家族を全て失くした安子に追い打ちをかけるような週予告が酷かったから、一体今週はどうなるのかと……。
お義母さん、ひどいわ~~……と思うけれど、これはもうどうしようもない。
戦争が全て奪って行った。
安子(上白石萌音)は稔(松村北斗)のことを思い続けていました。すくすくと育つるいの成長が安子にとっての心の支えでした。そんな安子を勇(村上虹郎)は気にかけ続けています。そんな中、美都里(YOU)は安子にひどくきつく当たるようになっていました。とうとう美都里は安子を雉真家から追い出すよう千吉(段田安則)に持ちかけます。……
(『カムカムエヴリバディ』上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)
連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第5週「1946−1948」第21話
感想
戦争で奪われるのは、命だけではないな。
生きていくのが死ぬより辛いこともある。
家や金など物質的な物はもちろん、精神的に奪われて行くのは辛い。
カムカムじゃなくてGO GO へ…
稔の戦死の知らせから半月が過ぎました。
安子は涙が枯れ果てるまで泣き暮らしました。
しかし、実際には「泣き暮す」ばかりでは生きていけない。少なくとも、自分はどうでも るいを生かさなくてはならない。
幼い子どもの母親は死にたいほど悲しくても泣き暮せない。難儀。
泣き暮し、食べず、寝込める雉真の母はまだいいじゃない……と、つい言ってしまいたくなるけれど。
この人はこの人で、もう憎んだり妄想したりするしか生きる術が無いのだから哀れではある。
この世で一番の推しを失い、心を壊し、推しの妻となんて同居できないワガママな女王さま。
本当だったら、息子を亡くした義母と夫を亡くした妻として、抱き合って悲しみを乗り越えて……という場面だけれど、出征直前に結婚し、そういう関係を育める間もなくこんな事になってしまった。
あんたのせいじゃ…。
安子さんに出会うてから稔は変わってしもうた。いけん言うのに聞かんと無理やり一緒になって、あげく私を置いて遠い海で死ぬじゃなんて……。
あんたが稔をそそのかして稔の人生を狂わせたんじゃ。
あんたが殺したようなもんじゃ!
あんたは疫病神じゃ。
とっとと、この家から出ていかれえ!
私だったら、お金さえあれば、やはり出ていくかな……。
しかし、安子はハッキリ出て行かないと宣言する。
いいえ。
私は稔さんの妻で るいの母親です。
どこへも行きません。
なんだよ、この姑。
なんとかしてくれ……。義父よ。
と、思ったけれど、どうも美都里さんは、玄関で物音がすると外へ走り出してしまうほどの狂乱っぷり。
なるほど……。
こうして週予告のように、出て行ってほしいと言われようになるわけね。
(奥様を入院させるという手もあると思うんだが……。)
美都里は今、正気じゃねえ。
腹ぁ痛めて産んだ子に先立たれたんじゃ。無理もねえ。
わしゃあ、これから仕事にかかりっきりになる。家のことにまで目が届かん。事業がどうなっていくかも分からん。
正気を失うた美都里と暮らしょおっても安子さんが苦しむだけじゃ。
この当時の人だから、帰ってこない息子を待つよりも、見合いして他所へ入った方が良い。という考えになるのも分かる。
元々「結婚はしかるべき所と見合い」というのがこの義父の結婚観だったのだから。
問題は、るいを置いて行けと言われたことである。
るいは雉真の子じゃ。
うちで育てることになる。
安子さんだって子連れじゃあ縁談の邪魔になるじゃろう。
嫌です。
るいは私が育てます。
私から るいを奪わんでください。お願いします。
ここに縛りつけておくよりも新しい人生を生きてほしい。きっと稔もそう望んどるじゃろう。
度々書いているけれど、日本の民法は戦前から戦後、今の日本国憲法が成立する前まで明治政府が作ったイエ制度に沿っていた。
今の『青天を衝け』の政府が作った民法。
あれによって女性は家も財産も「イエ」に奪われ、江戸時代よりも、もっと地位を貶められた。
子どもは母ではなく、「イエ」の物だったのである。
雉真の父の申し渡しは全くもって、この時代のこの人なりの善意であった。
たださ……。美都里さんが正気になる可能性だってあるわけだし。
正気じゃない美都里さんには るいちゃんは育てられないだろうし。
もう少し冷静に考えてほしいよ。
勇ちゃんの決断
大平洋戦争後、跡取りが戦死した家では多くがその未亡人を新しい跡継ぎの妻として迎えた。
大変複雑な気持ちになる話だけれど、そんな家が多かったのよね。
勇ちゃんは元々、安子のことが好き。
部屋に訪ねて来た時は、そういう話かと思ってしまった。
しかし、勇ちゃんは「義姉さん」と言ってくれた。「あんこ」ではなくて「姉」と。
金じゃ。
この家を出て るいと2人で暮らすんじゃ。
このまま雉真にいたら、るいを奪われて追い出されてしまう。
思いやりのある決断。
ただ……
たぶん、親戚にも周りの有力者にも稔さんほど関わってこなかった次男坊には頼れる所も少ない。
幼児と2人で出て行って、戦後社会で苦労するだろうなぁ……と考える。
稔さんが帰ってくる可能性はもうないのかなぁ。
純きら展開でもいいから……。
※朝ドラは半年間の長丁場なので、良い感想を書いてある時も悪いことが書いてある時もあります。レビューはその日その日の感想なので、その点ご了承くださいませ。
↑…テンプレだす…。
キャストとスタッフ
キャスト
橘安子 – 上白石萌音
雉真るい – 深津絵里
ひなた – 川栄李奈
橘金太 – 甲本雅裕
橘小しず – 西田尚美
橘算太 – 濱田岳
橘杵太 – 鷲尾真知子
雉真千吉 – 段田安則
雉真美都里 – YOU
雉真稔 – 松村北斗
雉真勇 – 村上虹郎
村野タミ – 西川かの子
雪衣 – 岡田結実
水田きぬ – 小野花梨
水田卯平 – 浅越ゴエ
水田花子 – 小牧芽美
赤螺吉兵衛 – 堀部圭亮
赤螺清子 – 宮嶋麻衣
赤螺吉右衛門 – 中川聖一朗
柳沢定一 – 世良公則
柳沢健一 – 前野朋哉
平川唯一 – さだまさし
ロバート・ローズウッド – 村雨辰剛
小川澄子 – 紺野まひる
こわもての田中 – 徳井優
小椋くま – 若井みどり
村野タミ – 西川かの子
神田猛 – 武井壮
大月錠一郎 – オダギリジョー
女子大生 – 市川実日子
トミー – 早乙女太一
竹村平助 – 村田雄浩
竹村和子 – 濱田マリ
片桐春彦 – 風間俊介
笹川奈々 – 佐々木希
木暮洋輔 – 近藤芳正
西山太 – 笑福亭笑瓶
磯村吟 – 浜村淳
エンタツ – 中川剛
アチャコ – 中川礼二
桃山剣之介 – 尾上菊之助
語り – 城田優
スタッフ
◆制作統括 : 堀之内礼二郎、櫻井賢
◆プロデューサー : 葛西勇也、橋本果奈、
齋藤明日香
◆演出 : 安達もじり、橋爪紳一朗、
松岡一史
◆脚本 : 藤本有紀
◆音楽 : 金子隆博
◆主題歌 : AI「アルデバラン」
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