ストックホルムから帰国する四三(中村勘九郎)。報告会で大勢の高師の仲間が健闘を称える中、敗因を厳しく問いただす女性が出現。永井道明(杉本哲太)の弟子・二階堂トクヨ(寺島しのぶ)である。同じ頃、孝蔵(森山未來)は四三とは逆に東京から旅立とうとしていた。円喬(松尾スズキ)とは別の師匠について地方を回るのだ。自分は円喬に見限られたと落ち込む孝蔵。
しかし、出発のとき、新橋駅に円喬が駆けつけてーー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第14回 「新世界」
選挙で一週空いて。
大河的には本日から新章らしい。
けれども、個人的には卒業と懐古の回だった気がする。
努力もつらさも甘い思い出になり、共有した者だけがそれを噛みしめる。
変わっていた日本
4ヶ月の旅を終えて帰国した四三。
華々しい出発の時と比べて身内しか居ない寂しい迎えだったが、四三にとってはその方が気が楽だった。
大正元年9月。
四三たちがストックホルムへ行っている間に天皇が崩御し、時代は大正へ変わっていた。
乃木陸軍大将が自決なさったのは?
はい……新聞で。
そうか。
長旅、ご苦労だったね。
可児先生。
こん度は、俺の力不足で黎明の鐘となること……。
あ~……!
もう、そういうのはあとでちゃんとやってもらうから。
疲れたろう。
可児先生は優しかった。
誰も、敗退した、と責める者はいなかった。
天皇崩御で自粛ムード、駅に軍人が溢れる中、ここだけが優しい風景。
四三は欧州で知った新しいスポーツをいくつか持ち帰った。やり投げや砲丸など。
これが新しいこと。
報告会
しかるに、我が不肖により陛下をはじめ諸君の希望に反し、帝国運動史上に拭うべからざる汚点をしるしたことは紛れもない事実であります…。
みんなの前で挨拶する四三をここでも責める者はいなかった……。
……と思ったら。
壁際に立っていた、賄いのおばちゃん……よりも身なりのキリっとした女性が怒鳴りながら出て来る。
敗因は何だと思われますか?
皆さん、腫れ物に触るようにわざと核心を避け、大して面白くもない話題で白々しく場を盛り上げようとなさっているようですが、はっきり申し上げて時間の無駄です。
金栗さん、羽田の予選で世界記録を出しながら、本選で棄権し、国民の期待を裏切った原因は何だと思われますか?
賄いのおばちゃん。じゃなくて、永井先生の弟子、お茶の水女子大の助教授である二階堂トクヨ。
男を一喝し、堂々と社会に意見を述べる。
こういう女性が出て来るのも新しいこと。
敗因は一つじゃなかです!
食事の問題、練習法、当日の天候……。
ばってん、どれも言い訳にしかすぎんけん、胸の奥にしまってただ黙々と……。
それじゃ駄目なんだよ!
と言う永井先生。
敗北から学ばなければ意味がない。
いいかね?
我が国の体育は10年、いや50年遅れている。
それが君らの敗因である。
10年後、50年後……欧州人と肩を並べるために、今、何をすべきか!?
それを考えるのが君らの使命である!
これは正しいよ。
言い訳をしないという「潔さ」は大和魂かも知れないが、それでは研究にならない。
敗因を知る事は進むためにとても大事なことだ。
金がないから列車の中でまで自炊し、食事に慣れず、白夜に慣れず、コーチは居らず、道に慣れず、現地まで徒歩で移動し、会場に着くまでに疲労し、水分を摂らない恐ろしさも知らずに走った。
その結果の今なのだもの。
嘉納先生のやり方じゃ駄目なのは確かだ。
しかし、肋木肋木の永井先生も正しいわけではなく。
結局、日本のスポーツ文化はここで衰退してしまう。
「鬼ごっこ」と同程度の娯楽に位置付けられてしまうマラソン。
天狗倶楽部の卒業
年をまたいで、三島弥彦がヨーロッパ視察と語学留学から帰国する。
久しぶりに野球で盛り上がろうと(やはり脱ぐ)したが、誰も付いてこない。
どうした吉岡天狗。
俺たちは天狗ではない。
人間に戻るんだ。
実は天狗倶楽部を解散しようと考えてる。
みんな、もう年だから騒いでいる場合では無くなったと言う。
それに明治が終わって世の中も大きく変わったんだ。
近頃は軍部が兵式体操を推奨し、競技スポーツを軽視する風潮が強い。そこへ来て野球害毒論だ。
野球は害毒などと言っていて世界に勝てるわけがない。
弥彦は、アメリカに渡ってアメリカが強い理由を見極めると決心するのだった。
大日本体育協会の変革
3月。嘉納治五郎先生が帰国。
大森先生の肖像を抱えた安仁子夫人と共に。
大森先生はカリフォルニアの病院で亡くなった。
監督。お疲れさまでした。
肖像に向かって挨拶する四三と弥彦。
あの地で過ごした者だけが共有する懐かしく切ない時間。
さて……。
嘉納先生がストックホルムへ行っている間に、借金取りが押しかけ、可児先生までが怪我を負う事態になっていた。
そりゃそうである……だって、一生返し切れなかったという借金だもの。
治五郎先生が体協へ戻ると、部屋はメチャクチャに荒らされ、治五郎先生の肖像は床に打ち捨てられていた。
新しい理事だと、永井先生から岸清一を紹介される治五郎先生である。
あなたが作った借金の返済と体協の財政立て直しを弁護士の岸さんが一手に引き受けて下さいました。
それから 新しい役職を設けました。
と副会長の武田千代三郎を紹介。
時代は変わったんですよ……嘉納さん。
確かめに行く
三島さん、俺たちは精いっぱいやりましたよね?
ああ。
一回りも二回りも大きか西洋人に交じってへこたれんで戦いましたよね?
パンとチーズと薄いみそ汁でよう走りましたよね?
日の丸と「NIPPON」のプラカードば持って堂々と歩きましたよね!?あれは嘘じゃなかですよね!?
だ~れも証明してくれんけん、今、こぎゃんして東京で暮らしとる自分はうその自分で、本当の自分はまだストックホルムにおるとじゃなかかてそぎゃ~ん時々思うばい。情けなか。
確かめに行くかね?
ストックホルム。
まさに自分たちがそこに居た、そのストックホルムオリンピックのニュース映画を観る2人。
2人にしか分らない苦しみ。
2人にしか分らない感動。
2人にしか分らない苦労。
優しい思い出。
青春。
それを共有できる人が隣にいる。
そこから卒業して前へ進むために。
師匠からの卒業
孝蔵にも大きな変化があった。
お前さんにはフラがある。
と、孝蔵を手放して、ドサ回りする小円朝につけてくれた師匠。
大事な弟子、貸すんだからよ、倍にして返してくれよな。
こいつは大化けすんだからよ、立派に育ててくんないとあたしゃ承知しないよ!
汽車まで見送りに来て、「敷島」三箱くれた人。
見捨てたのではなく、認めてくれたから手放された。
森山くんの演技が切なくて……。
ドッジボールは要らない
こうして、みんな思い出を抱え、古い時代を見送って新しい時代を迎えた回。
三島と四三が笑いながら映画を観るシーンで、たまらなく泣けた。
どんな結果だろうが、頑張った人にとっては、頑張った思い出は永遠に宝物だ。
そうやって作った大事な思い出も、次へ向かう目標も、夢も、戦争は壊していく。本当に無駄な文化の敵。
日本のスポーツが軍国主義の「体育」に支配されていく中、可児先生はヨーロッパから持ち込んだ「円形デッドボール」を広めていた。可児先生は頑張った。
でも……。
私らが子どもの頃から苦しんだドッジボールである……あれ、好きな人います?いたらすいません(笑)
可児先生、私は、これ、いらなかった(爆)
※キャスト
金栗四三 … 中村勘九郎
田畑政治 … 阿部サダヲ
嘉納治五郎 … 役所広司
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス
野口源三郎 … 永山絢斗
黒坂辛作 … ピエール瀧
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
岸清一 … 岩松了
武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ
春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋
三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月
美濃部孝蔵 … 森山未來
橘家圓喬 … 松尾スズキ
万朝 … 柄本時生
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸
平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
東龍太郎 … 松重豊
古今亭志ん生 … ビートたけし
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介
知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
噺 … ビートたけし
※スタッフ
脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞
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コメント
いだてん 第14回「新世界」
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大河ドラマ「いだてん」 #14 「新世界」
出かけていて見れませんでした。
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大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第14回
「新世界」内容大正元年9月。金栗四三(中村勘九郎)は帰国した。可児(古舘寛治)野口(永山絢斗)ら髙師の仲間が出迎えてくれる。寄宿舎に戻り、永井(杉本哲太)らの前で報告会を開き、称えられる四三。が、突如、ひとりの女性が批判を始める。二階堂トクヨ(寺島しのぶ)。永井の弟子だという。オリンピック代表資格の有無にはじまり、敗因を問い正し始める。一同が困惑する中、永井が、未来のため敗因から学ぶべきだと…