古い?新しい?
んな、鼻クソでしょう。
だって先生が書くのは100年先の江戸ですよ。
経営難に陥り店を畳むことにした鱗形屋(片岡愛之助)は、鶴屋(風間俊介)や西村屋(西村まさ彦)らと今後について協議していた。その場で、鱗形屋お抱えの作家・恋川春町(岡山天音)は、今後鶴屋で書くことが決まった。蔦重(横浜流星)は市中の地本問屋たちの勢いに対抗するため春町の獲得を狙い、作戦を練っていた。一方、江戸城では知保の方(高梨臨)が毒による自害騒ぎを起こし、意次(渡辺謙)は事情を探っていた……
(『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』上記あらすじは「G guide番組表」より引用)

大河ドラマ べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ 第19話 『鱗(うろこ)の置き土産』 感想
鱗の旦那退場の回。
まぁ、最初から蔦重を「使おう」として側に置いた人だったけれど、一緒に本を考えたりしている様子は楽しかったよねぇ。
根っからの本好きで、作家の先生方も大事にしていて、欲さえ出さなきゃ、変な商売に手を染めなきゃ、ずっとずっと残ったかも知れないのに。
誤解は解けてよかった。
それだけは、ありがた山。
Twitter(X)ドラマ実況感想

「実況」とは、ドラマを見ながらオンタイムでその時の感想を瞬間的につぶやくことでござんす。なので基本的には文にはなっておりやせん。思い付きのたわごとだと思っておくんなまし。誤字もありんす。お許しを。
徳川家治が、大好きだった五十宮倫子女王にそっくりなお中臈に夢中なのに腹を立て、服毒自殺未遂をするお知保の方。面倒くさい。もちろん、裏で手を引いている人間はいるし……視聴者は誰だか分かっている。
宝蓮院様、白河様からか。
と苦々しく高岳に呟く意次。
次の西の丸様が実のお子ということならば、御台所となるはずであった種姫様の扱いは如何になるのかと。種姫様は今が娘盛り。つまるところ、実のお子は嫌じゃ。種姫様のお年頃に見合うご養子にしてくれと。
疑いたくはないが、この間のよさ。
ドロドロの大奥と引き換え、市中の方は人情物語。
鱗形屋が店をたたむことが決まる。
すっかり意気消沈して半分寝込んでいる鱗の旦那の代わりに息子の長兵衛が鶴屋喜右衛門や西村屋与八に引継ぎを頼んでいる。
西村屋さんへは細見と万次郎の奉公を、鶴屋さんには春町先生の今後をお願いしたいって昨夜も言ってましたんで。
よろしく頼む。
こちらこそ。よろしくお願いします。
いいものを作りましょう。
鶴屋も西村屋も、落ちぶれても鱗形屋をずっと気にかけているし、損得なく「仲間」という気持ちはあるんだよねぇ……。
そこへ蔦重が、ニッコニコしながらやって来る。
蔦重だって、実は「笑いながら平穏を図る人」であって、いつも何とかしたいと考えているんだよねぇ。
みんな蔦重が来たら軽蔑のまなざしと共に解散。
恋川春町先生になんて
寄るな!
お前のような盗人と話すことなど何もない。
と言われてしまうのだった。
蔦重が鱗形屋を売ったという誤解は解けることがない。
吉原では、かぼちゃの旦那こと大文字屋が亡くなり、みんなで別れを惜しむのだった。
葬式の席で りつから西村屋板の細見を見せられる蔦重。
清長は今人気だからねぇ。
清長に描いてもらえんならって、女郎も女郎屋も載りたがっちまってまたぞろ西村屋の細見仕入れるやつも出てきたんだよ。
これを機にもう一度吉原で派手に商いすること考えてんのかねぇ、西村屋は。
ちくしょう!
これじゃカボチャに向ける顔がねえやい!
春町先生にうちで書いてもらいたくてよ。
どうしたらいいか考えてんだよ。
俺も読んでもいい?
好きなのか?春町。
絵が好きさ。
ああ春町だなって何とも言えねえ味がある。
恋川春町に描いてもらえば本が売れるだろうと周りは簡単に言うが、当の春町先生からあらぬ誤解で嫌われている蔦重。書いてもらうのは難しそう。
しかし、そのころ、当の春町先生は、新編集者・鶴屋の方針と合わず、上手く掛けずに苦しんでいた。
はっきりと申し上げます。
先生の作風は古いのでございます。
粋で洒落た春町、新しい「金々先生」。
そんな評判を目指すのも悪くないんじゃないですか?
描きたいものを書けずに悩む春町先生は鱗の旦那に相談。……というより愚痴を吐きに行くのだった。
鶴屋には「金々先生」を書き直せと言われておってな。
しかし、あれはそなたに「案思」もネタも貰ったもので実は俺のものではない。
いや、そんなことは…。
俺にはそもそも才などなかったのかもしれぬ。
何を…。私が導いたのはあの一作のみで、あとは全て先生のお力で。
分かりました。私が言いましょう。
先生の書きたいように書かせてほしいと。
ならぬ。鶴屋には金の世話にもなっておるのであろう。機嫌を損ね、今すぐ返せと言われたらどうするのだ。
須原屋さんから、鱗形屋が窮地に陥っていた時に蔦重が大量に細見を仕入れてくれたと聞いた鱗の旦那は蔦重に春町先生を助けてほしいと一筆書くのだった。
「おめえさん、ひとつ鶴屋さんから春町先生をかっさらってくんねえか。
実は春町先生が鶴屋さんと組んだ草稿を読んだんだが、これはどうにもなんねえ。このままじゃ恋川春町は潰れちまう。
そんなのは俺もごめんだしおめえもごめんだろ?共に世に出した恋川春町だ。
ってことでよ、どうかトンビが油揚げさらうがごとくかっさらって暮れの鐘。
かっさらうのはお手のもんだろ。」
吉原も先生方も巻き込んで、みんなで春町先生のために「誰もやってねえ」本を考える。
100年先の髷って、どうなってるか見てみたくねえっすか?

俺ゃ、春町先生のそれが見れりゃいいんで、どうぞ使ってくだせえ。
…いやいや、そういうのはよくない。それでは盗人だ。だから誰か別の者にやってもらえばよかろう。
ああもう…。
俺ゃ春町先生のそれが見てえんですよ!
俺ゃ「辞闘戦」読んだ時、唸りましたさ。
地口が化け物になるなんて誰も思いつかねえ。
いや、思いついても絵にはできねえし、しかもそいつらが本屋を襲うってなぁ…。
ほかの誰でもねえ春町先生が考えた奇天烈で、けど膝打つようなそんな100年先の江戸を見てみてえんでさ。
…俺でよいのか。
古くさいぞ俺は。
古い?新しい?
んな鼻クソでしょう。
だって先生が書くのは100年先の江戸ですよ。
江戸城の方では、家治が意次に自分の血筋を跡取りにするのはあきらめると宣言。
実のところ余の血を繋ぐのが怖いところもある。
父上はお体が利かぬ方であられたし、余の子は皆体が弱い。授かったところで無事育つかどうかは分からぬ。
いや…この座をくれてやりさえすれば育つのやもしれぬが。
蓋を開けてみれば跡を継げるような男子はあの家にしかおらぬ!これは果たして偶然なのか?
吉宗公が体の利かぬ長男に跡を継がせ、秀でた次男三男を選ばなかった、その遺恨が今日の異様な有様を作り出しているというのは余の思い込みか?故に余のできることは2つだと考えた。
一つは養子をとり因縁を断ち切ること。
さすればこれ以上若い命をいたずらに失うこともなくなる。
そしてもう一つは、そなたらを守ることじゃ。
父上の政が持ちこたえたのはそなたや武元、大岡などの忠誠あってのこと。そなたらはまさしく父上の「知恵袋」であった。そして今日は余の…。
よかろう血筋は譲ろう。
しかし「知恵」は「考え」はー譲りたくない。
十代家治は凡庸なる将軍であった。
しかし一つだけ素晴らしいことをした。
それは田沼主殿頭を守ったことだ。
主殿がおらねば今日の繁栄はなかったのだから。

春町先生の一件で鱗の旦那から礼を言われる蔦重。
俺は…耕書堂で書く。
春町先生は鶴屋に頭を下げて耕書堂で書くことを決心。
しかし、鱗の旦那が蔦重に「鶴屋からかっさらってくれ」と頼んだことは伏せられていた。
もういっそ、先生に裏、話しちまった方がよかったかねぇ。
いやぁ、知らぬが花の吉野山でしょう。
裏を知ったら悩まれそうですし。
けど、すまねえな。
おめえ、これでますます市中から嫌われちまうだろ。
ああ…まぁ、春町先生が来てくれたんでうちは上々でさ。
俺のこた気にせずうまく立ち回ってくだせえよ。
鱗の旦那は今までのことを全て詫びるのだった。
今まですまなかった。蔦重。
分かってたんだよ。おめえを恨むのは筋違えだってことは。
けど、そうでも思わなきゃ気力も出なくてよ。おめえは何も悪かねぇ。こうなったのはひとえに俺がしくじった。それだけだ。
良かったなぁ……和解ができて。
鱗の旦那は蔦重に「貰ってもらいたい」と「塩売文太」を差し出す。
泣き笑いしながら受けとる蔦重であった。

これ……初めて買った本なんでさ。
駿河の親父様に初めてもらったお年玉握りしめて買いに行って、で嬉しくててめえの名前書いて…。
そうか…これ鱗形屋さんだったのか。
俺にとっちゃこんなお宝ねえです。
これ以上ねえお宝をありがとうございます!
こうして、鱗形屋さんとのあれこれは一件落着。
問題はまだまだ山積みだけれど……。

版元による作品の違い
上に
鱗の旦那が素敵なのは何だかんだ本を熱愛しているところだよねえ…金だけじゃないんだよね
と書いたけれど、まぁ、鱗形の旦那だけではなく、西村屋さんも鶴屋さんもそれぞれ本も絵もお好きでそれぞれの趣向や矜持があって作家や作品を選んでいるってことは間違いないと思うんですよ。
先日、東京国立博物館の『蔦谷重三郎展』に行ってまいりましてね。
展示されている作品や浮世絵に「蔦谷」だの「西村屋」だのの文字を見つけるたびにワクワクしたもんです。
そんな中、西村屋さんが版元の作品は色遣いがとても鮮やかであることが分かりました。
ど派手で華やかで、パーーっと目立つ。西村屋さんがお好きなのはそういう作品だったのだと思うのです。
鶴屋さんは作中でも言われていたように「万事洒落てる」。
流行の先端になるものを美しい線で描く新進気鋭の作家を好んで描かせたのでは。
悪役のような形になってしまっていますが、絵や本に対する愛は深かったと思います。
地本問屋仲間として、何だかんだ利も追いつつ鱗形屋の旦那を励まし、気遣っていたのも真実でしょう。
西村屋さんの方は、実は鱗の旦那の次男を婿養子にしているのですよね。
いずれはこの次男が西村屋の二代目を継いでいるので、信頼して可愛がってやっていたことは間違いなく、情も深い人だったのだと想像しています。
ところで「みるはち」では、あなたのベスト大河ドラマ投票所 をリニューアル。よろしければぜひ。

このドラマへのレビューをどうぞ


べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ キャスト(相関図式)とスタッフ
べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ キャスト (相関図式)
蔦屋重三郎 – 横浜流星(子役期:高木波瑠)【蔦重】
駿河屋と蔦屋
駿河屋市右衛門 – 高橋克実【養父】
ふじ – 飯島直子【養母】
次郎兵衛 – 中村蒼【義兄】
唐丸 – 渡邉斗翔【蔦重の育て子】
丁稚 – 石塚陸翔
吉原 茶屋・女郎
松葉屋
花の井 – 小芝風花(子役期:前田花)【五代目瀬川】
松葉屋半左衛門 – 正名僕蔵
いね – 水野美紀
うつせみ – 小野花梨
松の井 – 久保田紗友
とよしま – 珠城りょう
まさ – 山下容莉枝
さくら – 金子莉彩
あやめ – 吉田帆乃華
はなぞの – 平尾菜々花
はなさと – 齋藤さくら
大文字屋
大文字屋市兵衛 – 伊藤淳史
二文字屋
きく – かたせ梨乃
朝顔 – 愛希れいか
ちどり – 中島瑠菜
春風 – 青山美郷
音羽 – 大田路
歌浦 – 馬渡綾
大黒屋
りつ – 安達祐実
扇屋
扇屋宇右衛門 – 山路和弘
他
半次郎 – 六平直政
島英臣(丁子屋)
千葉清次郎(長崎屋)
キンタカオ(桐屋
会田泰弘(伊勢屋)
岡山和之(玉屋)
岡けんじ(万字屋)
車邦秀(泉屋)
佐藤政之(井筒屋)
真木仁(山口巴屋)
吉高寧々
藤かんな
与田りん
江戸 絵師・文人・学者など
朱楽菅江 – 浜中文一
礒田湖龍斎 – 鉄拳
鱗形屋長兵衛 – 三浦獠太
鱗形屋孫兵衛 – 片岡愛之助
大崎 – 映美くらら
大田南畝 / 四方赤良 – 桐谷健太
勝川春章 – 前野朋哉
かをり – 稲垣来泉
北尾重政 – 橋本淳
北尾政演/ 山東京伝 – 古川雄大
喜多川歌麿 – 染谷将太
倉橋格/ 恋川春町 – 岡山天音
小泉忠五郎 – 芹澤興人
しげ – 山村紅葉
志津山 – 東野絢香
杉田玄白 – 山中聡
須原屋市兵衛 – 里見浩太朗
誰袖 – 福原遥
鶴屋喜右衛門 – 風間俊介
てい – 橋本愛
藤八 – 徳井優
唐来三和 – 山口森広
富本午之助 – 寛一郎
留四郎 – 水沢林太郎
鳥山検校 – 市原隼人
鳥山石燕 – 片岡鶴太郎
西村屋与八 – 西村まさ彦
平沢常富/ 朋誠堂喜三二 – 尾美としのり
平秩東作 – 木村了
和泉屋三郎兵衛 – 田山涼成
八五郎 – 阿部亮平
吉原の客 – 山根和馬
小田新之助 – 井之脇海
平賀源内 – 安田顕
長谷川平蔵宣以 – 中村隼人
磯八 – 山口祥行
仙太 – 岩男海史
江戸幕府
徳川家治 – 眞島秀和【第十代将軍】
知保の方 – 高梨臨【家治の側室】
徳川家基 – 奥智哉【家治の子 聖母はお知保の方】
徳川家斉 – 【第十一代将軍】
徳川宗武 – 【八代将軍・吉宗の子】
宝蓮院 – 花總まり【徳川宗武の側室】
一橋治済 – 生田斗真【第十一代将軍家斉の実父 八代将軍・吉宗の孫】
田安賢丸(松平定信) – 寺田心【八代将軍・吉宗の孫】
清水重好(徳川重好) – 落合モトキ【家治の弟。八代将軍・吉宗の孫】
高岳 – 冨永愛【老女】
田沼意次 – 渡辺謙
田沼意知 – 宮沢氷魚【意次の嫡男】
田沼意致 – 宮尾俊太郎
松平武元 – 石坂浩二
松平康福 – 相島一之
松平輝高 – 松下哲
佐野政言 – 矢本悠馬
松本秀持 – 吉沢悠
三浦庄司 – 原田泰造
土山宗次郎 – 栁俊太郎
下女 – 景井ひな
語り:綾瀬はるか(九郎助稲荷)
べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~ スタッフ
- 放送期間 : 2025年1月5日~12月 日(全 回)
- 制作 : NHK
- 平均視聴率 : %
- 制作統括 : 藤並英樹
- プロデューサー : 石村将太,松田恭典
- 演出 : 大原拓,深川貴志,小谷高義,新田真三
- 脚本 : 森下佳子
- 原作 :
- 音楽 : ジョン・グラム
- 衣装デザイン:伊藤佐智子
- インティマシーコーディネーター:浅田智穂
- 語り :綾瀬はるか
大河ドラマ館は2025年2月1日 ~ 2026年1月12日 台東区民会館9階ホール
『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』各回リンク
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