日曜劇場【 おやじの背中 】第3話 『なごり雪』 感想 倉本聰×西田敏行×広瀬すず の回

三十年もこの道ひと筋。
懸命にメダルを作り続けているのに、彼には一向に叙勲の知らせが国から入ってこない。

理不尽である。

おやじの背中 第3話 『なごり雪』

     おやじの背中3

西田敏行さんは大好き~~な役者さん。
若い頃はね、今よりももっとガツガツ前に出ているイメージがあって、ちょっとうるさいな、
と思っていた。

年が行くにつれて、どんどん西田さんにしか出せない味というものが出てきた人だと思う。
この人にしか出来ない役、というのをたくさん持っている人だ。

当然、需要がありすぎる故に映画にドラマにと出演作の数は凄い。
大河ドラマは何と昨年の『八重の桜』で12作目だとか。

間違いなく日本を背負って立っている俳優さんの1人だと思う。

意地悪な役をやっていても何となく可愛らしさがある人だ。
たぶん代表作になるんだろう『釣りバカ日誌』も、原作も大好きだけどすでに「浜ちゃん」
は西田さんのイメージ。底抜けに明るくて温かい。

個人的には最近では『八重の桜』の西郷頼母。
映画では『遺体 明日への十日間』が印象深い。

それから、三谷幸喜作品の中の西田さんが好き。
私の中では西田さんは『ステキな金縛り』の更科六兵衛さん。

脚本の倉本聰さんは『北の国から』がもう鉄板…。
人間の優しい所も痛い所も剥き出しにして最終的には人の繋がりを温かく描く。
大御所中の大御所である。

2008年の『風のガーデン』にはやられまくった。
1人の人間が死を迎えるために家族と向き合う物語。
緒形拳さんの遺作となった。

好きな作品は多いのだ。

けれども、やはり大御所の作品にはそれなりの重さがあるので…。

一体、どんな「おやじ」を見せられるんだろうという恐さもあった。
説教される前のような緊張感。

結果、覚悟していた重さは無かった。
代わりに見せられたのは「おやじ」という名の年寄りの悲哀。

今回は一家の「おやじ」というよりも「社会」の「日本」のおやじが描かれた。
だから子どもの役と言うのが今ひとつハッキリとしない。

全部持って行ったのは最終的には孫だった。
だからウチの記事タイトルも広瀬すずちゃんにしておいた。

金属加工会社 「イズキン」 は、社長の小泉金次郎が一代で築き上げた会社だ。
40年間、バリバリと働いてきた。

毎年、叙勲の時期になると「イズキン」は受賞記念メダルの受注で大忙し。
けれども、それを作っている金次郎は機嫌が悪い。

40年間働き続けた自分に国は勲章をくれない。
最近、耳が遠くなった。社員が大声で話しかけてくるのが気にくわない。
創立40周年の祝賀パーティーのために金次郎が立てたプランがいつの間にか
全て却下されていた。

専務は長男。常務は娘婿。

会議で「お父さん」と言われて宥められ、妻との思い出の曲「なごり雪」を歌ってくれる
はずの「イルカさん」もスケジュールが空かないからと却下され(知り合いでもないのに
当たり前だ)世の中がみんな自分を馬鹿にしているように感じた金次郎は…

失踪する。

この辺、本当に社員のみなさんも大変ですね…と思う。
老人のワガママに付き合うのは大変だ。
都合の悪い時だけ耳が遠くなる年寄りに話すのも大変だ。
(「佐村河内してる」って言うな)
すぐにキレる年寄りをなだめるのは大変だ……。

私なんか、それで実の父も舅も何となく避けている。
面倒くさい…と思ってしまうのである。

けれども、決して父親らの寂しさを理解していないわけではないのだ。

かまってもらいたいから意固地になる老人。
面倒くさいからつい逃げてしまう子ども世代。

この平行線はなかなか埋まる日が来ない…。

夫の親友である元警視庁刑事の大塚喜平に来てもらい、相談する家族。

家族の話を「うん」「うん」と全部聞き流しているようにしか見えない大塚。
これが小林稔侍さんだから余計になぜか役に立たないような気がしちゃって。

しかし結果的には大塚さんは全て理解していた。
この辺、私という視聴者の老人に対する偏見の目があった事に驚かされる。

長く警視庁で働いてきた刑事のカンも年の功の経験も、そして人間としての経験値も
素晴らしい重み。

大塚さんは知っていたのである。

金次郎はどこかに隠れて、自分が居なくなった後の家族の反応を見ているのだと。

だから、トイレにまで入って壁や天井を見たりしていたんだね~…。
話は全然聞いてないし、変な動きばかりしてるし…とか思ってゴメンナサイ。

まぁ…昔からの親友であるから解ったと言うのもあるんだけど。

金次郎は床下に入って家族の様子を窺っていたのである。
ワンコも一緒に床下に寝ている姿が何かカワイイ~…でも身体痛くなりそう~。
だって4日間だよ、4日間。

天照大御神を天岩戸から出すがごとく、床下に向かって演技する家族の姿が
おかしすぎる…。

今回出演俳優さん多いな~と思ったら、この芝居のための要員なのね。

会社の創立40周年の祝賀パーティは、ただの会社のためのパーティでは無く、
金次郎が息子に会社を譲るためのけじめの儀式だった。

引き際。感じていたんだよね。

世代交代は寂しい。不安だ。
誰だって年を取ったら自分の存在意義に疑問を持ってしまうものだろう。
年を取るって、切ないこと。

けれども、天岩戸に入った事で、解った事もある。
おじいちゃんを理解してくれていたのも思いやってくれていたのも孫娘だった。

おじいちゃん、優しいね。
これを作るために4日間も隠れてたんだ。

「なごり雪」のメロディがかかるオルゴールに入れた奥さんへの40年間の慰労の勲章。
それを見てポロポロ涙を流す孫娘。

違うんだけどね…違うと言えない金次郎は、

もう一回言って……。

と泣きながら返すのだった。

こんなに世代が違う人間でも解りあえるものはある…。

感受性の問題でもあるけれどもね。
最終的には優しく素直なこの子を育てた親、つまり金次郎の子どもだって大したもんだぞ。

妻への勲章を用意する…
その優しさを金次郎が持っているから、孫も優しいわけだよね。

時代は変わる。
けれども、優しい思いは残る。

滑稽だけど優しくて、後味の良いお話。

しかし、あれだな…初回からここまで共通しているのは「お父さんはさびしい」って事。

全ての働くお父さんたちに勲章を!!


小泉金次郎(西田敏行)は金属加工会社を一代で築き上げたワンマン社長である。
金次郎は、受勲者が周囲に配る記念メダルを長年懸命に作り続けていた。
しかし今や会社の会議でも自分の案は全く通らない、工場の騒音のせいで耳が遠くなる、
部下や家族にも蔑ろにされる…金次郎は不満がたまっていた…。
そしてある夜、金次郎は新橋で旧友と飲んだ後、家に帰らず姿を消してしまう。
すると小泉家に家族や幼馴染が大集合して…。

(上記あらすじは「Yahoo!TV」より引用)

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※キャスト

小泉金次郎…西田敏行

小泉金一…光石 研
小泉歌子…中島ひろ子
小泉しのぶ…広瀬すず
武田一平…梨本謙次郎
武田エリ…木村多江
小泉夕子…MEGUMI
竹中玲子…市川実日子

小泉秋子…由紀さおり

大塚喜平…小林稔侍
南 寛…大杉漣
向田春彦…田山涼成
加納茂吉…織本順吉

村田 修…中西良太
社員…井川哲也
工員1…平尾 仁
工員2…寺井文孝
病院呼び出し…柳下季里

ナレーター…徳光和夫

※スタッフ

脚本 … 倉本聰
演出 … 石橋冠
プロデューサー … 八木康夫
  
公式サイト(終了) http://www.tbs.co.jp/

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