直虎(柴咲コウ)は徳川家康(阿部サダヲ)に書状を送り、上杉と同盟を組んで武田の今川攻めの動きを封じ込む策を進言する。
いったんはこの策に乗ろうとした家康だったが、時を同じくして武田から今川攻めの誘いが来てしまう。
その頃、駿府では寿桂尼(浅丘ルリ子)が死の床についていた。
松下常慶(和田正人)は井伊と徳川の同盟の証として、しの(貫地谷しほり)を人質に出すよう要求するが…。
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
おんな城主 直虎 第29話「女たちの挽歌」
昼に『風林火山』BS再放送で可愛い清四郎の太郎義信を見た夜に、御屋形さまによって自害させられる義信どのを見る日曜日……。
ともあれ、
それは過去の話。
永禄11年3月。
先週終わると信じていた寿桂尼さまがやっと命を終える。
自らの死に方をデス帳面に記入して死亡。
…じゃなくて。
「我が むくろ 艮に葬るべし
死してなお 今川の家を守らん」
最期まで今川を案じて逝った戦国の女傑。
長年にわたり、男たちには時に敵となり味方となった女子じゃった。
女たちにとり、敬愛と畏怖を同時に覚えさせる女子じゃった。
そして直虎にとっては恐らくその全てじゃった。
そして視聴者にとっては、同じところでグルグル回っていた時代の歯車がやっと動き出すのじゃった。
さて。
先週、直虎は「上杉と結ぶなどして戦をここで止めないか」と家康に提案している。
その返事が井伊谷へやって来る。
久々の常慶である。
常慶に寄ると、直虎の書状は三河が揉める元になったと言う。
家康が直虎の進言を良しとして上杉に密書を送ったと同時期に、武田からも徳川と同盟したいという話が舞い込み、家臣はそれを受けてしまっていたというのだ。
武田はこの頃、織田と組んでいるので、徳川は武田と組まなければ織田をも敵に回すことになってしまうのだった。
こたび、上杉と通じるは断念せざるを得ないとなりましてございます。
では戦になるのはもう避けられぬと。
はい。恐らくは今年のうち。
遠江には徳川が攻め込んでくる事になろうかと。
井伊はそれでも今川方として戦うおつもりかと確かめに参った次第にございます。
それでもとは?
あの書状は明らかに今川にお味方するもののご意見かと。
我はただ戦そのものを避けたかったというだけじゃ!
確かに。
井伊としては、ただ進言をしただけであり、元よりすでに今川に従う気はない。
しかし、だったら、その証しに井伊から人質を出せと常慶は言う。
では人質に虎松様の母君を頂きとうございます。
直虎がどんなに嫌がってみても、弱小国はどうにもならぬ。
嫌なら攻め込むからと言われればそれまでだもん。
こうして、あの おしの様が常慶の実家である松下へ嫁ぐことになってしまうのだった。
直親は…草葉の陰で怒っておろうの。
と浮かぬ気持ちで、井伊谷でもっとも手ごわい女子に頭を下げに行く直虎。
直虎が三河に進言などしたせいでこうなった話をすると、
何故かような小さな国衆が戦の勝敗を動かせるなどと思うのですか!
思い上がりにもほどがございましょう!
と、全視聴者承知のことを言ってくれる しの殿。
しかし、
で、虎松には何と話せばよろしうございますか?
まさか三河との内通のために行くなどとまことの事は言えぬでしょう。
と、あっさり承諾してくれる しの殿である。
直親が逝って5年あまり。
ドラマが時の流れに足踏みしている間にすっかり井伊の奥方として成長している しの殿。
しかし、当然、こんな話は呑めないのは幼い虎松の方である。
母が嫁に行かなくて済むよう、代りに あやめ殿を嫁がせようなど考える。
(てか、あやめ殿って一度も嫁いでいなかったのかよ……)
しかし、そのような嘘は命取りになるのだと厳しく教える直虎である。
嫁ぐにあたり、殿には一つお願いがございます。
私が嫁ぐという事をうまく取り引きにお使い下さい。
井伊のためになるような何か。
そして、その話をいつか虎松にしてやって下さい。
と、直虎に静かに言い、
そなたの父上はあるお家と仲よくしようとし、殺されてしまいました。
こたび母が嫁ぐのはそのお家と再び仲よくするためです。
父上の志を母が継ぐ事ができる。
考えてみればこれは大層やりがいのある事です。
ゆえに行かせてくれませぬか?
と、幼い息子を諭す しの殿。
なんという出来た女子なのでしょうか。
あの頃の しの殿はあんなに面倒くさくてメンヘラな女だったのに、こんなに立派になられて…。
という風に持っていきたいのだろうが。
個人的には、あんな変なキャラ設定作らないで、直親の妻には最初からこういう賢い女子でいて欲しかったよね。
ずっと好きでいたかったよね。
ヒロインを三角関係にするために、しの殿は犠牲にされたよね。
とりあえず…
ここで何とかいいキャラを確立できて良かったですよ。
(もうそんなに出番ないだろうけど)
ちなみに、直親の奥方・奥山ノひよ殿(以前も書いたけれども、この時代の女子には珍しく本名が知れている人なのに、なぜ別名にしたのか今だに解らん…)が松下清景に嫁いだというのは本当の事らしい。
らしいというのは、墓は直親の所にあるらしいので…
それって変じゃない?と思うからである。
史料が少ない人々のことは、繋がらなかったり経過が解らなかったりするわけで。
それでも、それぞれの人生をこの時代に送っていたわけである。
うそじゃ!
母上は虎松と離れたくないはずじゃ!
母上は虎松の事が一番お好きなはずじゃ。
一番大事なはずじゃ!
そのとおりです!
虎松は母の宝です。
だからこそ大事にしたいのです。
母は虎松に力強い味方を作ってやりたいのです。
母が嫁げば、そこは井伊のお味方となるし、子ができればそなたの兄弟が増えます。
虎松にたくさんたくさん味方を作ってやりたいのです。
ゆえに笑って送り出してはくれませぬか?
寺田心くんは、この年にして滑舌よく、表情もきちんとセリフについてくる本物の天才子役。
このシーンは泣かされたわ。
母子の別れで泣かされたのは『天地人』の名シーン以来かも。
父の笛で母を送り出す。
幼い殿に覚悟が出来た。
直虎どのは常慶に、
一つだけ聞き届けてもらいたい事がある。
恐れながら……。
ならば井伊は武田と結ぶがよいか!
とか、言っていたけれども、脅しにもならないよね…。
井伊が誰と結ぼうが恐らく大国はただ潰すだけ。
ハッタリでも上から言っておく姿勢なのかも知れないけれども、対等に語れる立場とは違うもんなぁ…。
お伺い致しましょう。
という表情が、薄ら笑っているように見えた。
徳川が攻め入ってきた折、我らは城を明け渡し、決して逆らいはせぬ。
されどその先兵を出す事もせぬ。
その後、徳川には加勢なさらぬという事にございますか。
いかにも。
しかしそれでは新たな地の安堵などはできかねますが。
井伊と気賀、こちらは今以上の安堵は望みませぬ。
我らの望む事は喜びに満ちた日々。
井伊の目指すところは民・百姓、一人たりとも殺さぬ事じゃ。
素敵なお話だけど……
頑張らないと、その「井伊と気賀」すらも安堵されないと思うの。
あんたの所がやられていても手は貸さないよ。
戦はしないよ。
ユートピアを作るよ。
というのは理想だが、ユートピアには自衛力が必要なのである。
あれ……
これって……
平成の話かな……。
しのは引間へ旅立ち、井伊は表向き今川のために兵を出す用意をし、母が居なくなった虎松は…
ここで、直虎の養子となる。
今日から我がそなたの養母となるが、母とは思わんでよい。
我にはしの殿の代わりはできぬし、
我の事は父と思うてほしい。
息子を見守るために梛の木を残していく心優しい母が居ることを思えば。
とても自分を母などと言えぬ直虎である。
独自の解釈で井伊を絡めた歴史の流れが上手く組み込まれ、母と息子と養母という家族の物語としても面白い。
このまま行けば、女性主人公の戦国大河として、今までにない作品になる
…かも。
※キャスト
井伊直虎(おとわ)… 柴咲コウ(子役期:新井美羽)
井伊直盛 … 杉本哲太
千賀 … 財前直見
井伊直平 … 前田吟
井伊直満 … 宇梶剛士
井伊直親(亀之丞) … 三浦春馬(子役期:藤本哉汰)
しの … 貫地谷しほり
井伊直政(虎松) … 菅田将暉(子役期:寺田心)
中野直由 … 筧利夫
中野直之 … 矢本悠馬
中野直久 … 冨田佳輔(子役期:山田瑛瑠)
今村藤七郎 … 芹澤興人
弥吉 … 藤本康文
たけ→梅(二役) … 梅沢昌代
小野政直 … 吹越満
小野政次(鶴丸) … 高橋一生(子役期:小林颯)
小野玄蕃 … 井上芳雄
小野亥之助 … 井之脇海(子役期:荒井雄斗)
なつ … 山口紗弥加
奥山朝利 … でんでん
奥山孫一郎 … 平山祐介
奥山六左衛門 … 田中美央
新野左馬助 … 苅谷俊介
あやめ … 光浦靖子
桔梗 … 吉倉あおい
桜 … 真凛
高瀬姫 … 朝倉あき(少女期:高橋ひかる)
鈴木重時 … 菅原大吉
近藤康用 … 橋本じゅん
菅沼忠久 … 阪田マサノブ
瀬戸方久 … ムロツヨシ
南渓和尚 … 小林薫
傑山 … 市原隼人
昊天 … 小松和重
甚兵衛 … 山本學
八助 … 山中崇
角太郎 … 前原滉
富助 … 木本武宏
福蔵 … 木下隆行
今川義元 … 春風亭昇太
今川氏真(龍王丸) … 尾上松也(子役期:中川翼)
寿桂尼 … 浅丘ルリ子
太原雪斎 … 佐野史郎
関口氏経 … 矢島健一
庵原朝昌 … 山田裕貴
大沢基胤 … 嶋田久作
岩松 … 木村祐一
佐名 … 花總まり
徳川家康 … 阿部サダヲ
瀬名(築山殿) … 菜々緒(子役期:丹羽せいら)
竹千代 … 吉田海斗
石川数正 … 中村織央
酒井忠次 … みのすけ
本多忠勝 … 髙嶋政宏
榊原康政 … 尾美としのり
本多正信 … 六角精児
松下源太郎 … 古舘寛治
松下常慶 … 和田正人
徳姫 … 植原星空
於大の方 … 栗原小巻
武田義信 … オレノグラフィティ
龍雲丸 … 柳楽優弥
モグラ … マキタスポーツ
力也 … 真壁刀義
カジ … 吉田健悟
ゴクウ … 前田航基
中村与太夫 … 本田博太郎
織田信長 … 市川海老蔵
武田信玄 … 松平健
語り … 中村梅雀
※スタッフ
脚本 … 森下佳子
音楽 … 菅野よう子
テーマ音楽 ピアノソロ … ラン・ラン
題字 … Maaya Wakasugi
制作統括 … 岡本幸江
プロデューサー … 松川博敬
演出 … 渡辺一貴、福井充広、藤並英樹
時代考証 … 小和田哲男
公式サイト http://www.nhk.or.jp/naotora/
【おんな城主 直虎】
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コメント
『おんな城主直虎』第26~30回、龍雲丸は嫌だが徐々に面白くなってきたか?
皆さんこんばんは。今回は昨年のNHK大河ドラマ『おんな城主直虎』第26~30回についての感想です。まずはあらすじです。龍雲丸(柳楽優弥)らが材木を取り戻すことによって今川氏真(尾上松也)からの疑惑を解いた井伊直虎(柴崎コウ)。事なきを得たかに思えたが、今度は今川
巨炎さん
「草燃える」はほとんど覚えてないんですよね~。
>まあ「〇〇んぼう将軍」も力で悪人達を叩き潰しているだけですけどね。
確かに。そうですね(笑)
説教はほぼしませんもんね。力技(笑)
>初代松ケンは大河やNHKの他のドラマにも出ていらっしゃる
個人的には「草燃える」(1979)の北条義時。当初は政子に可愛がられている作中の良心だったのに執権に就任する頃には作中一の黒キャラ。仏門に入った旧友の両目を潰すとか、やってました。曰く「武士にとって力は正義だ!」。
まあ「〇〇んぼう将軍」も力で悪人達を叩き潰しているだけですけどね。二代目松ケンの台詞のルーツも垣間見える。
巨炎さん
>直虎も以前よりはマシだけど交渉のシーンとか、もうちょっと…。
そもそも井伊って「交渉」とか「同盟」とかいう立場と違いますもんね。
一生懸命対等にしようとしている感じは出ていますが、結局は井伊だって気賀だって…。
>初代松ケンは師匠似の貫録が出てきたのでナイスなキャスティング。
私、どうしてもこの方は民放時代劇のイメージが抜けなくて(笑)
大河やNHKの他のドラマにもだいぶ出ていらっしゃるんですよね。
出て来るたびに「〇〇んぼう将軍」だっ!!って思っちゃう(爆)
おんな城主 直虎 29話「女たちの挽歌」
公式サイト 直虎(柴咲コウ)は徳川家康(阿部サダヲ)に書状を送り、上杉と同盟を組
おんな城主直虎 第29回~われらの望むことは喜びに満ちた日々。民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ
「井伊と気賀、こちらは今以上の安堵は望みませぬ。 われらの望むことは喜びに満ちた日々。 井伊の望むところは、民、百姓、ひとりたりとも殺さぬことじゃ」 直虎(柴咲コウ)は〝非拡大主義〟なんですね。 野心だらけの戦国大名としてはめずらしい。 というか…
ここ最近、面白いのは直虎以外の女性キャラの動かし方の良さでしょうか。
直虎も以前よりはマシだけど交渉のシーンとか、もうちょっと…。
寿桂尼さまに出番以上に存在感を感じるのは「武田信玄」「風林火山」と
立て続けに再放送されている故でしょうか。
初代松ケンは師匠似の貫録が出てきたのでナイスなキャスティング。
作品カラーもあって、ちょい柔和な感じがするのが惜しいけど。
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」第29回「女たちの挽歌」
本日のビックリドッキリタイトルは・・香港ノワールのあの映画から!渋い男の二丁拳銃、カッコ良かったですねええ~。んだけどたぶん当作の「挽歌」はホントの挽歌で、迫力アクションではなく、あの方の・・・(涙)
おんな城主直虎 第29回 女たちの挽歌
第28回「死の帳面」はこちら。 前回の視聴率は12.0%と予想どおり低値安定。一種のモンスターとして描いた寿桂尼(浅丘ルリ子)もオープニングで死んでしまった(先週のうちに見送るべきでしたね)。これからどうなるんだろう。 もうひとりいましたモンスターが。意外なところに。 直虎がとった武田家封じ込め作戦は、しかし逆に徳川側から、同盟の証としてしの(貫地谷しほり)を人質として提供するように仕向けられる。しのは行きたくないと息子である虎松(寺田心)にもらす。それは…