弁護士の道を捨てたことに後ろめたさを感じていた時期の寅子は、身内を失くした辛さも被って痛々しかったけれど……。
立ち直り前を向いた今、グイグイ行き過ぎる……こんな人だったっけ?まぁ、こんな人ではあったかも。
酔って寝てしまった汐見(平埜生成)を多岐川(滝藤賢一)と自宅に送り届けた寅子(伊藤沙莉)。出迎えた汐見の妻・香子は寅子のよく知る人物だった。多岐川から追い出される形で帰宅した寅子は納得がいかないが、はる(石田ゆり子)からは「生きていれば色々ある」と諭される。翌日、汐見から事情を説明された寅子は何か自分にできることはないかと問うが、できることはないと多岐川に断言されてしまう…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第11週「女子と小人は養い難し?」第54話
感想
ヒョンちゃんにグイグイ行こうとする寅子は法の世界に居るのに戦後の差別問題などについて何も学ばなかったのだろうか……。という部分も、ともかく。
花岡さんの奥さんに対する謝罪は「あんた、うちの花岡の何の立場なんです?」と言われても仕方ないレベルで引いたわ……。
悪気はないけど突っ走る朝ドラヒロイン。現実にも居る人が描かれるんだよね。
話してほしいと言われてる
ヒャンちゃん?
ヒャンちゃんだよね?
玄関に出て来た汐見さんの妻は間違いなくヒャンちゃんで。
声をかけたのに、
その名前で呼ばないで。
と、冷たく言われてしまう。
酔っぱらった多岐川さんから、
しまった!
香子ちゃんに絶対佐田君を家に連れてくるなって言われてたのに!
帰ってくれ!すまん!
連れて来られたのに追い帰される始末。
はて……である。
ともかく、自分とヒャンちゃんが再会できないことは、仕組まれていたことだったと初めて知る寅子。
翌朝、汐見さんは丁寧に謝ってくれた。
ごめん。昨夜も、香子のこと黙っていたことも。
やっぱりヒャンちゃんなんですよね。
チェ・ヒャンスクでヒャンちゃんか。
彼女は僕との結婚をきっかけに香子と名乗ることにしたんだ。
香子とは多岐川さんが朝鮮の裁判所で……。
あっ、いいんです。
ヒャンちゃんのことは彼女自身から聞きたいので。
そう言わずに聞いてくれ。
彼女から話してほしいと言われてるんだ。
これは辛いよね。
「彼女から話してほしいと言われている」
つまり、直接話す気はない。
会いたくないって事よね。
だったら黙ってろ
学生時代、ヒャンちゃんが弁護士の道をあきらめた切っ掛けの事件。
労働争議扇動の疑いをかけられて逃走したヒャンちゃんのお兄さんはその後逮捕され、その時の判事が多岐川さんだったらしい。
多岐川さんが朝鮮で法律を学ぶ学生たちを指導しており、ヒャンちゃんはそのアシスタントに抜擢された。そして汐見さんと出会うことになる。
お互いの家族から結婚を猛反対されて。
結局、認めてもらえず2人とも勘当されちゃってね。
香子のご家族のことは責められない。
僕は彼女のお兄さんにひどいことをした国の人間なんだから。
ヒャンちゃんのご両親は日本人に対する戦時中の嫌悪感から。
汐見さんのご両親は差別意識から。
2人は祝福されず、でも、ヒャンちゃんは汐見さんの日本引き揚げについてきた。
勘当されて居場所のない僕らを多岐川さんはずっと居候させてくれてるんだ。
多岐川さん、ごめんね……私は逆だと思っていた(多岐川さんが居候しているのかと(笑))
でも、その感謝の念があって、汐見さんは多岐川さんの世話を甲斐甲斐しく焼いているのだね。分かった。
彼女は今、汐見香子という日本人として生きていこうと思ってる。とやかく言う人もいるからね。香子からの伝言。
「崔香淑のことは忘れて私のことは誰にも話さないで。トラちゃんはトラちゃんの仕事を頑張って。」
だそうだ。
それでも、自分にできることは無いのかと食い下がる寅子に、出勤してきた多岐川は言う。
香子ちゃんは全て承知で汐見君と結婚したんだ。
どうするか決める権利は全て香子ちゃんにある。
でも…助けてほしくてもそう言えない人だっているんじゃないでしょうか?
じゃあ、この国に染みついている香子ちゃんへの偏見を正す力が佐田君にあるのか?
ないだろ。
だったら黙ってろ。
時間は有限だ。
助けてほしいかどうか分からん人間に使う時間は君にはない。
君が家を出てから家に帰るまでの時間は家庭裁判所設立のために使いたまえ。
いや、本当に。
ヒャンちゃんには汐見さんと多岐川さんがついている。
寅子の出る幕ではない。
その上、本人が今、会いたくないと言っている。
グイグイ行く時ではないよね。
私の正論は純度が低い
桂場さんが寅子にお客を連れてきた。
花岡判事の奥様の奈津子さんだ。
昔、裁判所で花岡に紹介されたことは記憶に新しい。
あの時は初々しかったお嬢様は、今は嫁入りした花岡家の弁護士事務をしていて、東京へ用があって来たらしい。
お父上はお元気なんだね。
そして跡取りを失って、嫁と一緒に孫の成長を待っているわけだ……。
花岡家のその後を想像すると、この奥さんも本当に辛かっただろうなと、お悔やみを言いたくなる……
が、寅子は、お悔やみどころか、とんでもないことを言い出すのだった。
ごめんなさい。
花岡さんが苦しんでいることに気付けませんでした。
気付いていたら何か変わったかもしれないのに。
本当にごめんなさい。
えっ……寅子……。
どういう立場から物を言っているの、それは。
今日の寅ちゃん、ちょっと最低だったわ。奥様に向って私が気づけなくてごめんなさいって側室気取りかよ(´・ω・`)朝ドラヒロインは「別に正しくない」のお手本のようだった。まだまだ若い #虎に翼
— くう🎞️ (@kukucoo) June 13, 2024
家族が何を言っても駄目だったの。もし周りが説得して折れていたら、私やいちゃうわ。
ユーモアたっぷりに返す奈津子さん。
頭のいい人なんだなぁ。
花岡さんの人選は正しかったね。
寅子の方は……自分の失礼さに気づいているのかいないのか。
奈津子さんは、花岡が寅子からチョコレートを貰ったことに対してお礼を言いに来てくれたのだった。
チョコレートのおかげで久しぶりに家族が笑顔になれたんです。
夫もあなたに何度も感謝していました。「子供たちもあんなふうに優しく強く育ってほしい」なんて言って。
本当に……頭の良い人なんだな……。
多岐川から釘を刺される寅子である。
家庭裁判所の設立は急務だ。彼女や君の義理の姉上のように家族に恵まれたご婦人ばかりではない。
分かっています。
でも正論だけでは皆さん納得しないんですよ。
正論は見栄や詭弁が混じっていては駄目だ。
純度が高ければ高いほど威力を発揮する。
それって私の正論は純度が低い…。
…ということでしょうか!?
そうなんだよね。
寅子は昔から家庭には恵まれてきた。
娘を大学まで通わせる金銭的余裕のある家。
「女のくせに」を押し付けない先進的な親。
父親が罪人になりかけた時はあったが、財産は失わず、戦後も家は残った。
女は家庭に居るべしなどと言わない優しい夫。
大人の男たちは次々と亡くなってしまったが、学生時代からの親友である兄嫁は今も一緒。
子どもの保育先を探す必要のない実家環境。
寅子はそれを「分かっています」……分かっているかな。と思うことは多い。
朝ドラでは数々の偉人がモデル題材になるが、そのほとんどは実家が超お金持ちなので、やはり勉学を極めることが出来る環境が偉人を生むのだなと……モデルケースとして、真実だと思う。
きっと、それを自覚して地位や貧富の差をフラットに見る人が世を変えていく。
寅子のそういう変化も見られるといいな。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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