NHK大河ドラマ【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】第44回「ぼくたちの失敗」感想


1962年アジア大会。開催国インドネシアが台湾とイスラエルの参加を拒んだことが国際問題に発展。ボイコットする国も出る中、田畑(阿部サダヲ)率いる日本選手団は参加を強行、帰国後に猛烈なバッシングを浴びる。川島(浅野忠信)は田畑の事務総長解任に動く。脳出血で半身麻痺を患った志ん生(ビートたけし)は高座復帰を目指しリハビリに励む。五りん(神木隆之介)との落語二人会を企画し、それを目標とするのだが−

(あらすじは Yahoo!テレビより引用)

  2019年大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」感想

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いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第44回 「ぼくたちの失敗」

俺のオリンピック!いや違う……

俺たちのオリンピック!

俺たちのオリンピックーー!!

 

叫びながら追い出されるまーちゃんを呆然と見た……。

 

誰がこのレールを敷いたんだ。私なんだ。なのにそのレールを走れない。甚だ残念でならない……。

違う。そう……

ここまで形を作って来たのはまーちゃんじゃんねぇ。

なのに、どうして津島なんかに引きずられて辞めなきゃならないんだよ。

ああ……理不尽。

理不尽の極み。

ジャカルタ大会に参加する

「スカルノ大統領とズブズブの関係にあるオリンピック大臣」

と言われて川島が返した言葉は、

別に構わんよ僕は。参加、不参加、どっちでもいい。

そうだよね?東君。

仮に参加したとして、IOCに糾弾されて除名なんてことにならないかね?今回のことで東京オリンピックを取り上げられるんじゃないかとのうわさもあるが?

不参加にしてもマイナスはある。
アジアへの戦後補償。
もう政府はこのことに心血を注いできた。
ようやく反日感情が払拭できたのに、また日本はアジアの嫌われ者だ。それでも引き揚げますか?

ここで「そうだよね?東くん。」と入れるのにメチャメチャ腹が立つ。

知らないのはお前だけなんだよ、蚊帳の外はお前なんだよ、東くんは僕の味方なんだよ……ほら、もう、こういうところ、小学生のイジメと同じじゃんね~~。

しかし、実際に権力を手にする人間は反対派を除外するために周りの人間を削って不安にさせて追い落としていくものなので……人間の本質なのかなぁ。嫌なもんだねぇ。

これに対して、まーちゃんは参加を宣言する。ただし、政治の為ではなく。スポーツの、選手のために。

 

政治家の考えてることは俺には分からん。
だが、選手や観客の気持ちだけは分かる。

俺たちが東京オリンピック取り上げられるのと、こいつらがアジア大会取り上げられるの、どっちがつらい?

おんなじじゃんね!

今、日本が引き揚げてアジア大会ぶち壊して、その代償として東京オリンピックやって盛り上がるかね?2年後、心の底から楽しめるかね?

だったら出た方がいい! 絶対!

行ってこい! 
堂々と笑顔で歩いてこい!

大河ドラマ『いだてん』第44回感想 ジャカルタ大会に参加する

 

喜びに溢れる日本選手団、そしてインドネシアの人々……。

まーちゃん、カッコいい

 

しかしカッコいいのはここまでだった。

今日のまーちゃんはここから奈落の底までまっしぐら……。

戦犯

日本ではマスコミ各社(古巣の朝日まで)が、台湾とイスラエルが追い出された形の大会に日本が参加してしまったことを書きたてた。

川島オリンピック担当大臣は、参加の決定をまーちゃんのせいにし、マスコミはまーちゃんを「戦犯」と書いた。

この大会で日本は155個もメダルを取っている。
なのに、そんな報道は一切なされず。

人はネガティブなニュースほど好んで拡散し、ポジティブな話は心に留めるのみ。令和も何も変わらない。そんなものなのだろう。

この偏った報道も、恐らく操作されているよね。

責任問題を追及し、誰かを追い落とすために。

 

そしてターゲットに、口が悪くて、直感的にしか物事を語れず、天邪鬼で自己弁護が下手くそで……公然と悪態までついちゃう男が選ばれたのである……。

河野くんから「「親善大会」という名前を付ければ公式大会ではなくなる」というアドバイスを受けて、秘密裏に裏工作してみたらインドネシアのデモ隊が暴動を起こす始末。

なのに、その言い訳をマスコミの囲み取材で再びしちゃう。

あれは親善試合だから。
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 「親善」大会だと自ら言う

 

批判されて、翌日撤回。

昨夜の私の発言は、説明不足のため報道関係者に誤って受け取られました。

修正します。アジア競技大会は正式競技であります。

 

よく、ダメな政治家がやるグダグダの会見だよね……これ。

この後も、まーちゃんはグダグダの弁舌と、なのに偉そうな態度でお茶の間の顰蹙を買い、ついには国会に召喚されちゃった。

どこで間違えた

国会で散々責任を追及されて、まーちゃんは考える。

違う……こんなんじゃなかったはずだ。
どこだ?どこで間違えた?

そして、川島の語りを聞いて思い出すのだ。

こうなったら、はっきり政府が保証するということでなくてはいけないと思いますが?

今後は東京オリンピックを政府の国家事業と捉え金を出す。

そのかわり、時には口も出し、しっかりと管理する所存です。

 

まーちゃんも、あの時、高橋是清に言ったのである。

「先生方もスポーツを政治に利用すりゃいいんですよ。」

「金も出して口も出したら いかがですか?」

やっと思い出したね。(私は先週の記事にも書いたぞ)

あのシーンの時、田畑政治とは四三と違って政治家に擦り寄る主人公なんだなぁと思いながら見ていたんだもの。

そして、まーちゃんは大金を政治家から貰って帰ってきた。あの時点ですでに、まーちゃん自身が政治家に参加させたんじゃんね……。

壮大なブーメランが帰ってきた。

人生とは、なんと恐ろしい……。

 

そして、昭和37年10月2日。

まーちゃんはついにオリンピック委員会事務総長を解任されてしまう。

これがまたねぇ……汚いじゃんね。

会長の座を下りると言い出した津島が、

辞任はする。 
ただし条件がある。

田畑も一緒に辞めさせてもらいたい。
私が辞めてあの男が残るのは納得がいかんよ。

と、まーちゃんを道連れにした形。

大体、こんな話が酒の席で行われているのが最悪なんだよね。
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 まーちゃん追い出される

 

実は私も昔、あるポストからこんな風に追い落とされたことがあるんだよね。政治家じゃないけどね(笑)

陰でコソコソ画策されて、いつの間にか外される方向に持って行かれていたんだよね。

だから、まーちゃんが追い出されるシーンは何だか自分の事のように感じてしまった。(クドカンさんが、負け犬のためのストーリー作りの天才と言われる所以がよく分かる)

 

ずっと、まーちゃんが作ってきたオリンピックなんだよ。嘉納治五郎の時計を引き継いでいるのはまーちゃんなんだよ。

なのに、今、トップに座っているのはヒョイと出てきた政治のためのオリンピック利用男で……

退任会見の席で隣に座っているのは、自分が自分の小さな恨みのためにレールをぶっ壊してくれた老害である。
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 退任会見

私は戦前のロサンゼルス、ベルリンとオリンピックに参加し……東京招致にも関わってきた。

いいかい…。
俺の……俺のオリンピック……。

 

もう、見ている方も本当につらい……。

政治音痴過ぎて、権力と世間を舐めてた。

無邪気な所が愛おしかった。
それがそのまま弱点になった。

それでも「人」は残る

マリーさんの所で毎日グダグダに酔っぱらって、帰るまーちゃんを冷静に迎える菊枝さん。

夫を戦犯扱いする記事に心を痛め、カクさんに「まーちゃんは意外と嫌われてるんです!」と言われ(知ってたけど)、どれだけ眠れない日々を送っただろう。
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 奥さん

 

まーちゃんの「アレ」を分ってくれて、まーちゃんの拙い文をきちんと清書してくれる、この理解力の深い妻。

 

そして、公の場から追い出されても、なお、顔と顔を突き合わせてくれる仲間たち。
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 顔と顔

 

ラストのこの優しさがこのドラマの素敵な所なんだよ。

人間は、どこかで勝たなきゃ辛すぎるもの。

史実の退任会見

「紀行」も史実の退任会見。

本当に「いいかい。」って言ってるし……

「俺のオリンピック」も実際に作っていたと知って笑える(笑)
大河ドラマ『いだてん』第44回感想 実在の田畑政治

 

そして、実物の岩ちんもイケメンである。

仲間たちが引き継いでくれるから安心して退任できた。

まぁ……モヤモヤはし続けただろうけれども。

現実にまーちゃん抜きでも東京オリンピックは実現した。

仕事は回る。
そういうことなのね。

このドラマについてひと言ふた事書きたい方はぜひどうぞ。

https://dramarevue.cinemarev.net/revue/idaten/

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※キャスト

田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎

高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌

酒井菊枝 … 麻生久美子
マリー … 薬師丸ひろ子

松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦

平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊
津島寿一 … 井上順
川島正次郎 … 浅野忠信
大島鎌吉 … 平原テツ
東照子 … 筒井真理子
東博彦 … 荒井敦史
吹浦忠正 … 須藤蓮
大河原やす子 … 川島海荷

丹下健三 … 松田龍平
黒澤明 … 増子直純
亀倉雄策 … 前野健太
村上信夫 … 黒田大輔
市川崑 … 三谷幸喜
三波春夫 … 浜野謙太
松下治英 … 駿河太郎

古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介

知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生

三遊亭圓生 … 中村七之助

大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
小松勝 … 仲野太賀

嘉納治五郎 … 役所広司

岸清一 … 岩松了
野口源三郎 … 永山絢斗
副島道正 … 塚本晋也
杉村陽太郎 … 加藤雅也
牛塚虎太郎 … きたろう

黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス

武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ

春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋

三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月

橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸

村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春
古橋廣之進 … 北島康介
河西昌枝 … 安藤サクラ
大松博文 … 徳井義実
谷田絹子 … 堺小春
宮本恵美子 … 泉川実穂
半田百合子 … 松永渚
松村好子 … 田中シェン
磯辺サタ … 北向珠夕
エミ … 渡辺悠子
河西栄一野 … 添義弘
河西まさ代 … 滝本ゆに

犬養毅 … 塩見三省

高橋是清 … 萩原健一

噺 … ビートたけし

※スタッフ

脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞

【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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