ストックホルムで四三(中村勘九郎)は白夜に苦しめられる。大森兵蔵(竹野内豊)の体調が芳しくないため、四三は弥彦(生田斗真)と共に自分たちだけでトレーニングを開始。だが、外国人選手との明らかなレベルの差に滅入っていく。やがて追い詰められた弥彦がとんでもない行為に…。
その頃、「朝太」の名を授かった孝蔵も、円喬(松尾スズキ)の話術を必死に盗もうと取り組むが、その凄さに圧倒される。
(あらすじは Yahoo!テレビより引用)
いだてん~東京オリムピック噺(ばなし) 第10回 「真夏の夜の夢」
「前略 『敵は幾万』の声に送られ、東京・新橋を出て早2週間。
嘉納治五郎先生におかれましては、どちらにおられますか?
もうすぐ夜の10時。太陽は沈みません。白夜です。」
日本を出て2週間……まだ日本を出ることができない治五郎先生である。
今回のタイトルは「真夏の世の夢」だけれども、三島弥彦くんにとっては「真夏の白夜の悪夢」だった。
着いた直後は明らかに「外国人」に敵意を燃やし戦闘態勢だった四三。
ポルトガルのラザロ。花巻さんでもフレディでもないから……。
しかし、従来、外向性に優れて外向き痛快男子だったはずの弥彦に次第に苦難が訪れる。
西洋の選手とは違いすぎる体格と体力と練習カリキュラムの緻密さ。
瞬発力が大切な短距離を走る弥彦にとっては、スタート地点からもう歴然と差が出て来る。
なんせ手足の長さから違う。
トイレの高さまで日本人には合わず、背伸びしないと用もたせない事態……。
おまけに指導に当たるはずだった大森の体調が白夜のせいもあって回復せず、悪くなる一方。
何かソーリー! 本当にすいませんね!
毎日練習メニューを渡す安仁子もついに切れて来る。(いや、キレられても……)
元々、マラソンは専門じゃないからと指導もしてもらえなかった四三と違い、弥彦の方には大森の分析と指導に期待もあっただろう。
置いてきぼりの子どものように不安になっていく2人……。
おまけに、「外国人」を睨みつけていたはずの四三が、陸王……じゃなくて足袋シューズを切っ掛けにスッカリ、ラザロたちと仲良しになってしまった。
子どもの頃から貧乏で、電車に乗らず走っていたからマラソンの選手にスカウトされるようになったというカーペンター。大工のラザロ。
言葉が違っても体格が違っても目の色が違っても、そんな過去の共通点だけで心が通い合える……四三の明るい笑顔が本当に癒し。
しかし、弥彦の方はついに部屋から出て来なくなってしまったのだった。
雲をつくような西洋人に交じって木の葉のように揉まれて走る屈辱、なんたる恥ずかしさ。
何かぁ、分かるわぁ……。
まさに孤軍奮闘。できない状態よね。
見知らぬ土地に行き言葉も分らず、デカイやつらがいっぱいいて……勝てない。
弥彦は元来、お坊ちゃんで無邪気で。
そして、家族が許可してくれなかったら黙って家を出て行こうとするような「あきらめやすい」部分もあった。
「痛快男子」とか言われて高い鼻で天狗のテッペンに立っているように見えるけれども、結構ヘラヘラと周りに合わせていて戦わないタイプである。
名家の坊っちゃん特有のプライドの高さもある。
一度にへし折られて……
そりゃ、君は走れば人が寄ってくるからね。
見たまえ、君の記事ばっかり!
「金栗」「金栗」「ワールドレコード金栗」!
あっ、いやいやいやいや、三島さんも載っとりますよ、ほら。
よく見てみろ。写真の下!
「Kanakuro」?
間違えてるんだ。
君の記事に僕の写真が使われている!
そりゃ僕の記録は平凡だ。12秒の男だよ、所詮は。 ミスター12秒だよ!期待されてないんだ僕は。君と違って!
坊っちゃん、生まれて初めて(?)の嫉妬(笑)
高いよ……便器が!当てつけか!?
つま先立ちで小便する度に、お前らが脚の長い西洋人に勝てるわけがないと笑われてるような気になるよ。
辛いよねぇ……
四三は大森先生の元へ走るが、病状が悪化した大森を見て、何も言えなかった。
つらい……ただただ辛い。
でも、四三は思い出す。
日本のスポーツ界のために黎明の鐘となってくれたまえ!
と言われた治五郎先生を。
窓から飛び降りようとしていた弥彦をベッドへ押し倒し……。
三島さん!我らの一歩は日本人の一歩ばい!
なあ三島さん。
速かろうが遅かろうが我らの一歩には意味のあるったい!
そして、部屋に入ってきた安仁子に誤解される。
大森先生が回復して、指導が入り、やっと落ち着いてきた弥彦。
今だったらビデオを見て検証できるようなことも、この頃は大変だなぁ。
写真を撮って、一歩ずつ、ライバルと見比べて研究して、やってきたんだねぇ……。
「痛快男子」と言われ、天狗でいつでも祭り状態だった弥彦も、白夜に悩まされ、記録に悩まされ、当地の祭りをうるさいと言うほどナーバスな状態。
でも、歌え、ヤーパン!と言われて舞台に立つ。
当然、「自転車節」かと思ったら「君が代」だったのにはビックリした。
四三は負けないつもりでここへ立ったのだ。
日本人として君が代を歌ったんだ。
この時、やっと治五郎先生、辿り着く。
さて、どうかね?何か変わったことはあったかね?
韋駄天! 痛快男子!
この安心感よ……。
国旗を三島君が、金栗君にはプラカードを持ってもらおう。
はい。
事務局からプラカードの表記についての問い合わせが。
表記?
あ~考えもしなかったな。
国際大会ですのでやはり英語で「JAPAN」と。
うん。
よかろう。
いや…「日本」でお願いします。
日本は日本です。
そのまま 「日本」と書くべきです。
金栗四三という人の、なんて魅力的なこと。
「西洋人」も人間で、同じように貧乏だったり、同じように大工だったり、同じように笑ったり怒ったりする事を知った。
足袋はたくさん取り寄せた。
四三は人気者だ。
けれども、決して外国に媚びるわけではない。
日本の誇りはそのままに、対等の位置に立ちたいんだよね。
これだけの差を見せつけられても。
記録が悪くても。
人間として「仲良く」と「卑屈」は違うのだという気持ちをきちんと持っている。
その表れが「君が代」であり、漢字表記の「日本」。
そして、現地の人や風景を楽しむ心も持っている。
奮闘の 声もとどろに吹きならす すゑでんの野に 夏花ぞさく
本当に。
こんな景色の中で詠んだような気がする歌。
ストックホルムオリンピックでは「日本人は長旅で疲れ、気候が合わず、時差や食事にも苦しみ大変な思いをした」とはネットでも本でも読める話。
その行間を私たちはこのドラマで見せてもらっている。
史実を織り交ぜながら、豊かに優しく。
贅沢な大河だ。
本当に上手い。
※キャスト
金栗四三 … 中村勘九郎
田畑政治 … 阿部サダヲ
嘉納治五郎 … 役所広司
永井道明 … 杉本哲太
大森兵蔵 … 竹野内豊
大森安仁子 … シャーロット・ケイト・フォックス
野口源三郎 … 永山絢斗
黒坂辛作 … ピエール瀧
可児徳 … 古舘寛治
田島錦治 … ベンガル
内田定槌 … 井上肇
岸清一 … 岩松了
武田千代三郎 … 永島敏行
春野スヤ … 綾瀬はるか
池部幾江 … 大竹しのぶ
金栗実次 … 中村獅童
金栗信彦 … 田口トモロヲ
金栗シエ … 宮崎美子
金栗スマ … 大方斐紗子
春野先生 … 佐戸井けん太
美川秀信 … 勝地涼
池部重行 … 髙橋洋
三島弥彦 … 生田斗真
シマ … 杉咲花
三島弥太郎 … 小澤征悦
三島和歌子 … 白石加代子
吉岡信敬 … 満島真之介
中沢臨川 … 近藤公園
押川春浪 … 武井壮
本庄 … 山本美月
美濃部孝蔵 … 森山未來
橘家圓喬 … 松尾スズキ
万朝 … 柄本時生
小梅 … 橋本愛
清さん … 峯田和伸
平沢和重 … 星野源
岩田幸彰 … 松坂桃李
東龍太郎 … 松重豊
古今亭志ん生 … ビートたけし
おりん … 池波志乃
美津子 … 小泉今日子
五りん … 神木隆之介
知恵 … 川栄李奈
今松 … 荒川良々
大隈重信 … 平泉成
田畑うら … 根岸季衣
噺 … ビートたけし
※スタッフ
脚本 … 宮藤官九郎
原作 …
音楽 … 大友良英
題字 … 横尾忠則
制作統括 … 訓覇圭、清水拓哉
プロデューサー … 岡本伸三、吉岡和彦
演出 … 井上剛、西村武五郎、一木正恵、大根仁
時代考証 … 古川隆久
スポーツ史考証 … 真田久、大林太朗
落語・江戸ことば指導 … 古今亭菊之丞
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コメント
-d-さん
もーーーーー私ゃショックを通り越して今や怒りしかありません。「あまちゃん」の総集編も後編はやらないと言うし、何よりも出演番組の配信停止が辛いですよね。
「あまちゃん」は、もう仕方ないにしろ、「いだてん」はまだ放送回数も浅く、ぜひとも代役で撮り直していただきたいです。そうしないと作品が可哀想ですよね。
クドカンさんが気の毒で……。
巨炎さん
>しかし、役所広司とピエール瀧の顔合わせが無かったのは残念なものの、
治五郎先生が陸王を引っ提げて、ようやく駆けつけるのはホッとします。
治五郎先生が神様のように見えましたねぇ。ああいう描写が本当に素敵です。
足袋屋は治五郎先生と直接関わっていなくて良かったかもしれません。関わっていたら後年カットされちゃったかも知れないし……。
いだてん〜東京オリムピック噺〜感想メモ 8〜10話
公式サイト 気がついたら3話も感想を溜めてしまったです;; いつも 通り、簡単に
うわ~足袋屋いなくなったら四三が走られないよ(汗)
播磨屋 良かったのに。。。残念です
代役立てて「いだてん」ぜーったい続けてほしいです!
視聴率なんか訳わからんわ 毎回もう最高なのに
≻贅沢な大河だ。本当に上手い
うん!
大河ドラマ「いだてん」 #10 「真夏の世の夢」
視聴率が悪いみたいですね。 時代の行き来に慣れれば結構楽しいと思っています。
三島の記録と視聴率が逆なら良かったのですが…。しかし挑戦にリスクは付き物。
「獅子の時代」も、「平清盛」も数字に悩んだもの。
しかし、役所広司とピエール瀧の顔合わせが無かったのは残念なものの、
治五郎先生が陸王を引っ提げて、ようやく駆けつけるのはホッとします。
「最初の一歩」「時代を切り開く」とは言葉美しいですが
孤独や不安が付きまとうものですね。
オリンピックも誘致よりアウエーで戦う選手の支援に金使おうよー。
実際、ストックホルム編はどう考えても最初の1クール。
昭和は後半になってからですが4月からの展開はどうなるんだろう。
まあ、「獅子の時代」も海外は序盤だけだったはずですが。
大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』第10回
『真夏の夜の夢』内容ストックホルムに到着した四三(中村勘九郎)と弥彦(生田斗真)練習を始めるのだが、白夜のため、睡眠が満足にとれないふたり。大森(竹野内豊)の体調不良で指導を受けられず、それぞれが練習を行うため、孤独にさいなまれながら、外国人との“差”を思い知らされる日々を送り始める。そんななかでも、四三は、外国人選手と交流を深めていくが、逆に弥彦は、明らかな実力差に追いつめられていくのだっ…
「いだてん東京オリムピック噺」第9回、第10…
先週は、家の点検やら自分の点検(検査ですね^^)、ワンコのトリミングやらでふと気づくとちっともブログが書けませんでした(^^;)まずは先週書けなかった大河感想から書かせてい…
いだてん 第10回「真夏の夜の夢」
大河ドラマ『いだてん』のお時間です。 BSを録画にて鑑賞。 第10回「真夏の夜の夢」 あらすじ・・・・・・・
NHK大河ドラマ「いだてん」第10回「真夏の夜の夢」
真夏の夜の夢、カリビアンナイト!テキーラみたいなダッシュして監督むせかえる激しい練習いたしましょう!…って、ユーミンときましたか~♪二人が今ともに走り出す!男と男の愛‥ゲフン、友情の物語の始まり始まり~。あれ、予告編では半裸で抱き合ってたりして…(汗)。