確かに懐かしい顔がチラホラ出て来るたびに「ご無事で生きていらして何より……」と思うわけだけれど、その身内は寅子のように亡くなっている可能性があるわけで。
なんだか老いたように、疲れたように見える穂高先生。
どんな戦中をお過ごしだったのか……。
民法が改正されれば多くの人が混乱すると語る神保(木場勝己)。寅子(伊藤沙莉)は花江(森田望智)を思い出し、強く反対意見を言えない。寅子は広く意見を募るために婦人代議士・立花幸恵(伊勢志摩)らの集まりに参加するが、自分は一度弁護士をやめたということから後ろめたい気持ちを感じてしまう。狭い法曹界。寅子は民法改正の委員をしている穂高(小林薫)とばったり再会する…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第10週「女の知恵は鼻の先?」第48話
感想
小橋にすら「大人になった」と言われてしまう寅子。
「すんっ」どころではない。
周りは混乱しながらも前に進んでいる。寅子も中へ入らないと……。
保守のお手本
君もそう思うだろ?
ライアンを訪ねて来た神保教授は、ライアン曰く「保守のお手本」。
私は新しい憲法を目にした時に大変感動しました。民法の草案を見た時も同様でして。……
寅子がやっとそう答えると、畳みかけるようにスラスラと持論を展開する。
法の知識がある君ならばそうかもしれないね。でも国民の全てが法に明るいわけじゃない。
今、国民は 何もかも変化を強いられて苦しんでいる。
そんな中で民法も変わって家族の在り方さえ変わってしまったら君は一体どうなると思う?
今はそう思えなくともゆくゆくは…。
この国は今そんな先のことを見ている場合かね?
まず未来ではなく今目の前の苦しむ人を私は救いたいと思うが…君は違うかな?
神保教授のいうことが保守的であることはよく分る。
けれども今はそれよりも、神保教授がお年でも、どんどんと持論を展開する頭の回転が出来ている……ことが重要で。
すんっ。どころか。
説得力があるので、寅子は神保教授の話の最中に花江ちゃんの泣き声すら回想してしまっている。
この説得力こそ、法律をかみ砕いて判断し、ディベートする、仕業に必要な能力。
ひと言も返せない寅子は、今、完全にリハビリが必要な状態になってしまっている。
桂場さんやライアンは、寅子のそこを見ている。
大人になったな~って思ったんですよね、桂場さん。前のお前ならすぐ「はて? はて?」って噛みついて理想論を振りかざしてただろ。
悪いけれど、小橋は完全に的外れだった。
穂高先生に会う
狭い法曹界…司法省で働くということは大勢の知り合いと顔を合わすということです。
ということで、新法改正の中で目まぐるしく働く寅子はある日、民事局の廊下で偶然、穂高先生に会う。
猪爪君!
…じゃなくて佐田君。いけないね、何度も何度も……。
あっ…ご無沙汰しております。あと、呼びやすい方で構いませんよ。
穂高先生も民法改正の委員をしているのだった。
寅子が働いていることを知ると、
君のお父上は君が働くことに何と?
て言ってくる穂高先生。
そう……これが時代だ。
家に子どもの面倒を見させて、女が働くなんて?という時代だ。
父と兄、夫も亡くなりました。
ここで初めて、先生は「女が働かざるを得ない状況になったこと」について納得する。
そうだったのか…。……いや、それは残念だ。
老いた男性委員は神保先生に限らず保守的だ。
みんな、変わっていくことは恐いのである。
君だって社会を変える場所にいる
寅子は婦人代議士たちの集まりに参加。
もちろん、仕事で。
「日本で初めての婦人代議士」立花さん。伊勢志摩である。
どうして男性は封建的な家父長制にしがみつきたいのかしら。
日本の古きよき家族観美徳が失われると。
「古きよき」なんて明治時代から始まった決まりばかりじゃない。
女性たちを縛りつけておきたいの間違いでしょ?
集まる女性たちは辛らつに保守派男性を批判し、笑い合う。
あなたもお偉い先生方にビシッと言っておやりなさいな。
そうですよね…。
寅子は、ちっともビシッと言えない。
立花さん、すばらしい人でしょう。
とライアンに訊ねられ、
はい。とっても。
皆さん自分たちが先頭に立って社会を変えてやるってそんな熱意に満ちていて。この人たちがいれば世の中は変わるんじゃないかと思える……。
それは。
女性が法をもって世界を変えられると信じていた寅子も同じだったはずだよ。
どうしてそんなに他人事なの?
君だって彼女たちと同じ、今、社会を変える場所にいるじゃない。
寅子は、今、昔のようにガツガツと世界を語れる自分が消えてしまったことに自分自身が戸惑っている様子。
一度逃げ出した自分と、自分より長い間戦い続けてきた彼女たちを一緒にすることはどうしてもできませんでした。
もったいないね。
それでも、女性も判事になれると思ったから、ここに来たはずなのに。
花岡くん…「隣」の席というより、ベンチが空いてる
覇気のない毎日を送る中、寅子は花岡と再会するのだった。
久しぶりだね。
ええ本当に久しぶり。
隣、いいかな?
彼は戦場に行かずに済んだのかな。
実家と妻子と父親はどうなったのだろう。
そして、そんな狭い所にわざわざ来なくても……隣のベンチが空いてる……。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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