玉音放送のない昭和朝ドラ、今までにあっただろうか。
戦前戦後はグズグズせず、アバンで終戦。
直道兄さん……。
昭和20年。東京大空襲で多くの人が被害に遭う。寅子(伊藤沙莉)と娘・優未、花江(森田望智)と子供たちは疎開先で空襲を逃れるが、空腹に耐えながら必死に暮らす家族の元に悪い知らせが届く。やがて、終戦。弟・直明(三山凌輝)が帰って来る。久しぶりの再会に大喜びする猪爪家だったが、直明は大学へは行かず、すぐにでも家族のために働きたいと言い出す…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」第41話
感想
登戸の軍需工場寮に残ったお父さんとお母さん。
本当に無事で良かった。
けれども、私は はるさんが心配で仕方ない。
大事な長男を失い、泣きたいのに我慢して家族を支えている。
無理が無いと良いけれど。
直道兄さんの戦死公報
冒頭にも書いたが、この作品の太平洋戦争はほぼ本日のアバンで終わっている。
昭和20年3月10日。東京大空襲。
登戸は空襲を逃れたが、都内に住む花江ちゃんのご両親は犠牲になった。
そして、昭和20年7月。
実家を失い、寅子と共に疎開していた花江ちゃんに追い打ちをかける出来事が起きる。
トラ…。
昨日、知らせが届いた。
直道が……。
花江ちゃんは目の前に居るのに、花江ちゃんには真っすぐ伝えられず、寅子に向かって言うところが直言父さんらしい。
聞いた途端に花江ちゃんは絞り出すように大声で泣き続けた。
ねえ……あの能天気で明るくて、一生懸命いつも家族を盛り上げてくれていた直道さんが一体何をしたというのだろう。
#花江ちゃん https://t.co/kBBeE38dwm
— 上川周作 (@KamikawaShusaku) May 26, 2024
実は、ちょっとだけ期待していたのよね。
史実のモデルの人・三淵さんには兄は居ない。戦死されたのは弟さんだった。
わざわざ兄の設定にしたのは、生き残らせるため?……いや、甘かった。
寅つばの終戦は玉音放送も無く、ヒロインが泣き喚くこともなく、戦争は終わる。
よねさんは??
疎開先から引き揚げて来た寅子は、上野の路地に入り、「カフェー燈台」へ寄ってみる。看板は落ちていたが焦げてはいない……建物は残っていた。
中の様子を窺おうとした寅子に、見知らぬ女性が声をかける。
そこの店の人なら空襲で亡くなったそうですよ。
えっ……よねさん?
いや、たぶん、よねさんは生きているに違いない。よねさんと轟にはずっと寅子の傍に居て欲しいのよ。
マスターも元気で居て欲しい……。
「亡くなった」のは、お店の女の人たちかも……。
直明の帰還
寅子は、あまり泣いたりわめいたり悲しんだりして見せない冷静さと強さを感じるけれど、はる母さんもそう。
いや、はる母さんの場合は、もっと無理しているように見える。
恐らく、直道兄さんが亡くなってからずっと泣いていたに違いないのに、疎開していた家族を笑顔で迎え、孫たちを慰める。
直人、直治、おばあちゃんにはね、ちゃ~んと分かってますよ。2人が今までお母さんを懸命に支えたこと。つらいことがあっても耐えたこと。
よく頑張りましたね。
でもね、もういいのよ。
その役割はこれからおばあちゃんとおじいちゃんが引き受けます。だからもういいの。
祖母に抱きしめられて、泣きながら、
疎開先のやつらがいっつもいじめてきて。お母さんには言えないし……僕には分かるんだ。トラちゃんに言うと面倒なことになるって。
と訴えるのだった。
直道兄さんの血筋だから「僕にはわかるよ」なのだろうが、直道兄さんと違って言っていることは的外れじゃなさそう……。
寅子に言ったら、いじめたやつらの家か学校に出向いて延々と理論的に語り続けるんだろうな……。
それは、ありがたくもあり……面倒くさくもあるよね、たぶん。
さて……。
それからしばらく、猪爪家を1人の青年が訪れる。
ただいま。
直明…。
直明!直明?
大事な息子に抱き着いて、たぶん久しぶりにきちんと泣けた はるさん。
直明くんは、学徒出陣などさせられていなかったんだね。本当に良かった……。
岡山も空襲を受けて校舎も焼けてしまって。
繰り上げで卒業資格を頂き戻ってまいりました。
きちんと挨拶する立派な弟は、家の今後のことも考えていた。
無事で本当によかった。
明日にでも帝大の願書を取りに行きましょう。
と言う寅子に、
大学へは行かない。
家族のために働くよ。みんなを支えたいんだ。
と答える直明である。
今、この状況で、「大学進学」を一番に口にするヒロインもなかなか珍しい。明日もお芋だと言われているのに、経済観念もないかも……。
まず、生れた家は国に取り上げられ、軍需工場の寮だったこの家も追い出される可能性がある。
また、登戸は焼けず、その後は疎開していたので「大学残ってる?」という疑問も湧かないのかも知れない。
父は仕事を失い、一家の働き手になるはずだった兄は戦死した。
まずは資金。資金を何とかしなきゃ。
すまない直明。今の俺にはお前を大学に行かせてやる自信がない。だからお前の提案に甘えさせてくれ。
と頭を下げる父。
直言さん、具合悪そうだもんね……。
頭を上げてよ。僕がこうしたいんだよ。
子供たちがさ、少しでもひもじい思いをしないで済むように頑張るからさ。
このやり取りに、さすがに「はて」とは言わないが、寅子は納得いかない。
結局は寅子が仕事を再開するのだろう……いや、そうして欲しい。
寅つばが戦時中の描写なんかに時間を割かないのは、この後の東京裁判をガッツリやるためなのではないかと。
そう思っている。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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