1959年。東京オリンピックの招致活動は大詰めを迎えていた。田畑(阿部サダヲ)は、東京都庁にNHK解説委員の平沢和重(星野源)を招き、来るIOC総会での最終スピーチを引き受けるよう頼みこむ。断る平沢に対し田畑は、全てを失った敗戦以来、悲願の招致のために全力を尽くしてきた自分の「オリンピック噺」を語って聞かせる。それは、戦後の食糧不足の中、浜松で天才・古橋廣之進(北島康介)を見出すところから始まるー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第40回 「バックトゥザフューチャー」
『いだてん』もついに戦後。最終章に入り、1964年東京オリンピックまでの道のりはそう遠くなくなった。
それは同時にこの大河が終わる事であり……
2019年が終わるということでもある。
寂しいね。
そして2020年には東京に再びオリンピックがやってくる。
そのオリンピックについてこの大河が何かモノ申しているのかどうかは分からない。もちろん、オリンピック推し国策のための大河だとも思っていない。けれどもリスクが高いという内容だとも思わない。
だって、選手たちはこんなに頑張っているじゃんね。
平沢和重15分時事公論
昭和34年。
あの嘉納先生の最期を見取った平沢和重さんは、NHKの解説委員となり、東京オリンピック招致にモノ申していた。
「今のままオリンピックを開催すれば、世界に対して日本が恥をさらしかねません。」
いい気になりやがって。
横分けのマダムキラーが。
と悪態つきつつ、この平沢さんを招致委員会に呼ぶ まーちゃん。
IOC総会の最終スピーチを担当する外交官の北原が足をくじいたので、その代わりに推薦されたのである。
けれども、今や反対派の平沢、当然スピーチを断る。
戦前「柔道」の機関誌に「心から東京オリンピックの成功を祈らざるえないのである」と寄稿した事について問い詰めるまーちゃんに、あれは戦前の幻のオリンピックの事で今ではないとキッパリ言う平沢。
幻?何が違うというんだね?
「Still early」
まさに時期尚早。
敗戦からまだたったの14年。
戦争で何もかも失った今の日本に必要なのはオリンピックのような金のかかるお祭りではない!
私がオリンピック開催に反対する5つの理由を今から15分間で解説しましょう。
1 対アメリカ問題
2 スポーツ教育の遅れ
3 人材不足
4 交通や宿泊施設の不備
5 開催国の選手としての実力不足
首都圏にもアメリカの基地が残っており、独立しているのかどうか世界から危ぶまれる状態。その上、確かに有力な選手もいないと皆が頷く中、まーちゃんは言うのだった。
平沢さん、俺には俺の考えがあって戦後スポーツ復興のために全力を尽くしてきた。
早えか遅えか論じるのは15分間……俺の「オリムピック噺」を聞いてからにしてくれ!
サダヲの落語調語り、やっぱり上手いねぇ……。どん太、思い出しちゃったよ。
今日はここから時代がバックしていく。
古橋廣之進と裏オリンピック
昭和20年。終戦。
まーちゃんは変わり果てた神宮へ向かった。
周りは空襲で焼け野原、瓦礫と飢えた人々、米軍に接収された施設……。
そんな中、あの治五郎先生の模型は残っている。
マリーの店には東龍さんもカクさんも居て、みんな無事だった。
ちょっと、ちょっと…誰にも言うなよ?
今言ったらバカだと思われっから。
何です?
俺はこの東京で……オリンピックをやる。
よし、言った!
最初に言ったの俺!俺だからな。
皆は呆れたが、そう、このドラマでも戦地のオリンピックは描かれた。懐かしいね。
かのピエール・ド・クーベルタン氏は、普仏戦争でドイツに負けた祖国フランスをスポーツで盛り上げようと考えた。それが近代オリンピックの始まり。
生き残った関係者15名で「日本體育協會」を立ち上げた。出征していた選手たちも次々と帰ってきた。
彼らをコーチに迎え、少ない食料の中、選手たちに体力をつけさせるためにカエルまで捕まえ食わせた。
まーちゃんのお膝元、浜松出身の古橋廣之進は日本新記録を打ち立てたが、敗戦国のため日本はオリンピックに出られない。
そこで、まーちゃんは「裏オリンピック」を開いた。
オリンピック同時刻同時スタートする裏オリンピックで金メダルを獲得する古橋廣之進。北島康介@リアルメダリストにカエルを食らわせ「気持ちいいじゃんねーー!」と叫ばせる大河(笑)
参加することより勝つことに意義があったんだよ、あの時は!
敗戦後、滅入っていた日本人の心を明るくした。若者を鼓舞した!
水連は国際競技連盟に復帰、全米水泳選手権に招待されたよ。
アメリカ占領下でパスポートの取れない時代。
まーちゃんはマッカーサーに直談判し、「手を抜くな。日本人の誇りを忘れるな。」という言葉で送り出されたのだった。
オリンピックは金儲けになる
1952年(昭和27年)。日本は戦後初めてオリンピックの参加を認められた。開催地はヘルシンキ。
主将の古橋はピークをすぎており結果は奮わなかったが、オリンピックに経済効果があるというヒントは貰った。
吉田首相に直談判したが事は進まず。政治家が話を聞かないならば自分が政治家になってやろうと衆議院議員選挙に立候補したまーちゃん。
落選……。
200億の経費を国のナニからアレしてね、オリンピックをアレした暁には……。
とか、オリンピックの公約しか打ち立ててないから仕方ないよね~~(新聞社に居た時から政治音痴だしね~~(笑))
しかしめげずに まーちゃんは走り続ける。
英語に堪能な秘書・岩ちん@岩田幸彰を引き連れて地道なロビー活動。
日本PRの末、勝ち取ったIOC総会 in 東京。
TOKYOを世界にアピールするために、古くなった神宮競技場の建て直しも決定した。
治五郎先生の思い出詰まった神宮競技場……。
でも、
懐かしくても古いもんは古い。うん。壊そう!新しい東京をアピールするんだよ。
そうね、思い出に浸っていても未来は開かれないのである。
昭和33年.IOC総会では日本が開催地として十分な力を持っていることを無事アピールし、そして最後に打った手が東龍さんの東京都知事選。
やらずに後悔するぐらいなら、晩節を汚してでも俺はこの東京でオリンピックを開きたいんだよ!
奥さんを説得して出馬……無事当選するのだった。
面白いもの
で、万策尽くして2週間後のミュンヘン総会で東京を推そうとしていた矢先、岩ちんが骨折しちゃったのである。
そもそも皆さんがどうしてそこまでオリンピックに魅せられるのかその理由が知りたい。
それは「ぺ」のためだと言う まーちゃん。
ぺ……ぺ……。
治五郎先生がかつて言っていた、あの「ぺ」。
5年前、水連はフィリピンへ遠征に行き、そこで石を投げる暴徒たちに襲われた。
歓迎されると思った自分を恥じたよ。
我々が世界平和などおこがましい。彼らにとって戦争はまだ終わってなかったんだ。
俺たちはどうするべきか話し合った。
怒りを込めて「日本人」に向かって叫ぶ現地の人々。
あのロスの日本人村とは正反対。
そこで、選手は「泳ぐ」ことに決めたのだ。
日本人はすぐ「自重せよ自粛せよ」って言うけど、泳ぐしか能のない俺たちが泳ぐのやめて何かいいことあるか?
やりましょう、監督。
俺たちには水泳しかないんだから!
まーちゃんは平沢にむかって言う。
アジア各地でひどいこと、むごいことしてきた俺たち日本人は、面白いことやんなきゃいけないんだよ!
時期尚早?
冗談じゃない!
遅すぎるくらいだよ!
面白いこと……。
ああそうだよ。
一番面白いことな!
それは、最後に嘉納先生と語ったことだった。船内のお茶会で。
「一番面白いこととは東京オリンピックなのでは」
と言ったのは平沢だった。
嘉納先生は子どものように笑った。
平沢は、覚えていた。
あの笑顔。
何だ……面白いことか。
面白いことなら、やらせて頂きます。
そして最初に戻る
1959年5月。ミュンヘンの総会で、平沢はスピーチした。自分の言葉で。
それは、小学6年生の娘の教科書からヒントを得たスピーチだった。
「オリンピック、オリンピック。こう聞いただけでもわたしたちの心は躍ります」
「全世界からスポーツの選手がそれぞれの国旗をかざして集まるのです」
「すべての選手が同じ規則に従い」
「同じ条件のもとに力を競うのです」
嘉納先生が日本人もオリンピックに参加しようと提唱し、移動のための手段だった「駆け足」をマラソンという競技を楽しむものに変え、「体育」は「スポーツ」になり、「動く事は恥ずかしい」と言われていた女子にも広まり、オリンピックに参加し、言葉も分からない異国の人たちと共に闘い、倒れれば助け合い、国同士が争ってもスポーツで通じ合い……。
めくるめく回想。
私たちはこんなにも長い間、スポーツとスポーツに関わる人たちの甘く激しく歴史を見て来たんだ。
その時が、ついに来ました。
五輪の紋章に表された”第五の大陸”へオリンピックを導くべきではないでしょうか。
”アジア”に。
「日本に」ではなく、「アジアに」。
太平洋戦争で大きな傷を負ったアジアに。
平和のために。
そうして、「東京」は開催地として決定した。
この大河の初めに戻った。
長い長いBack to the Future.
ずいぶん、長い旅をしてきたなぁ……
でも、面白くてあっという間だった。
嘉納先生の願いから始まり、嘉納先生の願いだらけの思い出で閉める……ここまで嘉納先生ばかりじゃんね。この大河、嘉納先生のための大河だったんだ、やっぱり。
姿がなくなっても魂がそこにある。
ここから1ヶ月。
「面白いこと」を嘉納先生と一緒にまだ見て行く幸せ。
※キャスト
田畑政治 … 阿部サダヲ
金栗四三 … 中村勘九郎
高石勝男 … 斎藤工
大横田勉 … 林遣都
野田一雄 … 三浦貴大
鶴田義行 … 大東駿介
河野一郎 … 桐谷健太
松澤初穂 … 木竜麻生
前畑秀子 … 上白石萌歌
酒井菊枝 … 麻生久美子
マリー … 薬師丸ひろ子
松沢一鶴 … 皆川猿時
河西三省 … トータス松本
慶 … 深沢敦
平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
北原秀雄 … 岩井秀人
東龍太郎 … 松重豊
古今亭志ん生 … ビートたけし
美濃部孝蔵 … 森山未來
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介
知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
万朝 … 柄本時生
大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
小松勝 … 仲野太賀
嘉納治五郎 … 役所広司
岸清一 … 岩松了
野口源三郎 … 永山絢斗
副島道正 … 塚本晋也
杉村陽太郎 … 加藤雅也
牛塚虎太郎 … きたろう
川島正次郎 … 浅野忠信
黒坂辛作 … ピエール瀧→三宅弘城
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス
武田千代三郎 … 永島敏行
二階堂トクヨ … 寺島しのぶ
春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋
三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月
橘家圓喬 … 松尾スズキ
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸
村田富江 … 黒島結菜
村田大作 … 板尾創路
人見絹枝 … 菅原小春
犬養毅 … 塩見三省
高橋是清 … 萩原健一
噺 … ビートたけし
※スタッフ
脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁、桑野智宏
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞
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【いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)】
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