【おんな城主 直虎】第30回「潰されざる者」　感想

武田との戦が避けられない情勢となった駿府では、今川氏真（尾上松也）が国衆を呼びつけ戦の準備を命じていた。
直虎（柴咲コウ）も徳川との内通をひた隠しにしながらこの命令に応じる。
その裏で氏真は方久（ムロツヨシ）が気賀に新しい蔵を作ることを認める代わりに、井伊家を取り潰す手助けをするよう求める。
徳川との戦に備え、要衝の地である井伊谷を今川の直轄領にしたいと考えたのだ。
(あらすじは　Yahoo！テレビより引用)

　　　

おんな城主 直虎　第30話「潰されざる者」

さて…

寿桂尼の婆さんが死なないと歴史が進まないからいつまでも足踏み……

おっと…えっと、

寿桂尼の大方さまがお亡くなりにならないといつまでも井伊昔話で2017年大河が終わってしまうよーーーと書き続けてまいりましたが、ついにその日は訪れ。

そのおかげで井伊に徳政令が下されたのでした。

この日を待ってた。
これが来ないと井伊のピンチもやって来ないんで…。

 

井伊のおかげで周辺の自治も全部成り立っているよーーみたいな流れにしちゃってどうするんだろう…と思っていたけれども、徳政令が通達される流れにそのオリジナル展開が使われていく様は真に面白うございました。

 

今川から井伊への徳政令は、気賀を取り上げるという瀬戸方久へのお達しからやって来るのだった。

こたびの戦に備え、井伊の領地を我が直轄にしたいと思うておっての。
　　

 

と、薄ら笑いながら方久に語りかける太守・氏真様。

寿桂尼さまに顔立ちがよく似ているよね。
いや、今さらだし、別に浅丘ルリ子さんと尾上松也さんはご親戚でも何でもないわけだけれども、何となく似ているよね。

惨酷なことを考えている時にも基本可愛くて美しい顔立ち。

 

井伊は取り潰すという事じゃ。

な、なぜ今…さような…。

 

武田との戦が始まれば西からは徳川が攻め込んでこよう。
井伊は三河との国境に位置する要の地じゃ。
そこに信のおけぬ国衆を置いておくわけにはいかぬのでな。

そこでおぬしには井伊に徳政令を出す事を受け入れてほしいのじゃ。

徳政令を受け入れる？

おぬしが受け入れれば、おのずと井伊は滅びるであろう。

 

どういう事なのか、ここで振り返ってみましょう。

 

かつて物知らずだった直虎どのは民のために徳政を受けると簡単に約束してしまいましたが、実は民の借金が無くなれば金貸し…つまり方久は井伊から取り立てをするので、井伊は借金の形に土地から城から全て取られて潰れてしまう筋書きなのでした。

だから、直虎は方久を井伊の家臣として取り立て、所領を与えてそこからの収入をあんたにあげるよと約束したわけです。

借金の返済に苦しんでいた民も、方久の案でたくさんの産業が生みだされたので潤うようになり、直虎と方久が組んだことで徳政令が無くても人々の暮らしはユートピアに近づいてきたのでした、めでたしめでたし……。
https://dramablog.cinemarev.net/blog-entry-5524.html

 

つまり。
この流れは方久が直虎と組んだ事によって出来たのであり、方久が手を切ってしまえば井伊は方久に金を返さなくてはならなくなる…以前と同じ状態に戻るわけ。

今川はここを突いて来たのである。

もちろん、方久も直虎のおかげでここまでやって来たわけだし恩もあるし義も(一応)感じている。

けれども今や粛清ムードあふれるアウトレイジな太守様を前に断れないよね。
断ったら消されるし。

井伊が潰れた後は、気賀も今の領地も全て今川から安堵されると聞けば…
命も金も助かる方に動くのが人間というものである。

まぁ…先を読んで賢く生きてきたはずの方久が、こんな緊張状態の中、どうしてこうなる事を読めなかったのかと言われればホントそう思うけど。

たぶん、井伊に慣れ親しんでいる内に方久も脳筋になってしまったのだと納得しておこう…。

 

この事態に全く気付かないいつもの井伊であるが、政次は少しずつ違和感を抱き始めていた。

今川の…井伊に関わる事柄で、私の知らぬ事が増えておりまして。
　

 

と、不安を口にし、

 

俺の考え過ぎか。…亀。

と、亀の御霊にも相談。
(その人は脳筋だから何の頼りにもならないけど(笑))

龍雲丸と共に方久に鎌かけてみる。

 

井伊に材木を頼まねえのはおかしいなと思いやしてね。
理由を知りたいと思いやしてね。

 

知らぬであろうが、私はおぬしを見張るよう太守様から言われておってな。
今、おぬしは三河から引き合いが来たと聞いて案の定出かけてきたという事だ。

井伊を取り潰す話からは但馬を外すと言われたか。
私も同じ事を言われておるゆえな。

 

賢いイケメンたちに囲まれて、ついに本音が出る方久。
　

 

徳政がどうであれ、井伊は取り潰されますよ。
今川の目当ては井伊を直轄にする事ですから。
徳政なくとも力をもって取り潰されるのが落ちにございます！

 

こうして、永禄11年、ついに井伊谷に今川からの徳政令が発布される。

 

戦を控え、三河との境目ともなるこの地を信のおけぬ井伊に守らせるのは危うい。
そう大方様がご判断なされたのでございます。

大方様が？

こたび徳政をはねつければ力に訴えられましょう。
かような形でのお取り潰しは、むしろ今川の温情かとおとなしうお受けになりますよう。

 

勝手な事をほざくな。
銭で潰れたなど末代までの恥さらしじゃ！

 

よせ。　
…その男はただの犬じゃ。

 

今でも、あくまでも「今川の犬」の芝居をしている政次である。

南渓和尚は、焦る直虎よりももっと大きな目で先を見据えている。

 

「明日は何が起こるか分からぬ。
太守様がお倒れになるかもしれぬし、今川館が燃えて落ちるかもしれぬ」

かつて、幼い おとわにそう述べた事を思い出させる。

 

そうでした。
和尚様は明日は今川館が焼け落ちるかもしれぬと。

そう。明日は焼け落ちるかもしれぬ。
あのころはただの慰めにすぎなかったが、こたびはどうじゃろうのう。

井伊を取り潰した今川がそう遠くないうちに潰れてしまうとなれば。

 

井伊を潰した今川が潰れる……。

 

あの頃は大予言だったが、今となってはその可能性は決して大予言ではなくなりつつある。

まぁ…
歴史のこの先を知っている私たちにとっては、「もう少し頑張れば…」は、目に見えるようだし。

井伊も真田のように忍びを飼っていればもう少し色々見えるだろうに…。

 

あえて井伊を潰した上、今川の懐に入る。

そして…。
関口の首をあげ徳川に差し出せば…。
井伊は。

井伊は。

井伊は蘇る。

 

お互いに1人で碁を打ちながらも考えることが同じ。
直虎と政次の繋がっている感じがいい。
　　

 

直虎さまが温情かけて日本昔話を丁寧に仕上げてきた成果で、瀬戸・祝田の百姓らが関口さまに「わしら徳政令は望まんに！」の直訴。

斬り捨てられちゃうしタイミングも悪いから止めてほしいけど、いつもタイミング悪いのは直虎の運命である。

 

俺を信じろ。
信じろ。

おとわ！

 

おとわに耳元でささやく鶴の一声。
　

 

さて。
この流れでなぜ小野が？

という個人的には疑問符だらけの小野悪人説が来週展開されるわけで。

正直、この流れなら、小野はもう別に今川方みたいなフリする必要性がない気がするのね。

(むしろ方久が処刑されてもいい気がするのね……)
(というか、気賀城主じゃないはずの方久の運命はどうなるんだろう)

(気賀がアアなった時、龍雲党はきっとアアなるんだよね…)

(そうなると、龍雲丸はどうなるんだ)

(小野の運命は史実として解っているけれども、半分フィクションな方久と完全フィクションな龍雲丸の運命こそ解らんぜよ…)

 

とりあえず…
この時代の小国衆の描き方として、とても面白い展開になってきた。

で、井伊の物語としては来週は要。

どうしてこうなったのかよく解らなかった小野の井伊乗っ取りがどう描かれるのかが楽しみだ！

https://dramablog.cinemarev.net/blog-entry-5403.html

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※キャスト

井伊直虎（おとわ）… 柴咲コウ（子役期：新井美羽）

井伊直盛 … 杉本哲太
千賀 … 財前直見
井伊直平 … 前田吟

井伊直満 … 宇梶剛士
井伊直親（亀之丞） … 三浦春馬（子役期：藤本哉汰）
しの … 貫地谷しほり
井伊直政（虎松） … 菅田将暉（子役期：鈴木楽→寺田心）

中野直由 … 筧利夫
中野直之 … 矢本悠馬
中野直久 … 冨田佳輔（子役期：山田瑛瑠）
今村藤七郎 … 芹澤興人
弥吉 … 藤本康文
たけ→梅(二役) … 梅沢昌代

小野政直 … 吹越満
小野政次（鶴丸） … 高橋一生（子役期：小林颯）
小野玄蕃 … 井上芳雄
小野亥之助 … 井之脇海（子役期：荒井雄斗）
なつ … 山口紗弥加

奥山朝利 … でんでん
奥山孫一郎 … 平山祐介
奥山六左衛門 … 田中美央

新野左馬助 … 苅谷俊介
あやめ … 光浦靖子
桔梗 … 吉倉あおい
桜 … 真凛
高瀬姫 … 朝倉あき(少女期：高橋ひかる)

鈴木重時 … 菅原大吉
近藤康用 … 橋本じゅん
菅沼忠久 … 阪田マサノブ
瀬戸方久 … ムロツヨシ

南渓和尚 … 小林薫
傑山 … 市原隼人
昊天 … 小松和重

甚兵衛 … 山本學
八助 … 山中崇
角太郎 … 前原滉
富助 … 木本武宏
福蔵 … 木下隆行

今川義元 … 春風亭昇太
今川氏真（龍王丸） … 尾上松也（子役期：中川翼）
寿桂尼 … 浅丘ルリ子
太原雪斎 … 佐野史郎
関口氏経 … 矢島健一
庵原朝昌 … 山田裕貴
大沢基胤 … 嶋田久作
岩松 … 木村祐一
佐名 … 花總まり

徳川家康 … 阿部サダヲ
瀬名(築山殿) … 菜々緒（子役期：丹羽せいら）
竹千代 … 吉田海斗
石川数正 … 中村織央
酒井忠次 … みのすけ
本多忠勝 … 髙嶋政宏
榊原康政 … 尾美としのり
本多正信 … 六角精児
松下源太郎 … 古舘寛治
松下常慶 … 和田正人
徳姫 … 植原星空
於大の方 … 栗原小巻
武田義信 … オレノグラフィティ

龍雲丸 … 柳楽優弥
モグラ … マキタスポーツ
力也 … 真壁刀義
カジ … 吉田健悟
ゴクウ … 前田航基

中村与太夫 … 本田博太郎

織田信長 … 市川海老蔵

武田信玄 … 松平健

語り … 中村梅雀

※スタッフ

脚本 … 森下佳子
音楽 … 菅野よう子
テーマ音楽　ピアノソロ … ラン・ラン
題字 … Maaya Wakasugi
制作統括 … 岡本幸江
プロデューサー … 松川博敬
演出 … 渡辺一貴、福井充広、藤並英樹
時代考証 … 小和田哲男

公式サイト　http://www.nhk.or.jp/naotora/

【おんな城主 直虎】
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