四三(中村勘九郎)は、ダニエルに案内され、自分がコースからはずれてペトレ一家に助けられた行程をたどり、自分の身に何が起こったのかを思い起こしていく。レースでは、共に戦ったポルトガルのラザロ選手が日射病で倒れ亡くなっていた。大きなショックを受けながらも、四三は前を向く。
東京では孝蔵(森山未來)も初高座に臨んでいた。プレッシャーに負け手を出した酒に酔ったまま、落語「富久」に挑むがー
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第13回 「復活」
先週、第12回の裏の回である。
四三に一体、何が起きたのか。
熱射病で倒れた事だけを知った前回からのココ……。
簡単に追います。
分かれ道
ダニエルと共に、あの日の記憶を追う四三。
給水所で、無理にでも水を渡していれば……とすまなさそうに言うダニエルに、四三は答える。
ばってん……雨の降ったけん。
雨は、降っていない。
びしょ濡れになってゴールしたのは羽田の話。
四三の記憶は混濁していた。
あの時、子どもの自分に誘われて、遠くから「そっちではない」と叫んでくれたラザロを見ながら右へと逸れて行った四三。
分かれ道には案内の人が立ってないとね……。そんな整備すらされていなかった。オリンピックも試行錯誤しながらここまで来たんだなぁ。
何と、四三は20位以内にいたという。
つまり……。
逸れた右の道について来ちゃった後ろの選手たちもいたらしい。罪だな……。
ガーデンパーティ中の民家で倒れ込んだのは幸い。後ろに選手がおらず、人気のない森の中ででも倒れたら発見してもらえなかったかも。
駆け寄ってくれる親切な人々。
(しかし、この状態で倒れた人間の口の中にパンは入れちゃあかん(笑))
こうして、この家の人たちに「JAPAN(ヤーパン)」と伝え、助けを待つ事ができたのだった。
でも、ここから戻るのは車ではなくて汽車なのね。本当に……とことん整備されていないんだな。
汽車の中でさめざめと泣く四三の姿に、貰い泣く。
この悔しさ、切なさ。
遠い日本からやってきて。熱い白夜の中で消耗し、コーチはおらず、孤独に耐え、言葉は通じず、食べ物は合わず、トイレでは背伸びする。苦行続き。
「終生の遺憾のことで 心うづく」
4年後に
翌日、四三は、三島からラザロが亡くなったことを知らされる。
新聞には意識不明とあるが、今朝、病院で息を引き取ったそうだ。日射病による髄膜炎らしい。
ストックホルムの悲劇だよ。君も……危なかったね。
はい。
あん分かれ道で、左に行っとったら俺も……。
ばってん……それでよかったとか?
よかったに決まっている。
死んだら君、二度と走れんのだぞ!
強く、言い聞かせるように言葉を吐く三島。
ばってん 彼も国の期待ば背負うて 必死でした。
惜しかです。
悔しかでしょうなあ……。
……うん。
ラザロの死は、当然問題視され、このオリンピックに影を落とした。
明日IOC総会がある。
4年後、どうなるか分からんが、少なくともマラソンは廃止の声が上がるだろうなぁ。
こんな整備の行き届かない状態では、やるべきではないと思ってしまうよね。
治五郎先生も悔しそう。
しかし。
四三は、「死」という結果をもたらしたレースを恐れてはいなかった。
他の選手たちも。
コースのおさらいをしていると、ラザロの追悼に集まった選手たちと出会う。
みんなが泣いていた。その死を悼んでいた。
けれども、だからもう止めようとは誰も言わなかった。
IOC総会も。
ここで彼は人生を最大限、生きました。
スポーツの発展のために。
マラソンのために。
彼の死を無駄にしないでほしい。
ラザロを忘れないでほしい。
誰が何と言おうと、4年後もオリンピックを、マラソンを続けてほしい。
ラザロに捧げるために。
4年後の1916年も予定通り、オリンピックを開催しよう。
世界は強かったのだ。
4年後に。
4年後に。
肩を抱き合って別れる選手たち。
「ラザロの死を無駄にしない」とは、スポーツ精神を殺さないこと。
それは、大森先生も同じ。
治五郎先生は、役に立たなかったと嘆く大森先生を叱咤する。
いい加減にしたまえ!
体、悪いんだから、せめて心ぐらいシャンとしたまえ!
残り短い人生、ずっとウジウジして終わるのか!?
立派だったよ。
君は立派な監督だった。
一緒に走ったり大声で気合いを入れたりする代わりにすばらしい遺産を残してくれた。
これだよ。
感服したよ。
足の運び方、腕の振り方、スタートの切り方、練習法……見事にまとめてある。
選手だけが主役じゃない。
こういう繊細な仕事がスポーツの未来をつくるんだよ。胸を張りたまえ!
ストックホルムにお別れ
三島君、金栗君、我々はまたオリンピックに帰ってくる。
よって今回は閉会式を待たず、明日、この地を発つ。
4年後のために。
病で動けない大森先生を残して、ドアの外から挨拶。
倒れた時に助けてくれた家にも挨拶に寄った。
優しくて温かい人たちと出会う旅が終わる。
ストックホルムと自分たちを言葉で繋いでくれたダニエルに花をプレゼント。
ありがとう、ありがとう、ダニエル。
ほら……
クドカンの作品は、いつも見る者に故郷を作る。
死と隣り合わせたストックホルムがこんなに愛しい場所になるなんて……。
4年後
「人 笑はば笑へ、
ストックホルムにて重任を全うすることあたはざりし口惜しさ
死してなお足らざれども
死は易く、生は難く、
粉骨砕身して
マラソンの技を磨き、
もって皇国の威をあげん」
合言葉は「4年後のために」。
しかし。
その4年後は実は無い。
1916年に予定されていたベルリンオリンピックは第一次世界大戦によって中止された。
あの時、「4年後」を約束した何人の選手が兵隊に行ったことか。
戦争はこうやっていつも何もかも奪っていくのよね。
大森先生の「4年後」も叶わず。
翌年、36歳の若さで肺結核で亡くなった。
日本の地は二度と踏めなかった。
敗者を描く形になったストックホルムオリンピック。
けれども、登場人物は決して絶望してはいない。
だから、この先が。
むしろ楽しみだ。
どんな風にスポーツという歴史に挑んでいくのか。
楽しみなのに……
来週はお休みだそうである。
理由はアレ……ではなく、選挙です!
さあ、明けて本日は平成の次の年号が発表される日。
あの日の四三と同じように、私たちも新しいスタートに立つ。
※キャスト
金栗四三 … 中村勘九郎
田畑政治 … 阿部サダヲ
嘉納治五郎 … 役所広司
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス
野口源三郎 … 永山絢斗
黒坂辛作 … ピエール瀧
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
岸清一 … 岩松了
武田千代三郎 … 永島敏行
春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋
三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月
美濃部孝蔵 … 森山未來
橘家圓喬 … 松尾スズキ
万朝 … 柄本時生
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸
平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
東龍太郎 … 松重豊
古今亭志ん生 … ビートたけし
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介
知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
噺 … ビートたけし
※スタッフ
脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞
|
|
|
|
コメント
いだてん 第13回「復活」
大河ドラマ『いだてん』のお時間です。 BSを録画にて鑑賞。 第13回「復活」 あらすじ・・・・・・・
巨炎さん
>区切りのいい所なので、お休みは何も言うまい…。
ですよね。まぁ……選挙だし(それだけが原因だと思うし……)
>第一次世界大戦は日本は損害軽微で済むわけですが
その裏で涙を呑む人達を描くのかな…?
金栗さんの歴史としては一番大きな所がすでに終わってしまったわけで、この先は本当にどう描かれていくのか楽しみですよね。
日本の歴史だけではなく世界史にまで食い込んで来ている感じはあるので、第一次世界大戦も多少は描くんでしょうか。
>全く関係ありませんが、先日の朝ドラ100作SPでやっと
治五郎先生の役者デビューシーンが拝めました…
「若っ!」「かっこいい!」とテレビに向かって言ってしまいましたわ(笑)個人的には大河58(中途半端)もやってほしいですわ。役所さんの信長が見たい!
大河ドラマ「いだてん」 #13 「復活」
レースを振り返る四三。
区切りのいい所なので、お休みは何も言うまい…。
第一次世界大戦は日本は損害軽微で済むわけですが
その裏で涙を呑む人達を描くのかな…?
全く関係ありませんが、先日の朝ドラ100作SPでやっと
治五郎先生の役者デビューシーンが拝めました…。
パッとしない作品はスチール写真とナレ解説で済まされるのに
役所広司と萬田久子のデビュー作という事で長く時間を貰えたのは良いのか悪いのか。
大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第13回
「復活」内容嘉納治五郎(役所広司)たちが、姿を消した四三(中村勘九郎)を捜す中、ついに、四三が発見される。すでにホテルの自室で眠っていた。目覚める四三は、何も覚えていなかった。するとダニエルが、日射病になったことを、一同に伝える。その後、四三は、ダニエルとともにコースへ。多くの人たちが日射病で倒れ、四三も同じようになったと言う。意識が朦朧とする中、コースを外れてしまったこと。ペトレ一家に助け…
NHK大河ドラマ「いだてん」第13回「復活」
復活…ええええ?こないだうちお隠れになられましたショーケン様のテンプターズの?って、そんなわけなかったですか、これはやっぱり、カチューシャ可愛や別れの辛さ~…の方なんでしょうねええ。 とにもかくにも丸にも点にも、度重なる悪条件の下惨敗してしまった四三君の復活なるか?明日はどっちだ~!