花岡よ……昨日でさようならと思い込んでいたので、ちょっと寂しかったのに、そういう登場の仕方はやめてくれ。
そして寅子よ……そうなるん?
晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか」という稲(田中真弓)の言葉が頭を離れない。そんな中、寅子と同時に合格した久保田(小林涼子)が婦人弁護士として初めて法廷に立つと聞き、轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)と見学に向かった寅子は、その帰り道で花岡(岩田剛典)と出くわす…
あらすじ は 公式サイトより引用
連続テレビ小説「虎に翼」第7週「女の心は猫の目?」第33話
感想
寅子の結婚相手が「彼」であることは、史実のモデルの人・三淵嘉子さんの伝記を調べればすぐわかる。
しかしまぁ、こんな風に結婚がヒロインの視野に入って来るとは思わなかった。
「結婚していないと信用を得られない」時代だねぇ。
全ては手に入らないものです
時代は1940年、日独伊三国同盟締結。第二次世界大戦が始まる。
兵隊さんのための質素倹約が叫ばれ始め、当時は中流家庭以上には珍しくなかった「女中さん」が里に帰されるようになった。
花江ちゃんのご実家で長く働いていた稲さんも新潟のお里に帰ることになり、猪爪家へ挨拶に訪れる。
田中真弓さん、お名残り惜しいよ、バズー!……(泣)
稲さんは寅子に一つ、意味深な言葉を残して去っていく。
寅子さんは、確か弁護士先生になられたとか。
寅子さん、全ては手に入らないものですよ?
今お抱えになってるものが女の幸せより大事なものなのかどうか、ここいらで一度振り返ってみてはいかがでしょうか?
この時、寅子にはたぶん、ちょっとした後悔がある。
花岡さんを「あなたの田舎に連れてって♥」と引き止めなかったこと。
そして、思い当たるフシもある。
自分が女であるせいで、全く弁護依頼が来ないこと……。
私はまた、女性の顧客に大人気、みたいな展開くるーー?と思っていたのだけれど、そうならない。
とにかく「ベタじゃない」脚本。
「輝く女性」演出
女性の顧客に断られ、さすがに落ち込む寅子。
3人ランチの中、我慢できず轟が声を上げる。
うあ~っ!!!
何だよ急に。
……そんな中、大変言いにくいが致し方ない。
ついに決まったぞ。
久保田先輩が法廷に立つ!
受からない よねと、依頼が来ない寅子。
轟だってまだ弁護士デビューしていないのに、轟の事務所では女性の久保田先輩の方が先に法廷に立つのである。
轟だって悔しいよね?でも気遣った。偉いわ、ほんと漢。
その法廷当日。
久保田先輩のデビューは「女性初の弁護士」として盛大にインタビューを受けていた。
事務所の所長が陰でひっそりと轟を慰めているのを寅子は見た。
案ずるな。お前にもすぐ機会が巡ってくる。
彼女は、いわば我が錦田法律事務所の、そしてご婦人方の希望なのだ。
訴訟内容は、安岡一豊代議士が妾に生ませた子を実子として戸籍に入れたことに関するもの。
大正7年、夫である安岡は妾であった和泉キヌに生ませた子・絹枝を嫡出子として安岡自らの戸籍に入籍させる旨を届け出た。間違いございませんか?
法廷は記者や傍聴人で溢れていたが、久保田先輩が発言するたびに嘲笑のような笑いが漏れる。
なんだか不愉快な裁判。
判事のやつら、いちいちニヤニヤしやがって。
若い久保田先輩が代議士先生を呼び捨てにするのが面白いんだろ。
若い……そして「女である」久保田先輩がだよね。
久保田先輩の初裁判は勝訴で終わったが、まるで猿芝居のような裁判だった。
それでも精一杯務め、インタビューにまで答えなくてはならない久保田先輩。
なぜなら、彼女は今、「輝く女性の広告塔」だから。
閉廷後、廊下で竹中記者と出会う寅子。
あんたらもさすがに感じてんだろ?
世の中の流れに自分らが利用されてるって。
ハハハハハ。
男どもは徴兵されてどんどん戦争に行く。
社会機能を維持していくためには、これから女性がさまざまな役割を担わなければならなくなる。
挙国一致の総動員体制。
お国のために輝かしく法廷デビューしたご婦人弁護士様。
令和の今、国内は戦時中ではないが、女性も働かなくては国を維持できないこと。だから「輝く女性」を演出されていること。
いつの時代もあまり変わらない。
花岡の婚約者!
ここで寅子に立て続けに衝撃事件が起こる。
寅子は知らなかったらしいが、久保田先輩、兼業主婦だった!
聞こえて来たインタビュー内容にショックを受ける寅子。
久保田さんは確か最近ご結婚されてご懐妊されているとか?
はい。
事務所一丸となり、今後も弁護士としての、そしてよき妻であり母としての久保田君を支えていく所存であります。ハハハハハハ!(錦田所長)
久保田先輩、輝かなきゃならない銃後の日本女性として完璧な広告塔すぎる……。
依頼が来ない寅子は、雲野所長から、
まあ、結婚前のご婦人に頼みたいのは弁護よりお酌だろうな。
と言われ、よねさんを憤慨させていた。
しかし、このインタビューを振り返れば、確かに、お国のために子どもを増やし、男性に代わって国民のために働く女性像として寅子は足らないのだった。
続けて、裁判所の階段を降りる寅子に第2の衝撃が訪れる。
キャッ!
あっ、大丈夫?
ごめんなさい。
大丈夫ですか?
よかった。行きましょう。
聞き覚えのある声に振り返ると……。
えっ、花岡……!
こちら小高奈津子さん。僕の婚約者だ。
父の知り合いの紹介で知り合ったんだ。
生まれ育った場所も近くてすぐに意気投合して。
仕事で東京に来る用事があったんでね、先輩たちに彼女を紹介しに来たところなんだ。
もう花岡には会えないのかな……とか、ちょっと切なくなっていた昨日の自分を殴りたい。
花岡さん。
ご婚約、おめでとうございます。
やっと、笑顔を浮かべてお祝いを述べる寅子である。
だから佐賀についていけばよかったんだ。
寅子の顔を見て思わず口にしちゃう よねさん。
昨日は、よねさんも花岡のことが好きだったのかな…と勘違いしちゃってごめんなさい。
あれは、単に寅子の気持ちを推して察してくれていたという事なのね。
私は別に…。
私には私のやりたいことがあるんだから。
じゃあそんな顔しないで食え。
寅子を甘味に誘ってくれて、ありがとう、よねさん。
良いお友達だよ。
社会的信頼度 地位を上げる手段
家へ帰ると、父と母は、「弁護士として久保田先輩に先を越された娘」を心配して待っていた。
しかし、帰って来た寅子が土下座して両親に頼んだのは思いもかけないことだった。
「今更そんなこと言って」とか「ほら見たことか」とか言われるのは重々承知でお願いいたします。
私にお見合い相手を探していただけないでしょうか!?
ずっとつらかったんだな。
まあ、今日がいろいろととどめの一撃ではありました。
うん分かった。父さんが見合い相手を探してくる。だから明日にでも事務所に辞表を出して……。
……はて?辞表?
私、弁護士をやめる気なんてありませんよ?
でも、あなたお見合いするって…。
分かったんです。本当に、心底、くだらないとは思いますが、結婚しているかしていないかということを人間の信頼度を測る物差しとしてお使いになる方々が非常に多いということを。だから。
だから。
立派な弁護士になるために、社会的信頼度、地位を上げる手段として私は結婚がしたいんです。お願いします!
何だか笑っちゃったよね(笑)
この時代……というより、もっと以前から。
日本に関わらず海外の歴史もの映画やドラマでもよく出て来るセリフ
「結婚していないと社会的に信頼されないから早く結婚しろ」
欧米なんて特に、パートナー絶対同伴のパーティが多いので。
しかし、そういうセリフって、男性や男性の親から出て来るセリフなのよね。
結婚していないと社会的信頼を得られないので結婚します。
このセリフが女性の口から出てきちゃう。
やっぱり、このドラマは一味違う。
しかし……
「彼」は、この流れで結婚するのかぁ……。
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広告虎に翼 キャストとスタッフ
キャスト
猪爪寅子 – 伊藤沙莉
猪爪はる – 石田ゆり子
猪爪直言 – 岡部たかし
猪爪直道 – 上川周作
猪爪直明 – 三山凌輝
猪爪(米谷)花江 – 森田望智
佐田優三 – 仲野太賀
山田よね – 土居志央梨
桜川涼子 – 桜井ユキ
大庭梅子 – 平岩紙
崔香淑 – ハ・ヨンス
轟太一 – 戸塚純貴
花岡悟 – 岩田剛典
小橋浩之 – 名村辰
桂場等一郎 – 松山ケンイチ
穂高重親 – 小林薫
桜川寿子 – 筒井真理子
桜川侑次郎 – 中村育二
笹山 – 田中要次
竹中次郎 – 高橋努
久保田聡子 – 小林涼子
中山千春 – 安藤輪子
雲野六郎 – 塚地武雅
増野 – 平山祐介
大庭徹男 – 飯田基祐
星航一 – 岡田将生
汐見圭 – 平埜生成
稲 – 田中真弓
久藤頼安 – 沢村一樹
多岐川幸四郎 – 滝藤賢一
語り – 尾野真千子
虎に翼 スタッフ
◆放送期間 : 2024年4月1日 ~ 2024年9月 日(予定)(全120回)
◆制作 : NHK(AK)
◆平均視聴率 : %
◆制作統括 : 尾崎裕和
◆プロデューサー : 石澤かおる,舟橋哲男,徳田祥子
◆演出 : 梛川善郎,安藤大佑,橋本万葉
◆脚本 : 吉田恵里香
◆音楽 : 森優太
◆主題歌 : 米津玄師「さよーならまたいつか!」
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