民法730条。
「直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない」。
令和・超高齢化社会の老々介護問題を悩ませるこの一文……。
あんただったのか、神保教授。
穂高(小林薫)は法の道へ導いて不幸にしたと寅子(伊藤沙莉)に謝罪し、新しい仕事を紹介すると言い出す。しかし寅子はむしろこの道で生きる決心を新たにする。家制度が変わることに反対する神保(木場勝己)と議論した寅子は、民法を多くの人に知ってもらうためにどうすればよいか、はる(石田ゆり子)と花江(森田望智)にも意見を聞き、新たなヒントを得る。昭和22年、いよいよ新しい民法が成立する…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第10週「女の知恵は鼻の先?」第50話
感想
穂高先生の的外れな後悔が寅子の背中を押し、自分はなぜこの世界に戻ったのか思い出させる。
「はて」は呪文だったのかな(笑)
私が私でいるために
この道に君を引きずり込み、不幸にしてしまったのはこの私だ。
と、ものすごい後悔に苛まれている穂高先生に、寅子は「はて?」を投げかける。
不幸?
私が…?
はて?
先生は何も分かっていらっしゃらない。
もちろん私が桂場さんのもとを訪ねたのは、家族を養うという理由はあります。
でも私は無理に法律を学び続けたわけじゃない。
好きでやったんです。好きでここにいるんです!
まぁ……。
穂高先生的には、わけがわからないよね(笑)
穂高先生だって、長年悩んできたと思うのだよ。
女性のための門を開いたつもりだったのに、結局女性はただの広告塔として利用されただけ。結婚したら家のため、子どもを産んだら子どものため、それは変わらなかった。
自分が女性を後押ししたつもりで行ったことが、寅子たちを傷つけた。
傷ついて去って行ってしまったので、もう傷つけまいとして純粋な行為で遠ざけようとしたのに……
結局、穂高先生は一人でお相撲を取っていただけなのだった。
怒って出て行く佐田寅子の背中を見送って、
桂場君。
私はまた何か問題を起こしたかね?
と思わず訊ねてしまう穂高先生である。
いや。ある意味背中を押してやれたんじゃないですかね。
そうね。
何だかんだと穂高先生はいつも寅子たちの背中をちゃんと押して来たと思うの。
自信を持って、女性の前進に力を貸してほしい。
寅子はベンチに座って呪文のように新憲法を唱えていた。
第11条 「国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない」
第12条 「この憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」
第13条「すべて国民は個人として尊重される」
第14条「すべて国民は法の下に平等であって人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において
……差別されない」
これを唱え、「自分は自由である」と思い出すとき、優三さんは今もいつも寅子の隣にいる。
自分を取り巻く環境は今までと何も変わらない。
でもこの憲法がある。
好きで戻ってきた以上、私が私でいるためにやれるだけ努力してみるか…。
そう思わせてくれる存在は、いつも夫である優三さん。
これからも共に生きて行く。
個人としての尊厳
寅子はついに委員会で発言をした。
先生が大切になさりたい「家族を大事にする」という美風がおっしゃられたとおりに私たち全員に備わっているのなら、一人一人の尊厳を信じ、守れば何も言わずとも美風は失われないのではないでしょうか。
君は何にも分かっちゃいないね。個人の尊厳ばかりに目を向け過ぎだ。みんな自分のことばかり主張しだしたら、家族なんてすぐに散り散りになっちまうよ。
では、もし神保先生の息子さんが結婚して妻の氏を名乗ることにされたら息子さんの先生への愛情は消えるのですか?
私はもし娘が結婚したとして夫の名字を名乗ろうと、佐田の名字を名乗ろうと、私や家族への愛が消えるとは思いません。
名字一つで何もかもが変わるだなんて悲しすぎます。
私たちは多くのものを失ったのですから。
憲法にあるとおり、よりよく生きていくことに不断の努力を惜しまずにいきませんか?
これは令和と照らし合わせると難しいところではある。
確かに、神保先生が危惧した通り、家族は散り散りになり(核家族)、少子化、超高齢化社会の年金問題、介護問題、空き家問題などが蓄積されていく現代。
では、この時、法律で「イエ」をガチガチに固めておけば、こんなことにならなかったのか?と言われればそうでもない。
それは「名字の問題」よりも、人の心の問題に起因するものだと思うから。
紆余曲折を経た民法の一部を改正する法律案は、昭和22年7月、無事国会に提出され、その後12月に成立することになります。
神保先生が頑張ったらしく、730条は残った。
う~ん。結局、神保教授のごり押しで730条が残ったことがなんとも残念だよ。
と笑うライアン。
「直系血族及び同居の親族は互いに扶け合わなければならない」
そんな当たり前のことをわざわざ法律で規定することを国民はどう感じるのかねえ。
この時代はそれは「当たり前」の認識だが、その先の時代には、この盾があるからかろうじて救われている親も居るかもしれない。
そしてこの盾のせいで縛られている子ども世代も居るかもしれない。
でも信じましょうよ。
これからの社会は国民にこの民法をどう使ってもらうか次第です。
法律とは、本当に「使い方」次第。
花岡悟 (山口良忠判事)餓死事件
毎日を忙しく過ごしていた寅子たちの元に、とんでもない悲報が届く。
花岡が死んだ。
と肩を落とす小橋に、ひと言も返せない寅子。
だから……また会いましょうね、はフラグだと……。
前回の感想に書いた通り、昭和22年10月の、山口判事餓死事件は花岡くんの役に当たるものだった。
どういうことかというと、
当時、食糧管理法を担当していた判事が、闇米を買っていた被告に有罪を求めるにあたり、「配給米だけでは生きていけないと分かっているのに有罪を言い渡さなくてはならない」矛盾した自分の気持ちと法の狭間で悩み、自ら闇食料を断って栄養失調で亡くなった、というものである。
「国が配給している正式なルートの食品しか食べなかったら生きていけないぞ」と身をもって示したことになり、尊いことというか頑固というか……。
個人的にはこの頑固さは、花岡くんよりも轟に相応しい気がしているのだけれど。
その「俺たちの轟」だけれど、予告に出てきたような……(はい、出ています)
花岡大好きだったし、ショックは大きいよね……。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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