちゃんの家系は、この時代に生きた市井の人たちそのものの姿なのよね。

「昭和16年12月。真珠湾攻撃により太平洋戦争が勃発。」

「開戦と同時に箱根駅伝は2年連続中止となり、昭和18年、「正月靖国神社箱根神社間往復関東学徒鍛錬継走大会」ってえ~、恐ろしく長え名前で復活して、小松勝くんも走りました。」

そして、その年、ついに今まで徴兵されていなかった大学生が対象となる。

「りくを幸せにしたら悔しい。でも不幸にしたら殺す。」

そう言っていた義父の殴り込み……。
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 召集令状

 

蹴り倒して、胸ぐら掴んで……

でも、どうにもならないでしょ。
悪いのは小松くんではない。

そんなことはみんな分かっている。

分かっているけれども、ぶつけようがない。

最後には、静かに「お国のために頑張れ」と言う増野さん。

泣きながらの「バンザイ」が播磨屋さんに響く。

そして学徒出陣へ

「昭和18年10月21日。出陣学徒壮行会が明治神宮外苑競技場で開かれました。」

治五郎先生があんなに大事にしていた神宮は、こんなことに使うはずのものじゃない……。

オリンピックやってれば……こんなことには…。
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 壮行会

おい、東龍さん、今日何人入ってんだ?
出陣学徒が3万人、スタンドに5万!

こんなに入るんだったらオリンピックできたじゃねえか、バカ野郎め!

バンザイが響く中、学徒行進を悔しそうに見つめるまーちゃん。

それを聞いている副島さんはいたたまれないでしょ……。

 

河野くんを捕まえて、

これで満足かね?河野先生。

と、睨みつけるまーちゃん。
大河ドラマ『いだてん』第37回感想 河野を呼び止める

 

まーちゃんだって分ってるってば。

副島さんが総理に進言しなくたって、オリンピックはこんな日本でやるべきじゃなかった。

河野議員がオリンピックを反対しなくたって、太平洋戦争は起きていた。

 

もし、オリンピックがここで行われていたとしても。

戦争は止まらなかった。

それでも、まーちゃんは言わずにいられなかったんじゃんね……。

大河ドラマ『いだてん』第37回感想 小松くん学徒壮行会 

 

小松くんのような学生が何人も何人も戦地に送り出されて、その脚力を情熱を「お国のために」使わされていったんだよね。

競技場に響く、やけくそのような

「ばんざーーい!」「ばんざーーい!」「ばんざーーい!「ばんざーーい!」「ばんざーーい!」」

の呪いが

「くそったれ!」「くそったれ!」「くそったれ!」

に聞こえた。

みんな、「バンザイ」と言うしかなかったし、「誰か」に怒りをぶつけるしかなかった。

このドラマについてひと言ふた事書きたい方はぜひどうぞ。

https://dramarevue.cinemarev.net/revue/idaten/

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※キャスト

田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎

高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌

酒井菊枝 … 麻生久美子
マリー … 薬師丸ひろ子

松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦

平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊

古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介

知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生

大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
小松勝 … 仲野太賀

嘉納治五郎 … 役所広司

岸清一 … 岩松了
野口源三郎 … 永山絢斗
副島道正 … 塚本晋也
杉村陽太郎 … 加藤雅也
牛塚虎太郎 … きたろう
川島正次郎 … 浅野忠信

黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス

武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ

春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋

三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月

橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸

村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春

犬養毅 … 塩見三省

高橋是清 … 萩原健一

噺 … ビートたけし

※スタッフ

脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞

【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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コメント

  1. 大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第38回

    「長いお別れ」内容昭和36年12月、志ん生(ビートたけし)が倒れた。慌てる美津子(小泉今日子)たち。それでも、“噺”は、続けられた。。。昭和13年。嘉納治五郎が亡くなった。港に船が到着。田畑(阿部サダヲ)金栗(中村勘九郎)たちが駆けつける中、田畑は、同乗していた平沢(星野源)から嘉納のストップウォッチを受け取る。なぜか針が動いていた。。。。ショックを受ける永井(杉本哲太)可児(古舘寛治)野口…

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