明治2年、隠居し薩摩で穏やかな日々を過ごしていた西郷隆盛(鈴木亮平)は、奄美大島から9歳になる息子菊次郎(城桧吏)を薩摩に引き取る。しかし、菊次郎は継母となった糸(黒木華)とその息子寅太郎にも遠慮し心を開かない。一方、明治新政府は版籍奉還など急激な改革を進め、不平士族や農民たちの反乱が各地で起こっていた。そんな時、大久保利通(瑛太)は従道(錦戸亮)に、隆盛を上京させるよう説得させる。
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
西郷どん 第39回 「父、西郷隆盛」
明治篇に突入し、OPが変わった『西郷どん』
新OP
最初はこの勢いあり過ぎな明るい曲調で戊辰戦争以降どうするよ……と思っていたんだけれども、この明るい曲が西郷どんの若き日の希望や前向きさ……の残像を表しているのだと思って聞くと、なかなか良かったりする。
新OP、背中を向けて正反対の方向に歩いて行く大久保と西郷。
大久保の冷たい表情も、西郷の柔らかい表情も、今はお互いを理解せず「仕方ない」ように見える。
最終回にはこの印象がガラっと変わる……かもね。
西郷も大久保も、決して万人に理解された末路とは言えないのだから。
明治37年 過去を振り返る菊次郎
時は明治37年……。
京都市長に就任した西郷菊次郎が父・隆盛を振り返り語るという形で物語は進行。
今までのナレは……
菊次郎の回想だった??
っていうには無理がある気がするけれども、時を超えてどこかから見ていた……と思えばOKか。
菊次郎は、今までずっとナレを務めていた西田敏行さん。
思えば……『翔ぶが如く』で薩摩の西郷隆盛、『八重の桜』で会津の西郷頼母、『西郷どん』で薩摩の西郷菊次郎……西郷づくしやん。そして中の人ご本人は会津の人である。ややこしや……。
私が、川村さん、あなたに父のことを話せるのは明治2年の頃からでしょうか。
そのころ父は「鹿児島」と名を変えた故郷へ帰っておりました。
父は新政府には加わらず、藩の政治からも遠ざかり、農地を巡っては野良仕事を手伝う日々を過ごしていました。
そしてこの頃から父は「西郷隆盛」と名乗るようになりました。
そして、戊辰戦争で亡くなった弟・吉二郎の思いも汲み、西郷は大島から菊次郎を呼び寄せるのだった。
糸と愛加那
大島に出向いたのは糸と熊吉。
この、愛加那と糸どんの対面が、まぁ、すごく良かった。
先月観た『散り椿』でも見入った黒木華さんの所作の美しさ。
凛とした佇まいが「武家の正妻」然として、西郷家で台所働きしている時には醸し出されなかった威厳を感じさせる。
自分よりも先に子どもを産んだ「島の妻」に会いに来るまで、この人がどんな気持ちでいたのか、セリフが無くても分る。
そして、それは言葉に出るのだった。
旦那さぁは、いっつも言っちょいもす。
流された島で愛加那さぁに命を救われたち。
ほんのこて、お礼申し上げもす。
そして、島の妻は、「礼など言わないでくれ、好いた人を世話するのは当たり前の事です」と、きちんと言い返す。
西郷家のものとして、立派に育てたという息子。
本当に、気品のある子。
無邪気さと賢さと繊細さを醸し出す城桧吏くんの起用、素晴らしい。
この2人の対面シーンだけで、2人の女がどれだけちゃんとした妻であり母であるかが分るのね。
黒木華さんも二階堂ふみさんも素晴らしい女優だし、多くをくどくど語らせない脚本も良かった。
この回は、こんな風に「西郷家のホームドラマ」として、本当に見応えあった。
いずれ西郷家へ入るように躾けられてきた菊次郎は、長子の席は寅太郎へ渡し、自分は次兄の席へ座る配慮まで躾けられていた。
愛加那の賢さと奥ゆかしさ。
西郷家も西郷家で、そんな菊次郎を本当に温かく迎える。
余所の島から来た子どもだから仲間外れだなどというベタもなく。
つん と ごじゃも登場。
西郷さんの犬好きエピが子どもたちの融和に使われる。上手い。
#西郷どん に登場した西郷の愛犬、ツン&ゴジャ?
ゴジャは外国人にだけ吠えたため「攘夷家」とも呼ばれたそうですね。
写真は西郷ゆかりの湯・鰻温泉にある石像♨️ちなみに西郷は鰻温泉に13匹の犬と滞在しています。どんだけ。https://t.co/HUDZybZJ0z pic.twitter.com/t0CqVO7VL6— ご当地歴史メディア・ユカリノ (@yukarino_news) 2018年10月21日
歴史は相変わらずの駆け足スルー状態だが、国政に関わらず鹿児島に引き籠る西郷を外に出す切っ掛けとなる横山安武の諫死は描かれた。
あと、いくら西郷家に無関係な所を飛ばしていくにしたって、小松帯刀のお見舞いくらいは行ってもいいし、亡くなった事はせめて会話で語ってくれてもいいよね……。さようなら町田くん。
せっかく武家の妻として立派な佇まいを表現しているお糸さんに、菊次郎が可哀想だから中央へ行かないでくれと言わせるのはどうかと思うが、
東京へ行ってくりしょり。父上。
島の母からずっと聞かされてきようたっど。
「お前の父上は偉い人ど。そいを誇りに思って生きらんばいかんど」っち。
自分のことより民が大事。そうでごわしたな? 父上。
おいもいつか父上のようになりたか。
民のために働きとうございもす。
母上、どうか父上の東京行き許してたもんせ。
と、ハッキリきちんと訴える菊次郎が本当に素晴らしいので……いい。
全体的に、上手く西郷の今後とホームドラマを絡ませ、最初から最後まで2人の母の立派さを映した良い回だと思うのだった。
さて……
東京へ。
※キャスト
西郷吉之助(隆盛) … 鈴木亮平(子役期:渡邉蒼)
大久保一蔵(利通) … 瑛太(子役期:石川樹)
西郷(岩山)糸 … 黒木華(子役期:渡邉このみ)
西郷菊次郎 … 西田敏行(子役期:城桧吏 青年期:今井悠貴)
西郷吉兵衛 … 風間杜夫
西郷満佐子 … 松坂慶子
市来琴(西郷琴) … 桜庭ななみ(子役期:栗本有規)
西郷吉二郎 … 渡部豪太(子役期:荒井雄斗)
西郷従道(信吾) … 錦戸亮
西郷龍右衛門 … 大村崑
西郷きみ … 水野久美
西郷鷹 … 原舞歌(子役期:石井心咲)
西郷桜子 … 西郷真悠子
西郷小兵衛 … 上川周作
西郷園 … 柏木由紀
熊吉 … 塚地武雅
須賀 … 橋本愛
大久保次右衛門 … 平田満
大久保満寿 … 美村里江(ミムラ)
大久保彦熊 … 遠藤颯
大山格之助(綱良) … 北村有起哉(子役期:犬飼直紀)
有村俊斎(海江田信義) … 高橋光臣(子役期:池田優斗)
村田新八 … 堀井新太(子役期:加藤憲史郎)
有馬新七 … 増田修一朗(子役期:伊澤柾樹)
中山尚之助 … 天野義久
堀次郎 … 鬼塚俊秀
川路利良 … 泉澤祐希
坂本龍馬 … 小栗旬
後藤象二郎 … 瀬川亮
お龍 … 水川あさみ
中岡慎太郎 … 山口翔悟
於一(篤姫) … 北川景子
幾島 … 南野陽子
由羅 … 小柳ルミ子
島津斉興 … 鹿賀丈史
島津斉彬 … 渡辺謙
島津久光 … 青木崇高
喜久 … 戸田菜穂
調所広郷 … 竜雷太
山田為久 … 徳井優
赤山靭負 … 沢村一樹
桂久武 … 井戸田潤
小松帯刀 … 町田啓太
木場伝内 … 谷田 歩
板垣与三次 … 岡本富士太
中村半次郎 … 中村瑠輝人
中村与左衛門 … 渡邉絃
中村貞 … 鍵和田花
半次郎の弟 … 藤沢元
月照 … 尾上菊之助
タマ … 田中道子
愛加那 … 二階堂ふみ
龍佐民 … 柄本 明
石千代 金 … 木内みどり
ユタ … 秋山菜津子
富堅 … 高橋 努
里千代金 … 里 アンナ
田中雄之介 … 近藤芳正
土持政照 … 斎藤嘉樹
土持 鶴 … 大島蓉子
川口雪篷 … 石橋蓮司
ふき … 高梨臨(子役期:柿原りんか)
おゆう … 内田有紀
虎 … 近藤春菜
ジョン万次郎 … 劇団ひとり
阿部正弘 … 藤木直人
徳川家定 … 又吉直樹
井伊直弼 … 佐野史郎
徳川斉昭 … 伊武雅刀
勝海舟 … 遠藤憲一
平岡円四郎 … 山田純大
中根雪江 … ヨシダ朝
江藤新平 … 迫田孝也
桂小五郎(木戸孝允) … 玉山鉄二
伊藤博文 … 浜野謙太
大村益次郎 … 林家正蔵
橋本左内 … 風間俊介
一橋(徳川)慶喜 … 松田翔太
本寿院 … 泉 ピン子
松平慶永(春嶽) … 津田寛治
堀田正睦 … 朝倉伸二
松平忠固 … 野添義弘
水野忠央 … ホリベン
山内容堂 … 大鷹明良
伊達宗城 … 長谷川公彦
松平容保 … 柏原収史
徳川慶勝 … 小宮孝泰
松平伯耆守 … 山田明郷
阿部豊後守 … 佐藤尚宏
山岡鉄舟 … 藤本隆宏
近衛忠煕 … 国広富之
孝明天皇 … 中村児太郎
近衛忠房 … 大窪人衛
中川宮 … なだぎ武
岩倉周丸 … 福山康平
岩倉具視 … 笑福亭鶴瓶
語り … 西田敏行
※スタッフ
脚本 … 中園ミホ
原作 … 林真理子『西郷どん!』
音楽 … 富貴晴美
歌 … 里アンナ
題字 … メインビジュアル
制作統括 … 櫻井賢、櫻井壮一
プロデューサー … 小西千栄子、藤原敬久
演出 … 野田雄介、盆子原誠、岡田健
時代考証 … 原口泉、大石学、磯田道史
薩摩ことば指導 … 迫田孝也、田上晃吉
【西郷どん】
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コメント
大河ドラマ「西郷どん」 #39 父、西郷隆盛
オープニングに瑛太まで出てきたと思ったら、 大トリも瑛太なんですね。
NHK大河ドラマ「西郷どん」第39回「父、西郷隆盛」
いよいよ隆盛様!降誕!っていうかそれよか、父ってつまり、先日来のあれでしょ、西郷どん第一子の菊次郎クン!彼が長じた姿がつまりつまり…西田様が演じるとですか~~~!いやああ!もうビックリだなあ。 林先生の原作では彼の語りが導引だったんでしょう?だからいろいろアレな所もオブラートに包まれた感じになるわけで、そこは林先生、上手ことこなすなああって思っておりました!妖しい部分が仄めかしで終わっているあたり、脚本の方が負け気味かもなああって思いが、なくなくなくも小泉八雲~。閑話休題。
大河ドラマ『西郷どん』第三十九回
「父、西郷隆盛」内容明治37年。京都に新しい市長がやってくる。西郷菊次郎(西田敏行)だった。台湾で仕事をした助役の川村鉚次郎に“西郷隆盛”のことを問われ、菊次郎は、自分が知っていることだけ。。。と語りはじめる。明治2年。西郷隆盛(鈴木亮平)と名を変えた吉之助は、中央政府に参加せず、“鹿児島”と名を変えたかつての故郷“薩摩”で、家族と暮らしていた。そんななか、糸(黒木華)熊吉(塚地武雅)が、大…